2018年10月20日(土)
先週、先生のパーティのためにお休みした土曜日のサークル、今日、行くと、
先週休んだ人の分の集金袋が待っていた。
その一つ一つの袋の上に、うまか棒が、置かれていたよ。
山形に出かけたT氏のおみやげだそうで、先週配られた分を、
取っておいてくれたんでした。だだちゃ豆味♪
さて、今日は、先月、エッセイサークルに出したエッセイ、「ルーター」を・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ルーター」
自宅の電話が鳴ると、受話器を取る前に、発信番号を確かめる。登録した友人からなら、すぐ出るが、
〈0120〉から始まる番号には、出ないことにしている。畳張替えや、投資信託等、
勧誘電話ばかりなのだ。あちらが諦めるまで、鳴り続ける呼び出し音がうるさいが、ちょっとの我慢、我慢。
今日も、かかって来た〈0120〉の電話を無視していたが、ふと見た、その番号の末尾が気になった。
〈〇△◇〉ですって……。あれ?私が加入している〈CATV〉かな?
そのプロバイダー、私は、テレビ、電話、インターネットと、纏めて利用している。
そこで、躊躇いつつ電話に出てみた。すぐ、男性の声が、
「ウィステさんのお宅ですか?」と、確かめ、「そうです」と、答えると、
「何度か、お電話したのですが……」と、口籠りながら、とんでもない事を伝えてきた。
「あの、ウィステさんのお宅のパソコン、何か、気になるような動きは、ありませんか?
そうですか……。実は、ニュージーランドのプロバイダーから連絡が来まして、
”そちらの契約者のパソコンが、こちらのパソコンを攻撃している。対処して欲しい”
ということでして、調べましたら、ウィステさんのパソコンも、ニュージーランドを攻撃しているんです」、と!
ニュージーランドって、何?
攻撃って、何?
私は、犯人?
テレビニュースの世界が降りかかって狼狽える私に、彼は、状況を説明してくれた。
「お宅のパソコンと、インターネットを繋ぐ出入口に、ルーターという器機があるんです。
そこに、何者かが、ウィルスを送り込んで、感染した沢山のルーターが、攻撃対象に
一斉攻撃をかけるよう仕組んでいるんです。ウィステさんのルーターも、その一台なんです」
「えっ、でも、うちのパソコンには、ウィルスバスターを入れてて、ウィルス感染しているなんて表示、
出てないですけれど……」
「ウィルスバスターは、パソコンは、守ってくれるんですが、ルーターは、守っていないんです。
それで、古くて、セキュリティに穴のあるルーターが狙われたんです。
ウィルスを駆除するため、ルーターのバージョンアップをする必要があるのですが、出来ますか?」
「出来ません!」
「そうですか。それでは、こちらから係員を派遣して、やりましょうか?」
ウィルスが、中で、ぐちゃぐちゃしていて、外国まで攻撃するルーターが、同じ部屋の中にあるなんて、
耐えられない。
もしや、攻撃ルーターの所有者の責任を取らされるのだろうか?
そんな不安から、救いの手を差し伸べてくれている相手に、私は、なんと、
「お宅、どうして、そんな大事な事、〈0120〉から連絡してくるんですか。
うちでは、それ、出ないことにしているんです。連絡がつくのが、遅くなってしまったでしょう」
と、八つ当たりをしてしまった。
さらに、一刻も早く、ウィルス退治をしてもらいたいのに、指定された来訪日は、十日も先だった。
その間、私は、普通にパソコンを使っていて構わないのだそうだ。そんな悠長な、と、思ったり、
こちらは、加害者、共犯者、今現在も、ニュージーランドを攻撃し続けて申し訳ないと、
身体がもぞもぞ落ち着かないのに、日常の物事は、恙無く流れた。
当日、若い男性技術者がやって来た。彼は、
「ウィルスの駆除をやってみますが、完全に駆除出来ないこともあります」
と、言い出して、私を不安にさせた。私が、
「娘と相談して、取り敢えず、ウィルスを駆除してもらって、年末に娘が来た時に、新しい、
セキュリティがしっかりしたルーターに買い替えようと思っているんです」
と、言うと、彼は、荷物から箱を取り出した。
ああ、購入を勧めるんだな……。すぐ、
「実は、うちは、ルーターのレンタルもやっていまして。月〇○〇円で、何かあったら、
すぐ来ますし、新しい物に、交換もします」
と、始まった営業に、私は、この不安に比べれば、安い!と、一も二も無く、飛びついて、
駆除ではなく、そっくり交換してもらうことにした。交換作業中の彼に、
「他にも、感染したルーターは、あるんですか?」と、聞くと、CATVの契約者数万軒中、
該当したルーターは、三十六軒分だったそうだ。
「いつも、籤運がわるいのに、まったく。そういうことなら、宝くじを買うべきだったわ」
と、私が、思わず軽口をたたくと、彼も、「自分も、そうしますよ」と、応じてくれた。
かくて、新しいルーターは、きりっとパソコンデスクに収まり、私は、確かに犯罪者ではなくなった。
取り外したルーターは、小型家電ゴミとして出せる。
私は、その、ウィルスまみれの悪意の手先を、半透明のゴミ袋に入れ、念のため、ベランダに出しておいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日も、新しいルーターは、元気で、月末には、CATVの引き落とし報告に、ちょこっと、
レンタル代が、算入されている・・。
まあ、安心料だわね・・。
先週、先生のパーティのためにお休みした土曜日のサークル、今日、行くと、
先週休んだ人の分の集金袋が待っていた。
その一つ一つの袋の上に、うまか棒が、置かれていたよ。
山形に出かけたT氏のおみやげだそうで、先週配られた分を、
取っておいてくれたんでした。だだちゃ豆味♪
さて、今日は、先月、エッセイサークルに出したエッセイ、「ルーター」を・・・。
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「ルーター」
自宅の電話が鳴ると、受話器を取る前に、発信番号を確かめる。登録した友人からなら、すぐ出るが、
〈0120〉から始まる番号には、出ないことにしている。畳張替えや、投資信託等、
勧誘電話ばかりなのだ。あちらが諦めるまで、鳴り続ける呼び出し音がうるさいが、ちょっとの我慢、我慢。
今日も、かかって来た〈0120〉の電話を無視していたが、ふと見た、その番号の末尾が気になった。
〈〇△◇〉ですって……。あれ?私が加入している〈CATV〉かな?
そのプロバイダー、私は、テレビ、電話、インターネットと、纏めて利用している。
そこで、躊躇いつつ電話に出てみた。すぐ、男性の声が、
「ウィステさんのお宅ですか?」と、確かめ、「そうです」と、答えると、
「何度か、お電話したのですが……」と、口籠りながら、とんでもない事を伝えてきた。
「あの、ウィステさんのお宅のパソコン、何か、気になるような動きは、ありませんか?
そうですか……。実は、ニュージーランドのプロバイダーから連絡が来まして、
”そちらの契約者のパソコンが、こちらのパソコンを攻撃している。対処して欲しい”
ということでして、調べましたら、ウィステさんのパソコンも、ニュージーランドを攻撃しているんです」、と!
ニュージーランドって、何?
攻撃って、何?
私は、犯人?
テレビニュースの世界が降りかかって狼狽える私に、彼は、状況を説明してくれた。
「お宅のパソコンと、インターネットを繋ぐ出入口に、ルーターという器機があるんです。
そこに、何者かが、ウィルスを送り込んで、感染した沢山のルーターが、攻撃対象に
一斉攻撃をかけるよう仕組んでいるんです。ウィステさんのルーターも、その一台なんです」
「えっ、でも、うちのパソコンには、ウィルスバスターを入れてて、ウィルス感染しているなんて表示、
出てないですけれど……」
「ウィルスバスターは、パソコンは、守ってくれるんですが、ルーターは、守っていないんです。
それで、古くて、セキュリティに穴のあるルーターが狙われたんです。
ウィルスを駆除するため、ルーターのバージョンアップをする必要があるのですが、出来ますか?」
「出来ません!」
「そうですか。それでは、こちらから係員を派遣して、やりましょうか?」
ウィルスが、中で、ぐちゃぐちゃしていて、外国まで攻撃するルーターが、同じ部屋の中にあるなんて、
耐えられない。
もしや、攻撃ルーターの所有者の責任を取らされるのだろうか?
そんな不安から、救いの手を差し伸べてくれている相手に、私は、なんと、
「お宅、どうして、そんな大事な事、〈0120〉から連絡してくるんですか。
うちでは、それ、出ないことにしているんです。連絡がつくのが、遅くなってしまったでしょう」
と、八つ当たりをしてしまった。
さらに、一刻も早く、ウィルス退治をしてもらいたいのに、指定された来訪日は、十日も先だった。
その間、私は、普通にパソコンを使っていて構わないのだそうだ。そんな悠長な、と、思ったり、
こちらは、加害者、共犯者、今現在も、ニュージーランドを攻撃し続けて申し訳ないと、
身体がもぞもぞ落ち着かないのに、日常の物事は、恙無く流れた。
当日、若い男性技術者がやって来た。彼は、
「ウィルスの駆除をやってみますが、完全に駆除出来ないこともあります」
と、言い出して、私を不安にさせた。私が、
「娘と相談して、取り敢えず、ウィルスを駆除してもらって、年末に娘が来た時に、新しい、
セキュリティがしっかりしたルーターに買い替えようと思っているんです」
と、言うと、彼は、荷物から箱を取り出した。
ああ、購入を勧めるんだな……。すぐ、
「実は、うちは、ルーターのレンタルもやっていまして。月〇○〇円で、何かあったら、
すぐ来ますし、新しい物に、交換もします」
と、始まった営業に、私は、この不安に比べれば、安い!と、一も二も無く、飛びついて、
駆除ではなく、そっくり交換してもらうことにした。交換作業中の彼に、
「他にも、感染したルーターは、あるんですか?」と、聞くと、CATVの契約者数万軒中、
該当したルーターは、三十六軒分だったそうだ。
「いつも、籤運がわるいのに、まったく。そういうことなら、宝くじを買うべきだったわ」
と、私が、思わず軽口をたたくと、彼も、「自分も、そうしますよ」と、応じてくれた。
かくて、新しいルーターは、きりっとパソコンデスクに収まり、私は、確かに犯罪者ではなくなった。
取り外したルーターは、小型家電ゴミとして出せる。
私は、その、ウィルスまみれの悪意の手先を、半透明のゴミ袋に入れ、念のため、ベランダに出しておいた。
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今日も、新しいルーターは、元気で、月末には、CATVの引き落とし報告に、ちょこっと、
レンタル代が、算入されている・・。
まあ、安心料だわね・・。