2019年12月11日(水)
今日は、昨日のエッセイサークルに出したエッセイを・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「台風十九号」
台風十五号が、千葉に大きな被害を与えたというのに、ひと月ほどで、今度は、台風十九号が
来るという。テレビが、「巨大台風だ、風速六十メートルだ」と、騒ぐと、それにつれ、私の不安は、
ぐ~っと増していく。
五年前、このマンションに移ったとき、担当者は、
「このマンションのガラス戸は、風速五十メートルまで大丈夫です」
と、請け合ってくれたが、六十メートルでは、どうなるのだろう?
割れた窓ガラスが、強風とともに部屋に舞い込んでくるなんて、恐怖でしかない。
そこで、木曜日の朝、ラウンドダンスのお仲間で、同じマンションの東さん(仮名)に電話した。
「一緒にホームセンターに、ガラスの飛散防止シートを買いに行かない?」
彼女も一人暮らしで、しばらく前に車を手放している。そこで、一人暮らし同士、二人で、
いざ、ホームセンターへと、向かった。
車内で、私が、「ガラス窓に貼る飛散防止シートを買いたいんだ」と、言うと、彼女は、
テレビで見た、養生テープの話を教えてくれた。
台風対策として、養生テープをガラス窓にバッテンに貼り、さらに、その上に、
段ボールか新聞紙を重ね張りするそうだ。
私は、内心、「飛散防止シートのほうが良いわ」と、聞き流していた。
しかし、ホームセンターの開店と同時に飛び込んだのに、飛散防止シートは、売り場に無い。
店員さんに聞くと、昨日のうちに、売り切れ、発注をかけているけれど、入荷は、未定だそう。
みなさん、行動が、素早い……!
すぐ、養生テープ売り場に行くと、山積みになっている。あった、あった。
だが、売り場には、次々と人が来て、養生テープを持っていく。
緑色と半透明、細いのと、太いの。どうしようと、戸惑っていると、昨日も買ったという女性が、
「緑より、半透明のほうが、良いわよ。太すぎるのも、使いにくいわよ。」
と、声をかけてくれた。
こういう時の一声のありがたいこと。
東さんと私は、後からやってくる人にも、お互い様と、同じアドバイスをしてきた。
無事に買って帰り、テレビをかけながら、ガラス窓に養生テープを貼っていくと、少し、落ち着く。
テレビでは、養生テープと段ボールは、ガラス窓の強化では無く、割れた時の対策だと、説明していた。
それを聞くと、段ボールも必要だと、ひしひしと感じ、急いで、マンションの下のスーパーに、
無料の段ボールも貰いに行った。
金曜日の夕方、窓に段ボールを張った。薄暗くなった部屋から窓を見てみると、テレビで、
窓ガラスサイズになった段ボールを、すっきり張った様子とは、大違い。
煎餅とか、ジャガイモとかの段ボールをバラバラに、隙間だらけに張ったそれは、まさに、段ボールハウス。
または、戦時中のようでもあり、情けなさと、非常時という緊張感を呼び覚ました。
そして、土曜日。台風十九号が、やってきた。
朝からの強風の音と雨音が、午前十時半頃、ご~ご~と、凄みを増してきた。
ガラス戸が、ガタガタすると、ガラスは、持ちこたえてくれるかと、恐ろしい。
そこに、電話がかかってきた。取ると、埼玉のアヤからで、
「おばあちゃん、大丈夫?」
「大丈夫よ、アヤちゃんのうちも、大丈夫?」と、聞くと、
「大丈夫だよ。それより、パパの心配をしてあげて」
パパさんは、今日も、お仕事だそうで、そちらは、母子で、がんばっている様子だった。
東京のリカからは、ラインが、来た。
「おばあちゃん、大丈夫?」
「大丈夫。リカちゃんは、大丈夫?」と、聞くと、家に籠って、大学の勉強をしているそう。
「おばあちゃんは、クロスワードパズルだよ」と、返信すると、「笑、笑」と、帰ってきた。
大丈夫と言いつつ、本当は、雨風の音や、振動に、怖くて、落ち着かなかったが、
気にかけてくれたことが、気持ちの支えになる。
その後、一日中、一人で窓のレール部分のタオル交換をして過ごした。心細くても、やるしかない。
サッシの隙間から、雨水が吹き込んでくる。濡れたタオルを替えては、濡れ、変えては濡れを
夜中まで繰り返し、やっと夜中に風の勢いが減ったときには、疲れ果てていた。
朝、起きて、窓に張った段ボールの隙間から、外を見ると、晴れていた!
台風が、過ぎ、窓も無事だった。
私は、真っ先に、窓の段ボールを剥がした。
昨夜は、あんなに頼りになった段ボールだけれど、剥がすと、光が、燦燦と部屋に入ってきた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そういえば、喉元過ぎれば、熱さを忘れる・・・、まだ、ガラス飛散防止シートを買っていなかった。
次の台風に備え、明日、買いに行こうっと。(^^)
今日は、昨日のエッセイサークルに出したエッセイを・・。
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「台風十九号」
台風十五号が、千葉に大きな被害を与えたというのに、ひと月ほどで、今度は、台風十九号が
来るという。テレビが、「巨大台風だ、風速六十メートルだ」と、騒ぐと、それにつれ、私の不安は、
ぐ~っと増していく。
五年前、このマンションに移ったとき、担当者は、
「このマンションのガラス戸は、風速五十メートルまで大丈夫です」
と、請け合ってくれたが、六十メートルでは、どうなるのだろう?
割れた窓ガラスが、強風とともに部屋に舞い込んでくるなんて、恐怖でしかない。
そこで、木曜日の朝、ラウンドダンスのお仲間で、同じマンションの東さん(仮名)に電話した。
「一緒にホームセンターに、ガラスの飛散防止シートを買いに行かない?」
彼女も一人暮らしで、しばらく前に車を手放している。そこで、一人暮らし同士、二人で、
いざ、ホームセンターへと、向かった。
車内で、私が、「ガラス窓に貼る飛散防止シートを買いたいんだ」と、言うと、彼女は、
テレビで見た、養生テープの話を教えてくれた。
台風対策として、養生テープをガラス窓にバッテンに貼り、さらに、その上に、
段ボールか新聞紙を重ね張りするそうだ。
私は、内心、「飛散防止シートのほうが良いわ」と、聞き流していた。
しかし、ホームセンターの開店と同時に飛び込んだのに、飛散防止シートは、売り場に無い。
店員さんに聞くと、昨日のうちに、売り切れ、発注をかけているけれど、入荷は、未定だそう。
みなさん、行動が、素早い……!
すぐ、養生テープ売り場に行くと、山積みになっている。あった、あった。
だが、売り場には、次々と人が来て、養生テープを持っていく。
緑色と半透明、細いのと、太いの。どうしようと、戸惑っていると、昨日も買ったという女性が、
「緑より、半透明のほうが、良いわよ。太すぎるのも、使いにくいわよ。」
と、声をかけてくれた。
こういう時の一声のありがたいこと。
東さんと私は、後からやってくる人にも、お互い様と、同じアドバイスをしてきた。
無事に買って帰り、テレビをかけながら、ガラス窓に養生テープを貼っていくと、少し、落ち着く。
テレビでは、養生テープと段ボールは、ガラス窓の強化では無く、割れた時の対策だと、説明していた。
それを聞くと、段ボールも必要だと、ひしひしと感じ、急いで、マンションの下のスーパーに、
無料の段ボールも貰いに行った。
金曜日の夕方、窓に段ボールを張った。薄暗くなった部屋から窓を見てみると、テレビで、
窓ガラスサイズになった段ボールを、すっきり張った様子とは、大違い。
煎餅とか、ジャガイモとかの段ボールをバラバラに、隙間だらけに張ったそれは、まさに、段ボールハウス。
または、戦時中のようでもあり、情けなさと、非常時という緊張感を呼び覚ました。
そして、土曜日。台風十九号が、やってきた。
朝からの強風の音と雨音が、午前十時半頃、ご~ご~と、凄みを増してきた。
ガラス戸が、ガタガタすると、ガラスは、持ちこたえてくれるかと、恐ろしい。
そこに、電話がかかってきた。取ると、埼玉のアヤからで、
「おばあちゃん、大丈夫?」
「大丈夫よ、アヤちゃんのうちも、大丈夫?」と、聞くと、
「大丈夫だよ。それより、パパの心配をしてあげて」
パパさんは、今日も、お仕事だそうで、そちらは、母子で、がんばっている様子だった。
東京のリカからは、ラインが、来た。
「おばあちゃん、大丈夫?」
「大丈夫。リカちゃんは、大丈夫?」と、聞くと、家に籠って、大学の勉強をしているそう。
「おばあちゃんは、クロスワードパズルだよ」と、返信すると、「笑、笑」と、帰ってきた。
大丈夫と言いつつ、本当は、雨風の音や、振動に、怖くて、落ち着かなかったが、
気にかけてくれたことが、気持ちの支えになる。
その後、一日中、一人で窓のレール部分のタオル交換をして過ごした。心細くても、やるしかない。
サッシの隙間から、雨水が吹き込んでくる。濡れたタオルを替えては、濡れ、変えては濡れを
夜中まで繰り返し、やっと夜中に風の勢いが減ったときには、疲れ果てていた。
朝、起きて、窓に張った段ボールの隙間から、外を見ると、晴れていた!
台風が、過ぎ、窓も無事だった。
私は、真っ先に、窓の段ボールを剥がした。
昨夜は、あんなに頼りになった段ボールだけれど、剥がすと、光が、燦燦と部屋に入ってきた。
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そういえば、喉元過ぎれば、熱さを忘れる・・・、まだ、ガラス飛散防止シートを買っていなかった。
次の台風に備え、明日、買いに行こうっと。(^^)