(春の彼岸をまえに記す)
ふるさとの道をたどれば
ふと
不思議な感覚に 陥ることがある
広い通りだったと 覚えているのに
その道の なんと 細いことか
舗装されたとはいえ
周りの家が にじり寄ってきたような
押しつぶさんばかりの 窮屈感
その狭間を 縫うように
生家にたどり着くと
育った古い家は とっくにない
かろうじて残っている
古いままの近隣の豪家の持つ
盛んに機械音を響かせていた
勢いある工場も かたや更地に
あるいは転売されて 転入者の居宅に
たどり着いた生家は
取り壊されたとはいえ
新しい世代の棲家に 居住まいをただし
数少ない肉親が
時の過ぎるのを待つように
ひっそりと 暮らしている
幼い冒険心を 掻き立てられた
小高い位置の お寺を囲む
鬱蒼とした大木の茂る姿すら伐採され
新しい墓地が造成されて
日当たりよく 明るくなっては
胸躍らせた 古い言い伝えなど
微塵も感じさせない
かつては どれほどの郷愁をもって
訪れたことか
その胸の思いは
ずいぶん以前に 跡形もなくなったけれど
まもなく春の彼岸になれば
過去の姿を 求めるような
淡い期待感を抱きながら
細くなってしまった広い通りを
(本当は道幅は変わりない)
母の姿を偲びながら・・
ふと
不思議な感覚に 陥ることがある
広い通りだったと 覚えているのに
その道の なんと 細いことか
舗装されたとはいえ
周りの家が にじり寄ってきたような
押しつぶさんばかりの 窮屈感
その狭間を 縫うように
生家にたどり着くと
育った古い家は とっくにない
かろうじて残っている
古いままの近隣の豪家の持つ
盛んに機械音を響かせていた
勢いある工場も かたや更地に
あるいは転売されて 転入者の居宅に
たどり着いた生家は
取り壊されたとはいえ
新しい世代の棲家に 居住まいをただし
数少ない肉親が
時の過ぎるのを待つように
ひっそりと 暮らしている
幼い冒険心を 掻き立てられた
小高い位置の お寺を囲む
鬱蒼とした大木の茂る姿すら伐採され
新しい墓地が造成されて
日当たりよく 明るくなっては
胸躍らせた 古い言い伝えなど
微塵も感じさせない
かつては どれほどの郷愁をもって
訪れたことか
その胸の思いは
ずいぶん以前に 跡形もなくなったけれど
まもなく春の彼岸になれば
過去の姿を 求めるような
淡い期待感を抱きながら
細くなってしまった広い通りを
(本当は道幅は変わりない)
母の姿を偲びながら・・
ユスラウメ
花言葉 郷愁、ノスタルジー