ギザカワユス。こういう言葉を使うことに抵抗を感じる僕は34歳。カワユスナー
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届いたFAXに目をやると、送信日時に2005年8月~の記述が…。どうやらFAXのメモリに文書を貯めたまま、その存在に気がつかなかったようだ。そして書類のタイトルには、見慣れない単語が書かれていた。
「預託〇〇証券〇〇書」
書類の作成者には
「〇〇銀行 信託財産管理部」
の文字。そして百万円単位の金額が書き込まれており「解約」の文字が随所に書かれている。金額を合計すると1000万円を超えている。見てはいけない文書が半年以上メモリに眠っていたようだ。大切な顧客情報がオレッチに漏洩している。
ページをめくると2006年4月~に受信したFAXが出てきた。そしてそれにもお金にまつわる話が書かれていた。〇〇ゴルフ場の会員権の相場が書かれており、百万円単位の金額が記されている。送り主は〇〇銀行ではなかった。別の人間がオレッチに情報を送っている。なぜ皆、オレにお金の話をしたがるのだろうか。もしかしたらFAXの誤送信ではなく、嫌味自慢を受けているのだろうか。オレってば。
だが最後の1枚には金額が書かれていなかった。紙がグシャグシャになっている。これが詰まっていたため、以降のFAXが排出されなかったのだ。折り目を正しながら送信日時を見ると平成17年4月となっている。去年の今頃だ。
用紙に目をやると旅行の日程を知らせる内容だった。どうやら大人2人で東京から福岡に行くらしい。一泊二日のぶらり旅。届いたFAXは以上だった。
誤った宛先に送られたFAXは役目を果たせずに、今日、無関係者の目に晒された。送り主はもとより、受信する予定だった人たちに実害は出なかったのだろうか。一千万円単位の証券やゴルフ会員権は解約できたのだろうか。大人二人は福岡に行けたのだろうか。
眠いので「完」