元ライターの小説家への道

僕もまだ本気を出していません。

熱海旅行~風雨~

2011年05月15日 23時03分22秒 | 日々雑感
「震災翌朝に全燃料落下 1号機」

 この隠蔽体質。気持ちが悪い。

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 点滴を打っている間、僕はずっと寝ていた。気がついた時には点滴が終わっており、帰るだけの状態になっていた。そのため、この時は病状を聞けなかった。そして病院を後にする。本来は熱海の駅前で土産物屋に寄ったり、美味しいものを食べてから帰ろうと思っていたが、そんな状態ではない。逃げるように電車に乗り家へと急ぐ。乗った電車は鈍行だが、座って帰れるだけマシ。

 電車の中は最悪の気分だった。しかし悪いことに最悪の人間がひとり増えた。奥さんだ。奥さんの体にも異常が現れ始めた。僕ほどではないが体調が悪いと言い出したのだ。症状は同じ感じ。元気なのはわが子だけ。向かい合わせの4人席で子供だけがキャッキャキャッキャと大喜び。僕はもう窓に頭をもたげており、相手をする元気はない。電車が川崎駅に到着する頃には、子供が号泣。奥さんは辛いのを押して抱っこ。最悪の状態だった。

 家に到着すると、僕はもうベッドで寝ることしかできなかった。奥さんは近所の病院へ。診断の結果、急性胃腸炎とのこと。急性胃腸炎でウィキると、感染源は多くの場合、特定できないらしい。ただ思い当たる源がひとつある。わが子だ。保育園から恐らくもらってきたのだろう。ここ何日かアオッパナを垂らしていた。ウィキには子供のオシメを変えたら手洗いをすることで感染予防になると書いてあった。オシメを交換するたびに手を洗った記憶はない。

 この日は金曜日だが、家に帰ってからは何も食べず水分も補給しなかった。何か口に入れても下痢をしてしまうからだ。

 翌日、僕も近所の病院へ行った。実は熱海の病院で採血をして検査をしてもらっていた。近所の病院でも採血をしてもらったのだが、その結果が奇怪だったらしい。なんでも血液中の炎症を示す数値が、熱海の時より異常な上昇を示しているとのこと。数値的には肺炎にかかっているレベルで、歩くことも困難なレベルだそうだ。

「すごい数値なんですがね。ここまで歩いてきたんですよね。なんでこんなに高いんだろう…。うーん。不思議だな。とりあえず日曜日、特別に病院開けるから点滴打っておいてください」

 やんわりと医者が匙を投げる瞬間に立ち会った。

 結局のところ、土曜日と日曜日に点滴を打って、月曜日に再採血を行い、炎症を示す数値が下がったのを確認してもらって、急性胃腸炎は収束へと向かった。ちなみに熱海旅行記を書き始めた木曜日の時点でも、まだ体調は悪く。これを書いている日曜日の夜の時点では日々、おかゆかうどんを食すという胃袋にやさしい食生活を送っている。

 なお奥さんは僕が点滴を受けていた日曜日には全快しており、月曜日にはマーボーナス定食を平らげるレベルにまで回復していた。ブッシュー。

おわり。
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熱海旅行~落雷~

2011年05月15日 08時40分48秒 | 日々雑感
「原発作業員死亡 搬送に2時間」

 2時間かかるのは仕方がないと思う。毎日の健康管理を東電がやって、体調不良の者を作業に充てないなどの配慮が必要だと思う。

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 「ギギギギギギ、あんちゃーん」とばかりに、腹に落雷。暗闇の中、目を覚ます。自分の家ならまだしも、今いるのが旅館。トイレの場所が瞬時には分からず、玄関から外に出ようとしてしまう(泊まった部屋が離れにあったため)。急いで戻り、見つけたトイレに着尻。着尻をするも浴衣がしどろもどろ、帯もハラハラ。急いで捲り上げて、ブッシュー。

 水しか出ねぇ。水みたいなものではなくて水。そしてなぜか分からないが、口の中が唾やら痰で一杯になっていた。まさに危機一髪。しかし次に訪れたのがモーレツ吐き気。今は駄目。だってオレ便器にしゃがんでいるもの。グヌヌ。と踏ん張り、どうにか下から出るもの上から出るものを押さえ込む。上から出るものを押さえ込んだのは、上げ膳据え膳でインした食料を出すのがもったいないという思いがなくもない。

 どうにか落ち着いて布団へ。そして考える理由。最初は寝冷えかなと思ったけど、吐き気があるのはなぜか。すると原因は…。原因は宿の食事ではなかろうか。そう思うと、夕食に出てきた生タコのわさび漬けの味が、口の中に甦る。あれだ。あれが原因だ。「悔しいのー悔しいのー」。そう思っていると第二弾が到来。再びトイレに駆け込む。そして訪れる吐き気。

 だがしかし。と僕は思う。こんだけ僕が苦しんでいるのに、奥さんが鼾を掻いているのはどうしてだろう。結局、朝まで何度も何度も水便を放出するために寝ては起きてはを繰り返した。吐きはしなかった。

 朝になって状況は最悪。腹が痛くて動けない。奥さんは「ちょっくら朝風呂行って来るは!」と退室。口から「うーうーうー」とうめき声がこぼれる。映画などで腹痛で「うーうー」とうなっているシーンを見ることがある。僕はそれを大げさだと思っていた。うーうー教の信者かよお前ら、と思っていた。違った。声が出てしまうのだ。そして堪えるよりも声を出した方が、楽な気になれるのだ。

 やがて朝食の時間が訪れ、仲居さんが部屋に準備を始めた。仲居さんは心配してくれた。「風邪でしょうかねぇ」。これが風邪の症状か?「晩御飯に当たったんだとしたら、奥さんが平気なのがおかしいしねぇ」。その通りだ。オレが倒れている中、奥さんは朝食は平らげていた。僕は胃腸が弱い。その反面、奥さんは胃腸が強い。食べ過ぎた時など、僕はしばらく横になったりするのだが、奥さんはブッシュー(胃液が出る音)とか言って、すぐに復活する。

 結局、チェックアウトまで動けず。再び訪れた仲居さんは「他のお客さんでお腹が痛いと言っている人はいない」と言っていた。なぜオレだけ。仲居さんは、熱海駅近くの病院を教えてくれた。腹痛で病院なんて「それでも男ですか?軟弱者!」(セイラさん)と思ったりしたが、そういう次元を超えていた。

 タクシーに乗って宿を後にする。そして病院に行った結果がこれだ。奥さんが爆笑しながら、撮った一枚。後ろでは子供がバタバタ。



 生まれて初めての点滴。点滴を受ける頃には、下唇と指先が振るえていた。

つづく
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