河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

ちょつといっぷく16

2022年03月21日 | よもやま話

  修行中の二人の僧侶が川にさしかかり浅瀬を渡ろうとしていた。その時、着飾った娘に出会った。娘は川を前に途方に暮れている様子だ。きれいな服を汚したくないのだろう。

 すると、僧侶の一人が娘を背負い、川を渡り、向こう岸の土手におろしてやった。

 僧侶たちは再び旅を続けた。一時間ほど経ったころ、もう一人の僧が、

 「女に触るとはもってのほかだ。み仏の教えに反するではないか。修行僧の掟を破るとは、お前はどうかしているぞ!」

 娘を背負った修行僧は、しばらく黙って歩いていたが、とうとうこう言った。

 「わたしが背負った娘をあの土手においてきたのは一時間も前だ。だのに、おまえは、まだあの娘を背負っているのか!」

 何事も独りで「背負う」と、独り占めされて後悔している人、納得がいかない人、感情的になっている人など、様々な人から批判が出る。

※版画は瀬川巴水

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