ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

自衛官募集のポスターが物語ること(20201006)

2020年10月06日 | 米軍/自衛隊
これ只今「一生懸命募集中」の自衛官のポスターです。
上も下も同じポスタ-です。切り取った場所をいささかかえて撮影。
街中に張ってある公共掲示物です。

 私が気になっていたのは、「国家を守る、公務員」てとこでした。軍隊は国を守るってあれです。そのネガは軍隊は住民を守らないなんですね。これは大問題。
 そう思って撮ったのですが、よくよく見ると何だかヘン。お気づきになりませんか。上に3名、下に6名の自衛官。上の3名のお二人が女性、下の6名は3組とも全て男女のペア。何を力んで女性をポスターに登用しているのでしょうか? 男女同権の世界とは思えない自衛官の募集です。いやいや女性自衛官もこんなにいるし、女性も働きやすいし、素敵な女性が多いのだから男性自衛官も頑張れよ、なのでしょうか。
 私が想像しても始まらないので、ちょっくら資料を引っ張ってみます。以下ご覧下さい。
 その前に自衛官の構成・階級を示します。陸海空で構成されている自衛隊ですが、それぞれ、①幹部自衛官(将官から3尉)と、②曹の下士官クラス(曹長、1曹、2曹、3曹)③兵のクラス(士長、1士、2士)、また④予備自衛官が別途任命されています。
 この自衛官募集は、18歳から32歳とありますから、「自衛官候補生」(3ヶ月を経て)「任期制自衛官」となり、2士に格付けされ採用される2、3年を1任期とされる兵士達です。また、2士で採用され、選考により3曹になれる「一般曹候補生」の道の2種類の自衛官募集でしょう。
 
 以下、防衛省がまとめた統計を示します(2019年度。防衛白書から転載)。
 自衛官候補生の応募者数は陸:18097人(3434人)、海:4441人(932人)、空:6306人(1268人)、計:28844人(5634人)です。( )が女性。
 採用者数は陸:4779人(1167人)《24.4%》、海:771人(131人)《17%》、空:1809人(161人)《8.9%》、計7359人(1459人)《19.8%》です(小数点2桁で四捨五入)。
 陸上自衛隊は何と4人に一人が女性自衛官です。全体でも5人に一人に近い。

 一般曹候補生の応募者数は、陸:15822人(2980人)、海:4906人(977人)、空:7582人(1508人)、計:28310人(5465人)です。
 採用者数は、陸:4067人(324人)《7.97%》、海:1599人(227人)《14.2%》、空:981人(266人)《27.12%》、計6647人(817人)《12.3%》です。
 陸自は10%を切っていますが、逆に空自は27%。全体で12.3%。

 それでは全体の現在数(2020年3月末日)を見てみます。幹部自衛官は定員46039人に、現員42495人、女性2427人、5.7%です。曹は定員140191人、現員137071人、女性は8622人、6.3%。士は定員56001人に現員43099人。このうち任期制自衛官は21364人で女性3207人です。15%。    
 こうみると採用者数に比べて、女性の数、比率は減っていますが、ボロボロ抜け(退職)てしまうということはないようです。そこには防衛省なりの「働き方改革」への努力があるようです。2017年に「女性自衛官活躍推進イニシアティブー時代と環境に適応した魅力ある自衛隊を目指してー」を策定しています。こういっています。「女性自衛官の活躍を推進することは①有用な人材の確保、②多様な視点の活用、③我が国の価値観の反映、といった重要な意義がある。このため、防衛省、自衛隊として意欲と能力、適性のある女性があらゆる分野にチャレンジする道を拓き、女性自衛官比率の倍増をめざすことにした」と鼻息が荒い。
 2018年12月に潜水艦の配置制限を解除したことにより、「母性保護」の観点から女性を配置できない部隊は、陸自の特殊武器(化学)防護隊の一部と坑道中隊を除き配置制限を全面的に解除したという。2018年に女性の戦闘機操縦者が誕生し、2020年3月に女性空挺団員まで生まれている。
 自衛隊は女の時代となり、活躍が期待されているようだ。確かに戦闘は高度化し、肉弾戦ばかりじゃなくなり、様々な適性が求められているのだろう。しかしその背後には18歳から32歳の若年齢層が減っている現実がある。2018年度約1881万人だった10年後、約1750万になり、20年後の2038年、約1563万人と予想されているのだ。
 安倍元首相が言っていた「女性活躍」とは自衛官の世界のことを想起していたのか。私たちは、こうした動きをどう考えるべきなのだろうか? 私は自衛隊・軍隊の半数を女性にしろとは、決して言いたくない。4分の一でも勘弁してもらいたい。私は差別主義者なのだろうか?
 自衛隊・自衛官の内情を研究しながら、私は考えていきたい。


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