辺野古川河口にはミナミコメツキガニが何千、何万の単位で生息している。これを食べにシロチドリ、キアシシギ、チュウシャクシギさらにセイタカシギなどが来ている。他方、ツノメガニもミナミコメツキガニから恩恵をうけている。こうしたことが私のこの6年間の調査で分かってきた。こうした生態学的な連鎖を食物連鎖というが、自然界はこれがなりたたなければ、即崩壊するのだ。
ミナミコメツキガニは土中のプランクトンを食べているようだが、この課程で汚染物も食べてくれている。また、砂の中に生息していることで砂の中をほじくり回して砂の中に酸素を供給し、汚濁を防除・低減する機能を果たしている。要は辺野古川河口の環境のキーパーソンはミナミコメツキガニであり、もしも彼らが死滅するような事態が起きれば、辺野古川も汚濁の川となってしまうだろう。
辺野古川河口テント前。10月29日10:17
列をなして前進するミナミコメツキガニ
自然を見るとき、単に美しいとか、かわいいではなく、私たちは自分たちを取り巻いている自然環境の成り立ち・循環を考える力をつける必要がある。むろん自然観察自体がおもしろいから、これはこれで興味を持つ人が増えて欲しい。だがここ辺野古のように、基地建設ありきで、全てを見る国家が跋扈している現実の中で、それに異を立てるためには、生態学的な見方も重要なのだ。人間なんて自然界のことをほぼ何も認識していないからこそ、「経済成長・便利さ・欲望」のために一直線で壊しまくってきたのだ。そのツケがいよいよ様々な形で現れてきたことを、「気候変動と」集約してきたのではないの。
私は人間だけが賢いとか偉いとする考えを捨てるべきだと考えている。それは地球の生物たちにとって迷惑だ。軍事力はとりわけ迷惑なのだ。生物たちを、生物の世界を破滅への道に歩かせるものだ。人間が、とりわけ大国が地球の環境とは何かなどと、勝手に決めて良いことではない。私たちは、人間の無知ぶりを振り返りながら、謙虚に生き直すことから、あらゆることを再考しなければならないのではないか。戦争などと言う生き急ぐあり方は、この意味でもあってはならないことだ。