2019年12月24日の沖縄タイムスの1面2面は衝撃的だ。「首相補佐官、便宜打診か Jパワーに着陸帯助力見返り」とあり、これは2016年当時の高江周辺でのヘリパッド6個新設の為の裏話だ。この案件は1996年のSACO合意のひとつだが、北部演習場約8000㌶の半分を返す代わりに、高江周辺に6カ所のヘリパッド(着陸帯)をつくりますとの米国・米軍との合意を速やかに強行しようとして、N-1裏に通じる通路をこの沖縄やんばる揚水発電所の土地(ゲート)を活用できるようにするために和泉洋人首相補佐官がしゃしゃりで、「本件は官邸で官房長官直結で私が仕切っており、1省庁の問題ではなく国の問題」「国が米国との関係の中で急いでいる事業、と受け止めて、協力して欲しい」と同社(本社東京)の北村雅良会長を呼びつけ、「海外案件は何でも協力するから」と高江の工事への協力を求めたようだ。
確かに当時、この揚水発電所が封鎖され、廃止されるとの情報が私たちにも入ってきた。いつのまにかゲートが閉じられ、ガードマンが立ち、中に土木作業員や機動隊員が入り、資材置き場や休憩所が建ち並ぶようになった(同発電所は16年7月廃止)。当時、私たちは、これは何か裏があるなと噂していたものだ。
電源開発(株)が2016年9月14日に作成したメモには瞠目させられる。
「和泉補佐官
●沖縄北部ヘリパッドの件でのお願い。
●本件は、何とか年内、オバマ政権のうちにケリをつけたい。
米国政府は、日本政府は沖縄関連で何もしていないとみている。本件は日本政府も汗を流している証拠として、20年間放置されていた件を動かした。
●しかし反対派の活動もかなりなもので、あと3ヶ月で完成させるには、JPから建屋、水、燃料タンク等の協力を得たい。
●先週、事務局間でお願いしたところ、地元に防衛省に協力していると認識されるのは避けたい、中立を守りたいと断られたとのこと。
●本件は官邸で官房長官直結で私が仕切っており、1省庁の問題ではなく、国の問題、沖縄県も『歓迎』とは言わないが、水面下ではやってくれになっている。反対は活動家だけ。
●JPの懸念は理解するが、国が米国との関係の中で急いでる事業、と受け止めて協力して欲しい。中立とか言うのは勘弁して下さい。
●北村会長から下ろしてもらい、事務局間で相談させて欲しい。
北村会長
●JPはこの海水揚水も石川火力も長年地元に溶け込もうと努力。
本件で現地での対立が強まっていて、JPが協力すると、地元紙的に、JPも悪者にされるのは辛いところ。
●しかし、国の強い要請と受け止めるし、工事の(ママ)従事する地元の業者で、その作業環境という人道上の問題でもある。私から社長に協力する方向で話す。
和泉補佐官
●ありがたい。下司審議官(脚注ー国土交通省出身の当時防衛審議官の下司浩之氏と見られる)ラインで相談させる。海外案件は何でも協力しますから。
●官邸玄関で、会長が記者に囲まれ『大間ですか』『もんじゅですか』との質問あり。」
これを読むと安倍政権の米国隷従ぶりが凄まじい。高江村民、沖縄県民の意思を踏みにじり、米国との約束に固執し、第3者であるはずのJパワーを抱き込んだのだ。何故6個もの高江集落周辺へのヘリパッド建設なのかの地元住民への説明もなく、500名の5都府県機動隊を派遣し、随時県道を封鎖して強行した手法総体が異様だ。沖縄を米国に売り渡すような安倍政権の植民地「宗主国」ぶりが際立っていたのだ。
これは決して過去の話ではない。つい先日の高江での弾圧も含めて現在進行形なのだ。私自身改めてこの問題を改めていきたい。