福島第一原発の汚染水を海に流すのは、自然界への冒涜である。私たちは生き直す地点に立たされている。だから絶対に認められない!!!
1 初めに
沖縄の島々は、海に囲まれている。私の家からも海が見える。近代以降、海は交通機関などの利便性で語られてきた。しかしそもそもあらゆる海は生命の源だ。私たち人間も遙か大昔に、生物が誕生し、以来今日に至っている。但し「最悪の鬼っ子」として。
「薄めたから安全」、「アンダーコントロール」、「直ちに影響はない」等と言ってきた歴代の政権に私はもの申したい。また私たちが生きていく上で最低限考えるべき事をまとめたい。福島の海は沖縄の名護湾や、大浦湾に、そして世界中の海に繋がっていることを想起したい。沖縄からの発言にも意味があるだろう。
2 原発は鬼っ子である
原発はあのヒロシマ・ナガサキがなければ、この世に生まれなかった。原発の元は核兵器だ。日本国は、ヒロシマ・ナガサキという惨害を受けて尚、原発を推進した。民主主義が未成熟だったからとも言えるが、核兵器を常備する米国の同伴者(同盟国)に甘んじてきた日本国は、原発をガチに推進してきた。原発は「安全」だ、「安上がり」だと言いながら、巨大な原発を数多く造り上げてきた。因みに発電機は水力発電も火力発電も原子力発電も同じ構造であり、タービンを回すことで得られるのだ。
3 隔離は破綻している
政府・原発関連企業とて、放射性物質(放射能)が危険だと百も承知のはずだ。だからこそ、放射能を隔離するから「安全」だと主張してきたはずだ。しかし完全なる隔離は不可能だし、不可能だったのだ。被曝労働は避けられず、大気も水も外に出さざるをえない。そもそも使用済み核燃料等の放射性物質を人間・生命界に無害のまま、貯蔵可能な場所は日本列島のどこにあると言うのだろうか。
致命的なことは、核燃料は常に発熱している。これを常に冷却することが不可欠だ。この水は正常に原発が稼働しているならば、放射性物質は核燃料容器をはじめ何重かの壁に囲まれており、海に排水されてきた。それでもこの温排水の自然環境への影響も懸念されてきたのだ。
2011年3月11日に起きた巨大な地震と津波は、「安全神話」を現実として叩き潰したのだ。この結果生じた今回の「アルプス」とかいう排水は、従来の温排水と全く様相を異にしている。福島第一原発1から3号機はメルトダウン(核爆発)を起こし、中はグジャグジャだ。ロボットを投入してもロボットがダウンしてしまうほどの放射能にまみれている。そもそも核燃料がどこに、どのような状態であるのか、底部にあると予測されているものの、実態がはっきりわからないのだ。
4 「処理水」という欺瞞
東電、日本政府は、「処理水」だという。殆どのマスコミも「処理水」と称している。溜めているから希釈するから無害だというのだ。この「処理水」なるものはトリチウムを基準にしているが、原発内の核種は多様だ。そこを隠して「計算」し「安全」だと称している。それどころか先に記したように、実態を誰も掴んでいないのだ。水の量も減ってきたと言うが、一時的かもしれない。誰にも分からない物を都合の良い「仮定」で、ごまかしながら進む「処理水」の海への垂れ流し。
政府は、福島第一原発を廃炉にする過程で取り組まざるを得ないと言うが、以前に立てた廃炉プログラムは完全に破綻している。廃炉にしたくても、その前提となる実態が不明であり、ロボットを投じても着手できていないのだ。今後の処置をしくじれば、放射能レベルは下がるどころか上がる可能性もあるだろう。「見通し」がたたないところで、「処理水」と称し(ごまかし)、流し始めてしまえば、「既成事実」が勝利する。汚染水を断じて流してはならない。
5 「欲望」に走るな!!!
この国の政府は、ごく一部の金儲けのことしか考えていない。福島でも沖縄でも、どこでも。嘘に嘘を重ねてごまかしてきたのだ。私たちは、そうした嘘に付き合いきれず、沈黙し、我慢を重ねてきたのではなかろうか。
放射能まみれになる地球の海。私は、この一点を無視して人類の明日を語れないと考える。原発も核兵器の開発から造られてきたのであり、戦争とモロに重なっている。沖縄・琉球の島々に原発を造られなかったことは、確かに幸いだった。しかしないからこそ、私たちは、原発を身近に感じていない。
国家による欲望は、単純な経済欲でも性欲でもなく(含み込んでいるが)、国家による〈覇権〉ということに集約される。原発をこのまま推進していけば、人間の無知の領域から、こうした欲望は自壊していくに違いない。破滅は、さらなる予期せぬ破滅にまみれていくだろう。
私は、確実なことを謙虚に実行し、不確実なことを強弁せず、より謙虚に、生きるべきだと考える。私たち個人は、微力だが、無力ではないはずだ。国家は強力だ。野望にまみれている。生類を毀損し続けている。私たち一人一人が欲望に走らず、国家を押さえていく働きが求められているはずだ。私はこう考える。
岸田政権は、汚染水の海への排水を直ちにやめよ! これを、負け犬の遠吠えにしてはならないのだ。(2023年8月24日)
追記:逡巡しながら書いた。漸く書けた。沖縄と福島、核兵器と原発。ダメなものはダメだと言うしかない。「勝つ方法はあきらめないこと」だ。