それにしても、今回の民主党の代表選挙って面白い展開となっているな。
「悪党」・小沢一郎 VS 「大衆迎合」・菅直人の対決は、民主党内選挙を超えた、曲がりなりにも、レベルの高い政策論争へと展開しているような気がする。
小沢氏は、以前からの持論をほとんどブレずに展開。対して菅首相も、野党時代の頃のような鋭い追及姿勢に戻りつつある。
とりわけ、小沢氏は、記者クラブ主催の記者会見で、お決まりの「政治とカネ」の問題や「普天間問題」について、記者連との意見の相違部分をはっきりと伝えていたな。ということは、「マスゴミ」の誘導尋問的な質問も通用しなかった、ということ。
逆に言えば、自民党総裁選挙って一体何だったのか?と思いたくなる。
自民党総裁選は、要は今でも、「数の論理」であらかた決まってしまう。よって、マスコミのシナリオ通りにほとんど事が進んでいる。
最近の例を見ても、小泉氏の後継には安倍氏が名乗り、安倍氏退陣の際には同じく福田康夫氏、福田氏退陣の際には同じく麻生氏。そして野党に転落してからの総裁選も、やる前から谷垣氏優勢が伝えられていた・・・
というように、マスコミがまるで前任者の退陣のタイミングを見計らうかように、特定の人物を名指しし、結果、その人物が総理総裁になるというケースばかりだった。せいぜい緊張感があったのは、小泉総裁の第一回目の決定時ぐらいなものだろう。
民主党もここまではそうした流れとなっていた。
西松事件の引責を取った小沢氏の後継代表に、鳩山由紀夫氏の名前が早くからマスコミによって伝えられていたし、与党になってからの「小鳩退陣」時も同様。
ところが今回は違う。
大手マスコミが大嫌いな小沢一郎の立候補は罷りならん、ということから、各社一斉に、
『小沢氏立候補断念で調整』
という見出しが躍ったが、小沢氏は8月31日、正式に立候補を表明し、マスコミの「誘導報道」は見事に失敗した。
しかしながら逆に言えば、小沢氏の立候補正式表明により、菅首相との政策論点の違いが、はっきりと分かったのではないか。そこには、単純に数の力だけで決まるというような、従来型の与党代表者を決する戦いとは様相を異にしている。
となると、今回の代表選は民主党関係者だけしか参加できないにもかかわらず、国政選挙並みの重大選挙と位置づけられられているように感じる。
本来ならば、前々からこうでなくてはならなかった。だって、一国の宰相を決する選挙が、最初からマスコミのシナリオ通りに事が運ぶとなっては、面白くもなんともない上に、国民の政治不信を招くだけに過ぎないからね。
ところで、アメリカの大統領選挙といえば、民主、共和の大統領立候補選でさえも、緊張感が漂うよね。互いの政党関係者しか参加できなくても、政策論争に加え、スキャンダルなどの中傷合戦も飛び交うという、「武力なき戦争」モードとなって全米のみならず、世界をも巻き込んでいく。
日本も、民主党に政権が交代したことで、漸くアメリカ大統領選のそれに近くなったのかな?
しかしながら、小沢一郎の存在というのは改めて大きいものだと感じる次第。