© AERA dot. 提供 東京地検に事情聴取された菅原一秀前経産相(C)朝日新聞社
菅総理側近の菅原前経産相に東京地検が事情聴取 立件へ 政権へ大打撃 2021/04/23 14:30 AERA dot. https://t.co/HUoPdEroJD
— 佐野 直哉 (@pxbrqnaZJT1917W) April 23, 2021
側近への捜査で菅政権に激震が走っている。
秘書が選挙区内の有権者に香典を渡したなどとして公職選挙法(寄付の禁止)違反容疑で不起訴処分(起訴猶予)となり、検察審査会から「起訴相当」と議決された前経済産業相の菅原一秀衆院議員(59)に対し、東京地検特捜部が任意で事情聴取を開始した。
再捜査の過程で菅原氏の事務所が選挙区内の祭りなどで住民らに現金を配った疑いも浮上し、立件を検討しているという。
菅原氏は買収事件で公判中の河井克行元法相と同じく菅義偉総理の側近だ。昨年の自民党総裁選で無派閥の会の取りまとめなどをしていただけに立件されれば、菅政権にとって打撃となる。
菅原氏は2017~19年、選挙区内の有権者延べ27人の親族の葬儀に、枕花名目で生花18台(計約17万5000円相当)を贈り、秘書らを参列させて自己名義の香典(計12万5000円分)を渡していたという。
公職選挙法では、地元の有権者への寄付や食事提供など一切を禁じている。菅原氏の地元の支援者は捜査をこう恐れる。
「菅原氏は、地元の祭りやイベント、町内会にはこまめに顔を出していた。そして祭りなどには1万円などの寄付を出していた。イベントも本人が参加ないが、参加料だと秘書が数千円を置いて帰ることもあった。菅原氏自身から祭りで寄付1万円を貰ったこともあります。現金なのでいいのかとは不安になりましたが、地元の大臣になる先生が違法なことはしないと思っていた」
菅原氏の地元への捜査は水面下で進んでいたようだ。
「検察審査会では香典など約33万円が問題視された。さらに捜査をすると、幅広くカネをばら撒いていた疑惑が出てきた。これまでの捜査でもばらまきの証言もある。そこで菅原氏の選挙区、練馬区を中心に捜査を進めている」(捜査関係者)
菅原氏が経済産業相に在任中だった2019年10月に週刊文春の報道で明らかになった疑惑。しかし、2009年8月に週刊朝日も、安倍晋三前首相ら自民党有力政治家に06年~07年の間に菅原氏がメロン、カニ、ロイヤルゼリーなどを配った贈答リストを特報していた。
検察審査会申立代理人、郷原信郎弁護士がこう語る。
「菅原氏は祭りへの寄付は自身で持参するか、できない時は秘書に立て替えさせていた。後日、菅原氏が秘書に現金を渡して精算。検察審査会で申立が受理され、起訴相当になったのは、菅原氏のもとにいた秘書の証言が大きかった。広島の河井夫妻事件と同様に不都合があると秘書に責任を取らせようとする菅原氏の言動が許せなかったそうです」
ある秘書は東京地検特捜部から何度も事情を聞かれ、2020年6月の取り調べでは、祭りなどの小口のカネのばらまき手口も具体的に証言したという。AERAdot.が入手した秘書の陳述書にはこう記されていた。
<秘書が通夜に代理で出席したり、香典を先渡ししておくことは菅原事務所のルール。菅原代議士からも『基本通夜には出席』と言われた>
<香典を立替え分は、毎月、まとめて菅原代議士から支払われた>
そして、通夜や葬儀の日程の情報収集が秘書たちの大事な役目となっていたという。
<会合や葬儀の情報収集を怠るなどした場合、取りこぼし罰金という制度があった。菅原代議士から『罰金』と言われたら、秘書がその金額のお伺いを立てて払っていた>
そして週刊文春で報じられたように菅原氏が経産相在任中の2019年10月5日にも、練馬区の支援者が亡くなり香典5万円、枕花大1万円を秘書が渡したことがリストに記載されていた。検察審査会への申立の証拠には次のように生々しいやりとり会話が詳細に記されていた。
<2019/10/05 菅原にお伺いを立てる。菅原から「5万円」と連絡が入る>
事情聴取を受けた秘書は先の陳述書で菅原氏にこう強く反発していた。
<秘書が私の指示を誤解したと菅原代議士はマスコミに説明した>
<秘書が文春と組んで、香典を差し出す写真を撮らせ経産大臣から引きずり落としたと、菅原代議士が地元で言っていると聞いた>
<代議士から『裏切り者』の濡れ衣を着せられました>
すでに検察審査会で「起訴相当」の議決が出ている菅原氏。同じ結論が2度、出ると「強制起訴」となる。
「東京地検特捜部は強制起訴という格好悪いことは避けたいでしょう。いま、捜査を本格化させているのは自分たちで起訴するためではないか」(前出の郷原弁護士)
公職選挙法違反で有罪になると、公民権停止となる可能性が大きく、菅原氏は辞職を余儀なくされる。4月25日の3つの国政選挙での苦戦、緊急事態宣言の再発出、危ぶまれる東京五輪開催と苦境が続く菅政権。
「菅原さんは議員辞職したほうがいい」(自民党幹部)
菅政権がいよいよ正念場を迎えている。(今西憲之)