街中が停電したり、道路が冠水したり、散々だった今日の富山
そんな悪天候にも関わらず、無謀にも僕は美術館へと車を走らせていました。
なぜなら、僕の体は常に、食料と同じように芸術の補給を必要としているのです。
決して、お客さんが少なくて暇だったからでも、併設の喫茶店目当てでもありませんよ。
目指すは、富山近代美術館で開催中の 実験工房展
本展覧会の主題である「実験工房」とは、1950年代に活動した前衛的な若手芸術家集団です。
「実験工房」誕生の数年前、戦時中の芸術界は、政府の厳しい監視下に置かれ抑圧されていました。
それは、絵画や音楽の持つ人間性(戦争とは非人間的であるから)や批判的精神を恐れたためであり、これらを逆に、戦意高揚のための道具として利用しようと考えたからです。
終戦を迎え、憲法に表現の自由が掲げられると、再び芸術活動は活発になります。
しかし現状に飽き足らず、より自由で新しい表現を求める若い芸術家達が、美術・文学・音楽といったジャンルを超えて結集し始めます。
彼らは、すでに第一線の詩人・評論家であった瀧口修造(富山市出身)により「実験工房」と命名されました。
以後数年にわたって、美術と音楽、さらにはテクノロジーの融合を模索し、芸術の新たな地平を開拓することになります。
僕はどちらかというと前衛芸術は苦手なのですが、結論から言ってこの展覧会・・・、すごく良かったです。
前衛特有の難解さはありますが、想像し、絵と対話する楽しみがあります。、
個人的なオススメは、オートスライド(写真とテープを連動させた映写機)を使った映像作品。
SF『見知らぬ世界の話』 1953年製作(美術:北代省三、音楽:鈴木博義、湯浅譲二)です。
《ストーリー》
ある惑星で誕生した生命体が、「神」によって原子力を与えられる。
砂漠に大都市を作るなど文明を発展させますが、やがて放射能により惑星ごと滅びる。
60年前の製作にもかかわらず、日本の原発事故を予見しているかのような作品です、
彼らの語った「見知らぬ世界」とは、未来(現在の日本)のことなのでしょうか?
なかなかこうした形で、展示・公開されることが無かった作品のようですので、興味のある方は必見です。
会期は9月8日(日)までと残りわずか、お急ぎください。
もう一度、『見知らぬ世界の話』を観に行こうか検討中の管理人のお店 吉村唐木店HP もよろしくです。
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