今朝、思い出した曲 「檸檬」
さだまさしさんの多くを知らないのですが、
とても好きなのは「檸檬」です。
私は
聖橋から檸檬を
放り投げたことはない。
聖橋を渡ったことも
あまりない。
お茶の水駅のホームから
檸檬が落ちてきた風景を見たこともない。
なのに
私は確かに檸檬を放り投げた、
私は確かに檸檬を見た、
と錯覚しています。
黄色い電車と
オレンジ色の電車は
いつでも忙しそうに
河沿いの線路を走っている。
あの頃は「穂高」の白いカップで
美味しさもわからないのに
苦いコーヒーをのんでいた。
どうして
紅茶にしなかったのだろう、、、
「檸檬 さだまさし
或の日湯島聖堂の白い石の階段に腰かけて
君は陽溜まりの中へ盗んだ檸檬細い手でかざす
それを暫くみつめた後で
きれいねと云った後で齧る
指のすきまから蒼い空に
金糸雀色の風が舞う
喰べかけの檸檬聖橋から放る
快速電車の赤い色がそれとすれ違う
川面に波紋の拡がり数えたあと
小さなため息混じりに振り返り
捨て去る時にはこうして出来るだけ
遠くへ投げ上げるものよ
君はスクランブル交差点斜めに渡り
乍ら不意に涙ぐんで
まるでこの町は青春達の姥捨山みたいだという
ねぇほらそこにもここにも
かつて使い棄てられた愛が落ちてる
時の流れという名の鳩が舞い下りて
それをついばんでいる
喰べかけの夢を聖橋から放る
各駅停車の檸檬色がそれをかみくだく
二人の波紋の拡がり数えたあと
小さな溜息交じりに振り返り
消え去る時にはこうしてあっけなく静かに堕ちてゆくものよ」