前回は第19条の思想及び良心の自由への規定について現行日本国憲法と自民党改憲案を比較した。
今回は続いて第20条について比較する、現行日本国憲法を青字で示す。自民党改憲案の変化点を赤字で示す。
自民党__新憲法草案 | 自民党_憲法改正草案 | 日本国憲法 |
(平成十七年十月二十八日(発表)) 2005年 |
(平成二十四年四月二十七日(決定)) 2012年 |
(昭和二十一年十一月三日憲法) 1946年 |
第20条 ① 信教の自由は、何人に対しても保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。 | 第二十条 信教の自由は、保障する。国は、いかなる宗教団体に対しても、特権を与えてはならない。 | 第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。 |
② 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。 | 2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。 | 2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。 |
③ 国及び公共団体は、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超える宗教教育その他の宗教的活動であって、宗教的意義を有し、特定の宗教に対する援助、助長若しくは促進又は圧迫若しくは干渉となるようなものを行ってはならない。 | 3 国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教のための教育その他の宗教的活動をしてはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。 | 3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。 |
・ 現行の日本国憲法は第3項で「国とその機関が宗教教育宗教的活動を禁止している。」にたいし。自民党改憲案決'12年版では第3項に除外記手を追加している。内容は「社会的儀礼または習俗的行為の範囲を超えないものを除外」している。
ここも、日本の法律であいまいに書き、解釈や政令さらに法制化してまで拡大解釈できる道を残す悪しき条文の典型である。すなわち2項の「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。 」を骨抜きにする条文が3項に付け加えられている。
日本国憲法第20条の英訳を載せる。
article 20. Freedom of religion is guaranteed to all. no religious organization shall receive any privileges from the state, nor exercise any political authority.
No person shall be compelled to take part in any religious act, celebration, rite or practice.
The state and its organs shall refrain from religious education or any other religious activity.
(社会的儀礼は時代が変われば変化しその定義する形は無きに等しい、習俗的行為は移り変わるから習俗的なのである。つまりどりどちらもきちんと定義できないものである。その結果、勝手な解釈で、勝手にできるわけである。)
(日本人は比較的たくさんの神を仏を拝み利益還元(お祓い、祈祷、奉納党を行うことで家内安全、無病息災等を願い、元気で生きられていることに感謝することで健やかに生きること)を願ってきた。このため、特定の神を信じる一神教の考え方が稀有であった。
もちろん多くの神仏等の中の特定なものを取り上げて中心と据える場合もあるが、他を否定し、退けるものではなかった。
これは、クリスマス、バレンタイン、ハロウィン等の宗教的行事から始まったものをお祭りとして何の違和感も感ぜず取り込むことを見ても分かる。こういう中で社会儀礼、習俗的行為として規定できるものがあるだろうか、この第60条3項の除外規定は無用のものである。)
(軍隊を持つにはそのコントロールができないと危険である、憲法にそのことが盛り込まれない限り、国民は軍隊を持つ資格がない。
たとえば、明治の大日本帝国憲法は天皇を元首として全権を与えており、侵すことができない存在と規定されている。国民の権利は元首から与えられたものとされている。また、軍隊が元首の直属となっていたがために、日清日露戦争前後から、軍隊が国会の、内閣から独立した機関唱えるようになり、ついには内閣総理大臣まで排出するようになり、元首である天皇のコントロールするまでに至り真珠湾攻撃から敗戦に至った。これは、支那事変から始まる中国進出、満州国を作り、呼応するように国際連盟を脱退、ドイツ、イタリアと三国同盟をつくり、太平洋戦争、第二次大戦と進み破滅する。
そもそも軍隊(特に職業軍人)は戦争を続けることしかその存在感が無く、戦争に勝つことで称賛される。戦争がなければ軍人が昇進する機会は士官学校で上位を取るしかなく、優秀ではあるが、当時の士官学校は臨機応変な行動取れる訓練課程が無かったため、教わったことしかできなできない頭でっかちが昇進することになる。結果、前例でうまくやったことを真似すれば俺でもできるといった容易な考えでもつ指揮官参謀が指揮を執ったビルマ戦線では、たった三日の食料しか持たないでかつ補給をないがしろにした結果、食料、弾薬もない状態で何週間も戦い続けさせることになり、壊滅状態に至る。その負け戦に対し、その手柄を立てようとした指揮官、参謀は軍隊の仲間同士ということで兵士を無駄死にしたという責をとがめられもしなかった。また、俺が日本をよくするということで、2.26、5.15事件を起こしたい士官の処罰だけでなくまだしも、命じられて行動した兵隊まで情報が軍隊全体に広がらないように処置をした。このように軍隊を持つということはこのような危険もあるので、このようなことを防ぐ方法が無い憲法のもとで軍隊を持つことは非常に危険である。)
軍隊、軍人命令があると従わなければならないセントマシーンであるため、非常に危険な存在に容易に変わる。そのコントロールする規定は重要であり、その不正をただす仕組みが無いとちょっとしたきっかけで戦争へ突入する危険があると考えるやじさん