前回は第22条について現行日本国憲法と自民党改憲案を比較した。
今回は短いので第23条と第24条について比較する。第23条は大きな改変がなされているので、自分なりに比較検討する必要がある。
現行日本国憲法の条文を青字で自民党改憲案で条文で改変(新設、改変、追記)がなされた文句を赤字で表示する。*A
自民党__新憲法草案(旧案) | 自民党_憲法改正草案(決定案) |
日本国憲法
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(平成十七年十月二十八日(発表)) 2005年 |
(平成二十四年四月二十七日(決定)) |
(昭和二十一年十一月三日憲法(発布)) 1946年 |
(学問の自由) 第23条 学問の自由は、何人に対しても保障する。 |
(学問の自由) 第二十三条 学問の自由は、保障する。 |
第二十三条 学問の自由は、保障する。 |
(家族、婚姻等に関する基本原則) 第二十四条 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。 (新設) |
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第24条 ① 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない | 2 婚姻は、両性の合意*1に基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。 *1「のみ」が削除 |
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。 |
② 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。 | 3 家族、扶養、後見*2、婚姻及び離婚、財産権、相続並びに親族*2に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。 |
2 配偶者の選択*2、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。 |
注)20160404 *A、*1、*2 追記、表示(色、中の追加)の変更を実施
・ 第23条の学問の自由は改変されず残った。自民党2005年案では「何人たりとも」とすべての国民に対してさらに明示したものとなっていたが、現行憲法通りに戻されている。
・ 第24条は2012年改憲案は第1項が新設され、家族が社会の基礎単位であることを条文化している。
また、第2項で「両性の合意のみ」と男女二人の関係だけでよいと強調されている「のみ」の言葉が削除されている。
さらに、第3項は現行憲法の「配偶者の選択」を外し、後見、親族を入れている。
現行日本国憲法の英訳を青字示す。
article 23. Academic freedom is guaranteed.
article 24. Marriage shall be based only on the mutual consent of both sexes and it shall be maintained through mutual cooperation with the equal rights of husband and wife as a basis.
With regard to choice of spouse, property rights, inheritance, choice of domicile, divorce and other matters pertaining to marriage and the family, laws shall be enacted from the standpoint of individual dignity and the essential equality of the sexes.
自民党改憲案2012の英訳を示す.現行憲法と変わらないところを緑字、改変したところを赤字で示す。
明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか): 改憲草案を英訳を転載した。
(Basic Principles of Family and Marriage)
Article 24. Family shall be respected as a natural and basic unit of society. Family members must help one another.(New)
2. Marriage shall be based only*1 on the mutual consent of both sexes and it shall be maintained through mutual cooperation with the equal rights of husband and wife as a basis.
3. With regard to family, support, custody, marriage, divorce, property, inheritance and other matters pertaining to relatives, laws shall be enacted from the standpoint of individual dignity and the essential equality of the sexes.
*1 改憲案2項の英訳は”only”が含まれている誤訳と考える。
(第23条・・せっかく入れた「何人に対しても」を元に戻すと都合のよいことがあるのだろうか。)
(第24条・・ここが問題である。上記の改変により下記の懸念が生じる。
第1項 家族が個人より優先されることになる。
第2項 両性の合意だけで結婚ができなくなる。
第3項 「配偶者の選択」という文句の削除されるため法律が咲くもしくは改変するとき、財産の相続、家の継承などのような観点から「両性の合意」だけで結婚できないという法律が作ることができる。その結果、追加された、「後見」、「親族」のようなほうが強くなり、家族制度が復活することになる。個人の尊厳より家が尊重されることになり、基本的人権が制限されされることになる。これは財産という単位が主体となり人間が、年限らしく、自由意思で行動することを妨げる、不合理なことである。子孫のために財産を残したいとの人情が財産のため人間の権利が制限されるという非常に封建的な改変である。)
財産が無いからそんな心配がないが、財産のある人の人間性がおかしくなるということは、財産という力を持った社会的上位になる人の人間性がおかしくなるのは国がおかしくなるのではと懸念するやじさん