東京銀座のアンティークモールにある帯のアトリエ「花邑」をご紹介いたします。
以前のブログでもご紹介していますし、アンティーク、着物好きの方でしたらよくご存知かと思います。
店主の杉江羽音さんは古い着物や羽織、布団皮などを解き、洗い張りをして帯に仕立て替えをしている職人さんです。
アンティークモールに店を構え、そこで仕立て仕事も帯の販売もされています。
まだ30代の方ですが、しっかりとした考えのもと技術とセンスを日々磨いて
おられます。
ただ色や柄が素敵というだけの布選びではなく、布地や色や文様についてもたくさん勉強をされています。
昔の布に込められた文様の持つ意味合いも帯として身につける際の付加価値とさせています。
彼女のブログ『花邑の帯あそび』で私も勉強させてもらっています。
仕立ての際にはもともと帯として柄付けされたものではないものを帯にするわけですからいろいろとご苦労もあるようです。
また経年の色あせや布の傷んだところやシミなどをうまくやりくりしなければなりません。
まず帯地にするところまでがすごく手間がかかるわけです。
でもその「手間」をかけていく過程で「心」が自然に入っていくということです。
「心」は「気」と言い換えてもいいでしょう。
これらの詳しいことについてはかたちの会の冊子『かたち』NO.08に羽音さん自身の言葉で綴られた文章が寄稿されていますので是非ご一読いただきたいと思います。(工芸評論「かたち」へお問い合わせください)とても素敵な文章です。
私は新しい糸を染め、布を織っていますが、染も織りも長く使用に耐えられるようしっかりとした仕事をしなければならないと修業に入った時から思って来ました。
そして洗い張りをする度に風合いを増していけるようなものを作ってきたつもりです。宗廣力三先生のそういうことも含めた教えがあったお陰です。
しっかり良くおられた紬は管理状態が良ければ30~40年ぐらいで劣化したりしません(タンスにしまいっぱなしとか湿気には弱いです)。
むしろ使うことで真綿の毛羽が取れ艶が出て美しさを増してきます。私の着物や帯も洗い張りをされて、二代、三代と愛されてほしいと魂を込め仕事をしています。
先日の展示会で洗い張りをした自作の紬を着ていたのですが、私の着物を着て来てくれた知人が、久しぶりにその着物を見て「前よりずっと良くなっているけれど私のも洗い張りするとこんなになるかしら・・」と言ってくれたのですが、もちろんなります!洗うほどどんどん着てくださいと答えました。
羽音さんが扱っている古布も、織りや染の職人達は解かれること、洗われることを前提に仕事してきたものもたくさんあると思います。
見た目の色柄も、もちろん大事ですが時代を経て受け継がれていけるものを創ることが今の時代こそ大事だと思います。
仕立てる際、帯として生地が足りないこともあり、お太鼓の裏地は別布のものも多いのですが、その取合せの良さも彼女のセンスの良さが光ります。ただ同系色で合わせるだけではないものも多く、裏を見るのも楽しみなのですよ。
羽音さんの仕事と私の仕事は反対の仕事のようでいて通じるものもあるのだと思っています。
こんなに大事にされる布、今の若い人達が帯として模様や風合いを愉しみ、とことん使っていけることは今時の大量生産のものにはない良さがあります。
しなやかな彼女の感性と柔らかな頭を駆使して創られている創作帯です。
よき布との出会いは自分を高めてくれるような力があります。これは自分にも力がないと出会えないということでもあります。モノは怖いほど正直です。
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作品集『樹の滴』の中で桜染のピンクベージュの着物に締めている桐の花の型染めの帯は、実は、用事があって花邑さんにちょっと立ち寄った際に、出会い頭に一目惚れして買い求めたものです。羽織だったそうですがとても気に入っている帯です。
アップの画像をご覧ください。型と手差しのぼかし染めも入って綺麗な仕事です。
帯は何本あっても楽しいもの。1枚の着物に5本
ぐらいはあるといいですよね。
季節感のある帯は季節を少し先取りしてたのしみます。
新しいからいいとか古いからいいというものではなく、新しいものも古いものも大切にすべきものを大切にしていきたいです。
ただ着物も帯も羽織もすべて古いもので取り合わせるというのは私はしません。
新旧を取り合わせて今という時代を生きていたいからです。
さて、その花邑さんで私の紬のショールの取り扱いが始まりました。
ウェブサイトでもご覧いただけますが是非手にとってご覧いただきたいです。
立体的な布ゆえに纏ってみないと画像では色も本当のところはわかりません。
すべて手紡ぎ、座繰りの糸を草木で様々に染、何本もの糸を合わせたり、糸質の違うもの、太さの違うものを一越し、二越しおきに細かく混ぜ織ったものです。
着尺より手間がかかりますし、織るのも打ち込みすぎても体に馴染まず、甘くてもだらしなくなるので案外難しく、熟練を要します。
そしてこのショールは織りたてよりも3年目ぐらいからが滑らかに艶を増し良くなってきます。
似た感じのものはありますがすべて一点ものです。
私のHPのショップでも扱いがあります。
こちらは町田市鶴川の櫻工房内でご覧いただけます。
なお先ほどの『かたち』NO.8、そして中野みどり作品集『樹の滴――染め、織り、着る』も銀座、花邑さんの店頭でも取り扱いがあります。
帯は漠然と見るよりも着物や着物の端切れを持って合わせてみるのが一番です。
お正月の着物に帯やショールを合わせて愉しんでいただきたいです。
以前のブログでもご紹介していますし、アンティーク、着物好きの方でしたらよくご存知かと思います。
店主の杉江羽音さんは古い着物や羽織、布団皮などを解き、洗い張りをして帯に仕立て替えをしている職人さんです。
アンティークモールに店を構え、そこで仕立て仕事も帯の販売もされています。
まだ30代の方ですが、しっかりとした考えのもと技術とセンスを日々磨いて
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ただ色や柄が素敵というだけの布選びではなく、布地や色や文様についてもたくさん勉強をされています。
昔の布に込められた文様の持つ意味合いも帯として身につける際の付加価値とさせています。
彼女のブログ『花邑の帯あそび』で私も勉強させてもらっています。
仕立ての際にはもともと帯として柄付けされたものではないものを帯にするわけですからいろいろとご苦労もあるようです。
また経年の色あせや布の傷んだところやシミなどをうまくやりくりしなければなりません。
まず帯地にするところまでがすごく手間がかかるわけです。
でもその「手間」をかけていく過程で「心」が自然に入っていくということです。
「心」は「気」と言い換えてもいいでしょう。
これらの詳しいことについてはかたちの会の冊子『かたち』NO.08に羽音さん自身の言葉で綴られた文章が寄稿されていますので是非ご一読いただきたいと思います。(工芸評論「かたち」へお問い合わせください)とても素敵な文章です。
私は新しい糸を染め、布を織っていますが、染も織りも長く使用に耐えられるようしっかりとした仕事をしなければならないと修業に入った時から思って来ました。
そして洗い張りをする度に風合いを増していけるようなものを作ってきたつもりです。宗廣力三先生のそういうことも含めた教えがあったお陰です。
しっかり良くおられた紬は管理状態が良ければ30~40年ぐらいで劣化したりしません(タンスにしまいっぱなしとか湿気には弱いです)。
むしろ使うことで真綿の毛羽が取れ艶が出て美しさを増してきます。私の着物や帯も洗い張りをされて、二代、三代と愛されてほしいと魂を込め仕事をしています。
先日の展示会で洗い張りをした自作の紬を着ていたのですが、私の着物を着て来てくれた知人が、久しぶりにその着物を見て「前よりずっと良くなっているけれど私のも洗い張りするとこんなになるかしら・・」と言ってくれたのですが、もちろんなります!洗うほどどんどん着てくださいと答えました。
羽音さんが扱っている古布も、織りや染の職人達は解かれること、洗われることを前提に仕事してきたものもたくさんあると思います。
見た目の色柄も、もちろん大事ですが時代を経て受け継がれていけるものを創ることが今の時代こそ大事だと思います。
仕立てる際、帯として生地が足りないこともあり、お太鼓の裏地は別布のものも多いのですが、その取合せの良さも彼女のセンスの良さが光ります。ただ同系色で合わせるだけではないものも多く、裏を見るのも楽しみなのですよ。
羽音さんの仕事と私の仕事は反対の仕事のようでいて通じるものもあるのだと思っています。
こんなに大事にされる布、今の若い人達が帯として模様や風合いを愉しみ、とことん使っていけることは今時の大量生産のものにはない良さがあります。
しなやかな彼女の感性と柔らかな頭を駆使して創られている創作帯です。
よき布との出会いは自分を高めてくれるような力があります。これは自分にも力がないと出会えないということでもあります。モノは怖いほど正直です。
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作品集『樹の滴』の中で桜染のピンクベージュの着物に締めている桐の花の型染めの帯は、実は、用事があって花邑さんにちょっと立ち寄った際に、出会い頭に一目惚れして買い求めたものです。羽織だったそうですがとても気に入っている帯です。
アップの画像をご覧ください。型と手差しのぼかし染めも入って綺麗な仕事です。
帯は何本あっても楽しいもの。1枚の着物に5本
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季節感のある帯は季節を少し先取りしてたのしみます。
新しいからいいとか古いからいいというものではなく、新しいものも古いものも大切にすべきものを大切にしていきたいです。
ただ着物も帯も羽織もすべて古いもので取り合わせるというのは私はしません。
新旧を取り合わせて今という時代を生きていたいからです。
さて、その花邑さんで私の紬のショールの取り扱いが始まりました。
ウェブサイトでもご覧いただけますが是非手にとってご覧いただきたいです。
立体的な布ゆえに纏ってみないと画像では色も本当のところはわかりません。
すべて手紡ぎ、座繰りの糸を草木で様々に染、何本もの糸を合わせたり、糸質の違うもの、太さの違うものを一越し、二越しおきに細かく混ぜ織ったものです。
着尺より手間がかかりますし、織るのも打ち込みすぎても体に馴染まず、甘くてもだらしなくなるので案外難しく、熟練を要します。
そしてこのショールは織りたてよりも3年目ぐらいからが滑らかに艶を増し良くなってきます。
似た感じのものはありますがすべて一点ものです。
私のHPのショップでも扱いがあります。
こちらは町田市鶴川の櫻工房内でご覧いただけます。
なお先ほどの『かたち』NO.8、そして中野みどり作品集『樹の滴――染め、織り、着る』も銀座、花邑さんの店頭でも取り扱いがあります。
帯は漠然と見るよりも着物や着物の端切れを持って合わせてみるのが一番です。
お正月の着物に帯やショールを合わせて愉しんでいただきたいです。