中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第4回紬きもの塾―「とことん着尽くす」と「観ることの創造性」

2017年06月19日 | 紬きもの塾’17~’20


今回はいつもの着物の更生などの話に加えて、日常の中でもものをとことん使っていくことの例や、私の母が小学生の頃の銘仙の着物や娘時代の着物(上の写真)から作った風呂敷などを例に、小幅の布をはぎ合わせ布団や座布団などに利用されてきたことも話ました。
大正生まれの母は着物に限らず子供たちの学生服のスカートやズボンも傷んでないところをはぎ合わせて自分が使う座布団側などにしていました。
はいだ布は何故か力が宿るように思えます。襤褸の美、力です。
そして麻の伊達締めも途中まで縫いました_ _ _ _ _ _ , (^^;)

また、新企画で「観ることの創造性」というテーマで工芸評論家の笹山央さんにも3時の休憩を挟んで話をしてもらいました。
テストケースでしたが、皆さん熱心に聴講してくれてました。

その中で「観照」という普段あまり使わない言葉ですが、哲学でよく使われる言葉がでてきました。
古代ギリシャ文明のころから「観ること」は重視され、人間の主要な活動であるところの制作や公共的活動より以上に観照ということをより優位に価値づけていたとのことです。
文化を推進するのは観る側の人々であることを、茶の湯の文化や浮世絵の話などわかり易い例を挙げて話をしてくれました。

それは決して難しく考えることでもなく、身近な自然をよく観ることや料理を愉しむことでもあると。
そして「観る」を深化させるのは絶えざる訓練の積み重ね、日々の蓄積であるということでした。

紬塾でも布を観る目を養ってもらいたいと糸のところからよく見つめてもらっています。そのことが良い布と出会い文化を作ることにもなります。
時間の関係で質疑応答は出来ませんでしたが、次回はなんとか組み入れたいと思いました。


笹山さんが主宰するかたち塾は今週末の6月25日(日)に国立新美術館で行われますが、今回のテーマは「ジャコメッティを愉しむ」です。
「見えるとおりに描く」ことに生涯を賭け、真摯に見つめ続けたジャコメッティについてのレクチャーもぜひ聴いてほしいと思います。
奥の深い話ですが、笹山さんは小難しい理屈を並べるような話をしませんので、どなたでも気軽にご参加ください。
ものを観るのが楽しくなります!

六本木にある国立新美術館1階のカフェでレクチャーが行われます。 → 六本木駅近くのカフェに変更
前もって観ておいてもいいですし、後日観るのでもいいと思います。
詳細、お申込みは笹山さんのブログをご覧ください。受付後、メールを改めて差し上げます。
紬塾の方は私宛のメールでも結構です。

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