中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第4回紬きもの塾「日本の取り合せ」 

2020年10月15日 | 紬きもの塾’17~’20
帯や小物の取り合せについて、また小道具の選び方等について学びました。
袷、単衣向けの着尺と帯6本ほどを用意して、季節を変えての組み合わせを1組ずつみなさんに考てもらうワークショップも行いました。
紬塾の後半は、いよいよ具体的な着物を着ることについての話に入ります。

ワークショップでは、一人ずつ取り合わせた写真も撮りましたが、あらためて見返してみても、典型的な陥りやすい避けた方が良い、取り合わせもいくつかありました。よく雑誌などでも見かけるコーディネイトで、ありがちです。

それは帯揚げと帯締めの色を揃えてしまうことと、着物の色と帯締めを合わせてしまうことです。
そういうものと思い込んでいる方も多いようですが、そこを汚れない無垢な目で見直してみると、どうすればよいかがわかるはずです。

一人ずつ順番に一度取り合わせて、その意図(TPO)などを聞きます。
その後から私の方で別の小物に変えさせてもらったりしましたが、急に世界が変わり、納得頂けたと思います。

自然を見渡せば異なる色、質感、大きさ、形に取り囲まれています。
石庭の石の配置を見ても良くわかります。異なった石がうまく構成されているわけです。
また、日本庭園の植樹の配置も時間帯、季節が良く計算されています。
着物を着ることもそういうことだと思います。

工房内の小さな棚の上に異なる素材(紙、ガラス、石、紬布、植物)を配してみました。

小さな小物ほど目立ったりします。あれもこれも目立たせるのではなく、かと言って無難に何でも揃えるのでもなく、何をその日の着こなしの主役(TPOを考慮して)に据えるか考えると良いと思います。

俳句では基本的には季語を主役にしますが、取り合わせというのが大事で、よく「つきすぎ」という批評を聞きます。合わせすぎの感じでしょうか。
あるいは情景を盛り込みすぎると(あれもこれも言う)「ぼやける」と言う批評もあります。
何をテーマにし、それにふさわしい季語を選ぶかなのですね。季語はすでに多くを語ってくれているので、それを生かすことかと思います。かく言う私は出来ませんけど、、(^_^;)

日本的な取合せは自然観や異なる素材、技法、世界を絶妙に合わせるもので、
仕事のクオリティー、“ものの力”を取り合わせるのも重要なことです。
取り合わせは単なる色柄のコーディネートではありません。

更に重要な点は、身に付ける人、肌の色や髪の色、顔立ち、性格などとも取り合わせるわけですから、奥の深いことではありますが、ものをよく見て、自分をよく見て、自然をよく見て、一生をかけて学びたいと思います。

24日の「半巾帯プロジェクト説明会」でも肌の色、髪の色なども拝見させていただき、似合う色相を選びたいと思っています。
いわゆるパーソナルカラー診断の、化学染料の服を「春・夏・秋・冬」ときっちり分ける感じではなく、草木染の色は、ピンク肌、オークル肌の方どちらにも許容範囲が広いので大体は合うと思いますが、より合う感じを見させて頂きます。





 







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