新たに承認された「抗体カクテル療法」とは? 新型コロナ治療薬まとめ
>治療費は全額公費負担とはいえ、薬価はかなりの高額になると思われ、やたらと投与できない。目の前の患者が重症化しそうかどうかを、医師が短期間のうちに見極めねばならず、かなり難しい作業となる。
厚労省が特例承認した中外製薬の新型コロナ治療の「抗体カクテル療法」。カクテルといっても飲むのではない。ウイルス感染を防ぐ「中和抗体」を2種類組み合わせ、重症化リスクのある軽・中等症者に点滴で投与する。新薬の商品名は「ロナプリーブ」だ。
7/23/2021
五輪強行が招く人災「40代・50代コロナ死」続出リスク 重症病床使用率すでにステージ4突破 「新型コロナウイルスはかなりのスピードで変異しています。中和抗体は1種類の抗体がウイルスに効かない場合、もう1種類が重症化を防ぐ原理で、感染から7日以内の人に投与します。海外で4567人の患者さんに臨床試験を実施して効果が確認されました」(中外製薬広報IR部)
治験では肥満や高血圧など重症化リスクの高い患者に1回投与すると、入院または死亡リスクが約7割減ったという。ハーバード大学院卒で近著に「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」(三笠書房)がある医学博士の左門新氏が語る。
「例えば従来型に効く抗体とデルタ株に効く抗体をブレンドし、どちらかに効果を発揮してもらう仕組みです。新たな変異株が現れても、比較的簡単にブレンドする抗体を組み替えられるメリットもある。深刻な副作用は起きないのではないかと思われます。今回は2種類ですが、理論的には3種類以上の抗体を組み合わせることも可能です。おそらく1時間以内の点滴で投与を終えられるでしょう」
特例承認を受け、田村厚労相は「治療法という意味では一つ大きな前進と考えている」と期待を寄せたが、問題点もなくはない。
「新型コロナウイルスは人の体に入ると最初の7日間で細胞に感染し、8日目から重篤な炎症を起こして重症化に向かわせます。ロナプリーブが感染7日以内に投与するのはそのためです。
治療費は全額公費負担とはいえ、薬価はかなりの高額になると思われ、やたらと投与できない。目の前の患者が重症化しそうかどうかを、医師が短期間のうちに見極めねばならず、かなり難しい作業となる。また、投与は入院患者に限定されるでしょうから、それほど普及しないかもしれません」(左門新氏) もっと安くなれば“夢の治療薬”になりそうだが……。
https://news.yahoo.co.jp/articles/13ccc8265a758ff3654cd8b60f6bac21776f97e4