内閣府は3月29日、半年以上にわたり家族以外とほとんど交流せず、自宅にいる40~64歳のひきこもりの人が全国に61万3千人いるとの推計値を公表した。
中高年に関する調査は初めて。
男性が76・6%で、ひきこもり状態になったきっかけは退職が最も多い。
就職氷河期を経験したことなども背景にあるとみられる。
期間は7年以上が半数近くを占め、長期化・高年齢化か裏付けられた。
3人に1人が高齢の親に経済的に依存していることも判明。
福祉の現場では親が80代、本人が50代で生活が困窮する「8050問題」も指摘されており、きめ細かな支援が急務だ。
2015年に若年層(15~39歳)を対象にした調査ではひきこもりの人は約54万人で、今回はこれを上回った。
内閣府の担当者は「ひきこもりは若者特有の現象ではない」と強調。
調査時期の違いなどはあるが全体で100万人を超えるとの見方を示した。
調査は昨年12月に実施。
40~64歳の人がいる全国5千世帯を調査員が訪問し、本人(3248人)や家族から外出の頻度、ひきこもりの期間やきっかけ、生活水準などを聞いた。
期間は「3年以上5年未満」が21・3%で最多。
一方、7年以上の人は合計で46・7%だった。
ひきこもり状態になったきっかけ(複数回答)は「退職したこと」6・2%、「人間関係がうまくいかなかった」「病気」がともに21・3%、「職場になじめなかった」19・1%の順。
就職氷河期世代に当たる40~44歳の3人に1人は「20~24歳」でひきこもぴ状態になっており、就職活動がうまくいかなかったことが原因の可能性がある。
父親か母親が生計を立てているとしたのは34・1%。
親の年金が頼りというケースもあり、全体の3人に1人が暮らし向きを「上」「中」 「下」のうち「下」と答えた。
また約半数は関係機関に相談したいと回答。
若年層より割合が高く、本人や家族が抱える問題の切実さがうかがえる。
初めてひきごもりになった年齢は「60~64歳」が17・0%で最も多いが、全年齢層で大きな偏りはなかった。