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性搾取 広がる危険(1)

2022年01月31日 | 生活

少女が求めるのは安全・安心

「しんぶん赤旗」2022年1月31日

JKビジネス コロナ禍152件 弱みにつけこむ買春男性

 新型コロナウイルスの感染爆発のもとで、10代の少女や女性の苦境が広がっています。その中で、性を売り物にする性産業者や男性の「買春者」による被害(性搾取)が深刻になっていると元当事者や少女の支援団体などから声が上がっています。(日隈広志)

 「『行くあてのない少女が繁華街にいる』という報道を受けて、歌舞伎町でも買春者の数は以前の3倍は増えた。コラボへの相談件数は倍以上」―。家や学校から孤立した少女への支援活動を行う一般社団法人「Colabo(コラボ)」の仁藤夢乃代表はこう述べて、背景にコロナ禍の影響によるドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の増加があると懸念します。

 「少女がSNSで『今夜泊めてほしい』と発信すれば、10分もせずに何十人もの買春者が『泊めてあげる』『サポートします』などと言い寄ってくる」。買春者は少女に優しく接するなど「グルーミング(懐柔)」の手法を用いて性的行為を迫っていると仁藤代表。

 「切羽詰まった少女に、最初に声を掛けた人間の存在が大きいと、業者も客も分かっている。少女の弱みにつけこんで、気安く、容易に買春に取り込んでいる」

 日本では18歳未満の児童に金銭を介した性的な行為を求めることは「児童買春・児童ポルノ禁止法」、児童福祉法、都道府県の「青少年保護育成条例」などで禁止・規制されています。その被害者・法令違反の検挙者数はともに毎年5~6千人規模にのぼっています(警察庁報告)。

 仁藤代表は、社会に流布している「援助交際」「パパ活」などという言葉に対し、「少女と買春者が対等であるかのようにいうのは間違っている。おとなと少女には経済的にも社会経験でも絶対的な力の差がある。性搾取を正当化する言葉でしかない」と批判します。

 「少女たちが本当に求めているのは、安全で、安心して眠れる場所、温かい食べ物、そして信頼できる人間関係」

環境悪化が敷居さげる

 昨年12月、新宿・歌舞伎町の午後6時―。「コラボ」の「バスカフェ」には雨の中、開店前から50人を超える少女や女性の長蛇の列ができていました。

 「バスカフェ」では温かい食事、コスメ、衣類や生理用品を無料配布し支援活動を行っています。夜の街での声かけに応じてカフェを訪れた少女と信頼関係を作る場でもあります。シェルターでの保護や宿泊支援、住まいの提供などにつなげています。

 仁藤代表は「コロナ禍で生活困窮が広がっている。口コミで支援が受けられると聞いて、路上にいる少女だけでなく、さまざまな立場の少女が食料などを求めてくる」と少女の生活環境の悪化を指摘します。

 仁藤代表は「生活環境の悪化は、それだけ性産業への敷居をさげることになる」と懸念しています。

とても緩い日本の規制

 日本での性産業の規制はきわめて緩やかです。売春防止法(1956年)は、対価を伴う不特定多数との「性交」を「売春」として禁じる一方で、「売春」以外の「性的サービス(性交類似行為)」は禁止対象ではありません。性産業が扱う「性交類似行為」は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風営法)のもと、届出制で営業を認められています。

 女子高校生を性的な対象として売り物にする「JKビジネス」は、表向き「普通のバイト」をうたい、青少年保護育成条例などの規制から外れていました。しかし実態は、客から性行為を強要されるなど性暴力の温床になっています。

 警察庁の実態把握では、2020年の全国の「JKビジネス」は152件に上り、約7割が新宿など東京に集中しています。

 仁藤代表は過去に、衣装を着て客を接待する「メイドカフェ」で働き、同店舗の経営者から一方的に「性風俗業」の従業員になるよう指示を受けた経験があります。「そもそも簡単に少女を性産業に取り込める仕組みが日本社会にはある」と指摘します。

 繁華街の路上を歩く少女や女性に対するスカウトを通じて、アダルトビデオ(AV)出演の強要や「性風俗業」へのあっせんにつなげる業者が相次いでいます。スカウトは違法性のある行為です。ホスト店で、高額な飲食をさせ、支払えない女性に、店側が「仕事を紹介する」などといって「売春」させる事例も後を絶ちません。

 AV出演などを目的にした契約では、女性が契約書にサインしても職業安定法(「有害な業務」第63条)違反でスカウト側が検挙されています。

当事者の声聞く社会に

 仁藤代表は、スカウト行為の取り締まり強化を訴えるとともに、「おとなになっても被害のトラウマと付き合いながら生きている。簡単な回復はありえない」と、被害の深刻さを指摘します。社会の中での買春容認の声が「二次被害(セカンドレイプ)」となって当事者は声をあげることができていないのが実態です。

 「当事者の声が聞かれなかったし、語られてこなかった。当事者の声をきちんと聞く、当事者が安全に語れる社会に変えたい」

 声掛けなど支援者による「アウトリーチ(積極的働きかけ)」の活動の実践が国に求められています。「女性・児童福祉が機能していないすきを狙って買春が横行している。見守るおとながいないことをわかったうえで、買春者は少女を支配できる」と仁藤代表。

 「少女に必要な支援は警察の『補導』ではなく、ケアです。困難を抱える少女は自分の無力感、おとなや社会への不信感などで、自分から『助けて』と言えない状況にある。福祉行政は街を歩き回り、少女に声をかけ、その話に耳を傾けて必要な支援を考えてほしい」

 (つづく)


今日の散歩道。
 予報も外れていい天氣に・・・
 コロナとは無縁な生活です。