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『#BlackLivesMatter』企業も黒人差別に抗議、力強いメッセージ続く Netflix「私たちには声を上げる義務がある」

2020年05月31日 | 社会・経済

「沈黙をしないでください」。企業からも抗議の声が上がっています。
  ハフポストWORLD2020年05月31日
    • 生田綾 

 黒人男性のジョージ・フロイドさんが警察官に首を押さえつけられ亡くなった事件を発端に、アメリカで、「#BlackLivesMatter(黒人の命も大切だ)」と訴える声が広がっている。NetflixやTwitter、ナイキなどの企業もSNSで黒人差別への反対を表明した。
 
 Netflix「私たちには声を上げる義務があります」
ネット配信サービスのNetflixは、「沈黙することは、共犯と同じです」とTwitterで表明。オリジナルのドラマや映画、ドキュメンタリーなどで人種差別問題を多く扱ってきた同社は、「黒人の命は大切です」と記し、差別への反対を強く訴えた。
ツイートは13万回以上のリツイートを集め、多くの反響が寄せられている。HuluやAmazon Prime Videoなども続いてメッセージを発信した。

 「沈黙することは、共犯と同じです。黒人の命は大切です。私たちはプラットフォームであり、黒人のメンバー(会員)、従業員、クリエイター、タレントたちのために、声を上げる義務があります」(Netflix)

 「黒人の人々をサポートします。今日、そして毎日。あなたたちの姿は見えています。あなたたちの声は聞こえています。そして、私たちはあなたたちと共にいます」(Hulu)

 「私たちはブラック・コミュニティーと共にいます。黒人の同僚、アーティスト、ライター、作家、プロデューサー、そして視聴者のみなさん。そして人種差別や不正と戦う仲間たちと共に」(Amazon Prime Video)
 
 Twitter社は、公式アカウントのプロフィールを「#BlackLivesMatter」に変更した。ロゴに使われている青い鳥のアイコンは、メッセージに共鳴するかのように、黒色になった。

ナイキも力強いメッセージ
 スポーツ用品大手のナイキも、抗議への連帯を表明した。
同社は、NFLの試合で黒人差別に抗議するため国歌斉唱中に片膝をついたコリン・キャパニック氏を広告起用するなど、これまでも人種差別に反対するメッセージを発信してきた。
 1分間の動画では、「アメリカには問題がないと装うのはやめてください」「座って沈黙をしないでください」と、力強いメッセージが続く。
動画には大きな反響が寄せられており、アディダスの公式Twitterは、「連帯することで、前に進みます。連帯が変化を起こします」とのコメントを添えて、ナイキのツイートをシェアした。
「今回だけは、やらないでください。アメリカには問題がないと装うのはやめてください。人種差別に背を向けないでください。私たちから罪のない命が奪われることを、受け入れてはいけません。これ以上、言い訳をしないでください。この問題はあなたの人生に影響を与えないと思わないでください。座って沈黙をしないでください。変化の一部になることはできない、と考えないでください。あなたは、変化の一部になることができます」(ナイキ)
 
 「連帯することで、私たちは前に進みます。連帯が変化を起こします」(アディダス)
 
 ミネアポリスの事件を機に怒り広がる。一部暴徒化も...「Black Lives Matter」とは

大きなうねりを見せている「Black Lives Matter」は、警察官による黒人への不当な暴力と人種差別に抗議する運動だ。

 2013年、当時17歳だった黒人のトレイボン・マーティンさんがヒスパニック系の白人警官に射殺された事件をきっかけにハッシュタグが誕生し、アメリカ全土で抗議デモが相次いだ。
抗議活動はこれまでも頻繁に起きていたが、2020年5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性のジョージ・フロイドさんが警察官に首を押さえつけられ亡くなる事件が発生。
フロイドさんが「息ができない」と訴える様子を撮影した動画がSNSで拡散し、怒りが広がった。
SNSではハッシュタグをつけて差別に抗議する声が上がり、アメリカ全土では抗議デモが勃発。デモ隊の一部が暴徒化する非常事態となっている。


 新しい生活様式に移行できない安倍政権。ブルーインパレスから火力発電、原子力発電、何をとっても旧態依然。

シャクナゲ咲きそう。

亜麻の花


わたしのコーヒータイム。

 

 


黒人死亡事件

2020年05月30日 | 社会・経済

アメリカで今起こっていること。5つの出来事で解説

黒人男性のジョージ・フロイドさんが警察官に首を押さえつけられ亡くなった事件を発端に、アメリカで抗議活動が広がっている。

ハフポスNEWS  2020年05月30日
   泉谷由梨子


    黒人男性のジョージ・フロイドさんが警察官に首を押さえつけられ亡くなった事件を発端に、アメリカで抗議活動が広がっている。
今何が起こっているのか?
この記事では、これまでに起こったことを5つの出来事で振り返る。日付はいずれも現地時間。
 
 1:ジョージ・フロイドさん死亡事件(5月25日)
    フロイドさんは5月25日、アメリカ中西部、ミネソタ州のミネアポリスで警察官に首を押さえつけられ亡くなった。フロイドさんが「息ができない」と訴える様子を撮影した動画がSNSで拡散し、怒りが広がった。動画でフロイドさんを押さえつけていた元警察官(免職済み)のデレク・ショービン容疑者は第3級殺人などの疑いで訴追された。
    BBCによるとミネソタ州法の第3級殺人罪は「殺害の意図はないまま、不道徳な考えから人命を無視し、著しく危険な行為で他人を死亡させた」場合に適用される。

    アメリカでは警察官によって黒人が不当に殺される事件が何度も発生している。2013年以降の抗議活動は「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命だって大切だ)」と称される大規模な運動が行われている。
    警察の暴力に抗議し黒人差別撤廃を訴える趣旨のものだ。
黒人の人権運動はそれまでも行われていた。しかし、2013年以降に起こっている運動の特徴は、TwitterなどのSNSで、不条理に黒人の命が奪われた現場の動画が拡散され、ハッシュタグとともにアメリカ全土、国外でもその抗議が広がっていることだ。
    2014年には、黒人男性のエリック・ガーナーさんが白人警官に首を絞められて死亡している。ガーナーさんも、フロイドさんと同じように「息ができない」と訴えていた。

2:抗議活動がさらに広がり、暴徒化(5月26日~)
    抗議デモはまず事件現場になったミネソタ州ミネアポリスで26日に始まった。
最初は平和的に行われていたが、2晩目となる27日夜~28日にかけては、いくかのエリアで暴徒化。自動車用品店や警察の建物に火を放ったり、ディスカウントストアでの略奪行為と貧困層に対する分配なども行われた。
    警察は参加者に催涙ガスやゴム弾を使用して応戦し、負傷者も出ている。 ミネアポリスでは29日と30日の夜間外出禁止令が発令された。
さらに、抗議活動は西部のカリフォルニア州ロサンゼルスや南部のテネシー州メンフィスにまで広がった。 
ロサンゼルスでは、27日夜、抗議活動の参加者たちが高速道路を塞ぎ、警察と衝突した。
メンフィスでは、27~28日、参加者たちが「Black Lives Matter(黒人の命だって大切だ)」「Stop Killing Black people(黒人を殺すのは止めてくれ)」「Silence is Violence(沈黙は暴力)」といったサインを掲げて、フロイドさんらの死に抗議した。
 
3:トランプ大統領と、ツイッター
    続く抗議活動に関して、トランプ大統領とTwitter社との争いも行われている。
トランプ大統領は暴動が激しくなっていた5月28日深夜、デモ隊を非難し、ミネソタ州知事に対しては軍隊の出動も可能であり「略奪が始まれば銃撃する」とつづった。

    これに対してTwitter社は、暴力の賛美を禁じたルールに違反しているとして、警告を表示し、ツイートを隠す(閲覧は可能)という対策を取った。
Twitter社は5月26日にも、トランプ大統領の郵送投票に関するツイートに対して「ファクトチェックが必要」とのラベルをつけていた。トランプ大統領はこれに反発し、28日にソーシャルメディア企業の規制強化に向けた大統領令に署名している。SNS上での言論の自由に関する争いにも発展している。
 
4:CNNレポーターが逮捕される(5月29日)
    29日午前5時すぎ、CNNのレポーター、オマル・ヒメネスさんら3人がミネアポリスでの抗議活動を取材中、警察官に逮捕された。レポーターが手錠をかけられ連行される一部始終はCNNによって撮影されていた。
さらに、同じように取材していた同僚の白人レポーターは、警察官に接触されながらも逮捕されなかったことから、警察の黒人差別的な取締手法がさらに明るみに出ることになった。
    逮捕されたヒメネスさんは、身元を明らかにし、現地の規制にしたがって取材を行っていることを警察官に説明したが、警察官はこれを聞き入れずに逮捕。その後午前6時半ごろに公安施設から解放された。
CNNはこれに厳重に抗議。ミネソタ州知事が謝罪する事態に追い込まれた。
 
5:抗議活動、著名人やホワイトハウスでも
    5月29日、オバマ元大統領も声明を発表し「2020年のアメリカでこれは正常ではないはず」と事件を非難。
    ワシントンD.C.では29日午後、デモ隊がホワイトハウス前に集まったため、ホワイトハウスが封鎖された。その後、夜に議会議事堂前に移動した群衆は「撃つな!」と声を挙げた。
アトランタでは、CNN本部前で警察に対する抗議が行われ、CNNの建物の一部が破壊された。
その他、抗議活動はアメリカ全土に広がっている。


 アベ・トランプ・習近平を追い詰めるSNSの「力」。

まだ、菜の花。



ブルーインパルスが東京の空を飛行

2020年05月29日 | 社会・経済

ネット賛否「感謝」「勘弁」
    MAG2NEWS 2020.05.29 by 編集部サトシュウ

    新型コロナウイルスに最前線で対応している医療従事者への敬意と感謝の気持ちを示すため、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」が29日、東京上空を飛行した。しかし、これを巡り、ネット上では「#ブルーインパルスが29日に東京の空を飛ぶの勘弁」というハッシュタグが話題となっている。

ブルーインパルスの飛行に賛否の声
    ブルーインパルスの飛行経路は、都立駒込病院、都立墨東病院、荏原病院、自衛隊中央病院など新型コロナウイルスの感染者の治療などにあたった病院の上空。この時間、近くの人たちは窓から顔を出し、その様子を見上げていた。
    医療従事者への敬意と感謝の気持ちに同調したり、単純に「ブルーインパルスかっこいい!」と感動する声があがる一方、ハッシュタグ「#ブルーインパルスが29日に東京の空を飛ぶの勘弁」で不快感を表す人たちもいるようだ。SNSからは「無駄なお金使うな」「感動しました」「やることやれよ」「希望まで与えるようになったか」など、さまざまな意見が投稿されている。


首相官邸

@kantei
【SNS更新】「医療従事者をはじめ、新型コロナウイルス感染症への対応に全力を尽くして下さっている皆様に、敬意と感謝の気持ちを込めて、明日、航空自衛隊のブルーインパルスが、東京都上空を飛行します。」総理メッセージの続きは
https://facebook.com/sourikantei/photos/a.1346779385421817/2533567686742975/?type=3&theater…
https://instagram.com/p/CAunfByA-Rv/

 かねがね、「この時代にブルーインパレスかよ!」と息巻いていたわたしだ。
アベ支持率アップのためか!
線香花火でも打ち上げてろ!
せっかくCO2排出がコロナによって減少しているときに「ブルーインパレスかよ!」

やっぱり、こやつはづれまくり!
グレタも怒るわ。
こんな金(我々の税金だけどね)あったらコロナ対策に使え!
マスクまだ来てないぞぉ!


ネット規制の狙いミエミエ 安倍政権が露骨なSNSデモ潰し

2020年05月28日 | 社会・経済

日刊ゲンダイDIGITAL公開日:2020/05/28


 さすがに国民も安倍政権の“狙い”を見抜いている――。

 いきなり安倍政権が“SNS規制”に動き始めた。直接のきっかけは、フジテレビの番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラー、木村花さん(享年22)がネット上で誹謗中傷され、急死したことだ。
高市早苗総務相は、ネットに書き込みをした投稿者の特定を容易にするなど、悪意ある投稿を抑止する制度改正を検討すると表明。「スピード感を持って対応したい」と、年内に改正案を取りまとめる方針だ。投稿者の氏名や電話番号を開示対象にするという。さらに、自民党も対策を検討するプロジェクトチーム(PT)を発足させ、三原じゅん子参院議員が座長に就いた。SNSでの匿名での中傷を規制する法律を制定する意向だ。

 確かに、ネット上の匿名による誹謗中傷に対し「対策を取るべきだ」という声は根強い。亡くなった木村花さんには、「早く消えてくれよ」「吐き気がする」などとヒドイ言葉が投げかけられていた。
しかし、このタイミングで安倍政権がSNSの規制に乗り出した狙いはミエミエである。「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグをつけた投稿が700万を突破するなど、SNS上では政権批判が急速に広がっている。これ以上、安倍批判の声が大きくならないよう規制しようというのは明らかだ。

 早速ネット上には、<安倍晋三に反発する国民の発言を自粛させる法案だ><この対策PTは言論封鎖による人権侵害をする可能性が高い。ええかげんにせーよ安倍政権!こういった批判も出来なくなる可能性があります。人の死を利用するな!>などと反発の声が上がっている。
実際、氏名や電話番号まで特定されるとなったら、多くの国民は権力批判に二の足を踏むに違いない。「#さよなら安倍総理」「#辞めるなら今だぞ安倍晋三」といったハッシュタグも立ち上がっていたが安倍批判は消えてなくなる可能性がある。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。
「小泉今日子さんなどの有名人がツイートしたこともあって、検察庁法改正案の強行採決は見送られた。安倍政権はSNSの威力に恐れをなしているはずです。国民世論に成功体験を与えたことは失敗だったとも考えているに違いない。逆に言うと、SNSは市民にとって大きな武器です。もし、安倍政権の思惑通り、SNS規制法が成立したら、政権にとって都合の良い書き込みは許され、都合の悪い書き込みは認められない、ということになりかねません」

「#安倍政権によるSNS規制に反対します」のハッシュタグを立ち上げるしかない。

*      *     *     *     *

木村花さんの死の責任はSNS 以前にフジ『テラスハウス』にある! フジのリアリティショーでは過去にも自殺者が
    リテラ 2020.05.27 


 リアリティショー『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』(以下『テラスハウス』)にも出演中だった女子プロレスラー・木村花さんの突然の死。『テラスハウス』内での言動について、SNSで激しい攻撃を受けていたことが死に追い込んだのではないかとされ、ネット・SNS上での誹謗中傷を規制しようという議論がにわかに盛り上がっている。高市早苗総務相は、ネット発信者特定のための制度改正の意向も示している。
 この機に乗じた政府によるネット規制議論については別稿でもあらためて詳しく検証したいが、ちょっと待ってほしい。

 ネット上にあふれているヘイトスピーチやミソジニーがいかに酷いかは本サイトも重々承知だが、今回の木村さんの死については、それ以前に、まずリアリティショー『テラスハウス』の問題を検証する必要があるだろう。
 いまネット・SNS上の誹謗中傷だけに議論が集中してしまっているが、そもそも木村さんに対する誹謗中傷を引き起こしたのは『テラスハウス』というリアリティ番組の責任が大きい。

 周知のとおり、『テラスハウス』は「台本は一切ございません」という触れ込みで、男女6人がひとつのシェアハウスで共同生活を送り、そこでの恋愛を含む“リアルな”生活を記録するという体裁の番組。出演者は、俳優の卵やまだ売れていないモデルなど、一般人以上有名人未満が多い。
 すでに広く報道されているように、木村さんの「命より大事」な思い出のプロレスのコスチュームを、男性共演者が洗濯機の誤操作で縮ませ色褪せさせてしまったことに木村さんが激怒した場面が「コスチューム事件」などと名付けられ、もっとも非難と攻撃の的となっていた。
 この場面が3月31日にNetflixで配信されると、木村さんのSNSアカウントには非難が殺到。さらに5月14日になって、「“コスチューム事件”その後」と題して、動画3本ものボリュームで未公開シーンがアップされると、木村さんに対する攻撃が再燃していた。木村さんが亡くなったのは、この動画がアップされた9日後のことだ。
 3月時点でかなりの攻撃にさらされていたものを、わざわざ「コスチューム事件」として番組史上でも異例というボリュームの動画をアップしたのは、フジテレビは木村さんが炎上していたことを「バズってる」「話題性のあるネタ」と捉え、さらに盛り上げようという意図があったのだろう。ようは、木村さん攻撃を煽ったのだ。
 さらにその演出においても、木村さんが「悪者」に見えるような撮り方、見せ方をしていたのではないか。放送を観ずに、「コスチューム事件」の概要だけを見ると、男性共演者に瑕疵があり木村さんが怒るのも当然だろう。たとえば、男性の大事にしていたフィギュアなどを女性パートナーが不注意で壊したなどの同種のエピソードがメディアで語られることは多いが、たいてい女性が非難される。それが、木村さんだけが叩かれる事態になっているのは、いくら木村さんの怒りが激しかったとしても、その怒りが理不尽・過剰に見えるような見せ方をしていなければそうはならないだろう。
 トラブルや悪者を登場させることで視聴者の劣情を刺激し番組を盛り上げたいという製作側の恣意によって、木村さんは「悪者」に仕立て上げられていたのではないか。

『テラスハウス』で発覚したやらせ、松川佑依子へのセクハラ疑惑も

 実際、『テラスハウス』シリーズをめぐっては、過去にも「演出」「やらせ」が取り沙汰されたことが何度もある。
 まず最初に『テラスハウス』のやらせ疑惑を報じたのは、2014年3月18日号の「FLASH」(光文社)。ギャラは月に30~40万円で、スタッフの意向を受けて告白したりキスしたりした際にはそれぞれ手当として5〜10万円が支給されているという内容だった。つづいて同じ2014年の5月には「週刊文春」(文藝春秋)が、「現場に複数いるスタッフの振り付けにより展開が決まる」とし、さらには過去の出演者であるグラビアアイドルの筧美和子がスタッフから「バストを鷲掴み」されるなどのセクハラ行為も受けていたと伝えた。

出演者自身が実名で「やらせ」を告白したこともある。2015年に公開された映画『テラスハウス クロージング・ドア』にも出演していたOL兼グラビアアイドルの松川佑依子が、2015年12月にブログでグラビア引退の理由を明かすのだが、そこで『テラスハウス』撮影中のセクハラ被害とやらせを示唆する告白をし、大きな注目を集めた。
〈ちょっと暗いのだけど(笑)酷いことされて実家に帰って家から出れなくなった時期があったのね。会社も行けなくて。去年の今頃かな。でも撮影しなきゃみんなに迷惑かかるから行かなきゃって思って。〉
「去年の今頃」というのは、ちょうど劇場版『テラスハウス』の撮影時期と重なる。実際、松川の2014年のブログを見ると、12月24日に〈テラスハウスに住んでいます(*^^*)〉と明かしており、劇場版『テラスハウス』の「撮影」の際に「酷いことされ」た、とも読み取れる。
 さらに、松川はブログでの告白で、こうも言及していた。
〈夜はベッドが怖くて車で寝たりしてた。そんなことしてたら心がおかしくなってきて、この人たちと関わる場所にいたくないって思って。〉
「酷いこと」「夜はベッドが怖くて」──。これらの告白からは、何かしらのセクハラを受けたのではないかと憶測を呼んでも不思議ではない。
 しかも、松川は『テラスハウス』映画版で菅谷哲也などの男性らを見事に手玉にとる“悪女”として登場していたが、今回のブログでは〈嫌な役もやったし嫌われてるかなーと思ったけど〉と、悪女という役回りを引き受けていたとも取れる記述も。つまり、「台本は一切ございません」という『テラスハウス』に演出があったことを匂わせていたのだ。

SNSがなかった時代の『愛する二人別れる二人』でヤラセ告発の末に自殺

 さらに問題なのは、こうして何度もやらせやセクハラを指摘されながら、フジテレビはまともに検証をしてこなかったことだ。2014年の「週刊文春」の報道の影響か、『テラスハウス』は突如いったん終了するのだが、当時のフジテレビの亀山千広社長はやらせを否定。結局、何事もなかったように、その後、劇場版が製作され、さらには新シリーズも放送された。
 しかも、これは『テラスハウス』だけの問題ではない。古くは一世を風靡した『進め!電波少年』(日本テレビ)内の「ユーラシア大陸ヒッチハイク横断旅行」での飛行機使用から、放送倫理・番組向上機構(BPO)から「重大な放送倫理違反があった」と厳しい意見が出された『ほこ×たて』(フジテレビ)、最近だと『クレイジージャーニー』(TBS)の問題まで、テレビ業界ではリアリティショーにおけるやらせが横行してきた。『テラスハウス』と同様に恋愛を扱ったリアリティ番組『あいのり』(フジテレビ、1999〜2009年放送)、TOKIOが司会をつとめ、1999〜2003年まで放送されていた高視聴率リアリティ番組『ガチンコ!』(TBS)など、数々の番組で「素人出演者」がやらせの実態を告発している。

今回同様、リアリティ番組が最悪の結果を生んでしまったのが、『愛する二人別れる二人』(フジテレビ、1998〜99年放送)だ。
 この『愛する〜』は、素人の夫婦が登場して不満をぶつけ罵り合い、結婚を継続するか離婚を決意するかを選択するという内容。ときには夫婦が感情を爆発させてつかみ合いの喧嘩になったり、愛人が登場するなど、中身が過激になるほど視聴率はうなぎ登り状態となっていた。だが一方で、週刊誌では出演者やスタッフであるリサーチャーらによるやらせ告白も噴出。ニセ夫婦の"仕込み"から、妊婦という設定の女性がじつは妊娠していなかったりなど、疑惑のオンパレードだった。そして、ついには番組にやらせ出演していた女性が自殺していたことが発覚。このことがスポーツ紙で取り沙汰されると、フジテレビは番組打ち切りを決定した。……しかし、こんな大きな事態を招いても、フジテレビ側が打ち切りの理由として認めたのは、自殺した女性が出演したとき夫婦ではない男性を「夫役」としたことのみだった。
 木村花さんをめぐっても、木村さんを悪者扱いするような「やらせ」や「過剰な演出」がなかったのか。あるいはセクハラ被害はなかったのか。ネット・SNSの規制以前に、番組の問題を検証するのがまず先だろう。
 仮に実体としての「台本」がなかったとしても、スタッフによって本人の意に反するサジェスチョンがなされていなかったか。木村さんが悪者に見えるような切り取りや編集の仕方をしていなかったか。
 また、『テラスハウス』では、山里亮太、YOUらスタジオメンバーのコメントが視聴者の感想・感情の方向性をリードしていた側面も大きい。彼らに出演者を叩くよう毒舌を過度に要求していなかったか、あるいは誰をターゲットにするかなど、指示や打ち合わせはなかったのか。
 こうした検証抜きにして、同じような番組がつくられ素人参加者が悪者に仕立て上げられれば、いくらネットやSNSを規制したところで、今回のような悲劇がなくなることはないだろう。

 テレビでは、木村さんの死をセンセーショナルに取り上げ、「ネットやSNSの誹謗中傷問題」にしてしまっているが、『テラスハウス』問題に踏み込む報道はほとんどない。フジテレビはもちろんのこと、リアリティショーとやらせの問題は、上述のように『テラスハウス』やフジテレビだけの問題ではないため、他局も触れたくないのだろう。しかし、だからこそ、テレビ業界は真剣にテレビの責任に向き合うべきだ。フジテレビのワイドショーが「SNSの誹謗中傷に著名人も怒りの声!」などと責任転嫁して報じているのは、神経を疑う。
 テレビの責任について触れたのは、フジテレビの三田友梨佳アナくらいのものだろう。三田アナは25日深夜放送の『Live News α』でこう語っていた。
「テレビに出る人にも心があります。ですが、SNSだけにすべての原因があるとは言えないと思います。私自身、テレビをつくる身として、どうしたら防げたのか、どれだけつらい思いをされていたのか、番組とはどうあるべきなのか、しっかり考えていきたいと思います。心よりお悔やみ申し上げます」

 フジテレビをはじめテレビ局は、責任転嫁でネット・SNS規制を叫ぶ前に、一人の人間を死に至らしめた経緯をただちに検証するべきだ。
(本田コッペ)


 国民の権利を規制するのは「早い」。アベノマスクまだ来ない。

 ようやく天気が回復してきた。恵みの雨で、草も大きく伸びた。今朝から本格的に草刈り始め。


 


「自粛警察」とファシズム~ドイツとの比較から考える

2020年05月27日 | 社会・経済

田野大輔(甲南大学文学部教授)
  Imidas オピニオン2020/05/26


 新型コロナウイルス感染拡大防止のために、外出や営業の「自粛」が広く要請されるようになってからというもの、感染者や医療従事者に嫌がらせを行ったり、営業を続けるライブハウスや飲食店に苦情の電話を入れたりするなど、「自粛警察」といわれる行為が多発している。
 人々が「感染拡大防止」のために自発的に行っていると思われるこれらの行為には、実はファシズムを支持した民衆の行動に通じるものがあるのではないか。このたび『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』(2020年4月、大月書店)を刊行した田野大輔教授に、「自粛警察」の問題について話をうかがった。

   イメージ画像(編集部作成)


『ファシズムの教室』で論じたこと

『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』は、私が大学で10年にわたって実施してきた「ファシズムの体験学習」の内容を紹介しつつ、ファシズムが人々の感情を巻き込んで拡大していく仕組みを解説したものである(編集部注:「ファシズムの体験学習」については、2018年の記事「ファシズムは楽しい?」をご覧ください)。
 ファシズムというと、独裁者による上からの強権的な支配というイメージが強いが、実は下からの自発的な協力を動員して成り立っている面が大きい。ナチスの時代にも、多くのドイツ人は自分の欲求を満たすために、公的な権威を後ろ盾にして他人を攻撃するような行動をとっていた。たとえば恐怖政治の代名詞となっているゲシュタポ(秘密国家警察)にしても、実際には一般市民の密告に頼って業務を遂行していて、その密告も隣人とのトラブルなど私怨にもとづくものが多かったことが判明している。そうしたファシズムの危険な動員力に目を開かせるために私が実施してきたのが、上述の「ファシズムの体験学習」である。
 この授業では、約250人の受講生が白シャツ・ジーパンという「制服」を着て、独裁者役の私に「ハイル、タノ!」と敬礼して忠誠を誓い、カップル役の学生を取り囲んで「リア充爆発しろ!」と叫んで糾弾するなど、一連の示威行動を展開する。そうすると、参加者はいつのまにか何の罪もないカップルに罵声を浴びせることに平気になるばかりか、集団のなかでちゃんと声を出していないメンバーに苛立ちさえ抱くようになる。指導者の命令に従って集団で行動していると自分の行動に対する責任感が麻痺してきて、異端者を排除するような攻撃的な行動にも平気になってしまうのである。
 こういう心理的な変化にこそファシズムの危険性があることを示し、これと類似した仕組みをもつ現代の問題に警鐘を鳴らしたいという思いが、『ファシズムの教室』執筆の動機であった。同書は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で書籍の流通に支障が生じるという、非常に不利な状況下での刊行となったが、不幸中の幸いというべきか、多くの読者に好評をもって迎えられているようだ。

 
「自粛警察」に見るファシズム

 ファシズムと類似した現代の問題として執筆の時点で私の念頭にあったのは、昨今の日本で広がっているヘイトスピーチや排外主義運動の動きで、本書でもかなりの紙幅を割いて、これらの現象のファシズム的な特徴を分析している。ところが、運命の巡り合わせというべきか、新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令直後の刊行となったために、本書は私の予想を超えた形で、非常にタイムリーな問題を解明する手引きのごとき役割をあてがわれることになった。刊行後に相次いだ各種メディアからの取材依頼も、いま注目の問題とファシズムとの類似性を問うものがほとんどであった。
 その問題とはほかでもなく、緊急事態宣言下の日本で活発化している「自粛警察」「コロナ自警団」と呼ばれる動きのことである。感染者が出た大学に脅迫電話をかけたり、営業を続ける飲食店に嫌がらせをしたりする過激なバッシングが多発しており、そうした動きに私のいうファシズムの特徴が如実にあらわれていると考えた読者が多いようだ。

「自粛警察」が発生したのはなぜか

 コロナ禍に見舞われた日本で、「自粛警察」のような動きが発生したのはなぜだろうか。その原因は何よりも、政府が「自粛要請」という曖昧な形で危機をやり過ごそうとしたことにある。「自粛要請」というのは、個々人の自助努力と自己責任に対応をゆだねるということである。政府にとっては安上がりな方法だが、充分な休業補償が提供されず、従わなくても処罰されるわけではないので、生活のために仕事や外出を続ける人も当然出てくる。そうすると一部の人たちの間に、自分は自粛しているのにあいつは自粛していないじゃないかという不公平感が生じる。今後日本各地でばらばらに「自粛要請」の解除が進んでいくと、そうした不満はますます増大することになるだろう。
 みんなで力を合わせて危機を乗り切ろうとしているときに、自粛していない人は勝手な行動をとっているように見える。そのような人を懲らしめてやれという他罰感情に対して、政府の「自粛要請」はお墨付きを与えてしまうことになる。「自粛警察」のような行動に出る人たちは、政府の要請を錦の御旗にして他人に正義の鉄槌を下し、大きな権威に従う小さな権力者として存分に力をふるうことに魅力を感じているのである。それはまさしく、私のいうファシズムに典型的な行動といえる。
 こうした行動は、社会に大きな不安が生じたときにあらわれやすい。大きな不安が生じると多くの人が自己防衛の必要にかられて、他人に過度の同調を要求するようになる。政府が個々人に辛抱を強いることで危機を乗り切ろうとしたことが、結果的に人々の不安や不満を増大させ、要請に従わない人への攻撃を引き起こしたといえるだろう。ファシズムの特徴に引きつけて考えると、目下日本で生じている事態はおおむね以上のように理解することができる。


「非常事態」下のドイツで


 日本の危機対応のどこに問題があるかは、ドイツの状況と比較することでさらに明確になる。
個人的なことだが、私は3月初めからドイツ・ベルリンで在外研究に従事している。渡独して2週間も経たないうちにコロナ禍に見舞われ、大学・図書館などあらゆる公共施設が閉鎖、さらに外出制限・接触制限も導入されたために、以後2カ月にわたって自宅隔離生活を余儀なくされることになった。スーパー・薬局を除くすべての商店・飲食店の営業が禁止され、家族や友人・知人との接触・交流も制限された生活は、先行きへの不安もあいまって、当初はきわめて鬱屈したものに感じられた。
 ところが、近所を散歩して人々の様子を目にするうちに、意外にもかなり楽観的な空気が流れていることに気付くようになった。外出制限・接触制限中も公園や広場には普段以上に多くの人々が繰り出していて、春の陽気を満喫している様子が見られる。3人以上で出歩くことが禁止されているために、警察が時々違反者に警告したり罰金を科したりしているが、規則に従っている限りは何もうしろめたいことはないので、多くの人が実にのびのびと日光浴を楽しんでいる。そういう人たちを不謹慎だといってとがめるような人はおらず、おたがい大変だからと他人の行動を尊重するような雰囲気も感じられる。「自粛警察」が跋扈する日本の状況とは、非常に対照的である。

 もちろん、ドイツでも外出制限・接触制限に対する不満はそれなりにあって、実際に全国各地で規制に反対するデモが行われている。とはいえ、そうした不満は基本的に政府に向けられていて、「自粛警察」のような動きにはつながっていない。デモという形で不満を表明する回路があることが、陰湿なバッシングを防ぐ安全弁になっているのかもしれない。


日独の「危機対応」の違い


 コロナ感染拡大を防止するために個人の権利が制限されている状況は、日本もドイツも同じである。しかしながら、権利制限の方法は日独で大きく異なっている。ドイツでは、政府が外出制限などのかなり踏み込んだ権利制限を、民主主義の原理に反するものと明確に説明した上で実施している。メルケル首相は外出制限導入の際の演説で、旧東ドイツ出身である自分には基本的権利が制限される意味が身にしみてわかっていると強調した。権利侵害を自覚した上で、それは危機を乗り越えるための一時的措置だとして国民に理解をもとめ、規制と同時に補償をセットにしている。
 ドイツではこのように強力な権利制限を行うことで感染拡大を防ごうとしているのに対して、日本ではむしろ権利制限を控えつつ緩やかに感染拡大を防ぐという、いわば「お願い型」の対応が基本となっている。そのためもあって、日本の政府は権利侵害の自覚が曖昧で、個々人の自助努力と相互監視に依拠して社会を統制しようとしているように見える。もちろん、ドイツの方が感染者数も死者数も圧倒的に多いので、日本のやり方で感染拡大を抑えることができればそれに越したことはないのだが、やはり「お願い型」の対応には副作用もあって、個々人に大きな負担を強いることで人々の不安や不満を鬱積させ、過激なバッシングを促してしまうという弊害は無視できない。
 それに加えて、日本のやり方でうまく危機に対応できているかというと、必ずしもそうとはいえない。政府の対応を見ていると、権利制限に伴う財政支出や経済活動への影響を小さくしようという目的の方が前面に出ていて、不十分な検査体制・医療体制などからも、感染拡大の防止という最優先の課題が見失われているように思われる。もっとも、日本でもドイツのような強力な権利制限を行うべきかといえば、それには慎重な姿勢で臨むべきだろう。個人間の同調圧力と相互監視の強い日本社会の特徴を維持したまま、さらに政府の強権発動を認めることになれば、そこに出現するのはおそらく、戦時中の言論弾圧も顔負けの恐るべきディストピアに違いない。


「自粛警察」の発生を防ぐには


「自粛警察」のような動きをもたらした最大の原因は、政府の「自粛要請」にある。ともかく自粛しろというだけの曖昧な要請は、いたずらに人々の不安や不満をあおり、従わない人への他罰行動に大義名分を与えてしまう。さらにまた、そうした個々人の自己責任に頼った対応は、「感染したのは本人の責任」「そういう行動をした人が悪い」という見方を強めることになる。それが結果として人々の他罰感情を増幅させ、バッシングの動きを活発化させていることは明らかだ。
 ただし、これは政府の対応だけが問題なのではなく、メディアの報道姿勢にも大きな責任がある。日本の報道では、たとえば大学生が海外旅行後に懇親会に出席して感染が広がったというケースが集中的に取り上げられるなど、個人に感染の責任を押し付けようとする見方が目立つ。これに対して、ドイツでは個人の行動が問題視されることはない。メディアも連日、専門機関の情報に依拠しつつ、1人の感染者が二次感染させた平均値(実効再生産数)の変動など、社会全体の感染状況を伝えている。世論の成熟度にもかかわる問題だが、少なくとも「社会の公器」たるメディアが安易な自己責任論に与して、個人へのバッシングに加担するようなことは厳に慎まなければならない。
「自粛警察」の発生を防ぐためには、政府はこれなら安心して仕事を休めると誰もが思えるような明確な対策を打ち出す必要があるし、市民の側も誰かが自粛していないからといって私的制裁をけしかけるような動きに流されないよう気を付けないといけない。日本では一部の自治体で休業要請に応じない店の名前を公表する動きが出てきているが、これは非常に危険な事態といえよう。政治家がそうした動きをあおっていないか、メディアもそれに迎合していないか、今後も充分な警戒が必要である。


古賀茂明「マイナンバーカードの正しい使い方」

2020年05月26日 | 社会・経済

連載「政官財の罪と罰」
  2020.5.26 07:00週刊朝日

「マイナンバーの口座紐づけ義務化」というニュースに驚いた方も多いのではないか。ことの発端は、新型コロナウイルス対策で実施中の1人10万円の給付だ。

「ネットで申請して2日後に60万円振り込み」などの海外の事例と比べ、日本は役所と国民の間で申請書を郵送でやり取りし、いつ10万円がもらえるのかわからない。補正予算の遅れと手続きでの遅れに、国民の不満は爆発寸前だ。

 そこで、安倍政権は苦し紛れに「マイナンバーカードを使えばネット申請ですぐ給付される」と宣伝した。

 マイナンバーカード保有者は国民の16%程度。それくらいなら十分対応できると考えたのだろう。だが、その考えは甘かった。コロナ禍で困窮する人は激増中だ。10万円をすぐもらいたいという人は非常に多い。マイナンバーカードの手続きのために役所で3時間待ちというニュースも流れている。
さらに、ネットの申請サイトの入力ミスチェックの仕組みがお粗末で、申請内容を役所の職員が手作業で確認する手間が膨大となった。「ネット申請のほうが郵送より遅い」という役所が増え、19日には高松市がネット申請中止を発表。追随する役所が続出しそうだ。

 そもそも、諸外国では、かなり前から社会保障番号や納税者番号を国民一人ひとりに割り当て、銀行口座にも紐づけて、政府や自治体からの各種給付に活用している。つまり、個人番号は、市民が行政からサービスを受けるための手段、言い換えれば、憲法上の社会権を実現する手段として社会に受け入れられてきた。だからこそ、日本では嫌われる銀行口座の紐づけもできるのだ。

一方、日本のマイナンバーカードは、主に行政事務の効率化という役所の都合で推進されたので、市民の理解は進まず、一向に普及しなかった。

 自民党は、今回のような給付の遅れを避けるために、マイナンバーと銀行口座の紐づけを提案した。「国民のため」の「紐づけ」というポーズである。高市早苗総務相も前向きだ。
しかし、このやり方では、また失敗するだろう。

 この制度の実施には、国民の政府への信頼が不可欠だ。しかし、「森友、加計、桜」など安倍総理にまつわるスキャンダルや不祥事もみ消しのための検察人事介入などで、安倍政権に対する国民の信頼は地に堕ちた。そんな危ない政権に自分たちの大事な情報を預けろと言っても無理な話だ。

 マイナンバーには国民の社会権実現のほかにもう一つ大事な機能を持たせることができる。公正な負担の実現と不正の摘発だ。資産隠しを明るみに出し、政治資金などの不正を暴露するのに利用すれば、国民の信頼と理解は高まるだろう。

 昨年の本コラム(8月2日号)でも提案したが、まず、政治家の不動産、銀行・証券等の金融資産口座など全ての資産をマイナンバーと紐づけるべきだ。資産の登録漏れに刑事罰を科し、政治資金は全て単一口座で管理、収支はキャッシュレス限定とし、四半期ごとに使途を公開する。1年間はハッキングで情報を得た者には賞金を出し(もちろん情報の秘匿を義務付ける)、システムの安全性を国民の前で検証する。

 政治資金の透明性が高まり、不正摘発の実績が出れば、社会の理解が進む。その上で、給付のための口座紐づけを求めれば、国民は納得して応じるだろう。

 それでも、安倍総理の下では、国民は「NO」と言うかもしれないが。


※週刊朝日  2020年6月5日号


昨年植えた亜麻が咲き始めました。

まだ2、3株ですが、これから楽しみです。しかしながら、草取りが追い付いていません。
 ツツジも咲き始めました。ここも草ぼうぼうです。

クロユリなど。


 


若者の8割が「社会は変わらない」と諦める日本を変えたい。25歳の私は教育に挑戦する

2020年05月25日 | 社会・経済

先日、とある社会実験を行った。「社会問題に関心がある人」「社会問題の解決のために行動している人」両者にフリーハグならぬ、フリーハイタッチを求めたのだ。
    ハフポストBLOG  2020年04月28日
              廣瀬智之 Tomoshi Bito株式会社 代表取締役

    私はTomoshi Bito(ともしびと)という、社会問題解決に取り組む人を増やすための会社を2019年2月に設立し、今は新たな教育事業を立ち上げるためにクラウドファンディングに取り組んでいる。現在25歳だ。

「社会問題解決に関わる人たちを増やしたい」
    これは、私が学生時代から今こうして会社を起業するに至るまで、一貫して考え続けたことだ。
 
    社会問題に関心はありますか? そのために行動してますか?フリータッチの実験結果は…

    これまで「どうすれば社会問題解決に取り組む人を増やせるのか?」という命題で様々な取り組みをしてきた私だが、今たどり着いた仮説がある。
社会問題の解決に取り組むためには、「問題は解決されるべきだ」というMUSTの感情だけでなく、「問題を解決したい」というWANTの感情、そしてそれを行動に移す「問題を解決できる」というCANの感情が必要なのではないか。

CANの感情が日本の若者は著しく低い

    私はこれを、「社会問題解決を自分事にする3ピース」と呼んでいる。
今日本の若者はCANの感情を持っている人が非常に少ない状況にあり、日本の社会・政治参加意識が高まらない根本的な課題だと考えている。

先日、とある社会実験を行った。
 「社会問題に関心がある人」「社会問題を解決の為に行動している人」両者にフリーハグならぬ、フリーハイタッチを求めたのだ。
どちらも調査時間は1時間。本当に日本は社会問題を解決できると思っている人が少ないのかどうかを調べようと考えたのだ。
その時の動画があるので、是非見てほしい。

「社会問題に関心がある人」とフリーハイタッチをしてみると…
ハイタッチをしてくれた人は「社会問題に関心がある人」が33人。「社会問題を解決の為に行動している人」は4人という結果となった。

「国や社会を変えられると思う」18歳は世界最低

こんな調査もある。
「自分で国や社会を変えられると思う」と回答した18歳の割合は18.3%だったことが、日本財団が2019年に行なった『18歳意識調査』で明らかになった。
これは調査対象9カ国中の中でも最低の数値。2番目に少なかったのが韓国だが、それでも39.6%と日本と2倍以上の差が開いている現状だ。
「解決したい社会課題がある」と回答したのも46.4%と9カ国の中で突出して低い結果が出ている。データからは日本の若者の大半が「自分では国や社会は変えられないし、そもそも解決したいと思う問題もない」と感じていると解釈することができる。

Tomoyuki Hirose
日本財団の調査結果より作成

    若者の社会参加に対する考え方は、日本の社会・政治活動に取り組む人の割合にも反映されている。国際社会調査プログラム(ISSP)が2014年にシティズンシップをテーマに調査を実施した。
    社会・政治的な活動を「署名活動」「商品のボイコット」「デモへの参加」「政治集会への参加」「意見表明を目的とした政治家との接触」「寄付・政治活動のための基金の設立」「意見表明を目的としたメディアとの接触」「インターネットでの政治的意見の表明」8つの項目に分け、その実施頻度を調査している。

    過去1年以内に各項目を実施したことがある人の割合を比較すると、欧米諸国と日本では2倍~12倍の差が開いていることが分かる。赤色は7カ国の最高値、黄色は最低値だが、どの活動の実施率も日本が最も低い。

赤色は7カ国の最高値、黄色は最低値だが、どの活動の実施率も日本が最も低い。


「かわいそう」だけでは変えられない

   もともと私はジャーナリストを志し、大学時代はメディアでインターンシップをしながら様々な社会問題を発信する活動に取り組んでいた。世の中に埋もれてしまっている問題や当事者の声を伝えられれば、問題解決に動く人を増やせるのではないかと考えていた。先ほどの概念に当てはめると「問題は解決されるべきだ(MUST)」と感じる人を増やそうとしていた。

    例えば、カンボジアの地雷原や、温暖化の影響で30年以内に沈むかもしれないと言われる、南太平洋の「キリバス」。
様々な社会問題を取材し、記事を書いたり、写真展を開催したりしながら、発信の活動を続けていた。

    社会で起こっている問題を伝えたとき、聞き手が持つのはおおむね「かわいそう」といった同情に近い反応だった。知った後に縁もゆかりもない、遠くに住む誰かのために行動を起こすというのはとても難しいことで、問題をつたえるだけでは解決に取り組む人を増やすことが難しいと感じた。
    そこで私が取り組んだのが、かわいそうだから行動を起こすのではなく、自ら行動したいと思う人を増やす活動だ。要するに「問題を解決したい(WANT)」という人を増やそうと考えた。
    具体的には、「どこか遠くのかわいそうな人」ではなく、直接出会うことで問題を自分事にしてもらうスタディツアーの実施。また社会問題解決に取り組むやりがいや、チャレンジしたい気持ちを引き出す出前授業など、年間約1,000名の高校生や大学生と関わってきた。

    興味関心を引き出すキッカケは作れた自負がある。実際に「私も活動をしたいです」というメッセージを本当に沢山もらってきた。
しかしそれと同時に興味はありながらも、行動の一歩目を踏み出せない人たちも多く見てきた。そんな中、先ほど紹介した日本財団の『18歳意識調査』結果を目にした。「解決したい」と思ってもらうだけでは不十分で、「自分でもできることがある」というようなCANの感情を持つ人を育む必要があると感じた。
 
『CAN』の体験を届けたい

    今、私は「自分でも社会に対してできることがある」と実感できる体験を若者に届けるために、高校生向けの新たな教育プログラムを開発している。それが社会起業探究プログラム「ソーシャルインパクト」だ。
ソーシャルビジネスから出されたミッションを解決するためのプランを子ども達が考え、プレゼンテーションによる提案まで取り組む。12時間~18時間かけて長期的に取り組む探究学習プログラムとなっている。「できることがある」と実感するには行動が不可欠と考え、体験型の授業を考えた。
具体的な内容は以下の通り。

探究学習プログラムの概要。12回×50分で小学高学年〜大学生までを想定している。

    まずはマインドセットのために、ドキュメンタリーや社会起業家の講演により、社会問題解決に対する意欲を引き出す。
次に、6社ほどのソーシャルビジネスからミッションを出し、生徒はどのミッションに取り組みたいかを選択する。ミッション選択の際にはそれぞれの企業がどのような社会問題を解決しようとしているのかをまとめたショートドキュメンタリーを視聴し、選択の材料とする。
その後はワークブックの指示のもと、社会問題の現状や課題を整理し、解決策を考える。最後には社会起業家に対してプランを発表し、講評を受ける。

    プログラムの目的は、「自分が動いても社会は変わらない」「解決したい社会課題がない」と感じている若者に対して、「社会問題との接点」と「社会を動かす成功体験」を届けることだ。プレゼンテーションでは社会起業家にプランを承認されることで、自己有用感の引き上げも目指したいと考えている。

社会問題解決に関わるのが当たり前になる社会を目指して

   
私たちはこのプログラムを開発して学校に届けていくために、4月29日(水)までクラウドファンディングに挑戦している。 
もちろんこのプログラムにとどまらず、「自分でも社会は変えられるんだ」と実感する成功体験を様々なアプローチをしていきたいと考えているが、まずは「ソーシャルインパクト」から一歩目を踏み出したいと考えている。

Tomoyuki Hirose
スタディツアーで貧困層の家庭にインタビューをする参加者

    選挙の投票率をはじめ、社会や政治に参加する人の割合が少ないとされる日本。
「自分が動けばより良い社会は作れる」と信じる人が増えれば、社会問題解決のために行動する人も増えていくのではないだろうか。
そして、問題解決に取り組む人が増やすことが、この社会に残る多くの問題を解決していく原動力になると信じている。
    終了が近づくクラウドファンディングだが、支援総額は50%となる200万円を超え、多くの人に応援をしていただいている。
初挑戦となるクラウドファンディングで、どれくらいの人が共感をしてくれるのか全く未知な状態で、不安な気持ちが大きかった。そんな中これほど多くの共感と応援を頂けたことには、驚きと感謝の気持ちでいっぱいだ。期待をしていただいた分、まずは残りの日数で目標金額を達成させたいと考えている。
この記事を読んで少しでも共感をしていただいた方は、このプロジェクトをより良い未来への投資として、応援をしていただけると有難い。
(編集:中村かさね @Vie5030 )
 
<学習プログラムで使用するショートドキュメンタリーの例>
タベモノガタリ株式会社 企業紹介動画


 今、社会が政治が我々の小さな「力」の積み重ねで変わろうとしている。「できる」のだ。どんな小さなことでもよい、自分の「こだわり」を持つことから始まる。その小さな「こだわり」がそのうち大きな力の積み重ねになるだろう。「社会」に順応するのではなく、自分たちの新しい「社会」を創っていこう。それが若者の「仕事」ではないか?!


抗体検査

2020年05月24日 | 健康・病気

抗体検査を受けてみた 1回1万円の検査に申込みが急増中
   女性自身 2020/05/22


「当院では4月下旬から抗体検査をスタートしておりますが、日に日に問い合わせが増えています。すでに100人以上の方が検査を受けられました」
 
そう語るのは「エミーナジョイクリニック銀座」の伊東エミナ院長(以下、「」内は伊東院長)。
 
日本国内での新規感染者数は徐々に減りつつある一方で、第2波を防ぐため、検査態勢の拡充が大きな課題となっている。
 
そんな中、注目を集めているのが抗体検査だ。判定に数時間かかるPCR検査に対し、抗体検査はすぐに結果がわかるという。しかも、民間のクリニックでも検査を受けることができるのだ。
「ウイルスに感染すると、それに反応する『抗体』が作られます。抗体の有無を調べることで、これまでウイルスに感染したことがあるかどうか、調べることができます。これが抗体検査です。
 
検査対象となる抗体には、感染初期に作られるIgMと、感染後期に生じるIgGがあります。当院では、2つの抗体それぞれを検査できる、感度の高い検査キットを使用します」
 
エミーナジョイクリニック銀座では、ホームページで検査の予約を受け付けているという。
 
「これまで受診された方は、職業では飲食店などの経営者や医師の方が多いです。ご家族やご友人、恋人などが感染したという接触者の方や、『初孫にうつしたくない』というご年配の方もいらっしゃいました」
 
さっそく、本誌記者も体験してみた。まずはスタンプのような形状の器具で、指先から採血。少しチクッとしたが、強い痛みはない。その血液と、専用薬をそれぞれ3滴ほど、検査キットに垂らす。
そして、結果が出るまで15分待つ。キット(写真参照)の「C」と「T」の両方に反応が出た場合は陽性、「C」のみなら陰性だが、はたして結果は――。
 
「Cのみが反応したので、陰性ですね。新型コロナウイルスに対する抗体は持っておらず、これまで感染された経験はないということです」
 
このように短時間で判定ができる抗体検査だが、その気になる費用は?
 
「検査費用はだいたい、1万~1.5万円が相場です。当院では、検査費用(税別)は1名様1回あたり1万円です。新型コロナウイルスは無症状の感染者も多く、知らないうちに身近な方に感染させてしまうリスクがあります。感染初期にできるIgM抗体が陽性の場合は、まだ体内にウイルスがあり、他人にうつしてしまう可能性もあるのです。抗体検査を行えば、そうした感染の連鎖を防ぐことに役立ちます」

「女性自身」2020年6月2日号 掲載


今日の菜の花畑

来週の土日まで持つかな?
まだ「非常事態宣言」出されたままですが、車の量も多くなり、「道の駅」で車中泊する人も増えてきました。
圃場脇を走る高速道路の走行音が氣になるほどです。


草刈も始めました。

スベリヒユ

 


命運尽きた安倍首相 逮捕か総辞職か野垂れ死にか

2020年05月23日 | 社会・経済

 日刊ゲンダイDIGITAL公開日:2020/05/23

 

 黒川騒動はもちろん、これからが本番だ。そのほか、弁護士の桜告発でホテルがしゃべればアウトだし、稲田検事総長を切れば、世論は一気に退陣要求。コロナ対応でも現場は支離滅裂の混乱で、いよいよ錯乱官邸は断末魔。

 ◇  ◇  ◇

 「#辞めるなら今だぞ安倍晋三」――。21日、ツイッターのトレンド1位となったタグだ。
 この日、東京高検の黒川弘務検事長が賭けマージャンを認め、辞表を提出。自民党幹部は「首相が『人事に介入した』と騒がれた人がいなくなり、むしろすっきりした」とホザいたようだが、世論をナメている。

「#検察庁法改正案に抗議します」のツイッターデモも当初は「世論のうねりは感じない」(政府高官)と軽視し、完全に読み間違えた。不要不急の審議強行に世論の反発は大きな「うねり」となり、採決断念に追い込まれ、内閣支持率も急落。痛い目に遭ったばかりなのに、どれだけ学習能力がないのか。
 違法な賭博行為をとがめられた黒川氏の辞任騒動は「すっきり」どころか、これからが本番だ。潔く任命責任を取り、安倍首相の辞任を求める声は沸騰しつつある。それでも懲りないのが安倍の恐ろしさだ。

■論点スリ替えで責任逃れの卑怯者

 22日の衆院厚生労働委員会で野党議員の辞任要求を拒否。「感染拡大を防止し、国民の健康と命、雇用と事業の継続を守り抜く責任を果たすのが私に課せられた使命だ」とナルシスティックな妄言を吐いた。

 黒川氏の定年を延ばした閣議決定についても「延長自体に問題はなかった」と開き直り、決して撤回しない。「(任命)責任は私にある」と言いながら、「法務省、検察庁の人事案を内閣として認めた」と棚上げ。すべての責任を法務省と検察庁になすりつける。この1週間、「検察庁も含めて法務省が人事案を持ってきた」と珍妙な言い訳を続けてきた。
 助け舟を出すように、安倍の“寿司友”である政治コメンテーターも「無理な人事をやったのは、検事総長の稲田伸夫さんが、なかなか辞めないもので、無理な定年延長をせざるを得なくなったと言う人もいる」と、民放の情報番組で散々吹きまくった。

 冷静に考えれば「そんなバカな」だ。検察庁法に違反し、政府の法解釈まで覆す人事を法務省が提案するワケがない。定年延長には安倍官邸の意向が強く働いたと読売も朝日も報じた。

 昨年末から官邸と法務省との間で水面下で進められた次期検事総長の人選。法務省提示の複数候補から、安倍と菅官房長官が黒川氏の昇格が望ましいとの意向を示したという。
 官邸の意向に沿うように編み出されたのが前例のない定年延長で、安倍が「法務省の判断」と強調するのはムリ筋である。しかも検事総長の在任期間は、2年前後が慣例だ。黒川氏の定年延長の閣議決定時点で、稲田氏の在任期間は約1年半。寿司友に「なかなか辞めない」と言われる筋合いはないが、今度は「黒川さんを指揮監督する立場にあるのは最高検の検事総長」と賭けマージャン騒動を機に稲田氏の責任問題を言い募る。

 稲田氏は官邸べったりの「密」な関係を苦々しく思っていたのか、黒川氏が法務省事務次官や東京高検検事長に就任する際も反対。「なかなか辞めない」との指摘も、官邸が次期検事総長に“守護神”を据えようとする動きを阻むため、勇退を拒否したとされる逸話をネジ曲げたものだ。

大甘処分で退職金満額支給の後ろ暗い関係

 官邸にとって稲田氏は「目の上のたんこぶ」。そこで黒川騒動を都合よく利用し、監督責任に論点をスリ替え。目障りな稲田氏に全責任をかぶせ、排除の算段である。

「毎度の悪あがきは、もはや通じません。既に『#稲田検事総長を守ろう』がツイッターのトレンド入り。世論は首相の責任逃れの詭弁を見抜いています。稲田氏を巻き添えにして、邪魔者のクビを強引に切れば世論の怒りの炎に油を注ぐようなもの。今度は『#辞めるなら今だぞ安倍晋三』のネットデモが拡大し、一気に退陣要求のうねりが湧き起こりますよ」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 安倍は今さら、束ね法案の検察庁法改正案ごと国家公務員法改正案の廃案検討を指示。新型コロナウイルスによる雇用環境悪化を理由に「官が先走り過ぎているとの批判もある」と弁解したが、支離滅裂だ。とうにコロナ危機だったホンの10日前、自ら国会で「高齢期の職員の豊富な知識と経験を最大限活用する」と法案の必要性を訴えていた。
 これまでの答弁との整合性はシッチャカメッチャカのちゃぶ台返しは、何が何でも騒動の幕引きを急ぎたいだけ。あがけばあがくほど、世論の激怒を買うことに気づかないのか。

 盗人に追い銭のような高額退職金問題もくすぶる。早期の幕引きを図った政権側は、黒川氏の賭けマージャンを「訓告」、単なる注意にとどめた。大甘処分で懲戒を免れた黒川氏には退職金が満額支給。その額はナント、6700万円超だ。

 黒川氏は3年前から産経記者2人に朝日の元記者と月2~3回ペースで賭けマージャンに興じ、1回の勝ち負けは1人数千円から2万円程度。単純計算で最大約200万円の金が動いたことになる。ギャンブル依存症を疑わせる「雀鬼」ぶりだが、常習賭博は懲役3年以下の量刑が科される立派な犯罪だ。人事院指針でも常習賭博は「停職」処分の対象となる。

■誰もギャンブル狂いを知らなかったのか

 ここで素朴な疑問が浮かぶ。政権内で誰も黒川氏のギャンブル狂いを知らなかったのか。元文科次官の出会い系バー通いを突き止めたように“官邸のアイヒマン”が動けば、すぐ判明したに違いない。

 ハレンチな罪の証拠を握られたため、黒川氏は“守護神”として従順に働き、官邸も図に乗った。今回はたまたま、産経関係者に刺されただけではないのか。

 いずれにせよ、異常な厚遇は後ろ暗い関係をうかがわせる。

 「森友文書改ざんの佐川宣寿元国税庁長官だって減給処分を受け、退職金を削られました。小渕優子元経産相や甘利明元経済再生相らの不祥事の捜査はなぜ潰されたのか。退職金の満額支給は、全てを知る立場の黒川氏への口止め料と勘繰られても仕方ありません」(五十嵐仁氏=前出)
 肝心のコロナ対応でも現場は大混乱。アベノマスクは不良品の検品に追われ、配布開始から1カ月以上経っても、きのう時点で全国34県にまだ1枚も配られていない。安倍が「スピード重視」と胸を張った10万円給付のオンライン申請も無残だ。誤入力が多く、職員の確認・修正作業に手間取り、休止する自治体が相次いでいる。政治評論家の森田実氏が言う。
「黒川騒動にコロナ対応のお粗末と取るべき責任の数は日々増え続けるのに、いまだに政権は不正義を貫く。50年前の歌謡曲『傷だらけの人生』のように『何から何まで真っ暗闇よ すじの通らぬことばかり』です。かと思えば桜を見る会の前夜祭を巡り、全国の弁護士ら約660人から公選法違反容疑などで首相が告発される異常事態も招いた。錯乱状態の官邸はもう断末魔。いい加減、引き際です」

 守護神を失った今、告発を受け前夜祭会場のホテル側が一切合切をしゃべれば安倍はアウトだ。待ち受ける運命は逮捕か、総辞職か、野垂れ死にかの3つしかない。やはり「#辞めるなら今だぞ安倍晋三」――。


そんな、綺麗に辞めさせてなるものか!「#アベを逮捕せよ!」

今日の菜の花畑


 今年は「祭り」としては開催されていませんが、菜の花はきれいに咲いています。「祭り」期間中の交通規制などもなく、わが圃場の方まで来てくれます。ちょうど向かいの畑が菜の花畑になったこともあり、例年にない交通量となっています。(決して渋滞ではありません)

 


なぜ記者は権力者と「麻雀」をするのか

2020年05月22日 | 社会・経済

 ジャーナリスト・青木理氏が語る記者の「本音」と「本分」

   AERAdot 2020.5.22


 日本中を驚かせた新聞記者らと東京高検の黒川弘務検事長(63)の「賭けマージャン」疑惑。黒川検事長はすでに辞表を提出したが、一緒にマージャンをした新聞記者らの行動もそしりは免れまい。たとえ取材活動の一環だとしても、コロナ禍の非常事態下で「渦中の人物」とマージャンに興じる記者の行動原理とはどういうものなのか。記者と権力者との距離感は常に問題視されてきたが、食卓ではなく「雀卓」を囲むことで権力者の懐に入り込むのは、一般的な記者の手法なのだろうか。元共同通信の公安担当として多くの権力者と対峙してきたジャーナリストの青木理氏に、権力者に食い込む「記者の作法」と「距離の取り方」について聞いた。
*  *  *
――夜討ち、朝駆けも含めて、記者が情報を取るために取材対象者の懐に入り込む手法はいくつかあると思います。そのなかで、今回問題となった「マージャン」についてはどう思われますか。

青木氏 取材相手とざっくばらんに話をし、少しでも本音を聞き出すため、マージャンや酒席の場を利用する取材手法は昔からあったし、僕も共同通信の記者時代にはやったことがあります。緊急事態宣言下だったという問題などは別にありますが、取材対象とマージャンや会食すること自体は否定しません。もちろん、その際に場所代や飲食費の支払いをきっちりとし、互いに利益供与などを受けないことは大前提になりますが。

 そして最も大事なのは、そのような場で話を聞くのは一体なんのためなのか、誰のためなのかということです。記者の役割はまず事実を早く広く伝えること、そして、あらゆる分野の権力者や強者に監視の眼を注ぎ込むことです。これがメディアとジャーナリズムの根源的な役割であって、ならば安倍政権の「お気に入り」とされ、違法、あるいは脱法的な手段まで弄して検事総長に抜擢されようとしている人物が本音ではどう考えているのか、背後には政権のどのような思惑があり、どのような綱引きがあったのか、少しでも聞き出して記事にするのが仕事でしょう。
僕が知る限り、今回のマージャンに参加していた記者がそうした記事を書いた気配はありません。政権の問題点などを浮き彫りにするスクープを『週刊文春』が連発するなか、結局のところ新聞記者は権力者と懇ろになるだけで、市民が知りたいことは報じないんだという強烈なメディア不信を持たれても当然でしょう。

――酒席やゴルフよりもマージャンの方が密接な時間が長く、記者にとっては情報が取りやすいという側面はあるのでしょうか。

青木氏 ゴルフはやらないのでわかりませんが、マージャンは酒を飲みながら打つこともできるし、時間が長いということはあるかもしれません。ただ、いわゆる接待マージャンですから、コテンパンにやっつけるわけにもいかないし、本気でやってるふりもしなくてはいけないし、相手が「勝つまでやめない」なんていうタイプだったりすることもあって、結構面倒くさいですよ(笑)。
僕は直接の面識がありませんが、黒川氏はかなりマージャンが好きなようで、つい最近も別の大手紙記者に「マージャンをやりたい」と声をかけていました。検察官僚としてはとても社交的で人づきあいが良く、人たらしのような側面もあると聞いています。政官界への人脈も広く、根回しや調整能力も非常に高いそうです。

 そういう意味では能吏で、黒川氏を直接知る検察OBや関係者で彼を悪く言う人はほとんどいません。記者の評判もいい。それなりに情報もくれるんでしょう。要するに、話していいこととダメなことの腑分けがきっちりとできて、話せることはきちんと話す柔軟性と頭の良さも持っている。

 その社交的で人づきあいが良いと言われる部分などが、今回は最悪のスキャンダルとして噴き出してしまったわけです。推測ですが、政権から抜擢される形で次期検事総長と目され、自分がよもや「刺される」ことはないだろうというおごりがあったのかもしれません。当たり前の常識と自制心がある人間であれば、こんな状況下で記者たちとマージャンをやろうなどという発想にはならないでしょうから。

――河井克行前法相の買収疑惑に続き、検察ナンバー2である黒川氏も賭けマージャンで失脚しました。本来、最も順法意識を高く持つべき閣僚や官僚がこうした不祥事を起こすのは、一体なぜなのでしょうか。

青木氏 行きつく先は安倍政権の体質だと思います。問題点は数えきれませんが、たとえば政権の「人を見る目のなさ」は重症です。

 黒川氏の場合でいえば、人あたりがよくて根回しや調整能力にたけている点は、検察官僚としては有能なのでしょう。政権からの評価が高かったのも理解できなくはない。ただし、検察組織のトップとして適任かといえば、それはまったく違います。政官界への根回しや調整能力にたけているということは、それだけで政治からの独立が求められる検察組織への深刻な疑念を引き起こします。公訴権を基本的に独占し、独自の捜査権まで有し、時には政治を捜査のターゲットにする検察トップの検事総長には明らかに不向きです。

 それぞれの機関のトップには、それにふさわしい人材がいます。内閣法制局長官、日銀総裁、NHK会長、各省庁の幹部などもそうですが、安倍政権は歴代政権がかろうじて自制してきた人事権を放埒に行使して、政権にとって都合のいい人物、政権にとって使い勝手がいい人物ばかり抜擢するという恣意的な人事を強行してきました。その結果、霞ケ関などには忖度病が蔓延し、公文書は改ざんされ、統計は不正処理され、ついには検察でも脱法的な法解釈変更や法改正の動きまで出るようになった。

 そういう意味では今回の事態も、安倍政権の「人を見る目のなさ」と放埒な人事権行使が生み出したのです。もちろん黒川氏本人にも、一緒になって賭けマージャンに興じた新聞記者にも、法務・検察組織にも大いに問題はありますが、実は法務省は昨年末、黒川氏を定年退職させる人事案を官邸に示していたんです。黒川氏自身もそのつもりで、退職後に所属する弁護士事務所も決まっていた。ところがその人事案を官邸が蹴飛ばし、定年退職を認めなかったから、法務省は定年延長などという奇策をひねり出し、黒川氏は東京高検検事長の座にとどまることになりました。
だからこそ、奇策を後づけで合法化する検察庁法改定案もつくられ、黒川氏が渦中の人物となり、今回の騒動も起きてしまったんです。すべてを明確に謝罪し、一連の事実経過を説明し、責任をとるべきは、どう考えても安倍政権です。そのことを忘れてはいけません。(構成=AERA dot.編集部・作田裕史)


 新聞の部数が落ち込んでるさなか、このようなことが暴露された。いつになったら目を覚ませるのやら?

今日の菜の花畑

ようやく霜注意報解除。


気持悪いキノコ

 

 


雨宮処凛がゆく! 第522回:休業手当を勝ち取るやり方〜コナミスポーツのインストラクターたちが立ち上がる〜の巻

2020年05月21日 | 社会・経済

マガジン9  2020年5月20日
  https://maga9.jp/200520-2/

 「今すぐお金がもらえないならここで死んでやる」
 5月13日、千葉県松戸市役所を訪れた男(39歳)はそう言って包丁を自身に向けたという。
 「お金」とは、1人10万円の給付金。男は市の特別定額給付金担当室で「3、4日食べていない」と主張。職員が「順番に支払っている。今すぐお渡しはできない」と言うと、冒頭の言葉を吐いて持参した包丁を自らに向けたというのだ。そうして銃刀法違反容疑で現行犯逮捕。
 彼に何があったのか、詳しいことはわからない。また、生活保護を受けていたとも報じられている。包丁を持って「死ぬ」と脅すやり方は決して許されないものの、「気持ちはわかる」という人は少なくないのではないだろうか。それほどに、「補償なき自粛」の中、多くの人の生活が逼迫している。
 そんなことを思うのは、日々、極限状態でSOSの声を上げる人々の姿を見ているということもあるし、ある報道に触れたことも大きい。

 第520回の原稿で書いた、新型コロナで仕事がなくなり、不動産会社の女性を刺して逮捕された24歳男性のことを覚えているだろうか? その後の報道で、男は3月頃まで大阪で風俗関係の仕事をしていたこと、しかし、仕事がなくなり横浜に戻ってきたことを知った。が、戻ってきた横浜では住む場所がなく、ネットカフェで寝泊まりする生活。お金もなくなり、路上生活をした果てに犯行に及んだことという。
 今まさに、生活困窮者支援団体にSOSを送ってくるような人たちと同じ状況である。彼のしたことは決して許されないが、事件を起こす前にどこかの支援団体につながっていたら、と思うと忸怩たる思いだ。

 また、新型コロナを受けて詐欺事件が増えることも予測され、注意が促されているが、5月14日には詐欺の疑いで中国人留学生の男 (23歳)と無職の男(23歳)が逮捕されている。彼らは京都の女性からキャッシュカード4枚をだまし取ったなどの疑い。2人はスマホアプリを通じて指示役から訪問先などの連絡を受けていたそうだ。留学生の男は「バイトをしていたが、新型コロナで仕事がなくなったのでやりだした」と話しているという。

 新型コロナ感染拡大の中、あらゆる業種のあらゆる立場の人が影響を受け、日々の生活費にも事欠く不安な日々を送っているが、その中でも困窮の度合いが高いのは外国人だ。留学生もいれば、日本で働く人もいるし、わけあってオーバーステイの人もいる。
 外国人であっても日本に3ヶ月以上住んでいて在留資格があれば一律給付金10万円がもらえるが、それ以外の外国人は対象にならない。周りの支援者たちからも、「外国人からの相談がもっとも緊急度が高い」という声を時々耳にする。言葉の壁によって様々な支援があることを知らなかったり、どこに相談していいかわからなかったり、あるいは制度に辿りつけなかったり、はたまた辿り着けたとしても「外国人」という理由で制度利用から排除されてしまったり。
 今回の詐欺事件のように、外国人が逮捕されると厳しい目が向けられるが、彼らに情報と支援が届くような仕組みが作られることこそが「犯罪を未然に防ぐ」ためにも大切だと思うのだ。

 一方で、犯罪に手を染めるほどではないし住む家もあるけれど、「休業手当が出ない」「ずっと休まされているけれど補償はどうなるのか」という不安を働く人の多くが抱えている。
 このような場合、一人で会社と交渉しても納得のいく回答はなかなか得られないだろう。そんな時は、一人でも入れる個人加盟の労働組合に相談してみるというのもひとつの手だ。現在、新型コロナ経済危機を受けて、個人加盟の労組に加入する人は確実に増えている。それは「コロナで休業するから休んで」と言われた非正規の人が休業手当を要求しても「非正規だから出ない」と言われることが多いから。
 返答に納得いかなくても、一人で会社と交渉するのは難しい。が、個人加盟できる労働組合に入り、団体交渉を申し入れれば会社はそれを拒否できない。労働組合の交渉申し入れを拒否したり無視したりすると「違法」になってしまうからである。ということで、会社によっては雇用調整助成金で雇用維持につとめたり、休業手当をなんとか捻出したりと必死の努力を重ねているところもあるだろう。が、休業手当について、「政府要請に基づく休業なので支払い義務はない」と逃げているところもある。そのような場合、個人加盟の労組に入る効果はかなり大きい。黙っていれば補償ゼロだった派遣社員が、組合に入って交渉したことで100%の休業手当を勝ち取ったという例もすでにある。

 最近も、コナミスポーツの例が注目された。
 スポーツジム最大手のコナミスポーツでは、新型コロナによる休業において、非正規のインストラクターに休業手当を出していなかった。が、インストラクターの一部が個人加盟できる「総合サポートユニオン」に加盟。休業手当を求め、5月15日も本社前で「休業補償を全額払え!! 非正規の命を守れ!!」と横断幕を掲げて抗議活動をしたのだ。その日の夕方、「回答」がもたらされたのだ。なんとコナミスポーツはこれまでの態度を一変させ、3月まで遡って休業手当を支払う方針を表明したのだ。
 コナミスポーツは全国に180の施設を持つ。そこで働く非正規インストラクターの数は一体どれほどになるだろう。一部の人がこうして声を上げ、組合に入り、動いたことで、全国のコナミスポーツの非正規インストラクターが救われることになったのだ。

 このケースが大々的に報じられたこともあり、今後、個人加盟の労働組合に入る人はさらに増えると思われる。
 これまで私が受けた電話相談を振り返っても、「休業手当が受けられない」というものは圧倒的に多かった。多くの企業はやはり「政府要請なので支給義務はない」と逃げの姿勢だ。これに対しては政府でしっかり定義して休業手当が全員に支払われるようにすべきなのだが、対策はとられないまま、職種によってはもう2ヶ月も3ヶ月も放置されている。後手後手の政府の対応を待っていても埒が明かないかもしれない。そうであれば、コナミスポーツの例のように、個人加盟できる組合に入って戦うという手もあるのだ。そして実際、結果は出ているのだ。ちなみに、労働組合に入ると、団体交渉申入れ書と一緒に「組合加入通知書」というものを会社に送るのだが、これを送っただけで未払い給料が翌日全額振り込まれた、なんて話もよくある。

 労働組合に関して、「自分には関係ない」「よくわからない」という人も多いだろう。自分の会社の組合は全然助けてくれない、非正規は相手にされない、という人もいるかもしれない。しかし、このように、個人加盟できる組合の中には、今、迅速に動いているところもある。そして結果を出している。そんな私も10年以上、個人加盟できる労働組合に入っている。フリーランスの物書きだけど、何かあった時のため、そして非正規やフリーターとして働く人たちで運営されるその組合を応援したいという気持ちで入っている。
 個人加盟できる組合には、「総合サポートユニオン」のほかにも、「首都圏青年ユニオン」や「プレカリアートユニオン」などなど多くの団体がある。会社に守られない非正規だからこそ、組合は必要なのだ。また、外国人が相談できる窓口もある。「移住者と連帯する全国ネットワーク」の鳥居一平さんは長らく外国人研修生、実習生問題にも取り組んでいるし、「神奈川シティユニオン」にも多くの外国人が組合員として参加している。と、ここまで名前を出した組合はすべて私が関わったり取材したりしたことのある組合だ。
 関心がある人はぜひ、あなたの地域の組合を探してみるといいだろう。


何ともアホのミックスである。
いよいよ政権末期でしょう。
 
この先、検察は、国民の信頼を取り戻すために政界捜査に本腰を入れざるを得ないでしょう。政治権力に屈しない姿を国民に見せるしかないのではないかと思います。
、“桜を見る会”など、アベ疑惑の捜査をさせないための検察人事だったはずです。「タガ」が外れた状態で検察はどう動くのか?国民の大多数の目が検察に向いています。
 タイミングを合わせたかのように、安倍首相の後援会主催の前夜祭について、500人以上の弁護士が、公選法違反と政治資金規正法違反の疑いがあるとして21日、安倍首相本人を東京地検に刑事告発。検察の動向にご注目!

今日の菜の花畑


圃場のようす。




 

 

 

 

 


種苗法改正見送り

2020年05月20日 | 社会・経済

 背景にあった課題を考える 

      Yahoo!ニュース  5/20(水) 


松平尚也 | 農家ジャーナリスト、AMネット、京都大学農学研究科博士課程


  5月19日、江藤農林水産大臣(以後、江藤農相)が種苗法改正法案について今国会で審議を求める異例の会見を行った。しかし20日、与党は改正法案の見送りを決定した。見送りの理由には基本審議時間の不足が上げられているが、野党共同会派の慎重・反対の姿勢や市民団体らの慎重審議要請や反対の声も影響したと考えられる。本記事ではその背景にあった課題を考える。 

 江藤農相の異例会見の背景には、農家の負担が増える恐れがあるとして慎重な審議を求める声が出ていることがあった。江藤農相は19日、種苗法改正法案の慎重審議を求める声に応える形で「許諾が必要なのは登録品種のみで、例えばコメの品種の84%は制限のない一般品種だ。改正により、農家の負担が増え、生産が制限されることは想定されない」と述べ、「不要不急の法案という批判もあるが、海外への流出に歯止めをかけないと、農家の努力や利益は守れないので、国会で審議をしていただきたい」という審議を要望する会見を行った(※)。 

 農林水産省(以下、農水省)は、国内で登録された種苗の海外流出を防ぐため、種苗法改正を目指してきた。その一方で国内農家の自家増殖の制限強化や登録品種の許諾制導入も行われる予定で、関係者から慎重審議を求める声が出ていた。 

 しかし一農家として違和感を覚えてきたのは、先送りになった改正案(以下、改正案)が農家に影響を与えるにも関わらず、その内容が十分に周知されていなかった点にあった(改正案検討会でもその点は課題として上っていいた)(※)。 

 更なる疑問は農水省自身が行った農家への自家増殖のアンケート結果(平成27年度自家増殖に関する生産者アンケート調査結果(※))が検討過程であまり取り上げられず改正原案が出てきた点にある。 

 アンケート結果では、種苗法について作目や地域によっては農業者に十分に周知されていない状況や農家がいまだ自家増殖を行っている現状が明らかになっていた。この現状をふまえれば、江藤農相の「農家を守る」という発言が「育種農家を守る」ことを意味し、農家全体を示していなかったことは指摘しておきたい。よって筆者も慎重審議の必要性を感じてきた。 

「平成27年度自家増殖に関する生産者アンケート調査結果」農林水産省、2016年、10頁

 本記事では、改正案の課題を検討するため上記アンケート結果からいくつかの資料を紹介していく。改正案では、農業者の自家増殖、つまり農業者が収穫物の一部を次期作付け用に種苗として使用する、いわゆる「自家採種」を制限する方向性があった。しかしアンケート結果では、多くの生産者が登録品種の自家増殖を行っている現状があった(図1・参照)。改正案を擁護する声の中には、種苗の育成者側の権利を強調する声が見かけられたが、種苗を利用する農家側の現状もふまえて改正の方向性を考える必要があったのではないだろうか。 


平成27年度自家増殖に関する生産者アンケート調査結果」農林水産省、2016年、10頁

 また農家が自家増殖を行う理由には、「従前から慣行として行っているため」という答えに次いで「種苗購入費を削減するため」が上がっている(図2・参照)。今回の改正では、種苗費負担増加の懸念が指摘されてきたが、農水省はこうしたアンケート結果も紹介しながら懸念を払拭するべきではなかったか。 

 さらなる課題は、種苗法改正の地域農業への影響が検討されてこなかった点だ。アンケートでは地域別の種苗法の認知度について調査されている(図3・参照)。改正で影響を受けることが予想されるサトウキビ栽培の中心地である沖縄では、自家増殖制度の認知度が低く、十分に生産者に周知されていない現状があった。改正においては、特に影響を受ける作物の生産者への周知と影響調査を行う必要があったのではないだろうか。 


平成27年度自家増殖に関する生産者アンケート調査結果」農林水産省、2016年、10頁

 改正案は今国会では先送りになったが、引き続き国会で議論されることは間違いない。その中で引き続き農家や利害関係者とともに議論を行い法案の方向性を検討することを求めたい。 

松平尚也
農家ジャーナリスト、AMネット、京都大学農学研究科博士課程
 

農・食・地域の未来を視点に情報発信する農家ジャーナリスト。京都市・京北地域の有機農家。京都大学農学研究科に在籍し世界の持続可能な農や食について研究もする。NPO法人AMネットではグローバルな農業問題や市民社会論について分析している。農場「耕し歌ふぁーむ」では地域の風土に育まれてきた伝統野菜の宅配を行いレシピと一緒に食べ手に伝えている。また未来の食卓を考えるための小冊子「畑とつながる暮らし方」を知人らと出版(2013年)。ヤフーニュースでは、農家の目線から農や食について語る「農家が語る農業論」、野菜の文化や食べ方を紹介する「いのちのレシピ」持続可能な旅を考える「未来のたび」などを投稿する予定。


 寒い朝が続いている。今朝も3℃ほどに。明日朝も同じようだ。

菜の花

圃場の花


 


どさくさまぎれの「不要」「不急」な法案その2

2020年05月18日 | 社会・経済

検察庁法改正案、成立見送り決定 「抗議します」ツイートから広がった反発のうねり
法案には、「政権が検察人事に介入する恐れがある」などと批判が噴出していました。

  ハフポストNEWS 2020.5.18 生田綾 

 
 検察官の定年を65歳に引き上げる検察庁法改正案について、政府は今国会での成立を見送る方針を決定した。朝日新聞デジタルなどが報じた。


 安倍晋三首相と自民党の二階俊博幹事長が、「国民の声に十分耳を傾け、理解なしで前に進むことはできない」との意見で一致したという。自民党の林幹雄幹事長代理が会談後、首相官邸で記者団に明らかにした。
 
 「#検察庁法改正案に抗議します」ツイートが大きなうねりに
 検察庁法改正案は、内閣や法相が必要と判断した場合、検察幹部の定年を最長で3年延長できる特例規定を新設。実質的な審議は、5月8日に衆議院内閣委員会で与党が強行する形で始まった。
 安倍政権は1月末、政権に近いとされる黒川弘務・東京高検検事長の定年の延長を閣議決定。定年となるはずだった黒川氏が、検察組織のトップである「検事総長」の役職に就くことが可能となる道を作っている。
 黒川氏の定年延長と合わせて、同法案には「政権が検察人事に介入する恐れがある」などとして、批判が噴出していた。

大きなうねりとなったきっかけは、たった一つのツイートだ。
Twitterで会社員の女性が投稿した「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグは5月9日から10日にかけて拡散され、芸能人など著名人も「オンラインデモ」に参加した。
その後、日本弁護士連合会や、ロッキード事件に関わった元検察OBらも反対を表明。世論の反発が強まっていった。

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種苗法までが改定される? 日本の農家は苗をどこから手に入れることになるのか

 種子法廃止に続いて、農家に打撃!?

   印鑰智哉(日本の種子を守る会アドバイザー)
  Imidasオピニオン2020/05/18

 新型コロナウイルス感染による急速な被害の拡大の中で、2020年の国会で政府は問題ある数々の法案成立をめざしている。今回扱う種苗法改定法案もその一つだ。残念ながらこの改定案が持つ問題はほとんど知られていないように思う。この法案にはどんな問題があるのだろうか? 政府側は、問題はまったくないので安心してほしい、とメッセージを発信し、審議をほとんどせずに採決して法案を成立させようとしているし、それに多くの農家も気にしていないように見える。
 本当に懸念はないのか? 見ていきたい。


種苗法とは
 名前が似ていて混乱しがちだが、種苗法は2018年4月に廃止された主要農作物種子法(種子法)とはまったく異なる法律だ。種子法が稲と麦類、大豆に限って、その種子を国や都道府県が責任を持って生産することを規定した、つまり行政の責任を規定した法律であるのに対して、種苗法は花やキノコなどを含むすべての農作物での新品種を育成した人の知的財産権を守るための法律(知的財産権を守って適正に栽培・流通させるための法律)である。
 新品種を開発した人(個人・企業)はその品種登録を行い、農水省に受理されると、25年(果樹などは30年)の間、「育成者権」という知的財産権が認められ、独占的な販売ができるようになる。

種子(タネ)や苗は、誰のもの?
 種子や苗はいったい誰のものか? それは農民のものであるということは長く当たり前のことだった。野生の植物を栽培、選別を繰り返すことでより食用に適した作物が作り出され、現在の種苗となった。だが、大企業が種子業界に入り込みだすと、次第に種苗の知的財産権が強調されるようになってくる。特に1990年代後半、遺伝子組み換え企業が世界の種子企業を次から次へと買収し、現在ではたった4社が7割近くの市場を独占する状況が生まれている。こうして種子は企業のもの、という政策が強化されてきた。農民のものか、企業のものか、この対立に折り合いをつけたのが現在の種苗法であり、1998年に大きな改定が行われた。

 現行種苗法の下では、登録品種の種苗を買い、収穫を得た後、その収穫の一部の種苗を農家が次の耕作に使うことは基本的に合法的な権利として認められている(種子を自分で採ることは「自家採種」というが、苗やイモなどで増やす場合は「自家増殖」という。両方を表す場合も「自家増殖」という表現が使われる)。自家増殖した種苗を他の農家に売ったり、譲渡したりすることは違法行為となるが、自分の耕作に使う限りは認められている。

 これが今回の種苗法改定では自家増殖は一律禁止となり、許諾なしには行えなくなる。ただし、制約されるのは、種苗法で登録された品種を市場向けに生産する場合に限られる。伝統的な在来種や登録の期限が切れた品種はこのような制約はなく、さらに家庭菜園や学校の菜園、農家でも自家消費するための畑では、自家増殖は登録品種であっても可能である。

自家増殖が大事な理由
 この種苗法改定について取り上げると、「今どき自家採種する農家なんてほとんどない」「タネは買うもの」「だから自家増殖禁止(許諾制)にされても何も問題ない。何を問題にしているの?」という反応が農家から来ることもある。全体像がわからないと一般の人びとはここで混乱してしまうようだ。問題を整理してみよう。

 農作物といっても、種子や苗のあり方は種類によって大きく異なる。たとえば稲や大豆は、種子を食べることになるから収穫はタネ採りでもある。そのため、稲や大豆を耕作する農家の中には自家採種をしている人が一定の割合でいる。
 野菜の場合は、食べるのは葉っぱであったり、根っこであったりする。ほうれん草やニンジンの場合は出荷のために収穫する段階では種子はできていない。種子ができるまで畑に置いておくと、次の作物を植えることができない。特に野菜農家の場合、タネ採りまでやるというのはとても大変で、ほとんどの場合、種子は買うことになる。自家採種をする農家は、とても限られている。
 一方、イモやサトウキビ、イチゴなどの多年生の作物の場合は、事情が大きく異なる。イモは親芋から増やしていく。サトウキビも苗を買ってきて育てるだけでなく、収穫後の株を残して、そこから育てていく「株出し」を行うのが一般的だ。イチゴの場合は、親株から「ランナー(走出枝)」と言われる子株が出てくるので、一つの親株から子株をいっぱい作って栽培する。つまり、イモやサトウキビ、イチゴ農家にとって自家増殖はなくてはならないものである。そうして、これまでは地域の土に合った味の作物を作ることができていた。しかし種苗法が改定されると、これまで合法だった自家増殖は、その苗の育成者権を持つ人や企業から許諾を得て、許諾料を支払わない限り、栽培が成り立たないということになってしまう。
 今回の種苗法改定はこうした自家増殖がなくてはならないような作物であったとしても一律に許諾なしにはできなくしてしまうのだ。これは米国やEUにも前例がないことである。
 自家増殖が重要である理由は他にもある。種子は植えられた畑の土や気候を記憶するという。その記憶を後世の種子に伝えていく。同じコシヒカリの種子であっても、新潟のコシヒカリと静岡で自家採種されたコシヒカリではもう異なる種子になっていく。つまり、その土地に合った種子へと変化していくのだ。気候変動が激しくなっていく状況の中で、その地域の環境に適用させた種子を確保していくことは、なおさら重要になっていくと言われている。

日本の優良品種が海外に流出するから自家増殖禁止?
 政府は、登録品種において自家増殖を一律許諾制にしなければならない、とした理由を二つ上げている。
 一つは許諾制にしないと、日本の優良な品種が海外に流出してしまうというものだ。
 日本の国立農研機構が育成したブドウの新品種、シャインマスカットは、日本では2006年に品種登録がなされている。ところが、中国で勝手に生産され、日本や世界各地に輸出されるようになり、日本の農業市場にとって大きな痛手となった。このことが、センセーショナルに取り上げられ、流出を防ぐために国内での自家増殖を禁止しなければならない、という結論が導かれる。
 だが、考えてみてほしい。国内での自家増殖を禁止することで、中国への流出を防ぐことができたのだろうか? 国内の農家が自家増殖したために、シャインマスカットが中国に流出したのだろうか? 
 実際に、中国にシャインマスカットを持ち出したのは日本の流通業者であったと考えられる。日本で栽培するよりも中国で作って輸入した方が儲かるということだろう。そして、さらにシャインマスカットの育成者権を持つ農研機構は中国での品種登録を怠った。もし登録していれば生産が発覚した時点で手を打てたが、していなかったためにお手上げになってしまったのだ。現に農水省は2017年11月に、海外流出を防ぐには「海外において品種登録(育成者権の取得)を行うことが唯一の対策」と 断言している。
 農家の自家増殖を禁止すれば海外流出を防げるというのはまったくおかしな話だ、と言わざるをえない。

「自家増殖禁止にしないと新品種が作れない」は本当?
 もう一つの理由が、農家の自家増殖を禁止しないと種苗企業が新品種を育成する気力を失ってしまう、というものだ。新しい登録品種を作るには10年単位の時間と費用がかかる。農家が自家増殖してしまったら、この育成費用が回収できなくなってしまうからだ、という。
 日本政府は知財立国政策を掲げ、農水省も農業とは「知識産業・情報産業」であり、知的財産権を世界に売って儲ける戦略(農林水産省知的財産戦略2020) を2015年に掲げる。種苗の知的財産権はその中核をなし、政府は「年間1000件以上の品種登録審査を着実に推進」し、登録品種の増加をめざした。果たして登録品種は増えたのだろうか? 
 
【グラフ1】

 グラフ1を 見ていただければわかるが、世界各国が登録品種を増やす中、日本だけが急激に減らしており、2007年には世界第2位であったのに、2017年には中国や韓国にも抜かれて世界5位に落ちている。なぜ、日本だけ登録品種の数が減るのだろうか? 農家が自家増殖してしまうからだろうか? 種苗会社の状況を見ると違う事情が見えてくる。
 新品種を育成するには長い時間がかかるため、その間、安定した予算が確保されることが重要になるが、国立の組織である農研機構ですら、予算確保に懸念を表明している。また、種苗は工業製品とは異なる「生きた命」であり、それを育成するためには世話をする人が不可欠である。しかし、圃場(ほじょう・作物を育てる水田や畑、田を指す)を管理する人材は、今、農村地域では得がたくなっている。種苗会社によっては海外からの研修生に頼っているところもある。
 さらに、もっとも肝心の種苗の買い手である農家の数が減っている。種苗会社によっては農家を対象とするだけでは売り上げの減少を避けられないとして、ホームセンターで家庭菜園などに向けた種苗の売り上げで補おうとしている。だが、家庭菜園では自家増殖は自由だ。こういう中で、自家増殖を禁止したとしても、日本の登録品種の数が果たして増えるだろうか?
 
【グラフ2】日本における登録品種の出願数

 グラフ2は 日本における登録品種の出願数なのだが、1980年代までは新品種のほとんどが国内で育種されていた。その後、海外で育種されるケースが増え、2017年(平成29年度)では日本に出願される品種の43%が海外で育種されたものになっている。ここから読み取れるのは、国内での育種がより困難になってきており、よい育種環境を求めて、海外に進出しているというのが現実なのではないか。日本での新品種育成が減っているのは、国内農家の自家増殖が原因というよりも、新品種育成を取り巻く日本の農村政策に起因する農業生産環境の悪化に大きな原因があると言わざるをえない。

公共の種苗事業も危うくなる
 さらに、付け加えておきたいのが、公共の種苗事業の今後についてである。国や都道府県はこれまで、農業試験場などで稲、小麦、大豆、柑橘類、イモ類、花などの種苗事業(種子も含む)を行ってきた。
 こうした公共の種苗事業では、地域の農業への貢献が第一に考えられ、その事業自体の収益性は大きな問題とはなってこなかった。農家は農業協同組合などを通じて、地方自治体が提供する安くて優良な種苗を得ることができ、しかも自家増殖することが可能だった。地方自治体の種苗事業はたとえ赤字であっても、その優良な種苗のおかげで農家を支えることができ、地域の農業を維持し、回していくことができる。その点、きわめて効果的であったと言えるだろう。この公共の種苗事業の存在もあり、民間企業の種苗業は、野菜や花などをメインに展開されてきた。
 18年に行われた種子法の廃止は、米、麦、大豆の種子事業において、地方自治体と民間企業が等しく競争することができるようにするものだった。今回の種苗法の改定は、米、麦、大豆以外の種苗事業にまでそれが広がることを意味する。営利性よりも地域や長期的な農業の安定性をめざすことに貢献してきた公共の種苗事業は、営利組織との競合の中で、利益が得られない部門を削減することに追いやられるだろう。
◆◆◆◆◆
 種苗を育成した者の権利(育成者権)と農民の権利(自家増殖する権利)はいわば車の両輪であって、どちらも回らなければ農業は寂れていく。寂れてしまえば種苗会社も成長することはできなくなる。だからこの二つの権利のバランスが重要であるのに、今回の種苗法改定ではそのバランスを無視していると言わざるをえない。
 日本の都市への集中が進み、農業を総合的に育てる政策が欠如した中で、日本の農村は寂れつつある。そして、日本の種苗産業も多国籍展開を遂げる一部の大きな企業を除けば厳しい状況が続いている。日本国内での種苗の育成が困難になってきている。このような状況下でさらに農家を一方的に絞り上げるような政策が果たしてうまく機能するだろうか? ますます日本の農業が疲弊する方向に行かざるをえないのではないか?
 
 今、国連が農業政策で掲げる柱には二つある。一つは化学肥料や農薬に依存しない農業をめざす有機農業を含むアグロエコロジーであり、もう一つは小規模家族農家の支援である。
 これまで世界は、農業を工業化し、民間企業を参入させていけば、農業は生産力があがって、世界の飢餓も解消すると考えていた。
しかし、民間企業に農業を任せれば、食料における安全保障が危うくなることが2007年、2008年の世界食料危機で明らかとなり、その後、国連は小規模家族農家重視政策へと転換していく。現在の新型コロナウイルスでも輸出志向の工業型農場の生産が止まってしまっていることが報道されている。工業型の食のシステムは危機に弱いのだ。気候変動の激化を受けて、化学物質に依存した農業を変えなければ、ということでアグロエコロジーを推進する国の数もどんどん増えている。
 そして、独占された種類の限られた種子・種苗よりも地域に適用している多様な在来種こそ、気候変動が激しくなる今後に重要であるとして、世界各地で在来種を守る条例や法制化の動きも活発になっている。2018年に成立した「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」では種子についての農民の権利が明記されている。 
 残念なことに、世界で起きたこうした重要な転換は、日本では無視されているいまだに日本政府は、「輸出できる農業」「農業の規模拡大」「民間企業の農業参入」を標語として掲げているままだ。そして、その延長線上にこの種苗法改定もあり、一糸不乱に民間企業の知的財産権拡大に努めようとしている。今、日本では多数の在来種が毎年急速に消えつつあるが、政府はこちらの方は一顧だにしない。
 日本の食料自給率は3割すら割りそうな状況である。このままいけば、日本の未来は(農業だけでなく)絶望的なものとなってしまうと言わざるをえない。
 今こそ、政策の大きなシフトチェンジが不可欠であり、種苗法を改定している場合ではない。日本の食と農の今と未来を全面的に考え直すときだろう。

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コロナと食料 農業再生は「安全保障」

  「東京新聞」社説 2020年5月18日
 
 田植えの季節。「密」とは無縁の空の下、粛々と作業が進む。この風景が消えていき、耕作放棄地が増えている。グローバルなモノの流れが突然止まる「コロナの時代」。農業再生は急務である。
 国連の世界食糧計画(WFP)は、新型コロナウイルスの影響で、食料不足に陥る人が激増すると予測する。
 ただでさえ温暖化の進行で、高温による大規模な森林火災や干ばつが頻発し、穀物生産や畜産が、深刻な打撃を受けている。
 その上に、コロナ危機の拡大による物流の停滞や、農作業の人手不足などが重なって、世界全体の飢餓人口は今年、二億六千五百万人に上り、昨年から倍増する恐れがあるという。
 まず直撃を受けるのは、気候変動の影響を受けやすく、食料を輸入に頼るアフリカなどの途上国には違いない。だが、輸入依存は日本も同じ。一九六五年には七割を超えていたカロリー換算の食料自給率は37%に落ち込んだ。半分以上を輸入に頼るということだ。
 現政権は「成長戦略」の名の下で、高級農産物の輸出拡大を念頭に、農業の大規模化、効率化には力を注ぐ。しかしその陰で、農家全体の高齢化は進み、耕作放棄地は増える一方だ。生産基盤の弱体化は止まらない。
 コロナ禍の拡大に伴って、ロシアなどが穀類などの輸出制限に踏み切った。世界貿易機関(WTO)は、自国の食料不足が危機的状況に陥った場合には、輸出を止める権利を認めている。「ほとんど影響は出ていない」と農林水産省は言うものの、温暖化が進行し、ウイルスとの“共存”を強いられる時代である。これからも、必要な時に必要なだけ、食べ物を売ってもらえる保証はない。
 例えばかつて、牛海綿状脳症(BSE)の流行で牛丼が姿を消した。今、コロナのまん延する米国で食肉の生産が減少し、豚肉の輸入に支障が出始めている。中国からの野菜輸入も一部途絶えた。
 海外依存リスクの顕在化-。コロナ禍の教訓だ。極端なマスク不足も極端な海外依存が原因だった。農産物は自然の恵み。マスクのように、すぐには増産に転じられない特殊な商品だ。農業再生は“危急重要”の課題である。
 このごろ盛んに「食の安全保障」と言う。それが国民の暮らしを守るということならば、核心は豊かな田畑を守るということだろう。コロナ危機を、いびつな成長戦略をただす転機にしたい。


 今朝は1度まで気温が下がり畑に植えたかぼちゃなどに被害が及んだ。
保温資材をかけても防げなかった。

今後どれだけ回復できるか、まだわからない。明日の予報も2℃、さらに追い打ちになるのかも?カッコーよ、こんな過ちを今まで犯したことはあるか?今週中は5℃を下回る。


与党議員を揺さぶるハッシュタグ「#対立候補に投票します」

2020年05月17日 | 社会・経済

検察庁法改正を強行する与党議員へのキラーワードは「#対立候補に投票します」
  ハーバー・ビジネス・オンライン 2020/05/17


与党議員を揺さぶるハッシュタグ「#対立候補に投票します」
「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグは、ツイート数が500万件を超える一大ムーブメントとなりました。
 私がメディアコンサルタントの境治と行っているYouTube配信「メディア酔談」では、5月15日、このツイートを最初に始めた「笛美」さんをゲストに招き、リモート参加で話に加わってもらいました。
 抗議の声が高まる中、与党は検察庁法改正案の採決を先送りしました。しかしまだ採決の構えは崩していません。「#検察庁法改正案に抗議します」だけでは与党議員への歯止めにならないようです。
そこで私は「メディア酔談」の中で、新たなハッシュタグとして「#対立候補に投票します」を提唱しました。これは与党議員に対し「もしも検察庁法改正に賛成するなら、次の選挙であなたの対立候補に投票しますよ」という意味です。この言葉は与党議員を揺さぶるキラーワードになり得ます。

もの言わぬ人々がものを語り出す時、世の中は変わる
 なぜ「#対立候補に投票します」という言葉が力を持つのでしょうか? それは、そうつぶやいた人が、次の選挙でほぼ確実に投票に行くからです。
自公がなぜ選挙に強いのか考えたことがありますか? それは強固な支持基盤を持つからです。しかしその人数は限られています。もの言わぬ人の方がはるかに多いのです。
 その人たちの多くはこれまで投票に行かなかったでしょう。これまで選挙に行かなかった人たちが、こぞって次の選挙で投票に行って、与党の対立候補に投票する。これほど与党議員にとって恐怖なことはありません。
 それは2009年の政権交代選挙で実証されています。それまで投票に行かなかった人が投票に行ったから投票率が上がった。その人たちが「世の中を変えたい」と期待して、野党・民主党(当時)に投票しました。
 そして与党の自公現職議員がのきなみ討ち死にし、劇的な政権交代が実現しました。あれと同じです。だから「#対立候補に投票します」は力を持つのです。
 その時の議席数の推移です。
 自民 300議席→119議席(181減)
 公明 31議席→21議席(10減)
 民主 115議席→308議席(193増)
 自民が半分以下に激減、民主が倍以上に激増してほぼ入れ替わっています。この選挙の時の自民党の首相は麻生太郎現財務大臣でした。
 民主党は投票してくれた有権者の期待にこたえられませんでしたが、それはまた別の問題です。大切なのは「もの言わぬ人々がものを語り出す時、世の中は変わる」ということです。

政治家が重んじるのは「自分が当選するかどうか」
 もう一つ大切なポイントは、「#対立候補に投票します」という言葉は特定の誰かを非難攻撃するものではないという点です。「落選させる」は似た意味に思えますが、脅しの要素が感じられます。
「抗議します」「反対します」という言葉は意思表示としては明確ですが、与党議員たちが有権者の意思表示をちっとも重んじていないことは、「#検察庁法改正案に抗議します」というツイートが500万件を超えても方針を変えないことから明らかです。彼らが最も重んじるのは「自分が選挙に当選するか落選するか」です
ですから皆さん、自信を持って地元の選挙区の自公と維新の議員にもの申しましょう。ここで維新を入れたのは、日本維新の会も検察庁法改正に賛成だと明確にしたからです(もともと「よ」と「や」の間の「ゆ党」と呼ばれる存在ですから)。
 皆さんの地元選挙区の自民・公明・維新の議員に、「#対立候補に投票します」と伝えましょう。電話で、FAXで、メールで、そしてTwitterでつぶやきましょう。検察庁法がどうとか、難しいことを書かなくてもこれだけで十分です。
 議員はもちろん、その意味がわかりますから。これは検察庁法改正に賛成したら自分の対立候補に投票するという意味だな、と。
 それが数人数十人だけなら「たいしたことはない」とたかをくくれるでしょうが、数百人数千人となったら、もう安心していられません。数万人になったら、もはや落選確実と言ってもいいでしょう。

検察庁法改正案にも、森友問題の真相解明にも、声をあげていこう
 政治を動かすには、政治家に直接働きかけるに限ります。もの言わぬ有権者であることをやめて、もの申しましょう。それは私たちの権利です。検察庁法改正案は、私たちにそのことを気づかせてくれる貴重な機会になるかもしれません。
 そしてこのことは同時に、森友学園への国有地巨額値引きに関する公文書を改ざんさせられて命を絶った、財務省近畿財務局の赤木俊夫さんのことにもつながります。財務省もあの時、ルール違反のめちゃくちゃなことをしたのです。
 でも、なぜそんなことをしたのか真相は明らかになっていません。俊夫さんの妻、赤木雅子さんは、真相解明のための再調査を求めていますが、安倍首相も麻生財務大臣も「再調査はしない」と突っぱねています。
 私たちは「#赤木さんを忘れない」というハッシュタグで赤木雅子さんへの共感と支持をお願いしてきました。検察庁法の問題が決着したら、次は「#再調査してください」と声を上げたいと思います。
<文・相澤冬樹>

【相澤冬樹】
大阪日日新聞論説委員・記者。1987年にNHKに入局、大阪放送局の記者として森友報道に関するスクープを連発。2018年にNHKを退職。著書に『安部官邸VS.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)


 今日はカッコウ―がハウスのそばまで来て鳴いていました。正直、今日来るとは思っていませんでした。というのも、明日朝の最低予想気温が3℃で、霜注意報が出ているからです。定植を終えたカボチャ・ズッキーニなどに布織をかけ、ハウス内にはポータブルストーブをつけてきました。これから4,5日こんな寒い日が続くようです。

菜の花

直売所

スベリヒユ



梨の花
丸加山
展望台より


(露出オーバー)


【意見書全文】首相は「朕は国家」のルイ14世を彷彿

2020年05月16日 | 社会・経済

【意見書全文】首相は「朕は国家」のルイ14世を彷彿
朝日新聞デジタル 2020年5月15日


検察庁法改正に反対する松尾邦弘・元検事総長(77)ら検察OBが15日、法務省に提出した意見書の全文は次の通り。
    ◇
 東京高検検事長の定年延長についての元検察官有志による意見書


1 東京高検検事長黒川弘務氏は、本年2月8日に定年の63歳に達し退官の予定であったが、直前の1月31日、その定年を8月7日まで半年間延長する閣議決定が行われ、同氏は定年を過ぎて今なお現職に止(とど)まっている。

 検察庁法によれば、定年は検事総長が65歳、その他の検察官は63歳とされており(同法22条)、定年延長を可能とする規定はない。従って検察官の定年を延長するためには検察庁法を改正するしかない。しかるに内閣は同法改正の手続きを経ずに閣議決定のみで黒川氏の定年延長を決定した。これは内閣が現検事総長稲田伸夫氏の後任として黒川氏を予定しており、そのために稲田氏を遅くとも総長の通例の在職期間である2年が終了する8月初旬までに勇退させてその後任に黒川氏を充てるための措置だというのがもっぱらの観測である。一説によると、本年4月20日に京都で開催される予定であった国連犯罪防止刑事司法会議で開催国を代表して稲田氏が開会の演説を行うことを花道として稲田氏が勇退し黒川氏が引き継ぐという筋書きであったが、新型コロナウイルスの流行を理由に会議が中止されたためにこの筋書きは消えたとも言われている。
いずれにせよ、この閣議決定による黒川氏の定年延長は検察庁法に基づかないものであり、黒川氏の留任には法的根拠はない。この点については、日弁連会長以下全国35を超える弁護士会の会長が反対声明を出したが、内閣はこの閣議決定を撤回せず、黒川氏の定年を超えての留任という異常な状態が現在も続いている。

2 一般の国家公務員については、一定の要件の下に定年延長が認められており(国家公務員法81条の3)、内閣はこれを根拠に黒川氏の定年延長を閣議決定したものであるが、検察庁法は国家公務員に対する通則である国家公務員法に対して特別法の関係にある。従って「特別法は一般法に優先する」との法理に従い、検察庁法に規定がないものについては通則としての国家公務員法が適用されるが、検察庁法に規定があるものについては同法が優先適用される。定年に関しては検察庁法に規定があるので、国家公務員法の定年関係規定は検察官には適用されない。これは従来の政府の見解でもあった。例えば昭和56年(1981年)4月28日、衆議院内閣委員会において所管の人事院事務総局斧任用局長は、「検察官には国家公務員法の定年延長規定は適用されない」旨明言しており、これに反する運用はこれまで1回も行われて来なかった。すなわちこの解釈と運用が定着している。
検察官は起訴不起訴の決定権すなわち公訴権を独占し、併せて捜査権も有する。捜査権の範囲は広く、政財界の不正事犯も当然捜査の対象となる。捜査権をもつ公訴官としてその責任は広く重い。時の政権の圧力によって起訴に値する事件が不起訴とされたり、起訴に値しないような事件が起訴されるような事態が発生するようなことがあれば日本の刑事司法は適正公平という基本理念を失って崩壊することになりかねない。検察官の責務は極めて重大であり、検察官は自ら捜査によって収集した証拠等の資料に基づいて起訴すべき事件か否かを判定する役割を担っている。その意味で検察官は準司法官とも言われ、司法の前衛たる役割を担っていると言える。
 こうした検察官の責任の特殊性、重大性から一般の国家公務員を対象とした国家公務員法とは別に検察庁法という特別法を制定し、例えば検察官は検察官適格審査会によらなければその意に反して罷免(ひめん)されない(検察庁法23条)などの身分保障規定を設けている。検察官も一般の国家公務員であるから国家公務員法が適用されるというような皮相的な解釈は成り立たないのである。

3 本年2月13日衆議院本会議で、安倍総理大臣は「検察官にも国家公務員法の適用があると従来の解釈を変更することにした」旨述べた。これは、本来国会の権限である法律改正の手続きを経ずに内閣による解釈だけで法律の解釈運用を変更したという宣言であって、フランスの絶対王制を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる「朕(ちん)は国家である」との中世の亡霊のような言葉を彷彿(ほうふつ)とさせるような姿勢であり、近代国家の基本理念である三権分立主義の否定にもつながりかねない危険性を含んでいる。
 時代背景は異なるが17世紀の高名な政治思想家ジョン・ロックはその著「統治二論」(加藤節訳、岩波文庫)の中で「法が終わるところ、暴政が始まる」と警告している。心すべき言葉である。
 ところで仮に安倍総理の解釈のように国家公務員法による定年延長規定が検察官にも適用されると解釈しても、同法81条の3に規定する「その職員の職務の特殊性またはその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分の理由があるとき」という定年延長の要件に該当しないことは明らかである。
 加えて人事院規則11―8第7条には「勤務延長は、職員が定年退職をすべきこととなる場合において、次の各号の1に該当するときに行うことができる」として、①職務が高度の専門的な知識、熟練した技能または豊富な経験を必要とするものであるため後任を容易に得ることができないとき、②勤務環境その他の勤務条件に特殊性があるため、その職員の退職により生ずる欠員を容易に補充することができず、業務の遂行に重大な障害が生ずるとき、③業務の性質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき、という場合を定年延長の要件に挙げている。
 これは要するに、余人をもって代えがたいということであって、現在であれば新型コロナウイルスの流行を収束させるために必死に調査研究を続けている専門家チームのリーダーで後継者がすぐには見付からないというような場合が想定される。
 現在、検察には黒川氏でなければ対応できないというほどの事案が係属しているのかどうか。引き合いに出される(会社法違反などの罪で起訴された日産自動車前会長の)ゴーン被告逃亡事件についても黒川氏でなければ、言い換えれば後任の検事長では解決できないという特別な理由があるのであろうか。法律によって厳然と決められている役職定年を延長してまで検事長に留任させるべき法律上の要件に合致する理由は認め難い。

 4 4月16日、国家公務員の定年を60歳から65歳に段階的に引き上げる国家公務員法改正案と抱き合わせる形で検察官の定年も63歳から65歳に引き上げる検察庁法改正案が衆議院本会議で審議入りした。野党側が前記閣議決定の撤回を求めたのに対し菅義偉官房長官は必要なしと突っぱねて既に閣議決定した黒川氏の定年延長を維持する方針を示した。こうして同氏の定年延長問題の決着が着かないまま検察庁法改正案の審議が開始されたのである。
 この改正案中重要な問題点は、検事長を含む上級検察官の役職定年延長に関する改正についてである。すなわち同改正案には「内閣は(中略)年齢が63年に達した次長検事または検事長について、当該次長検事または検事長の職務の遂行上の特別の事情を勘案して、当該次長検事または検事長を検事に任命することにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由があると認めるときは、当該次長検事または検事長が年齢63年に達した日の翌日から起算して1年を超えない範囲内で期限を定め、引き続き当該次長検事または検事長が年齢63年に達した日において占めていた官及び職を占めたまま勤務をさせることができる(後略)」と記載されている。
 難解な条文であるが、要するに次長検事および検事長は63歳の職務定年に達しても内閣が必要と認める一定の理由があれば1年以内の範囲で定年延長ができるということである。
 注意すべきは、この規定は内閣の裁量で次長検事および検事長の定年延長が可能とする内容であり、前記の閣僚会議によって黒川検事長の定年延長を決定した違法な決議を後追いで容認しようとするものである。これまで政界と検察との両者間には検察官の人事に政治は介入しないという確立した慣例があり、その慣例がきちんと守られてきた。これは「検察を政治の影響から切りはなすための知恵」とされている(元検事総長伊藤栄樹著「だまされる検事」)。検察庁法は、組織の長に事故があるときまたは欠けたときに備えて臨時職務代行の制度(同法13条)を設けており、定年延長によって対応することは毫(ごう)も想定していなかったし、これからも同様であろうと思われる。
 今回の法改正は、検察の人事に政治権力が介入することを正当化し、政権の意に沿わない検察の動きを封じ込め、検察の力を殺(そ)ぐことを意図していると考えられる。

 5 かつてロッキード世代と呼ばれる世代があったように思われる。ロッキード事件の捜査、公判に関与した検察官や検察事務官ばかりでなく、捜査、公判の推移に一喜一憂しつつ見守っていた多くの関係者、広くは国民大多数であった。
 振り返ると、昭和51年(1976年)2月5日、某紙夕刊1面トップに「ロッキード社がワイロ商法 エアバスにからみ48億円 児玉誉士夫氏に21億円 日本政府にも流れる」との記事が掲載され、翌日から新聞もテレビもロッキード関連の報道一色に塗りつぶされて日本列島は興奮の渦に巻き込まれた。
 当時特捜部にいた若手検事の間では、この降って湧いたような事件に対して、特捜部として必ず捜査に着手するという積極派や、着手すると言っても贈賄の被疑者は国外在住のロッキード社の幹部が中心だし、証拠もほとんど海外にある、いくら特捜部でも手が届かないのではないかという懐疑派、苦労して捜査しても(1954年に犬養健法相が指揮権を発動し、与党幹事長だった佐藤栄作氏の逮捕中止を検事総長に指示した)造船疑獄事件のように指揮権発動でおしまいだという悲観派が入り乱れていた。
 事件の第一報が掲載されてから13日後の2月18日検察首脳会議が開かれ、席上、東京高検検事長の神谷尚男氏が「いまこの事件の疑惑解明に着手しなければ検察は今後20年間国民の信頼を失う」と発言したことが報道されるやロッキード世代は歓喜した。後日談だが事件終了後しばらくして若手検事何名かで神谷氏のご自宅にお邪魔したときにこの発言をされた時の神谷氏の心境を聞いた。「(八方塞がりの中で)進むも地獄、退くも地獄なら、進むしかないではないか」という答えであった。
 この神谷検事長の国民信頼発言でロッキード事件の方針が決定し、あとは田中角栄氏ら政財界の大物逮捕に至るご存じの展開となった。時の検事総長は布施健氏、法務大臣は稲葉修氏、法務事務次官は塩野宜慶(やすよし)氏(後に最高裁判事)、内閣総理大臣は三木武夫氏であった。
 特捜部が造船疑獄事件の時のように指揮権発動に怯(おび)えることなくのびのびと事件の解明に全力を傾注できたのは検察上層部の不退転の姿勢、それに国民の熱い支持と、捜査への政治的介入に抑制的な政治家たちの存在であった。
 国会で捜査の進展状況や疑惑を持たれている政治家の名前を明らかにせよと迫る国会議員に対して捜査の秘密を楯(たて)に断固拒否し続けた安原美穂刑事局長の姿が思い出される。
 しかし検察の歴史には、(大阪地検特捜部の)捜査幹部が押収資料を改ざんするという天を仰ぎたくなるような恥ずべき事件もあった。後輩たちがこの事件がトラウマとなって弱体化し、きちんと育っていないのではないかという思いもある。それが今回のように政治権力につけ込まれる隙を与えてしまったのではないかとの懸念もある。検察は強い権力を持つ組織としてあくまで謙虚でなくてはならない。
 しかしながら、検察が萎縮して人事権まで政権側に握られ、起訴・不起訴の決定など公訴権の行使にまで掣肘(せいちゅう)を受けるようになったら検察は国民の信託に応えられない。
 正しいことが正しく行われる国家社会でなくてはならない。
 黒川検事長の定年延長閣議決定、今回の検察庁法改正案提出と続く一連の動きは、検察の組織を弱体化して時の政権の意のままに動く組織に改変させようとする動きであり、ロッキード世代として看過し得ないものである。関係者がこの検察庁法改正の問題を賢察され、内閣が潔くこの改正法案中、検察幹部の定年延長を認める規定は撤回することを期待し、あくまで維持するというのであれば、与党野党の境界を超えて多くの国会議員と法曹人、そして心ある国民すべてがこの検察庁法改正案に断固反対の声を上げてこれを阻止する行動に出ることを期待してやまない。

 【追記】この意見書は、本来は広く心ある元検察官多数に呼びかけて協議を重ねてまとめ上げるべきところ、既に問題の検察庁法一部改正法案が国会に提出され審議が開始されるという差し迫った状況下にあり、意見のとりまとめに当たる私(清水勇男)は既に85歳の高齢に加えて疾病により身体の自由を大きく失っている事情にあることから思うに任せず、やむなくごく少数の親しい先輩知友のみに呼びかけて起案したものであり、更に広く呼びかければ賛同者も多く参集し連名者も多岐に上るものと確実に予想されるので、残念の極みであるが、上記のような事情を了とせられ、意のあるところをなにとぞお酌み取り頂きたい。

 令和2年5月15日
 元仙台高検検事長・平田胤明(たねあき)
 元法務省官房長・堀田力
 元東京高検検事長・村山弘義
 元大阪高検検事長・杉原弘泰
 元最高検検事・土屋守
 同・清水勇男
 同・久保裕
 同・五十嵐紀男
 元検事総長・松尾邦弘
 元最高検公判部長・本江威憙(ほんごうたけよし)
 元最高検検事・町田幸雄
 同・池田茂穂
 同・加藤康栄
 同・吉田博視
 (本意見書とりまとめ担当・文責)清水勇男

 法務大臣 森まさこ殿