里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

よいお年を!

2017年12月30日 | 日記・エッセイ・コラム

 久々に晴れ間が出た。
気温もプラスになり、国道は雪が融けてアスファルトが露出。
江部乙の一部残した屋根雪降ろし、終わらせてきました。
これから朝にかけて、予想気温は氷点下15℃。ここだともっと下がるかもしれない。

 いよいよ大晦日ですね。
年内ブログの更新はこれで終わりの予定です。
1年間お付き合いいただきましてありがとうございました。

皆様のご健勝とご多幸をお祈りいたします。

よいお年をお迎えください。
わたしも夢に向かって頑張るぞ!


当分治らない電通体質

2017年12月29日 | 事件

Mynewsjapan 渡邉正裕 12/29 2017

 

私が電通を辞める原因になったパワハラ被害体験――「体育会系ハラスメント体質が今後も治らないなら、訴訟も考えています」

   はあちゅうさんが告発した深刻なセクハラも、高橋まつりさんの過労死も、電通のハラスメント体質が治らない限り、再発します。これは労働時間の長短の問題ではないんです」――。新卒入社から、最後7年間の部長職を含め、およそ四半世紀にわたって電通に在籍して昨年、会社を去った元社員(50歳前後)が、辞める原因ともなった自身のパワハラ被害について、「今後の電通と若手社員のためにも」と手記を寄せた。新人や若手にとどまらず部長でも被害に遭う、電通のパワハラ体質。それは、答えのない課題を部下に与え、延々とやり直しを命じることで鬱病を患うまで追い込み、自身の権力を誇示する、という病的なものだった。

 

◇抽象的な指示で「ダメ出し」を3か月繰り返す

 つい数年前に起きたことです。4月に新しい部のライン部長に就任することになった私は、7月までの約3か月間にわたって、部の活動方針を数十バージョンも書かされるというパワハラを、S局長とH局長補(当時の呼び名は「局次長」)から受け、その際に、人生で味わったことの無い暴言、人格否定、恫喝などを受けました。

その3か月間は、土日も関係なく、毎日、明け方の3時、4時までパワーポイントで活動方針を書き、その後、風呂に入って2時間くらい寝て朝8時には出社、9時からS局長・H局長補と活動方針の打ち合せをする、というスケジュールが続きました。S局長からは「部長は何時間残業しても関係ないから」と言われました。

  新しい部ですから、活動方針を最初に定めること自体には、異議はありません。ただ、S局長とH局長補からは、新しい部の方針や計画に関する詳細な説明やディレクションはほとんどなく、抽象的な指示があるのみ。

  私はそれを基に活動方針を書いていたつもりですが、連日の抽象的なダメ出しに、意識が朦朧としていました。

 H局長補も、明快な指示など一切出さず、私が書いた文章の「テニヲハ」を修正するだけで、時に「お前は給料分働いていない」などの発言を差し込んできます。このH局長補は、以前に在籍していた部署でパワハラをして異動してきた人物として知られ、「歩くパワハラ」のような人物でした。

  この活動方針を書いている数か月間、部の運営は止まり、新入社員が部に配属になっていたのですが、その面倒をみることも出来なくなってしまいました。

  毎朝9時前に出社する新入社員でしたが、それ以上に早く出社してPCに向かってパワーポイントを打ち続けている私を見て、毎日、私のデスクの前まで来て「おはようございます…」と言った後、何か異常な事が起きていることを察知したのか、私に声を掛けようとしてくれていたようで、口をパクパクさせて戸惑っていました。

  この新入社員の面倒見に関しては、隣の部長がS局長に告げ口をしたことで、S局長から、「新入社員も、局自体も、お前の能力不足で迷惑している」と言われました。

 

◇「穴埋め問題にしよう」

  数十回も提出したパワーポイントの活動方針が完全に行き詰った頃、S局長から、「もうパワーポイントで書かずに、シンプルにワード1枚の穴埋め問題にしよう」という提案がありました。私は、これは助かったと思い、S局長が書いたワード1枚の穴埋め問題の、穴の部分に文字を書き込み、翌日に提出したところ、S局長は「お前は俺を舐めているのか? 活動方針がこんな1枚で済むと思っているのか?」と激怒されたのです。

  その場には、H局長補も同席していたのですが、流石に「S局長が自分から言った提案だったのに、激怒するというのはおかしい」という趣旨の発言をしていました。

  この後、私ひとりで局長室に呼ばれ、S局長から、更に驚くべき指示を聞きます。

 

◇「気がふれました、とメールで出せ」

  「お前は、部の活動方針をワード1枚で済まそうとして、気がふれている。局に3人いる局長補全員に、自分の気がふれたということをメールで出せ。そして、再度やり直しをします、と書くのだ」。私は自分の耳を疑いました。気がふれているのはS局長じゃないか、と。

  私は、言われた通り、3人の局長補(H局長補含む)に、その通りに書いたメールを送りました。3人の局長補は、そのメールを見ても、何の反応もありませんでした.....

この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
(ということで、残念ながらこれで終わり。興味のある方は会員に)

【Digest】

◇抽象的な指示で「ダメ出し」を3か月繰り返す

◇「穴埋め問題にしよう」

◇「気がふれました、とメールで出せ」

◇パワハラ局長補が「パワハラ対策担当者」

◇鬱で精神科に2年通院

◇「自己愛性人格障害」の上司たち

◇体育会系パワハラ体質の蔓延、浄化システムなし

◇ボイスレコーダーで記録すべき


この体質が治るまで、「ブラック大賞」を差し上げ続けるべきかと思うのですが・・・

今日も雪・雪・雪。
今朝も30㎝程積もっていました。
今も降り続いています。


ラッセルで跳ね上げられなくなって段切していきました。


これは、かぼちゃのサラダ。
コリコリと歯触りがいい。


生活保護基準、またしても引き下げ

2017年12月28日 | 社会・経済

雨宮処凛がゆく!第433回

サンタクロースがこないクリスマス 
〜生活保護基準、またしても引き下げ〜の巻

 

By雨宮処凛 2017年12月27日

  今年のクリスマス、あなたはどんなふうに過ごしただろうか。

  恋人と素敵なディナーをした人もいるかもしれないし、家族とゆっくり過ごした人もいるだろう。イブもクリスマスもずーっと仕事だった人もいるだろうし、毎年恒例・革命的非モテ同盟の「クリスマス粉砕デモ」に参加し、「カップルは自己批判しろ!」「セックスなんていくらしたって無駄だ!」という魂の叫びを渋谷に響かせた猛者もいるかもしれない。

  私はと言えば、特に予定もないので仕事をしつつ、夜には猫たちに「普段はあげない刺身」をあげるなどしてちょっとした特別感を味わった。まあ一言で言えば、クリスマス感ゼロだったというわけである。

  が、そんなクリスマスも、子どもの頃は特別なものだった。特に私などは小学6年生までガチでサンタクロースの存在を信じていたという「気づくのが遅すぎた」系。3人姉弟の一番上で、私が小6の時、一番下の弟はまだ幼稚園児だったため、我が家ではそっち系の情報開示がどうしても遅れがちだったのだ。同級生みんなが「サンタクロースなんていない、あれは親だ」と当たり前の顔で言うのに衝撃を受け、母に「いるんだよね?本当にサンタさんはいるんだよね?」と泣きなからとりすがった小6の冬、母もさすがにヤバいと思ったのだろう、「いるわけない、あれは自分たちだ」と至極冷静に告白したのだった。私が大人の階段を上った瞬間だった。

  さて、そんなふうに子どもにとって特別なクリスマスだが、最近、衝撃的な数字を発見した。それは、シングルマザーの3人に一人が「クリスマスなんてなければいい」と考えたことがある、という調査結果(東京新聞2017年12月16日夕刊)。お金、時間の余裕がないことなどが原因で、10人に一人は子どもに「うちにサンタは来ない」と伝えたことがある、と回答したのだという。

  この記事を読み、胸が痛んだ。なぜなら、自分自身、クリスマスが近くなると親や周りの大人たちに「いい子にしてないとサンタさん来ないよ」などと言われていたからである。大人たちにとっては、普段の「勉強しなさい」系の説教に、季節モノとしてクリスマスアレンジを取り入れてみただけのことなのだろう。が、もう物心ついた時から「いい子にしていればサンタクロースは来る」=「悪い子にはサンタクロースは来ない」という図式は私の中に刷り込まれていた。別に周りの大人から言われなくとも、テレビや絵本なんかでもその手の話は多くあった。いい子にしていればサンタクロースは来てくれるけれど、悪い子のもとには来ない。そんな「常識」の中で生きる子どもが、「自分の家にはサンタは来ない」と言われたら、どんな気持ちになるだろうか。

  そんな報道に接する前日、ある記者会見で、やはりクリスマスというキーワードを耳にした。子育て中だという30代の女性は言ったのだ。

  「クリスマスどころではないというのが、正直なところです」

  彼女は複数の子どもを育てながら生活保護を受ける身。化粧品も持っていないというすっぴんの女性は、午後2時から始まった会見で、クリスマスどころか「今日も朝食も昼食も食べていない」ことを話した。顔は水で洗うだけで、下着もつけていないという。子どもが初潮を迎え、胸が大きくなるのをみれば、子どもに女性用の下着が必要になってくる。そうすれば、自分の分は我慢するしかない。

  多感な時期の子どもに、「お金がない」という理由で、将来の夢を諦めさせたくない。「勉強すれば自分はやれる」という自信を持ってほしい。しかし、高校生の子どもはすでに「大学は無理だってわかってるから」と口にするという。でも、子どもが「これをやりたい」ということは叶えてあげたい。例えば、出展料が数百円かかる書き初め展や絵画展への出展。学校の先生に出ることを推薦された大会があれば、それも参加させてあげたい。交通費が2000円、参加料が数千円かかっても、親として後押ししたい。

  「そういう時に何を切り詰めるかと言いますと、食費、光熱費、そして私自身の健康を削るしかないんです」

    女性はそう言うと、続けた。

  「子どもが力を最大限発揮して、自分みたいに生活保護を受けるようにならないように、生活保護を受ける子どもの権利を守ってほしいんです。どうかみなさん、これから将来、子どもたちが夢を持って自分の希望を叶えていく力を持てるような、そういう保護制度の運用にしてほしいんです。どうか子どもたちを失望させるような、生活保護の引き下げはやめて頂きたいんです」

   この日行われたのは、生活保護の引き下げに反対する記者会見。

  生活保護基準は5年に一度見直しが行われ、まさに今がその時期に該当するのだが、年の瀬も押し迫った12月なかば、厚労省は突然、生活保護基準を最大で14%近く引き下げる方針を打ち出したのだ。そうして12月15日、私も共同代表の一人である「いのちのとりで裁判全国アクション」のメンバーたちで厚労省に申し入れ。「生活保護制度の充実を求める緊急署名」1万7471筆を提出し、その後、記者会見をしたのである。女性の発言は、その席でのものだ。

  生活保護基準の引き下げについては、この連載で何度も何度も触れてきた。なぜ、そんなに触れてきたかというと、この数年引き下げが続いており、当事者からの悲鳴が上がり続けているからである。

  事の発端は、第二次安倍政権発足まで遡る。2012年、野党だった自民党は「生活保護基準10%引き下げ」を公約のひとつにして政権に復帰。そうして13年1月、厚労省は「最大10%引き下げ」方針を打ち出し、この年から段階的に生活保護基準は引き下げられていったのだ。

  「『死ね』と言われている気がする」「自分が生きていることが迷惑と言われているようだ」。この当時から、多くの当事者からこんな声が寄せられていた。政権交代前の12年春には、芸能人の母親の生活保護受給報道を発端とした「生活保護バッシング」があり、嵐のような非難の中、自殺に追い込まれた人もいた。そこにトドメのように来た生活保護基準最大10%引き下げ。実際に保護を利用している人たちからは「食事の回数を減らした」「お葬式や結婚式、親族のお見舞いにも行けない」という声も相次いだ。これは「文化的で健康な最低限度の生活」に反するということで、現在、全国29都道府県で955人が原告となって「生活保護引き下げは違憲」として裁判をしている。この裁判は「いのちのとりで」裁判と呼ばれ、私も「いのちのとりで裁判全国アクション」の共同代表として応援している。

  そんなふうに、現在の状況が「違憲」だとして多くの人が声を上げている中で打ち出された引き下げ。しかも、引き下げの根拠となっているのは、下から10%の所得の人たちと比較して、その消費水準と合わせて引き下げる、というものだ。

  が、日本の生活保護の捕捉率(受けられるべき人がとれだけ受けられているか)は2割ほどと言われている。自らが生活保護の対象になることを知らず、あるいは申請したのに追い返されたりして生活保護を受けずにカツカツの暮らしをしている人たちと比較して生活保護を引き下げるのではなく、国がすべきはその人たちもまた制度に捕捉され、貧困ライン以下の生活から脱却できるように務めることではないのか。っていうか、「アベノミクスで経済が回復」なんて言ってる一方で、低所得者の生活がより厳しくなっていることについて、国はどう説明するのだろう。

  さて、そんな生活保護基準は他の様々な低所得者向けの施策の基準にもなっている。例えば、経済的に厳しい家庭の子どもの学用品代などとして支給される就学援助も生活保護を基準としている。13年からの引き下げによって、実に38もの低所得者向け施策が影響を受け、支援から漏れる人も多く出てしまった。このことについては丁寧な検証が必要だが、この検証自体、まだできていない。制度があまりにも広範囲にわたるため、一体どういう影響が出ているのか、誰も把握できていない状況なのだ。よって、「生活保護基準を引き下げる」ための前提は、まったく整っていないどころか崩壊している。

  それなのに、またしても打ち出された引き下げ。

   結局、引き下げ額は最大5%となったが、約14%が5%になってよかった、などという話でない。その前にすでに最大10%がカットされた上での5%なのである。

  記者会見の日は、先の子育て中の女性以外にも、当事者が発言してくれた。

  精神疾患で働けず、保護を利用する女性は、ガス代がかかることから夏以外はシャワーも毎日は浴びず、食費なども限界まで切り詰めていることを話した。そういう中で突然冷蔵庫などが壊れたらどうなるか。生活保護制度は急な出費にはなかなか対応してくれない。

  また、昨年まで生活保護の現場で働いていた元ケースワーカーの男性は、前回の引き下げの際、窓口で生活保護利用者に「なんで下がるんですか」と問われて答えに窮した経験を話した。

  「『いや、それは国が決めたことです』と言うと、『どうしろというんですか。死ねというんですか』とまで言われるんですよ、現場のワーカーは。それはきついですよ。それで今回また下げる。香典が出せないから友達付き合いができないとか、様々な実例があるんですよ。それをぜひ聞いて頂かないと」

  この日、精神障害があり生活保護を受ける男性は、「私たちのことを私たち抜きで決めないで」と訴えた。まさにこの一言に尽きるだろう。なぜ、当事者の声をまったく聞かずに勝手に決めてしまうのか。

    今回の引き下げで懸念されるのは、過度な節約から命や健康が脅かされることだ。

  例えば私が取材した実感では、多くの人が電気代の節約のため、夏の猛暑の中でもエアコンをつけることを我慢している。少し前に話を聞いた、生活保護を受ける86歳の男性は、部屋にエアコンがあるもののほとんど使わず、扇風機で凌いでいることを話してくれた。理由はやはり、電気代だ。が、16年夏、熱中症で救急搬送されたのは5万人以上。死者は621人。亡くなるのは圧倒的にお年寄りが多い。今でさえ、ギリギリの節約をしているのに、そんな中での生活保護引き下げが何をもたらすのか。死者が出てからでは遅いのだ。

  一方で、生活保護基準以下で暮らす低所得層への対応も重要だ。

  10年、さいたま市では76歳の男性が熱中症で死亡している。十数年前に生活保護を申請したものの認められず、10年間、電気やガスのない生活をしていたという。男性は48歳の長男と同居していたが、長男は腰痛などで働けず、二人は2ヶ月で十数万円程度の男性の年金で生活していた。

  また、07年には北九州で生活保護を打ち切られた男性が「おにぎり食べたい」というメモを残して餓死した事件が注目された。

  そのように大きく報道される餓死事件がある一方で、この国で行き倒れ状態で亡くなる「行旅死亡人」の数は、毎年500から800人にのぼる。

  餓死したり凍死したり行き倒れたり熱中症で亡くなったり、そういう時だけ同情の声が上がり、「自己責任」という言葉が一瞬後退する。だけど、少ししたらまた「自己責任」「お前より大変な人はいる」「社会のせいにするな」「努力が足りない」などの言葉が復権する。そういうことを繰り返しているうちに、生活保護という「権利」はどんどん後退し、地盤沈下していった。今、起きているのはそういうことだと思うのだ。だけど、餓死しなきゃ貧困と認められない社会なんて、もう何もかも手遅れだ。

  「いのちのとりで裁判全国アクション」では、2018年1月末まで「生活保護制度の充実を求める緊急署名」を集めている。

   賛同して頂けたら、ぜひ、署名してほしい。


 3月の確定申告、12月から帳簿等の整理を始めるが、私が納めるもので「兵器をかわないで」そんな気持ちを通り過ぎて「払いたくない!」

 爆弾低気圧も去って風はだいぶ落ち着いてきたが、今度は雪がひどい。
夕べから70㎝位積もったみたいだ。
明日もまだ1日雪の模様。
空も陸地も区別がつかん。

 


2017年を振り返って

2017年12月27日 | 日記・エッセイ・コラム

町内会の新年会ゲーム、早々とビンゴ、今年はついているのかとPCで占いのページを渡り歩いてもどれもいい。
”おみくじも良し!
”強運“の年のようだった。

正月明け、長男の結婚が決まり千葉・埼玉へ。
本当に今年はいい年になりそうだった。

でも、帰ってきたら水道管破裂で水浸し。
その“運“が訪れることなく、年末を迎えている。
しかし、先日次男から「彼女に会ってくれ」と言われ昼食を。

どうにか幸せな気分で年を越せそうだ。

 2015年10月の強風によるハウスの全壊。
そのツケが今年に現れた。

精神的にも肉体的にも限界を感じてしまった。
仕事ができない、したくない。
このままここにいたらうつになるのでは?
それほど気持ちも沈んでいた。

「わたしの人生、これで終わったな」
そんな沈み込んだ1年だった。
まだまだやりたいことはたくさんある。
でもやりたくない、動けない、気力がわいてこない。

 身体に現れる様々な異常を調べていくと”男性の更年期障害“に行きついた。
病院にもいっていたが、それを指摘する医者はいなかった。
自分で調べなければわからない?
おかしな医療体制だ。あまりにも細分化、専門化しているせいなのか?
自分で調べた結果をメモし、血液検査を依頼した。
案の定の結果が出た。

それから「ホルモン療法」が始まり5か月目。
仕事に対するやる気も徐々に回復してきた。

しかしほかの症状がなくなったわけではない。
昨年は腰痛に悩まされたが、今年はあまり痛みを感じない。
体中に出る湿疹、特に掌の大小の水泡とアカギレのような割れ。
痛くて痒くて仕事にもならない。
春の定植作業がとてもつらい。
草刈りもろくにできず、ちょっと動いただけで汗が湧き出てくる。
体重がどんどん増えていく。

 借りている農地をこのままにしておくわけにもいかず、思いきって返すことにした。
この町での農業に見切りをつけた。

 江部乙に農地を見つけた。
ここだとそれほど神経質にならなくてもいい。
体調を見ながら仕事ができる。
何より景観が素晴らしい。

オープンガーデン・オープンファームをするにはもってこいの場所だ。
来年は、体調を見ながらやっていくしかないのだ。
農業や自然、里山の風景を一般に開放したい。

それがわたしの夢だ。

 後継者がいれば。

無農薬、無化学肥料、無堆肥を実践してくれれば誰でもいい。
将来、小さな農業をしたい人。
農業やここの自然を生かして何かをしたい人。
自分の食べる野菜を作りたい人。
決して農業者になることを望んではいない。
サラリーマンでも、定年退職者でも、主婦でも構わない。

 後継者探し、これがわたしの来年の課題だ。

 社会に目をやれば、あまりのひどさに無力感さえ覚える。
命が軽んじられている。
しょうがい者施設で多数の命が奪われた。
長時間労働、セクハラ、パワハラによる自殺。
孤独な若者の自死。
ますます広がる“格差”。
政治のウソと虚構。

 わたしにできることはあまりに小さいが
心を癒す場所を提供しようと思う。
農業を、自然を、必要とする人に

 この一年ありがとうございました。
ふがいない自分がありました。
ようやく抜け出す気力だけはよみがえりつつあります。
後は、体調を見ながら進めます。

来年もご支援をお願い致します。

 里の家ファーム


アジア体験的トイレ考

2017年12月26日 | 社会・経済

アジア体験的トイレ考 経済発展の結果、普及する水洗トイレ

 

格差にともない広がり方はまだら模様

柴田直治  ハフィントンポスト2017年12月22日

 

   シンガポール建国の父、リー・クアンユー元首相は生前、「東南アジアにとって20世紀最大の発明はなにか。それはエアコンだ」と語っていた。エアコンが暑さから人々を解放し、より長時間の勤務や思考を可能にした結果、経済が大きく成長したというのだ。東南アジアで暮らした体感からすると、うなずかされる考察である。そのひそみに倣えば、経済発展の要因がエアコンなら、その結果は水洗トイレの普及ではないかと私は考える。もちろん経済発展に伴う格差の拡大と同様に、トイレの広がり具合も各地でまだら模様だ。アジアでは、携帯電話の普及率が家庭用トイレのそれをはるかに上回る現実が横たわる。

                      ◆

   バンコク中心部に「ターミナル21」という商業施設がある。地下鉄と高架鉄道が交差するアソーク駅につながり、各階をローマ、パリ、東京、ロンドン、イスタンブール、サンフランシスコと名付け、売り場をそれぞれの都市の雰囲気で飾りつけている。

 開業後1年半たった2013年に初めてこのモールを訪れた私はトイレに入って驚いた。個室のすべてに日本製の温水洗浄機が備えられているのだ。中東からアジアにかけてよくみかけるホース式の手動洗浄機ではない。いわゆるウォシュレットだ。4年後のいまなら他の都市でもそうした施設があるかもしれない。だが当時、日本でこそデパートなどだれでも入れる公共のトイレに温水設備はあったが、アジアでは高級ホテルの部屋はともかく、大衆が利用する場所では考えられないことだった。私はトイレに座りながら、この街の、そしてアジアの変容に感じ入った。

   私が初めてバンコクを訪れたのは1977年の1月だった。滞在した安宿は、ファランポーン駅近くの中華街にあり、香港の九龍城ほどではないにしろ、苦力と売春婦が跋扈する魔窟を思わせるたたずまいだった。宿のトイレは共用。水洗ではなく、紙もなかった。

  その3か月前の1976年10月、王宮近くのタマサート大学で集会を開いていた学生らが右翼集団や警察官らに襲撃、虐殺され、その直後にクーデターで軍が実権を握っていた。

 1973年に民主化を求める学生らの決起を発端に退陣、亡命に追い込まれたタノーム元首相の帰国に反対する集会だった。「血の水曜日」と呼ばれる事件の余韻が残る街は、よどんで暗く感じられた。

  1980年代、90年代にもたびたびバンコクを訪れ、2005年から4年間は新聞社の特派員として駐在した。その間にも軍と反政府団体が街頭で衝突する流血の惨事や、戦車が道行くクーデターがあった。それでもビルはぐんぐん高くなり、道路や鉄道は整備されていった。町はきれいに華やかかになった。そしてこの便座!

                     ◆

  私がアジアのトイレに関心を抱くようになったのは、大学を休学して放浪していたインドでの出来事がきっかけだ。1976年の暮れ、タージマハールを訪れるため、乗り合いバスでデリーからアグラへ向かった。当時の道はがたがたで埃っぽかった。道中便意を催し、休憩時にトイレを探したが、ない。致し方なく藪に飛び込んでコトを済ませ、持ち歩いていたトイレットペーパーをリュックサックから取り出そうとした瞬間、野ブタがうめきながら私の排泄物めがけて突進してきた。私はしゃがんだまま必死に逃げた。野外でしたのは人生で初めてだった。恐怖が頭に焼き付く痛烈な体験だった。

  余談だが、カンボジアでは高床式の家のトイレで大便をすると階下で飼っている豚がすぐ処理してくれた。フィリピンとマレーシアの境界のスールー海の浮かぶシタンカイ島では、養殖生け簀のうえにトイレが設置してあり、ポトンと落ちると魚が一斉に食いつく。夕食には豚や魚が食卓にのるのだが,どれもまあふつうに美味しかった。

                     ◆

  2013年、私はデリーからアグラ行きのバスに再び乗った。国連が「世界トイレの日」(11月19日)を制定した機会に、原体験をたどりながらインドのトイレ事情を調べ、新聞のコラムに書くためだ。

  この路線はすでに片道4車線の高速道路が敷かれ、渋滞もなく快適だった。サービスエリアがあると停車し、トイレを観察した。個室にはどこもホース式の洗浄機がついていた。一部で便座がなく、水の流れない便器もあったが、まずは合格点だ。37年を経て、道もトイレも相当整備されているなと思ったが、これはあくまで幹線の話だ。

  続いてデリーから列車と車を乗り継ぎ、同国北西部に広がるタール砂漠近郊を訪ねた。ラジャスタン州チュル県の村々が全世帯にトイレを設置し、「脱・野外排泄」を相次いで宣言したからだ。

  乾いた大地を水牛やラクダ、ヤギがゆったりと歩く。点在する家々には確かに真新しいコンクリート製のトイレ兼水浴び場が別棟として建てられていた。天井にタンクが備えられ、井戸からの水がくみ上げられている。

  この地の女性は結婚すると薄いベールで顔を隠す習慣がある。チャンゴイ村の主婦ムケッシュ・シンさんはその隙間から、トイレが設置された2カ月前の感激をぼそっと語ってくれた。

 「人生が変わった」

  それまでは壊れた水浴び場しかなかった。暗いうちに起きて、1キロ以上も離れたところに用を足しに行った。お客さんが来ても同じように外に行ってもらうほかなく恥ずかしかった。主婦バンワリ・デビさんも「トイレが出来るまでは毎朝2キロは歩いて用を足していたが、周囲がくさかった」と話した。

  村は人口3870人。デビ・ラム村長によると、870世帯のうち45世帯が半年余りで一気にトイレを建設した。その結果、全戸の設置が確認され、県から表彰された。

  チャンゴイ村だけではない。人口約200万人のチュル県の900村のうち約半数が、わずかの間に「脱」を宣言した。2012年12月に就任したロヒット・グプタ県長官が、「脱」100%の目標を掲げ、ロゴを定めて「チョコチュル」(美しいチュル)キャンペーンを進めた結果だ。

  キャンペーンプログラムは、5日間のコースで公衆衛生の臨時スタッフを養成し、村々に派遣する。トイレの大切さを説き、建設を促す。住民が自宅でトイレの建設に取りかかれば、労賃を払うほか、完成したトイレの写真や書類を提出すれば国庫から9100ルピーを支払う。村人からボランティアを募り、野外で排泄する人の数をチェックしてもらう。役所の職員に担当地区を割り振り、定期的に巡回。野外排泄がなくなったと確認すれば、村を表彰する。県庁の壁に村のリストを大きく掲示し、脱・宣言した村を色分けしてゆく。住民の尊厳とプライドに訴え、村単位の競争を促した。

  グプタ長官は「外でやる方がリフレッシュ出来る、家を汚さなくて済む、と考える人は多い。建設もさることながら、習慣を変えることが大切だ」と説明した。グプタ氏は名門インド工科大を出てドイツに留学。モトローラの関連会社に勤めたエリートだが、やりがいを求めて公僕の道を選んだ。

  トイレ設置の推進は、一部の自治体が熱心だ。県主催の合同結婚式に参加する新郎は自宅にトイレがあることを証明しなければならない「ノートイレ ノー花嫁」キャンペーンを展開する自治体もある。だが全国を見渡せは、劣悪な環境改善の道のりは険しい。

                      ◆

  世界保健機関(WHO)と国連児童基金(ユニセフ)が全世界を対象に実施した2014年の調査では、日常的に野外排泄をする世界の人口(10.08 億人)のうち、約 60%(約 5.97 億人)がインドに集中する。2011年のインド国勢調査では、自宅にトイレを持たない世帯の割合は53.1%と過半数。さらに49.8%の家庭は公共トイレを利用するでもなく、野外排泄を習慣としている。

  トイレがないなどの衛生環境の悪さが原因で、インド国内で5歳以下の子ども1600人が毎日、下痢、コレラ、腸チフスなどで死んでいる(インド政府の2013年の調査)。国連は世界で2000人の子どもが毎日、同様の症状で死んでいるとしており、その多くがインドということになる。

 衛生問題とともに、インドでは性犯罪との関連も見逃せない。

  2014 年 5 月、デリーから300㌔南東のウッタル・プラデシュ州バダウン地区の村で、14歳と12歳のいとこ同士の少女2人が5人の男に集団レイプされ殺害された。遺体はマンゴーの木にぶら下げられていた。2人の自宅にはトイレがなく、夕食後、用を足すために近くの畑に向かうところで被害にあった。

  インドの性犯罪のむごさはしばしばニュースとなるが、自宅にトイレのない女性が深夜や未明に外出して用を足す際に狙われるケースが被害の相当数を占める。チュル県の女性や、続いて取材した「脱・野外」宣言のハリヤナ州ハルマティラ村の女性らも、トイレがなかったころはトラックの運転手らから猥褻な言葉を掛けられるのが怖かったと口をそろえていた。インドのNGOが2012年に調査したところ、デリーのスラムに住む少女の7割が、野外排泄中に男からひわいな言葉を掛けられ、そのうち半分がもっと深刻な被害にあっていたという。

                      ◆

  ニューデリーに本拠を置く「スラブ・インターナショナル」はトイレ環境の改善と、汚物を運ぶ不可触民と呼ばれる人々の解放をめざすNGOだ。1970年の創設以来、全国130万の家庭にトイレを設置し、8000カ所の公衆トイレを建設してきた。解放した人々の職業訓練校やその子どもたちが通う学校も創設した。本部には、世界のトイレの歴史をたどる「トイレ博物館」が併設されている。その展示によると、「水洗トイレはインドで発明された」という。だがトイレに関していえば、いま世界で最も遅れた国はインドだ。スラブの創始者ビンデシワル・パタク氏は「政府はいつも計画倒れ。口だけだ」と批判する。「トイレのグル」(導師)と称され活動家の言葉は重い。

  むろん政府が何もしてこなかったわけではない。初代首相ジャワハルラール・ネルーはドイツを訪れた際、祖国が発展するのはいつかと尋ねられて、「インドの全世帯にトイレが設置された時です」と答えたという。

  つまり独立後間もないころから政府にも問題意識があったわけだ。1986年には「中央地方衛生プログラム」を策定し、野外排泄撲滅に乗り出した。ネ独立時にネルーが率いた国民会議派のマンモハン・シン政権は2011年、「クリーン・インディア・キャンペーン」を始めた。2022年までに野外排泄を根絶するとして公衆衛生予算を増やし、自治体の動きを後押しした。

  2014年5月の総選挙で、ナレンドラ・モディ氏率いる人民党が国民会議派を大差で破り、政権の座についた。国民会議派の政策の多くを批判してきたモディ氏だが、トイレについては前政権を引き継ぎ、より力を入れると表明した。モディ氏は「寺よりトイレ」と宣言し、国民を驚かせた。ヒンドゥー教至上主義者とみられてきたモディ氏が宗教より衛生を優先させると宣言したからだ。

  モディ首相は「我々の母親や姉妹が野外で排泄しなければならないことほどの苦痛はありえようか」「独立から60年たっても男女別のトイレを学校に設置することができず、それゆえに学齢期の女子学生が学業を断念している」と演説し、「スワッチ・バラット・アビーヤン」(Swachh Bharat Abhiyan=クリーン・インディア運動)をスタートさせた。国父マハトマ・ガンディーの生誕150周年となる2019年10月2日までに、1・96兆ルピーを支出し、1200万のトイレを地方に設置。小中学校のトイレや公衆トイレなどを整備するとともに、家庭内にトイレを設けるよう啓蒙活動も展開するとした。

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  トイレ対策に力を入れる背景には、国連などからたびたび野外排泄の多さを指摘され、威信が傷つけられたと感じる大国意識がありそうだ。先に紹介したWHOとユニセフの調査報告書には、 1990年から2012年までの23年間に、野外排泄の大幅な削減に成功した10か国が記載されている。ネパールでは86%から40%に、バングラデシュでは34%から3%に、パキスタンでは52%から23%に減っている。一方インドは74%から48%と、近隣諸国に比しても改善が進んでいない現実が突き付けられている。

  経済的な損失が半端でないことも政府や官僚に+意識されつつあるようだ。世界銀行グループの調査(2016年)によると、インドでは、トイレや野外排泄の場所を探す時間が、国内総生産(GDP) の20%に相当する100億ドル以上の生産性損失となっているという。

  それでもモディ首相の掛け声ほどには、運動は進展していないようだ。政府は2016年3月末までの1年間に、都市部の世帯に250万のトイレを設置する目標を掲げていたが、都市開発省によると、年度末までに実際に設置できたのは132万にとどまり、目標を46%下回った。

  ニューデリーやムンバイには高層ビルや巨大モールが林立する。地下鉄が走り、新幹線が計画されている。核兵器を開発し、人工衛星を飛ばすIT大国であり、世界最大の民主主義国家を標榜するインドで、国民の半数以上がトイレのない暮らしをしている。私は、トイレと野外排泄の取材で滞在中に面談した政治家や官僚、学者らにこの現状について問い続けた。「それってちょっとおかしくないですか?」。自宅にトイレがあり、野外排泄と縁がないであろう相手方は一様に憮然とした顔つきになり、「インドはまだ途上国だから」と、不快そうに言葉を濁した。

  「トイレで人生が変わった」。その経験はタール砂漠の村の主婦だけのものではない。地域や貧富を超え、戦後のアジアで共有されてきた記憶のひとつではないか。

  「西欧による世界史支配の終焉」を唱えるシンガポールのリー・クアンユー公共政策大学院のキショール・マブバニ院長は、著書で子ども時代をこう振り返っていた。

  「暮らしがいつ近代世界に入ったと思うかと尋ねられたら、間違いなくわたしはトイレが水洗式になった日だと答えるだろう。その日、わたしの生活は、魔法のように変化した。前よりも尊厳ある人生を送れるような気分になり、いつ来客があっても前ほど困惑せずにすむようになった」。

  来客への羞恥ということでいえば、フィリピンのイメルダ・マルコス元大統領夫人(現下院議員)の伝記のなかに、夫マルコス氏が初めて夫人の実家を訪ねた時、トイレが洋式でなくて恥ずかしい思いをした、というくだりがあった。後年、同国下院の部屋で夫人にインタビューしたとき、議員の部屋には通常設けられていないトイレを特別に設けていたことが印象に残っている。

  昨今、外国を旅してトイレの汚さにうんざりする日本人は多い。とはいえ日本でも国鉄(現JR)時代の駅や車両のトイレなどは相当汚く、できれば使いたくない代物だった。10年余前まで垂れ流し式の列車も走っていた。中国で、隣との仕切りのないトイレに閉口した旅行者は多いだろうが、習近平政権も「トイレ革命」を推進しており、都市部を中心に状況は急激に改善されているという。

 経済発展につれ、アジアの公衆トイレすべてが快適になる。そんな日が早く来ることを願う。

 

(注)この文は、2017年12月発行の「近畿大学国際学部紀要第2号」掲載の原稿に一部手を加えたものです。文中登場人物の肩書や人口、世帯数などのデータは取材当時のままです。 


きょうは一日中猛吹雪。
雪かきをやってもやってもどんどん溜まっていく。
顔には突き刺さるような風と雪。
覆面が欲しい。

雪の量としてはそれほど多くはないのだが、強い風に運ばれてできる吹き溜まりがひどい。
ひどい所では胸まであった。

明日は朝から砂川の病院まで行かなければならない。
少しばかり風も弱くなるようだが、さほどではないようだ。
運転していて、一番怖いのは大型トラックによる追い越しだ。
巻き上げる雪で十秒以上何も見えない時がある。
急ブレーキをかけては後続車が危ない。
スピードを落として進まなければならない。


「まつり」がいない、2度目のクリスマスです。

2017年12月25日 | 社会・経済

【電通】高橋まつりさんの死から2年。母の手記「パワハラも、人のいのちを奪います」

     娘の「まつり」がいない、2度目のクリスマスです。

 

  朝日新聞デジタル   2017年12月25日

 

 「電通、意識改革は遠く難しい」 高橋まつりさん母手記

  2年前のクリスマスの朝、広告大手・電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24)は自ら命を絶った。命日の25日にあわせ、母幸美(ゆきみ)さん(54)は昨年に続いて手記を公表し、「大切なまつりを失った悲しみと苦しみは一生消えることはありません」と胸の内を明かした。まつりさんの遺骨の一部は今年、東京・高尾山近くの霊堂に安置された。働き方改革が叫ばれた一年だったが、今年も過労で倒れた多くの人々がこの霊堂にまつられた。

      ◇

 

手記

 

                         高橋幸美

 

2017年12月25日

 

娘の「まつり」がいない、2度目のクリスマスです。

   毎朝目覚めるときに、まつりが生きている世界に戻っているのではないかと、未(いま)だに淡い期待を抱き続けています。

 目の前にあるのは元気なまつりの姿ではなく、まつりが眠る赤い箱です。

 労災認定されてからも辛(つら)く苦しく、まつりを思わないときはひと時もありません。

 まつりは私の生きる理由であり、まつりを語るとき、その姿はあらゆるところで蘇(よみがえ)り生き続けます。

 

 ちいさい頃から人生を自分の選択で懸命に生きたまつり。

 最後も最善の選択をしてくれると信じ切っていました。

 まつりの尊厳を守れるのは私しかいない。

 まつりの後を追うことは許されない。

 必死の2年間でした。

    電通は1991年に社員の大嶋一郎さんが亡くなられた後に、「不幸な出来事が二度と起こらないよう努力します」と誓いました。

 しかしその後も電通は、改革を行うことなく法律違反やパワハラを続けて、何人もの犠牲者を出しています。

 そして、まつりも長時間労働とパワハラとセクハラの犠牲となりました。

   まつりの死によって、不夜城といわれた電通の灯(あか)りは22時に消えることになり、会社は「労働環境の改革を2年でやり遂げる」と再び宣言しました。

   立派な改革案が提案されていますが、いまだに電通社員は「自分たちは厳しい上下関係や深夜勤務を乗り越えて成長してきた」という成功体験に囚(とら)われていて、意識改革は遠く難しいと思います。

   会社も社員も非常識な文化や成功体験を捨て、改革への意識を共有して、本気で実行に向かわなければ、また不幸な出来事を繰り返すことになります。

 今年10月、電通は労働基準法違反により、刑事裁判で罰金50万円の有罪判決を受けました。

 人のいのちが喪(うしな)われているのに責任があまりにも軽すぎます。

 判決時に労働基準法違反による過失致死として、罰則を強化して欲しいと訴えました。

 労働基準法違反により過労死を起こした会社名を公表し、罰則を強化するように法律の改定が必要だと思います。

 会社責任だけでなく、裁量が与えられてない部下を管理する上司の責任も重大です。

 労働時間の過少申告を指示していたまつりの上司が、刑事責任に関して不起訴処分になったことは大変無念です。


パワハラも、人のいのちを奪います。

   パワハラやセクハラは絶対に許されるべきことではありません。

   安倍総理大臣が働き方改革を必ず成し遂げ、平日の残業の上限規制を1か月100時間未満にすると約束されましたが、過労死ラインを超える長時間労働を認めることになり、たいへん疑問が残ります。

   ヨーロッパ諸国のように、11時間の勤務間隔をあける勤務間インターバルの義務付けこそが必要だと思います。

 労働時間規制の例外の拡大は絶対にあってはなりません。

 眠らないで生きられる人間などこの世にいるはずないからです。

 電通の労働改善も、政府の働き方改革も、どうしてまつりの生きていた時にできなかったのでしょう。

 もしこれらが実現していたら、まつりは生きて自分の夢に向かって社会に貢献していたでしょう。

 まつりの苦しみは消えることはなく、どんなことをしてもまつりは生きて戻ってくることはありません。

 大切なまつりを失った悲しみと苦しみは一生消えることはありません。

   私たち親子の名前がこんな形で日本に知れ渡ることは私たちの望みではありませんでした。普通の生活をして普通に幸せになりたかったのです。

   私たちのような不幸な親子を増やさないために経営者や従業員、すべての人の意識を変えて、日本の社会全体で働く人の命と健康を守って欲しいと思います。


こちらはだんだんと風と雪が強くなっています。
ホワイトアウト寸前といったところです。
これからますます危険な状態になっていきます。
はやめのご帰宅がよろしいでしょう。


低気圧が猛発達「爆弾低気圧」に

2017年12月24日 | 自然・農業・環境問題

 やっぱり「爆弾低気圧」という言葉を使いたい。爆弾のように人の命を奪うものだから。
クリスマスは大荒れの予報だ。クリスマスで家族や友人とお出かけの予定もあろうが、この「爆弾低気圧」、バカにしてはいけない。
 北海道では吹雪に、北陸では大雪に注意ということだ。

 

 

 25日(月)から27日(水)頃にかけて、日本付近は強い冬型の気圧配置となる。

 日本海と本州の南岸を2つの低気圧が急速に発達しながら北東へ進み、25日の夜には、1つにまとまってさらに発達する見込み。

 低気圧は北海道から離れつつ猛発達を続け、まるで台風のような960hPa程度まで気圧が下がる予想となっています。

 

 

 最も発達が急な時期には、24時間で30hPa程度も気圧が下がる予想

上空に強い寒気が流れ込む26日から28日頃にかけてが、年末の寒さのピークとなる模様。
予想される最大瞬間風速は、北海道40メートル、東北35メートル、北陸30メートルなどとなっています。
海上の波の高さは北海道と東北で7メートル、北陸で6メートルの大しけとなる見込みです。


今朝の最低気温―14.5℃。昼からは+1℃程に。
江部乙の納屋屋根の雪降ろしをしてきた。今夜から明日朝にかけて雨の予報だったから。
この雪が雨水をため込んでしまうととてつもない重さになる。雪と言えばふわふわの軽い感じを待たれている方が多いだろうが、さにあらず。

背丈ほどもありました。

終わったところです。

桐の花の後だから”実”なのでしょうか?
母屋の方は暖房のせいで、ようやく3時半にものすごい音と振動で滑り落ちました。
全部落ちたかと思ったら、まだ一部残っていました。


ブラック企業大賞2017 

2017年12月23日 | 社会・経済

ブラック企業大賞2017 大賞は「アリさんマークの引越社」

  日本放送協会(NHK)は「ウェブ投票賞」

   ハフポスト 渡辺一樹  2017年12月23日

 

     パワハラや残業代未払いなど、法令違反の企業について伝え、安心して働ける環境づくりをめざす「ブラック企業大賞」。12月23日に都内で授賞式が開かれ、2017年度の大賞は「株式会社引越社・株式会社引越社関東・株式会社引越社関西(アリさんマークの引越社)」に決まった。

ほかの受賞企業は次の通り。

 業界賞「新潟市民病院」

特別賞「大成建設・三信建設工業」

ブラック研修賞「ゼリア新薬工業」

ウェブ投票賞「日本放送協会(NHK)」

   実行委員会の佐々木亮弁護士は「今年は過労死や長時間労働が多く報じられた。報道で、社会に問題が明らかになるのはいいことだ。しかし、我々がしなければいけないのは、そういう事件や事故そのものをなくしていくことだ」と話した。

ジャーナリストや学者、弁護士らで作る実行委では、「ブラック企業」の定義を「労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を意図的・恣意的に従業員に強いている企業」と、「パワハラなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人」を、「ブラック企業」としている。

  ノミネートされたのは、裁判で企業側の非が確定したり、行政処分がなされたりと、社会的に明白に問題があるとされた企業だという。例年、ノミネートされた企業には授賞式への招待状を送っているが、今年も企業側からは出席がなかったという。

 2017年度のノミネート企業は以下の9社だった。

 

・ゼリア新薬工業株式会社

   2013年5月、新人研修中に男性社員(22)が自殺し、2015年に労災認定を受けた。研修中に「強い心理的負荷」を受け、精神疾患を発症した。

 ・株式会社いなげや

   2014年6月、スーパーの店舗チーフだった社員が倒れて亡くなった。2016年6月に労災認定。遺族側の代理人によると、時間外労働は96時間におよび、サービス残業も行われていたという。

 ・パナソニック株式会社

    2016年6月にパナソニックデバイスソリューション事業部の富山工場に勤務する40代男性社員が自殺。2017年2月に過労自殺と認定された。2016年5月の残業時間は100時間越えだったという。

 ・新潟市民病院

   2016年1月、女性研修医(当時37)が自殺。月251時間も残業。2017年5月に過労自殺として労災認定。

 ・日本放送協会(NHK)

   2013年7月、当時31歳だった女性記者がうっ血性心不全で死亡。2014年に過労が原因として労災認定された。時間外労働は月159時間に及んだという。

 ・株式会社引越社・株式会社引越社関東・株式会社引越社関西(アリさんマークの引越社)

   営業職だった男性社員をシュレッダー係に配転したり、懲戒解雇を言い渡し、「罪状」として顔写真を張り出すなどした。都労委は、これらは労組に入ったことをきっかけにしたもので、会社の行為は「不当労働行為」と認定された。

 ・大成建設株式会社・三信建設工業株式会社

  「新国立競技場」の工事で、三信建設工業の新人男性社員(当時23)が2017年3月に自殺し、10月に労災認定された。自殺前の時間外労働は月190時間。元請けの大成建設も、行政指導された。

 ・大和ハウス工業株式会社

   埼玉西支社の営業職だった20代男性に違法な時間外労働があったとして、2017年6月に労基署から是正勧告を受けた。2015年5月には109時間の時間外労働をしており、2016年5月に退職を余儀なくされた。

 ・ヤマト運輸株式会社

   2016年12月、神奈川平河町支店のセールスドライバーへの残業代未払いで是正勧告を受けた。2017年5月にはパート従業員の勤務時間改ざんと賃金未払いがあったとして、西宮支店が是正勧告を受けた。また、17年9月には博多北支店のセールスドライバーに月102時間の違法残業をさせていたとして、法人と幹部社員が労働基準法違反の疑いで書類送検されている。

   発表は今年で6回目。2016年度は11社がノミネートされ、広告代理店の「電通」が大賞に選ばれていた。

 


今年も電通でよかったかも。

 昨日から暖気が入ってきている。最高気温がプラスになっている。月曜日まで続くようだ。とはいえ、最低気温は氷点下10℃くらいなのです。
 江部乙の屋根雪も降ろさなければならない。この暖気を利用して屋根に上がらずに済むように。納屋は無理だろうが母屋の方は暖房を焚けば可能かもしれない。
てなわけで昼前から行って石油ストーブと薪ストーブで室温20℃くらいまでいったが、暗くなる前には落ちなかった。微小燃焼にして帰ってきた。
今日は道路から玄関までの除雪も完全には終えれなかった。
 江部乙の今年の積雪は多いように思うのだが。


冬の貴重な野菜

2017年12月22日 | 野菜・花・植物

 今日(2017年12月22日)は、二十四節気の「冬至」です。北半球では正午の太陽の高さが1年のうちでもっとも低くなり、昼がいちばん短い日。この日を境に昼間の時間が少しずつ長くなっていくことから、冬至は太陽が復活して自然界の生命力が回復する節目とされています。とはいえ、冬の厳しい寒さはこれからが本番。

 冬至にカボチャ(南瓜)を食べるという習慣があります。
冬至にカボチャを食べると、風邪をひかないと伝えられています。収穫したカボチャを保存しておき、冬になると神様にお供えをして、その後に食べたのだそう。そうやって、野菜が不足しがちな冬にビタミンやミネラルなどの栄養分を取り入れていました。

ボケてしまいました。カボチャのお汁粉つくりました。

冬の貴重な野菜。
ビーツ

もう、残り2個になってしまいました。
シバレない、寒いところに置いておけば保存可能。
しっかりした歯触りがいい。
酢漬けにピッタリです。

ヤーコン

貯蔵が難しい。カビが出始めた。急いで食べなければ。

菊芋

3種まとめて酢漬けです。

こりゃ、栄養満点や!


子どもの貧困と自己責任論

2017年12月21日 | 教育・学校

子どもの貧困と自己責任論。
湯浅誠が貧困バッシングに感じた「心強さ」とは

     「テンプレート化した貧困」からの脱却

 

 2017年12月20日  JST

 

駒崎弘樹

 経済的に苦しい家庭に食品を届け、社会資源とつなぐ「こども宅食」を運営している駒崎です。

 こども宅食が解決しようとしているのは、日本における子どもの貧困問題。

   貧困問題は「自己責任だろう」という批判が多くあります。貧困問題の背景にある構造的な要因は、なかなか簡単には理解してもらえまん。

しかし、日本の貧困問題に20年以上関わってきた湯浅誠さんは、「子どもの貧困は、自己責任論を乗り越えられる」と言います。

「子どもの貧困」をテーマにした番組で女子高生が炎上したことがありましたが、その時、湯浅さんは「心強い」と感じたそうです。それはなぜでしょうか。

 湯浅さんから見た「子どもの貧困」について聞きました。

 

湯浅誠
 
1969年東京都生まれ。日本の貧困問題に取り組む第一人者。2008年末に日比谷公園で行われた「年越し派遣村」の村長としても知られる。元内閣府参与を経て、現在。法政大学現代福祉学部教授。『反貧困』『「なんとかする」子どもの貧困』など著書多数。

 

 ホームレス問題から「貧困」の問題へ

 駒崎:今日は「子どもの貧困」というテーマで、日本の貧困問題の第一人者である湯浅さんにお話を伺っていきたいと思います。まず、これまでどんなことをされてきたのか、簡単にお話しいただけますか?

 湯浅:はい。僕は阪神大震災があった1995年からホームレス問題に関わり始めました。以来、貧困の問題を中心に20年ぐらい活動してきました。だんだん相談に乗る人の層が変わってきたんです。

  「アパートに住んでいるけど、食べていけない」という、ホームレスじゃない人が増えてきて、2000年代前半には、「もう "ホームレス問題" って言えないな」という感じになっていました。

  リーマンショック後には日比谷公園で「年越し派遣村」を開き、その後、内閣府参与として、生活困窮者自立支援法の制定に携わりました。

 (※生活困窮者自立支援法...生活保護に至る前あるいは保護脱却の段階での自立支援を行うための法律)

  現在は、大学での授業・メディア出演・執筆活動に加えて、全国の「こども食堂」を訪ねたり、Yahoo!ニュースで「貧困問題」についての発信をしたりしていますね。

 ひとり親支援を通じて、「子どもの貧困」問題に直面

 湯浅:駒崎さんは、なぜ「子どもの貧困」問題に関わるようになったのですか?

 駒崎:僕らが「子どもの貧困」問題に関わり始めたのは2008年頃からで、きっかけは「ひとり親支援」でした。すごく困っているひとり親の方々は、フローレンスの病児保育サービスの月会費がなかなか払えない。本当に必要な人に届いていないことを感じて、寄付を原資に、月々1000円払えば同じサービスを受けられるひとり親向けのメニューを作ったんです。

 その時に、ひとり親の方に話を聞きに行きました。

  そうしたら、ダブルワークしたり、トリプルワークをしたりと、ギリギリの所まで、努力されていたんです。生活保護を受給してもいいぐらいの方に、生活保護の制度を紹介しても、「私よりもっと頑張ってる人がいるんで」とか「私はそこまでじゃないんで」と言うんです。その時に、病児保育以外の手段でも、経済的に厳しい家庭のサポートをできないか考えるようになりました。

  湯浅さんが「ホームレス」から「貧困」の問題に入っていったように、僕は「ひとり親」の問題から「貧困」の問題に入っていきました。

 子どもの貧困は、自己責任論を乗り越える

 駒崎:「子どもの貧困」とは奇妙な言い方で、これは世界では普通に「貧困問題」として語られるものです。それが日本では「子どもの貧困」という言葉によって、議論に火がつきました。

 「子どもの貧困」というと、いわゆる自己責任論から切り離して議論ができています。

 「それはなんとかしなきゃ」とみんなの意識を喚起できる。そういう意味で、非常に優れた造語だと僕は思っています。

 湯浅:そこは大きいですよね。ずっと大人の貧困問題をやってきて思うのは、自己責任論の強さです
十数年ずっと戦ってきましたが、やっぱり根強い。簡単には越えられない山です。だけど、子どもは生まれる家庭を選べない。自己責任論という大きな山を最初から乗り越えているんです。

湯浅こども食堂は、みんなの意識が自己責任論を越えた一つの例です。

  地域の人たちが3、4人で自発的に取り組み始めて、一気に全国に広がった。これはものすごいことですよ。こんなこと、大人の貧困問題ではありえません。一方で、「貧困家庭の子ばかり集めてどうする」、「そんな場所には行きづらい」という偏見や誤解も生まれていて。偏見や誤解を解きほぐし、「子どもの貧困」の問題を人々にちゃんと理解してもらうために発信を続けています。

 「見えない貧困」への反省

 駒崎:我々は「こども宅食」という取り組みの中で、行政の協力を得て、経済的に厳しい家庭にピンポイントで食品を届けることができているからこそ思うのですが、やっぱり「日本の貧困は見えない」んですよ。これは、もっと知られないといけないと思います。経済的に厳しい家庭だからこそ、スマホを持っていないと仕事が探せなくて困ってしまう。周りに経済的に厳しいと思われたくないからこそ、服装には気を遣っていることも多い。

 「理想の貧困者」じゃないと世間に叩かれるというのも、ボロボロじゃないと支援するに値しないという感覚がどこかに存在している気がします。

 湯浅:そこは自己責任論とも関係していると思います。やっぱり「見えない」というのは本当に見えない。自分の主観に入ってこない、自分が見えないものに関しては、いないんだろうと思うのが普通で。

湯浅:また、自己責任論が非常に強いからこそ、僕らも「非の打ち所のない貧困」を打ち出してきたんですよ。

 「8歳の女の子がティッシュをなめて甘いと言った」という話なら、厳しい貧困以外は貧困と認めない人たちも受け入れてくれる。そういう例以外は叩かれておしまいだったので、怖くて出せなかったんです。それは、自己責任論が強い社会だからこその工夫でもありました。 しかし、それは結局、絶対的貧困に近い相対的貧困しか可視化しなくて、それ以外の人は見えないままだった。だからそこには、僕も反省がある。結局そうやって発信してきたんだよな、僕らも、って。

 駒崎:世間が貧困に抱くイメージを、自分たちが生みだしてきてしまったという反省もあるんですね。

 湯浅:そうですね。でも、子どもの貧困は、「衣食住がままならないような状態だけが貧困である」という世間のイメージを乗り越えられると思うんですよ。

 貧困によって、奪われるものがある

 駒崎:それって、どうしたらいいんでしょう。先程の話は、僕も発信の担い手として、すごく分かる。誰もつっこめない事例じゃないと社会を説得できないけど、それをやり続けていると論点がずれてしまう。

 湯浅:インパクトがないと読んでくれないしね。

 駒崎:そうなんです。「決して "理想の貧困" ではない。しかし、困っている」ということを、どのように世の中に伝えていけばいいのか。

湯浅:難しいですよね。僕もわからない。

 学校には行ってるし、きれいな服も着ている。訴え方として、インパクトがない。

 だけど、やっぱり子どもだからこそ、「修学旅行に行けない」とか「給食がない夏休みになると体重が減る」とか、そういう話に反応してくれる人はいるんです。

 だから、相対的貧困の概念は、「子どもの貧困」の問題を通して、きちんと世の中に定着させられるし、させていかないといけない。

 「必ずしも餓死するわけではないけれど、奪われてしまうものがある」ということは、慎重に、いろいろな角度から発信していくことが大切だと思います。

 「テンプレート化した貧困」からの脱却

 湯浅:去年、NHKで、貧困家庭の女子高生が取り上げられましたよね。

 番組の中では、パソコンが買えず、1,000円のキーボードだけしか買ってもらえなかったことが、相対的貧困の象徴としてクローズアップされたんです。

 そうしたら放送後に、その子が「1,000円のランチを食べていた」とか、「『ワンピース』の映画を7回観た」とツイートしているといって「ねつ造された貧困だ」と炎上してしまいました。

 実は僕、あの時、ずっとネットの反応を見てたんです。もちろん批判の声は多かったんだけど、僕らみたいな専門家ではない普通の人たちが「あれも相対的貧困に入るんだ」と声を上げてくれていて。「あんなの貧困じゃない」という声と「いや、あれも貧困なんだ」という声がけっこういい勝負してたんです。

これは大人の貧困問題に取り組んできた身からすると、ありえないことで。

 大人だったら瞬殺ですよ。「死ぬわけじゃねえだろ、なんとかしろよ」って言われておしまい。

湯浅:「子どもの貧困」だと、一般の人の中に当事者を擁護してくれる人がこんなにも現れるんです。ものすごく心強かったし、やっぱり「子どもの貧困」は受け入れられやすいと思った。

 駒崎:それは、我々はまったく気づかなかった視点です。

 僕は、「日本はなんて情けないんだ」と絶望して、結構萎えてたんですけど。大人の貧困問題でずっと世間の自己責任論と闘ってきた方からすると、「この流れいいじゃん」と感じるわけですね。

 これは、勇気づけられる話です。やっぱり、きちんと「それは違う」と言う人の数を増やしていくべく、情報を提供し続けることが大切なんですね。

湯浅:そうですね。

 最近では「テンプレート化した貧困」に対して、貧困家庭で育った子どもたち自身が違和感を語り始めて、それがメディアにも出るようになっている。「子どもの貧困」を通して、相対的貧困の概念を定着させることは簡単ではないけれど、可能性はあるはずです。

 こども食堂が提供する「隠れメニュー」

 駒崎:情報発信をしていくことはもちろんですが、直接的に「子どもの貧困」問題を解決しようと思い、月島で「こども食堂」をやったことがあったんです。やってみて気づいたのは、「こども食堂」に来てくれる子たちの中で、本当に困っている子が誰なのか見えないということでした。

 「こども食堂」は何かあった時に相談できるような、地域の繋がりができるコミュニティとしては機能している。

 しかし、それだけじゃだめだ。本当に困っている子たちにアプローチできる仕組みを作らなきゃいけないと思ったんです。そうすると「困ってる子は見えない」という壁にぶつかってしまいました。

 「こども食堂」を数多く見学に行かれている湯浅さんですが、このことについて、どのように思われますか?

湯浅:ほかの「こども食堂」でも、同じ課題があると思いますね。まず、対象を限定しない「こども食堂」が圧倒的多数なんですよ。「貧困家庭の子だけ」にすると、子どもたちが来にくくなるからハードルを下げてるんだけど、逆に言うと、誰が来てるのか分からないということです。どんな子が来ているかわからないため、「隠れメニューを増やす」ことで対応している人たちもいます。

  表立った支援メニューには書いていないけど、なにかサインが出てきたときに、制服のリユースの話につなげたり、児童扶養手当や就学援助といったサービスにつなげたりするなど、隠れメニューがパッと出せるようにしている。

 あとは、「どなたでもどうぞ」といいつつ、学校と連携して就学援助家庭に案内を出せるように注力したり、オープンなこども食堂とは別の日にクローズドな「第二こども食堂」を始めて、そっちで気になる子の対応をするとか。

みなさん走っている中でいろんな問題にぶつかるので、「こども食堂」もバリエーションが生まれています。

 行政と連携すれば、ピンポイントの支援ができる

 駒崎:その話が聞けてすごくよかったです。「貧困は目に見えない」問題に関しては、我々もジレンマに陥っていて。一方で、でも待てよ、行政は貧困家庭を知っているはずじゃないかという結論に至ったんです。

 湯浅:低所得の世帯を把握して、既に支援していますからね。

 駒崎:はい。行政が我々に協力してくれたら、貧困家庭の子どもたちにピンポイントで支援ができると思ったんです。

  場所に足を運んでもらうということが「あの子のうちは貧しいらしい」という負のレッテル貼りにならないように、食品を"届ける"取り組みとして、「こども宅食」を考えました。

 「こども宅食」はこども食堂の苗床から生まれたバリエーションのひとつであり、より対象にリーチできるように考えたものです。対象にリーチするためには行政と協力する必要があり、文京区と連携することにしました。

 裕福な人が多い地域ほど、格差が大きい

 駒崎:文京区のようにブランド感がある地区には、裕福な人ばかりが住んでいるように思われています。しかし文京区には、児童扶養手当と就学援助世帯が1000世帯ぐらいいるんです。先日、「こども宅食」の配送スタッフとして実際にご家庭に食品を届けに行ったんです。到着したお宅は一見普通のマンションで、「ここの家族は生活に困っていないんじゃないかな?」と思って、ドアを開けてみると、電気もついていなくて真っ暗だし、家具は古く、傷だらけで。

よくよく話を聞いてみると、周りの子と同じように子どもを塾に行かせてあげるために、明かりをつけないで電気代を節約したり、食費を切り詰めるためにお母さんは1日1食にしていたりするんです。本当にすごく一生懸命、子育てに向き合われていて、胸が締め付けられる思いでした。

湯浅:東京は格差の大きな自治体ですよね。

 駒崎:そうですね。

 貧困の苦しみは「他人との比較」から生まれますよね。区長いわく、文京区は23区で「離婚率」が一番低いそうなんです。だから、シングルマザーというだけで異質に見られてしまう。

 「こども宅食」を始める前に、文京区にお住まいのシングルマザーにインタビューをしたら、「私は絶対にひとり親家庭だとバレないようにしています」と言われました。

 周りにシングルマザーと伝えてもなかなか理解されないし、子どもがよくない目で見られるのが辛くて隠しているんだそうです。

 隠されていると、気づけない。でも、「こども宅食」では行政と連携することで、今まで支援者が気づけなかった人たちにもピンポイントでアプローチできる。

これからは、SOSを出せないけど、支援を必要としている状況にある人の元に、支援者が自ら足を運ぶ「アウトリーチ」が重要になっていくと感じますね。

 ■経済的に厳しい家庭の状況を知る

  ひとり親家庭の2人に1人が経済的に厳しい状況にあります。一例ではありますが、この記事を読んで、皆さんに経済的に厳しい家庭の状況を知っていただけたら、と思います。


"metoo(私も)"支持します。

2017年12月20日 | 事件

はあちゅうが著名クリエイターのセクハラとパワハラを証言 
  岸氏「謝罪します」

 BuzzFeed News Reporter, Japan播磨谷拓巳  2017/12/17

  自らが受けた性暴力について語り、連帯する「#metoo(私も)」。米国ハリウッドに端を発するこの動きは世界中に広まり、日本にも変化を生んでいる。

 BuzzFeed Japanもこの動きを後押しするため、「#metoo」に関連した記事を発信し続けている。その中で、「私も証言したい」と連絡をしてくる人もいる。

 作家・ブロガーとして有名なはあちゅうさん(本名:伊藤春香)も、その一人だ。

  大学卒業後、2009年に入社した大手広告代理店「電通」でセクハラやパワハラを受けたという。BuzzFeed Japanは、はあちゅうさんの証言を受け、複数の電通社員に話を聞き、はあちゅうさんが「加害者」と証言した男性にも取材をした。

 その男性とは、岸勇希氏。

  2004年に電通に入社し、その4年後に「コミュニケーションをデザインするための本」を出版。2014年には電通史上最年少でエグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターに就任し、2017年に独立。株式会社「刻キタル」の代表取締役に就任している。

  世界最大級の広告の祭典「カンヌライオンズ」で金賞をとるなど、国内外での受賞歴も多数ある広告業界で日本有数の人物だ。

  はあちゅうさんは当時のことを忘れられずにいたという。最近、岸氏が新たな本を出版したことで露出が増え、その苦しさが蘇ってきたこと、#metooの動きがきっかけとなり、証言することを決意した、と話す。

 以下、はあちゅうさんや電通社員らの証言、そして岸氏の回答を載せる。

 「体も使えないのか?」

  はあちゅうさんは2009年に慶應大学を卒業。同年、電通に入社した。中部支社に配属されたはあちゅうさんは、東京本社への異動を希望していた。

  岸氏は当時、すでに本を出版し、業界で著名なクリエイター。新入社員だったはあちゅうさんにとっては、憧れる存在だった。「気にいってもらえたら、早く希望の場所にいけるかもしれないという思いがありました」

 岸氏に異動に関する相談にも乗ってもらっていたはあちゅうさんが、これはハラスメントだと感じるようになったのは、中部支社から東京本社に配属が決まった2010年3月頃からだという。

  「本社に異動した頃、岸さんから『今すぐ飲みの場所に来い。手ぶらで来るな。可愛い女も一緒に連れてこい。お前みたいな利用価値のない人間には人の紹介くらいしかやれることはない』などと言われるようになりました」

 「深夜に『俺の家にこれから来い』とも言われました。当時、私は田町に住んでおり、彼の自宅は浜松町だったので、歩ける距離にありました。突然電話がかかってきて、どこで何をしていようと、寝ていても『今から来られないのか』と言われました。『寝ていました』と言うと、行かないでも許してくれることもありましたが、翌日、『お前はこの会社には向いていない。CDC(岸氏が所属していた部署)にきたら深夜対応も当たり前だぞ』と言われました」

 呼び出される時間はまちまちだったという。夜10時のときもあれば、深夜1時のときも。岸氏が眠る朝方まで帰ることも許されず、月に1〜2回の頻度で自宅に誘われた。深夜だけに友人を連れて行くわけにもいかず、家に行くときは毎回1人だったという。

  「自宅にいくと、黙って正座をさせられて、彼が作業をしているのを延々と横で見させられるか、彼の仕事の功績を聞いて、それを褒め続けたり、岸氏の嫌っている人を一緒にけなすなどさせられたりしました。そして、当時、岸氏は私の友人と付き合っていたのですが、『こうやってこの時間にお前が俺の家にいることを言ったらどう思うかな。お前が誘ってきたことにもできるからな』などと言われました」

 「『俺に気に入られる絶好のチャンスなのに体も使えないわけ? その程度の覚悟でうちの会社入ったの? お前にそれだけの特技あるの? お前の特技が何か言ってみろ』と性的な関係を要求されました。『お前みたいな顔も体もタイプじゃない。胸がない、色気がない。俺のつきあってきた女に比べると、お前の顔面は著しく劣っているが、俺に気に入れられているだけで幸運だと思え』と」

 「また当時の彼女とのセックスについて『あいつは下手だからもっとうまい女を紹介しろ。底辺の人間の知り合いは底辺だな。お前もセックス下手なんだろ。彼氏がかわいそうだ』などと言われました」

  はあちゅうさん本人だけでなく、「平凡な家庭だからー。程度の低い人間と付き合うからー」などと家族や友人、パートナーの人格を否定する発言もあったという。

  岸氏からのハラスメントから逃れたいと思ったはあちゅうさんは、岸氏の要求通り数名の友人を紹介した。「お前どうしてあんなしょうもない女紹介するんだよ。自分が何のために俺と知り合ったかなんもわかってないじゃないか。俺の偉大さちゃんと説明したの?」などと言われたこともあったという。

 はあちゅうさんは当時、紹介した友人たちに対し、「今は心から申し訳ないと思っています」と話す。

 岸氏からはソーシャルハラスメントもあったと証言する。

  「私のブログやTwitterは『考えの浅い人間のアウトプットだ』と言われ続けました。特にTwitterは、岸氏のツイートをいち早くリツイートしないと『お前なんでまだリツイートしてないの?』と言われたり、ほかのクリエイターの記事をツイートすると『お前なんであんな記事をツイートしているの』と言われたりしました」

 「広告業界では生きていけなくなるぞ」

  はあちゅうさんは限界に達し、岸氏との連絡を断つことにした。そう伝えると、岸氏からは「広告業界では生きていけなくなるぞ」などと脅されたという。

 2011年11月、はあちゅうさんは2年6カ月務めた電通を退職。PR会社に転職した。

 しかし、岸氏の嫌がらせは退職後も続いたという。

  「転職後、電通主催のリクルートイベントに登壇のオファーがありました。しかし、人事に岸氏から、『会社のオフィシャルに、はあちゅうなんか呼ぶな。あいつはどうしようもない女だ』のようなメールがあったと聞きました。関係を断ったことで、退職した後も妨害や嫌がらせは続きました」

  その後、岸氏から、はあちゅうさんへの連絡はなかった。しかし、BuzzFeed Newsが関係者への取材を始めた頃、はあちゅうさんに対し、以下のような謝罪文が急にFacebookメッセンジャーで届いている。

 Faceboo

 当時自分がとても理不尽なことをし、嫌な思いをさせた、とても苦しめたことを、お詫びしたくて連絡しました。本当にごめんなさい。当時の自分には自分なりの理由があったのだけど、それ自体が稚拙で傲慢で愚かな考え方だと改めて思い、深く反省しています。(一部抜粋、原文ママ)

 「俺は愛で言っている」本人も自覚があったのでは

  はあちゅうさんは、岸氏も “悪いこと”をしている自覚はあったのではないかと話す。

  「『俺は愛で言っている』とすごく言ってました。『全員にこんなことをしているわけではない。お前には愛があるから指導している。どうでもいいやつはどうでもいい。お前はどうでも良くないから睡眠時間を削ってわざわざ電話しているのだ』と。そう言われると彼なりの可愛がりなのかと思ってしまうところもあって、どうしたら良いかわかりませんでした」

 「一度、会社に言いますよと言ったら『会社がどちらを信じるかわかるか? 信じてもらえるわけないだろ』と言われ、悪いことをしている自覚はあるのだと感じました」

 現役社員たちの証言

  はあちゅうさんの証言について、BuzzFeed Newsは複数の電通社員に取材をした。

 はあちゅうさんのように、実名で証言する人を見つけることはできなかった。「岸さんのセクハラやパワハラの話は知っている。だが、取材には答えられない」と言って、証言を断る人もいた。

 そんな中で、数人が匿名を条件に証言をしてくれた。彼らは岸氏のセクハラ・パワハラの被害は、はあちゅうさんに止まらず、広く知られていたという。

 ある男性社員は「いつかは表に出ないといけないことでした」と語った。

 こういう証言もあった。

  「インターン担当を岸氏がやっている年があったのですが、ある女子大生のインターンが終わり、内定を受けたあと、岸氏から『家に来ないか?』と電話があったようです。入社前の学生はどこに配属されるか不安です。岸氏はそれなりの立場がある人物なので、彼がキャスティングボートを握っているのではないかと思ってしまうのも無理はないです」

 これだけでなく、別の年にはカンヌライオンズに当時インターンの女子大生を連れて行き、問題になったという。

 これらの岸氏の行動は、人事やハラスメントの関係部署でも知られていたようだ。

 はあちゅうさんは、退社後に岸氏のハラスメントについて相談するメールを複数の電通社員に送っている。

  ハラスメント関係部署の担当者からの返信には、これらの女性問題について「聞いている」と記されていた。また、対応が不十分だったことへの謝罪の言葉もあった。

 岸氏が回答「彼女への謝罪の気持ちがあります」

  BuzzFeed Newsは12月13日、岸氏が経営する刻キタルを訪問し、本人は不在だったが、質問状を提出した。15日、二度目の訪問で岸氏本人と対面し、「書面で回答する」との返事があった。

 岸氏は16日午後5時55分、「Buzz Feed様からの取材について」との見出しでBuzzFeed Newsの質問状とその回答をネット公開した。公開に関して、BuzzFeedへの事前の連絡はなかった。

 「経緯と反省」という書き出しから始まっている回答。

  「ショックを受けましたが、まず彼女への謝罪の気持ちがありますし、当時自分がしたことが理不尽であったという認識が今はありますので、きちんとご回答すべきだと思いました」

 罪した上で、はあちゅうさんが証言するハラスメントに「事実と、事実ではないものが混在している」という内容だった。

 以下、岸氏の回答を載せる(回答は原文ママ)。

 ●電通在籍時代に、セクハラ、パワハラをしていたという認識はあるか。

  彼女を傷つけたことを現時点では強く認識しております。現時点ではと書かせて頂いた理由は、当時は(8年前だと思いますが)、私の認識や理解が未熟で、後輩への指導とハラスメントの境界が、正しく認識できていなかった為です。

  ここ数年、自分がハラスメントや差別問題に興味を持ち、学んでいく過程で、自分が過去に人を傷つけていたことに気づきました。今頃にしか気づけなかったことは、大変恥ずべきであり、情けなく、ただただ申し訳なく思っております。今更ではありますが、自分の言葉でお詫びをすべきだと考え、Facebookのメッセンジャーで謝罪をした次第です。

 ●交際関係にない男性社員が相手の意に反して、女性社員を自宅に呼び出すことは問題行為であるという認識はあったか。

  8年前のことで、全ての詳細を記憶できていませんが、少なくとも「深夜の呼び出し」は事実です。ただ、それに至る前後の文脈については、補足をさせて下さい。

 また「性的な関係を要求したこと」に関しては、否定をさせて頂きます。

  当時私は管理職ではなく、彼女とは所属部署も違っていたので、基本その方との関係は、直接的な部下や、直接仕事をする間柄ではありませんでした。仕事のノウハウや企画書の書き方をアドバイスする、先輩後輩の関係でした。彼女の配属が決まった日に、私の席まで来て(それが初対面)、アドバイスをしてほしいと依頼を受けたのが知り合うきっかけだったと記憶しております。

  そもそもここは大きな反省点ですが、当時私は自宅を仕事場としても使っておりました。スタッフを招いて、夜な夜な仕事を完成させるということ自体は頻繁に行っておりました。彼女へのアドバイスも、部署も異なり、一緒に行っている仕事ではなかったこともあり、私の都合で自分の仕事が終わる深夜に、私の家で行うことが何度かあったと記憶しています。また仕事の完成度を妥協させないため、明け方まで企画作業を続けたことはあったと思います。当時は自分にも他人にも心血を注ぎ、仕事の質を高めることが何よりも重要で、本人のためになると私が一方的に考えており、それを押し付けていた行為であったと深く反省しております。

  また知り合って時間が経つにつれ、私が彼女のことを、後輩というよりは友人のように認識していたことは否定できず、仕事以外にも友人として家に招いたことも、少なからずあったように思います。彼女にとって私は先輩であったことを考えると、家に招くこと自体も、彼女にとっては大きな心理負荷であったと、ただただ深く反省しております。

  いずれにせよ働き方の観点からも、何より交際関係にない異性を深夜に家に呼びつけることも、極めて非常識であり、不適切だったと猛省しております。

 ●Facebookメッセンジャーで謝罪文を送っている。具体的にどのような行為に対しての謝罪なのか。

  Facebookメッセンジャーでの謝罪については、前述のとおり、自分が彼女を傷つけていたと認識した以上、謝るべきだと思ったから他ありません。

  謝罪の対象についてですが、特定の事象に対してということではなく、彼女がこの件について、8年経った今でも、不快に思い、苦しめていることを認識したことに対してのものとなります。ただ特に、彼女が選択したキャリア・プロセスが、それまで私が彼女に指導してきた方向性と異なるものだったことに対して、私が憤り、以降彼女とのコミュニケーションを断絶したことについては、私がただただ未熟で稚拙だったゆえの行為であり、彼女を追いこみ、深く傷つけたことだと、謝罪したいと考えております。

  当時の私が、彼女のスキルアップを真剣に考えていたのは本当ですが、必要以上に憤り、威圧的な言葉をぶつけたことは事実であり、思い返し反省しております。

 8年もかかってしまいましたが、お詫びのメッセージを送った次第です。

 ●人格を否定するような行為、発言はあったか。

  議論や指導において白熱して、威圧的な発言や追い込む言動をしてしまうことは少なからずあったと認めます。傷つけた方にお詫びできるのであれば、直接謝罪させて頂きたいと考えております。

 ●電通主催のリクルートイベントに、(はあちゅうさんへ)登壇のオファーがあった。それについて人事局に対し、登壇をやめさせるようなメールを送ったのか。

 「登壇をやめさせるよう相談した」ことは事実です。ただしこれは明確に理由があります。
当時、彼女が電通退職後に勤めていた会社は、この時ちょうど、ステルスマーケティング(お金を払って人を並ばせた)の類で、何度か炎上騒ぎを起こしておりました。当時私はWOM協議会というクチコミマーケティングのガイドラインの策定に携わっており、やらせや、ステマを防ぐための、全社共通の決まりを制作しておりました。そのような状況でしたので、遵守を呼びかける立場の会社が、ステマで炎上している企業の人間を、リクルーティング活動で登壇させることは不適切ではないかと考え、その点を人事局に申し出たという経緯になります。当時この議論、プロセスについては、私だけではなく上長を含め、周囲の人間と相談しながら行っております。
 後日人事局の担当者から、「ステマで炎上しているのは事実だが、彼女が勤めている会社もWOM協議会に参加しており、ガイドラインの遵守を認識しているので、問題はない」との見解があり、私もこの要請を取り下げ、実際に彼女が登壇される結果になりました。

 ●当時、大学生だったインターンをカンヌ国際広告祭まで連れて行き、社内で問題視されたとの証言がある。これは事実か。

  カンヌ現地で、セミナーやイベントに一緒に参加した大学生はいます。ただし、「カンヌ国際広告祭まで連れていき、」とありますが、明確に私は連れていっておりません。彼女は学生コンペに熱心に参加しており、自身の勉強のため自費で、自分でカンヌまで来られていました。

 (回答は以上)

 

回答をみて、はあちゅうさんの反論

 岸氏の回答を受けて、BuzzFeed Newsは改めて、はあちゅうさんに話を聞いた。

  まず、岸氏の回答の中で、性的関係の要求を否定している点について、「体も使えないのか?」などの性的な発言があったことを繰り返した上で、こう述べた。

  「部屋のワークスペースにはベッドもあり、なぜかパジャマ姿で出迎えるときもあった。そもそも一緒に仕事をしていないにも関わらず、私だけ部屋に呼び出したのはなぜなのかわかりません」

  さらに登壇妨害について、「当時、彼女が電通退職後に勤めていた会社は、この時ちょうど、ステルスマーケティングの類で、何度か炎上騒ぎを起こしておりました」(岸氏)との説明に対しては、炎上騒ぎは、はあちゅう氏の入社前のことであり、時期が異なることを指摘した。

 その上で、次のように話す。

  「BuzzFeedさんへの通達なしに先手を打つかたちで岸さんがご自身のメディアで文章を公開したことに関しては、謝罪よりも保身の意図を強く感じ、非常に残念に思っています。岸さんに対しては、特にお伝えしたいことはありません」

 「ただ、こういった文章が一方的に公開されたことで、当事者同士で、すでに片が付いたことだと傍目に認識されるのであれば、これほど悲しいことはありません」

  「岸さんの文章は、数年に渡るセクハラ・パワハラがまるで友人、先輩としての立ち位置からの行き違いであったかのように印象を操作するような表現でしたが、実際に私が体験したこととはかけ離れています」

  「今回、自分の今後の活動や人間関係への影響も考えたうえでこの件を実名で明るみに出そうと思ったのは、こういった方が業界で権力を持ち続けることで、人知れず泣き寝入りする女性が私以外にこれ以上増えないでほしいという思いからです。不正なことを正す動きが世の中に広がることを心から願っています」

 電通の対応は

  2015年10月に過労自殺した高橋まつりさん(当時24)。高橋さんは亡くなる前、Twitterにセクハラ・パワハラがあったとも思える内容を投稿していた。

 「私の仕事や名前には価値がないのに、若い女の子だから手伝ってもらえた仕事。聞いてもらえた悩み。許してもらえたミス。程度の差はあれど、見返りを要求されるのは避けて通れないんだと知る」

 「男性上司から女子力がないと言われる、笑いを取るためのいじりだとしても我慢の限界である」

 セクハラ・パワハラに甘い企業体質があるのではないかという批判は、この時にも出た。ただ、BuzzFeed Newsに証言した社員の中には「電通は変わってきている」という声もあった。
 今年春にある局長が度重なるセクハラとパワハラで専任部長(役職最下位)に降格する人事があった。局長から専任部長まで下がるのは異例だ。
 外部機関に相談する窓口が設置されたり、インフォメーションが流れたり、以前に比べてセクハラ・パワハラを相談しやすい環境になったとある女性社員は話す。

 告発は社内だけでなく、クライアントやプロダクションからもあがっているという。
しかし、また別の社員はこうも話す。

  「降格処分はされるが、謹慎はないのか。懲戒はないのかと思ってしまう。セクハラ、パワハラをした人物に対して処罰が甘いのは事実です」

 はあちゅうさんも岸氏もすでに、電通を退職している。しかし、セクハラ・パワハラの疑いは電通在籍時にあった。

  BuzzFeed Newsは電通に「セクハラやパワハラがあったか認識していたか」「男性社員が相手の意に反して、女性社員を自宅に呼び出すことは問題行為であると認識しているか」などの回答を求めた。

 12月14日、広報部名義で以下の回答があった。
①岸氏は既に退職しているので、電通で答える立場にありません。
②社員に関することは、個人情報であり、社として一切申し上げられません。
今後もセクハラ、パワハラに関しては厳しく指導してまいります。

 セクハラ・パワハラは業界全体の問題

  ハリウッドの敏腕プロデューサー、ワインスタイン氏はその地位と権力を利用し、仕返しを恐れた女性たちは長く声を上げられなかった。

 電通の男性社員からは、次のような証言もあった。

  「広告業界はクリエイター信仰が強いです。岸氏が飛び切り目立っているだけで、スタークリエイターのパワハラやセクハラの噂なんて掃いて捨てるほどあります」

 「テレビ局なんかもそうだと思いますが、人が資本の会社は異動や配属も人によるところが大きいので、セクハラに逆らいにくい環境があります。それを利用する悪い男がたくさんおり、一方でそれを積極的に利用する女性もいます

 この男性は「電通のような代理店は加害者にもなり、被害者にもなり得る。業界全体の問題だ」とも指摘する。

 「例えば、テレビ局の偉い人が電通の若いテレビ局担当にセクハラをする。クライアントの偉い人が電通の若い営業にセクハラをする事例もあります。代理店も人によっては加害者であり、また被害者になってしまう場合もあります。ハリウッド同様、マスコミ業界全体の問題なのです」

 「#metoo」の動きについて

 世界に広がる「#metoo」の動きについて、はあちゅうさんはこう話していた。

  「背中を押された気持ちになりました。岸さんのセクハラの話はもともと公に公表する勇気がなく、友人への個人的な相談のつもりでした。その方が『この話は公にするべきだ』とBuzzFeedさんをご紹介いただきました。ご紹介いただいた時点では、公表することで負う傷は、彼よりも私のほうが深いと思い、勇気が出ませんでした」

  「何の後ろ盾もないフリーランスの私が、こういったことを訴えると、普段お仕事をしている相手にも迷惑をかけてしまうし、まるで復讐をしているみたいで、パブリックな印象も悪くなる。また、私の書いている本やコラムもまっすぐな気持ちで受け止めてもらえなくなる可能性もあるし、最悪、お仕事もなくなるだろうと思って迷いました」
「けれど、#metooのハッシュタグを見て、『これは私が受けてきたことと同じだ』と思えるストーリーをいくつも見つけ、みんな同じように苦しんでいて、みんな勇気を出しているのだから、自分が公表することで、今苦しんでいる誰かが『私も公表しよう』と思ってくれるのではないかと思いました」

 いま性的被害に悩んでいる人に向けて

 最後にいまハラスメントを受け、悩んでいる人に向けて、はあちゅうさんはこう語る。

 「私の場合、自分が受けていた被害を我慢し、1人で克服しようとすることで、セクハラやパワハラ被害のニュースを見ても『あれくらいで告発していいんだ…私はもっと我慢したのに…私のほうがひどいことをされていたのに…』と、本来手をとってそういうものに立ち向かっていかなければならない被害者仲間を疎ましく思ってしまうほどに心が歪んでしまっていました」

 「けれど、立ち向かわなければいけない先は、加害者であり、また、その先にあるそういうものを許容している社会です。私は自分の経験を話すことで、他の人の被害を受け入れ、みんなで、こういった理不尽と戦いたいと思っています」

 「私はこうやって声をあげるまでに、7年かかってしまいましたし、その間、ずっと『彼のことを許せない私が悪い』『忘れられない私が人間的に未熟なのだ』と自分を責め続けていました。BuzzFeedの記者さんに話を聞いてもらい、『それはセクハラであり、パワハラでもあります』と言ってもらえて、やっと心が楽になりました。これからはちゃんとした視点で世の中が見られるようになると思います。自分が我慢すればいいと思うと、他の人の苦しさも受け入れられなくなってしまいます。『私は我慢していたのだから、みんなも我慢すればいいのに』と私のように心が歪んでしまう前に、どうか、身近な誰かに相談してみてください」

 「こういう訴えをした私が、この後どうなるのか。恐れていたように、印象が悪くなって仕事がなくなったり、面倒な人扱いされてしまうこともあるのかもしれませんが、捨て身の必死の訴えが、届く人に届けば、少しでも世の中が良い方向に変わってくれるかもしれません。そう願っています」

 

 

はあちゅうを叩く前に。「あなたの近くにも『電通』はある。声を上げよう」

 これは日本の病理です。

    ハフポス  2017年12月18日

 

駒崎弘樹 

認定NPO法人フローレンス代表理事、一般財団法人日本病児保育協会理事長、NPO法人全国小規模保育協議会理事長

 

 ハリウッドのプロデューサーがセクハラや性的暴行をしていた疑惑がニューヨーク・タイムズなどの報道で明らかになりました。
 女優のアリッサ・ミラノさんが、10月15日に、同様の被害を受けたことのある女性たちに「Me Too」とツイッターで呼びかけるように訴えたところ、世界中に#MeTooムーブメントが広がりました。

  日本でも、いち早く小島慶子さんら著名人が、#MeToo を付けて、Twitter上でご自身のセクハラ体験を告白しました。

 【はあちゅうによる号砲】

 そんな状況の中、12月17日に以下のような記事がBuzzfeedに掲載されました。

 (上記記事)

 

【追随する被害者】

 はあちゅうさんの勇気ある告発に勇気付けられ、ネット上で実名で声を出す動きも出始めました。

 政治アイドルの町田彩夏さんは、以下のように語ります。

 

  町田彩夏/まっちー  @Ayaka_m_y 

 「高橋まつりさんが亡くなったことどう思う?」「君みたいな容姿が綺麗な人がハキハキ意見を言うのが気に入らない」「女を武器にしている」「化粧が濃い」「スカートが短い」

どれも電通の選考中の言葉です。今まで怖くて黙っていたけれど未来の就活生がこんな想いをしないように声をあげます。 #MeToo

 12:56 - 2017年12月17日

 

  高橋まつりさんの過労死自殺も、長時間勤務とともに深刻なセクハラ・パワハラがあったとされていますが、いまだに明るみに出ていません。

  長時間労働については、業務時間外の消灯等の対策を進めている電通ですが、彼らがセクハラ・パワハラに対しても今後、どのような対応策を取っていくのか、あるいはこのまま沈黙を続けるのか、企業の姿勢が問われます。

 【始まる被害者叩き】

 一連の被害者の方々の「スピークアウト」に対して、バッシングも始まっています。

 はあちゅうさんに対しては、

 「普段、下品なコラムを書いているのだから、そっちもセクハラだろ」
 「セクハラ加害者に友人を紹介したお前も同罪だ」 等です。

 こうした「被害者たたき」は醜悪ですが、ネット上では「よくある」ことです。

 「保育園落ちた日本死ね」騒動の時も、保育園に入れない側の母親を「言葉遣いがなってない」と叩き、ベビーカーで移動しづらいことを嘆く親に対して「満員電車で畳め」と叩く。

 これは、「公正世界仮説」と言って、「悪いことが起きるのは、悪いところがあるに違いない」と、素朴に人間は信じ込んでしまう、という心理によって生み出されます。

 アメリカでも同様の被害者たたきは起こっていて、victim blaming やvictim shaming と呼ばれ、批判されています。

 【スピークアウトした人を、1人にさせないこと】

 こうした状況に対し、周囲ができることは、「スピークアウトした人たちを、1人にさせないこと」です。

 勇気を出して、思い出すだけで辛い思いを声に出した人たちの肩をさするような、側にいるよ、という思いを伝えることです。

 ネット上では、RTをしたり、意思表示のコメントをつけたり、いいねをしたり、ということになるでしょう。

 【女性だけの問題にしないこと】

 セクハラは男女ともに被害者になることですが、比率としては圧倒的に男性から女性への行為が多いです。

 男性側が

 「俺は今まで、やってきたことの中で、セクハラだったことってあったかな」
 「ノリで面白いと思ってたけど、あれってアウトだったのでは」
  とこれまでの行動を省察して、新しい行動規範をラーニングしていくことも欠かせないでしょう。

 さらには職場など、自らの組織にお茶汲み・女性への軽口、いじり等のセクハラ文化が根付いてしまっている場合、それをアンインストールさせていくアクションも取っていかなければなりません。

 【電通だけの問題にもしないこと】

   電通を代表する広告代理店の「業界ノリ」のダメさが今回露呈したとはいえ、これは代理店業界だけの話でしょうか?
これを、岸さんへの個人攻撃に終わらせてしまって良いのでしょうか?

   就職活動でOBに相談していたら、そのままホテルに連れていかれそうになった。クライアントとしての立場を利用して、無理やり口説かれた、なんて話は、電通以外にも、そこら中の日本企業に転がっています。

 つまり、これは日本の病理です。

 それぞれの企業で、業界で、この病理の根絶に闘っていかなくてはなりません。あなたの近くの「電通」に対し、誰かがスピークアウトしていかなければなりません。

 みんながみんな実名でスピークアウトできないだろうから、匿名でのスピークアウトも受け止め、意思決定者に繋げるようなフローも作っていかなければなりません。

 企業側としてみたら、人材不足が進行する中で、優秀な人材を仕事以外のくだらない理由で潰されたり、失ったりするわけです。単なる大損です。対策しないで良い理由がありません。

   我々ができること。スピークアウトした人たちを、1人にさせない。女性たちの問題に矮小化せず、男性もまた当事者なのだ、という意識を持つこと。そして電通のセクハラクリエーター放置の責任を追求するとともに、あらゆる組織のセクハラに対し、厳しく接し、是正を求めていくこと。各地でスピークアウトが起きやすいよう、環境を整えていくことが、非常に重要でしょう。

 性の被害は長らく、深い沈黙の中に閉じ込められてきました。

   セクハラ、レイプ、ナンパ。ちょっとした、"からかい"。オフィス、教室、家庭などで、苦しい思いをしても私たちは声を出せずにいました。
いま、世界中で「Me,too―私も傷ついた」という言葉とともに、被害者が声を上げ始める動きが生まれてきています。

  

 

指原莉乃がセクハラ問題で「ハニートラップの可能性」発言! 男の論理を内面化する指原に聞かせたい、はあちゅうの言葉

   リテラ2017.12.18

   はあちゅうこと伊藤春香氏が、ネットメディア「BuzzFeed Japan」で電通在籍時の先輩クリエイター・岸勇希氏によるセクハラ被害を告白し大きな話題となっている。ハリウッドの大物プロデューサー・ハーヴェイ・ワインスタイン氏によるセクハラ被害の告発をきっかけに、SNS上で「わたしも」という意味のハッシュタグ「#MeToo」でセクハラを告発するムーヴメントが起きているが、はあちゅうも「#MeToo」に背中を押されて告白を決意したのだという。

 そんななか松本人志、東野幸治、指原莉乃、古市憲寿と出演者がそろって安倍首相と焼き肉会食をしていたことが発覚したばかりの『ワイドナショー』(フジテレビ)も17日、このセクハラ事件の話題を取り上げた。

 紹介されたのは、すでに多くのニュース番組やワイドショーでも報じられている、福井県あわら市の橋本達也市長と岩手県岩泉町の伊達勝身町長(今月8日に辞職)という、地方自治体の首長2人によるセクハラだった。

 醜悪極まりない言い訳や開き直りをするところも含めて典型的な日本のオヤジのセクハラ事案だが、2人とも地方自治体の首長という大きな権力をもつ立場にある人間ということを考えればさらに悪質極まりないと言える。当然ながら批判が殺到し、伊達・岩泉町長は辞職に追い込まれ、橋本・あわら市長にも市議会が辞職勧告を決議する方向だという。

 ところが『ワイドナショー』ではこの2つのセクハラ事件の感想を求められた指原莉乃がこんなことを言い出したのだ。

「もちろん女性が被害に遭うことに違いないし、絶対あってはいけないことだと思うんですけど。でも立て続けにこうなると、市長さんとか町長さんだと、よく思っていない人も多いじゃないですか。だからハニートラップの可能性も今後増えてくるかもしれないじゃないですか」

 セクハラでハニートラップ? ハニートラップや美人局というのは一般的に、性的関係をネタに機密情報や金銭を脅し取るというもので、セクハラ被害でハニートラップというのは成り立たないと思うが……。

「セクハラなんて自分にもまわりにもない」と言いきった指原莉乃

  さらに指原は、自身がセクハラやパワハラの被害にあったことはないかと問われ、当然のようにこう答えたのだ。

「本当にないです。言われたことないですし、まわりもたぶんない」

 自分がセクハラ被害に遭うなどあり得ない。指原の言葉は、まるで被害に遭ったなどというのは“恥”とでも言わんばかりの勢いだった。さらに、橋本市長のセクハラが女性が運転する車の中で起こったことに触れ、「ドライブに行ってるわけじゃないですか」と、女性の落ち度をあげつらうようなコメントまでしたのだ。

 それにしても、セクハラが自分にもまわりにも一切ないって……。これまでにも指原の周辺では元AKB役員がメンバーの着替えやシャワーを盗撮した画像や映像が大量に存在することが発覚した事件が報じられ、その大量画像のなかには、運営幹部や電通社員の接待をさせられている画像も見つかっている。その際、当時20歳の高橋みなみがひげ面の男性に抱きつきその勢いからかパンティがちょい見えしているものや、当時18歳で未成年だった峯岸みなみが飲酒して幼稚園児のコスプレで男性の膝に座っている姿まであった。ああいうのは一般的に言えばセクハラそのものではないのか。

  だいたい本サイトでくり返し指摘しているように、秋元康がAKBグループに提供している歌詞には女性蔑視やセクハラ的な内容が多く見られるし、指原自身もまた、メディア上で公然とブスいじりなどセクハラまがいの発言を繰り返し非難を浴びているが、今回の指原の発言もまた、セクハラ被害に対し勇気をもって告発した女性を貶めるもので、セカンドレイプとも言える悪質なものだ。さらに被害者に対する中傷だけにとどまらず、今後セクハラ被害に悩みこれからセクハラ被害を訴えようとする女性に対して抑圧効果すらある。

 指原も同じ女性なのになぜ?と思う読者もいるかもしれないが、空気を読むことに長けた指原は、松本人志が代表する『ワイドナショー』の言いたいこと、オヤジ社会が言ってほしいことを察知し代弁したのだろう。というのも、指原は、“大人のエライ男性たちの意見を疑問視せずに内面化する”ということが“処世術”だと信じているような面があるからだ。

安倍首相には「子供を産めるだけ産みますよ。国に貢献したい」

  実際、指原がオヤジ側の立場に立ち女性を非難するような発言をするのは、今回が初めてのことではない。

 たとえば、HISによる「東大美女図鑑の学生たちが 、あなたの隣に座って現地まで楽しくフライトしてくれる!」というキャンペーンがセクハラだと批判を受け、企画が中止された一件を『ワイドナショー』が取り上げた際も、そうだった。

 HISの企画は女子大生を接待要員として扱っておりセクハラとの批判は当然のものだったが、このときも指原は、

「それよりも、それに乗っかった一般の学生さんが気持ち悪いなって」
「私はセクハラとは思わないし、女性差別? なんて言うんだろう、そういうのは思わないんですけど、ただただチヤホヤされたいんじゃないのかなと思って、その女子大生が気持ち悪いって思っただけです」

 などと、企画そのものよりも、企画に参加しようとした女子大生のほうを非難した。

 また、指原がアンチファンからネット上で“ゲロブス”と呼ばれていることを知ったプロデューサーの秋元康が、驚くことにこのあまりに酷い蔑称を大いに気に入り、「ゲロブスいいよ」「ゲロブスっていえば指原、っていうのを定着させたい」と言い出したことがある。しかし当の指原は、怒るどころか、著書『逆転力〜ピンチを待て〜』(講談社)のなかで、秋元氏に同調するかのような文章を綴っている。

〈おとなしい美人には意味がないって言いましたけど、親しみやすさのないブスって最悪だと思う〉

〈私の周りのみんなに「ブスって言わないでください!」と言ったとしたら、「ううん。別にいいけど、他に言うことないよ」と腫れ物扱いされかねないじゃないですか。でも「ブスでOKです!」と言っておけば、イジッてもらえるかもしれない。(中略)そうやって世の中に出てきたのが、指原という女です〉

 先日、松本らとともに会食した安倍首相に対しても、そうだった。安倍首相が出演した『ワイドナショー』で松本から「子ども何人くらいつくろうとしてるの?」と問われた指原は、「産めれば産めるほど産みますよ。国に貢献したい」「身体の限界が来るまで産みます」「安倍さんの話を聞いて、私もちゃんと子どもを産んで、しっかりお母さんにならなきゃって思いました」と前のめりになって発言している。

  その上、この指原の言葉に大満足な表情を浮かべていた安倍首相は、「かつ仕事もね」と念押し。女にあれこれ押し付ける前に産みやすくて働きやすい社会を先につくってよ!と多くの女性はツッコんだことだろうと思うが、指原は「はい、しっかり仕事もします」と即答した。

   エラい男性には一切文句は言わず、ものわかりのいい女性としてふるまう。これが、オヤジ社会のなかで指原が身につけた処世術なのだろう。

  だからセクハラに対しても、「わたしはイヤだと思ったことがない」「セクハラなんてない」と男性を擁護し、「そんなことで文句を言うほうがおかしい」と女性を糾弾する。

  はあちゅうは「立ち向かう相手は加害者とその先にある社会」と 

   もっとも、こうした処世術は、指原が男性優位社会のなかで身につけざるを得なかったという側面はあるだろう。

  さらに言えば、『ワイドナショー』では、指原と同じく空気読みの達人・こじるりこと小島瑠璃子もまた、不祥事議員を擁護してみせたり、他メディアでくり返し安保法制に反対と発言していたはずの蛭子能収が「松本さん、賛成って言ったのはビクッとした、勇気ある発言だなって」「俺はわかんないんですよね、はっきり言って」と態度を濁したこともあった。後に蛭子は「週刊金曜日」で日本の笑いをつまらなくしているのは、「笑いの王様である松本人志さんを『忖度』するような周囲の反応」と松本を取り巻く空気を再度批判しているが、そういうことを考えれば、松本が支配する『ワイドナショー』の同調圧力は相当強いのだろう。その意味では指原も「被害者」のひとりともいえる。

  しかし、指原自身が自覚的にせよ無自覚にせよ自分が男性目線を容認しているからといって、それに異論をとなえる女性に対して「ハニートラップの可能性がある」などとメディアで発言することは、抑圧以外の何ものでもない。しかも指原のような女性がこのような発言をすることは、男性にしてみれば、「女性もセクハラじゃないと言っている」という言い訳に利用できて好都合だ。

  現に、安倍官邸御用記者・山口敬之氏による性被害を告発した伊藤詩織さんに対する誹謗中傷が巻き起こったことが記憶に新しいように、性被害を訴えた女性が「ハニートラップ」だ「美人局」だとバッシングされるのは恒例となってしまっている。残念ながら、セクハラ男性を擁護し告発した女性を非難する指原のような意見が、現在の日本ではまだまだ根強い。

  アメリカでは「TIME」誌の“今年の人”に「沈黙を破った人」としてセクハラ告発者らが選ばれたり、女優たちがセクハラや男女不平等に抗議を込めて黒いドレスでアカデミー賞の授賞式に出席しようという動きが広まったり、社会全体でセクハラ告発を後押ししようという空気が広がっているのとは大違いである。

  はあちゅうは前述のBuzzFeed Japanの記事のなかで、以下のように語っている。

  「私の場合、自分が受けていた被害を我慢し、1人で克服しようとすることで、セクハラやパワハラ被害のニュースを見ても『あれくらいで告発していいんだ…私はもっと我慢したのに…私のほうがひどいことをされていたのに…』と、本来手をとってそういうものに立ち向かっていかなければならない被害者仲間を疎ましく思ってしまうほどに心が歪んでしまっていました」

 「けれど、立ち向かわなければいけない先は、加害者であり、また、その先にあるそういうものを許容している社会です。私は自分の経験を話すことで、他の人の被害を受け入れ、みんなで、こういった理不尽と戦いたいと思っています」

  指原は“オヤジの論理”を許容し内面化することで現在のポジションを築いたと自負しているのかもしれないが、自分の処世のために女性を非難する発言が、いかに女性を抑圧するものか、よくよく考えてほしい。(酒井まど)

 


大掃除は「ナチュラルクリーニング」で

2017年12月19日 | 健康・病気

~人・環境にやさしく二度手間が不要

    ヘルスプレス - 2017年12月17日

   昨年(2016年)9月、米国食品医薬局(FDA)はトリクロサンやトリクロカルバンなどの殺菌剤19成分を含む抗菌石けんの販売を1年以内に停止すると発表。それを受け、日本の厚生労働省も1年以内に代替製品に切り替えるよう業界に求めた。

 そのため、2017年9月以降、これまでおなじみだった薬用石けんやハンドソープがドラッグストアなどの店頭から消えた。

 健康を守るために使っていた薬用石けんや抗菌ハンドソープが、免疫機能やホルモンなど健康への悪影響をもたらすと聞き驚いた人も多いだろう。禁止抗菌成分に過敏になったり、化学物質そのものを敬遠したりする傾向は今後も加速しそうだ。

 そのような人々から見直されているのが「ナチュラルクリーニング」だ。
    人体や環境に負荷をかけない「ナチュラルクリーニング」

 ナチュラルクリーニングとは、巷に溢れる「合成洗剤」を使わないで行う掃除のこと。

 合成洗剤は、泡立ちがよく洗浄力も高いので便利だが、洗浄成分のメインに使われているのは環境に負荷をかけるといわれる合成界面活性剤だ。人体への影響も明らかになっていないこともあり、安心・安全とは言い難い。

 ナチュラルクリーニングで使用するのは、もともと自然界にある成分からできた重曹やクエン酸、石けんなど。手肌に触れても安心だし、環境に負荷をかけることもない。

 拭き掃除が終わった際、合成洗剤なら成分が残らないよう水拭きする必要もあるが、ナチュラルクリーニングは分量さえ守っていれば、二度手間が不要。

 また、キッチン・トイレ・風呂・フローリングなど場所によって洗剤が異なる合成洗剤とは違い、汚れの種類で洗剤を使い分けるだけだからコスパもいい。

油汚れにはアルカリ性、水垢には酸性が基本

 ナチュラルクリーニングの極意は、<汚れに合わせた素材>選びだ。

 油汚れが得意なのは、アルカリ性の重曹や石けん。キッチンのベタベタ汚れのほか、人の皮脂がついたドアノブ、風呂にも有効だ。重曹は頑固な鍋の焦げを落とす研磨材としても使用できるほか、消臭剤としても使える。

 水垢や石けんカスには酸性のクエン酸が効果的だ。キッチンシンクや便器の黄ばみには、スポンジにクエン酸を振りかけてこすり洗い。それでも取れない場合は、ペーパーなどにクエン酸水を染み込ませて10分ほど湿布した後ブラシで洗うといい。

 電気ポッドには、水1リットルに対しクエン酸20gを入れて沸かし、1時間程度放置して湯を捨てる。臭い消しのために湯を沸かし、捨てれば完了だ。

 クエン酸は、水に溶かしてスプレーボトルに入れておくと便利だ。洗面台周りもこれで手軽に掃除ができる。

 さらに上級のナチュラルクリーニングは、洗剤の合わせ技だ。シャボン玉石けん株式会社がオススメするのは、洗濯用石けん約60mlと重曹1カップを混ぜ合わせてつくる「重曹ホイップ」。

液だれすることなく汚れに密着するので、ガスコンロや蛇口など凹凸のあるところ、シンクやまな板など面積の広い場所にもいい。

 重曹ホイップが、まるでメレンゲのようにフォトジェニックなことから、インスタグラムで「#フォトクリ」(フォトジェニッククリーニング)として多数の人がインスタ映えする写真をシェアしている。

 今年の暮れの大掃除は、楽しみながら人にも環境にもやさしいナチュラルクリーニングを実践してはいかがだろうか? (文=編集部)


「介護離職ゼロ」の実態ー格差拡大

2017年12月18日 | 社会・経済

非正規は対象外「介護離職ゼロ」実態

    神戸新聞NEXT - 2017年12月17日

   政府が掲げる「1億総活躍社会」からこぼれ落ちる人たちがいる。企業が介護休暇・休業制度の充実に取り組む一方、非正規雇用の従業員が対象外となるケースは多い。やむなく離職、その後の再就職でも結局、非正規就労を繰り返すことに。「介護離職ゼロ」「人づくり革命」などの掛け声とは裏腹に、不安定な雇用・就労の固定化が進む。専門家は「介護休暇・休業の対象拡大に加え、離職しても再就職で安定して働き続けられる支援が必要」と指摘する。(広畑千春)

 「結婚もしたいけれど、仕事があってこそですよね」とつぶやくのは、両親の介護などで離職し、就職活動中という神戸市の男性(55)。「経験を生かして働きたいが、なかなかうまくいかない」

大学卒業後、団体に就職したが閉鎖的な人間関係に耐えきれず退職し、大阪や東京でビルや社宅管理などの仕事をした。

 7年前、母が脳疾患で倒れた。しばらくは働き続けたが、周囲から「親を放っておくのか」と責められた。正社員なら介護休業制度もあったが、当時は派遣社員だったため対象外。人事担当者からは派遣先が契約更新をしない方針であると暗に告げられ、辞めるしかなかった。

 母は施設や病院を転々とし、昨年12月に亡くなった。今年1月には86歳の父が転倒し骨折。幸い回復し、男性は求職活動を再開したが「求人は非正規の現場業務ばかり。正社員のマネジメント部門は若手採用が中心」とため息をつく。

 同市の女性(56)も、今年亡くなった父を10年以上介護した。母は早くに他界。心臓や糖尿病の持病に加え、骨折などで入退院を繰り返す父の世話で手いっぱい。働く余裕はなかった。

 父の死後、ハローワークに登録し、講習も受けた。ただ「24時間介護しかしておらず、経験も何もない」と話す。「今までは父の年金や貯金があったけれど、このままでは生活していけない。早く働きたいが、何ができるのか…」と悩む。

 国の2012年就業構造基本調査を基に大和総研が昨年まとめたデータによると、正規雇用の従業員が介護離職後、非正規雇用に就く割合は男性で53%、女性で74%に上った。離職前も非正規だった場合は、男性で72%、女性で95%と、さらに高かった。男性ではその後の就職活動が長期化する傾向もあり、亀井亜希子研究員は「この傾向が続けば、再就職率がたとえ上がっても、非正規化が進むだけ」と指摘する。

 神戸学院大の西垣千春教授(社会福祉学)は「日本ではキャリアが途切れるのは不利とされ、働き盛りの40~50代への再就職支援が手薄。介護以外にもさまざまな問題を抱える人が多い。多方面からのサポートが必要」と強調している。

 


今日3回目の雪かきしてきました。


日本の子供の貧困は「途上国並み」

2017年12月17日 | 教育・学校

ユニセフが重大懸念 日本の子供貧困は安倍政権で加速する

日刊ゲンダイ 2017年12月17

 

   全国各地の街頭で見られるユニセフ(国連児童基金)募金への呼びかけ。途上国の貧困にあえぐ子供たちを助けたい――と、募金する人も多いだろうが、今や日本が途上国への転落危機にある。訪日したユニセフのレーク事務局長がNHKの取材に対し、「日本のおよそ16%の子供が深刻な貧困状態にある。豊かな社会において子供が飢えや格差に苦しむことがあってはならない」など懸念を示したのだ。

   世界の子供の貧困問題に関わっているユニセフ事務局長の指摘だけに衝撃だ。日本の子供の貧困は「途上国並み」と断じられたのに等しい。

  「子供の貧困対策」は安倍政権の“看板政策”だったはずだ。安倍首相も国会で〈子供の貧困対策は未来への投資であり、国を挙げて推進していきます。(略)ひとり親家庭・多子世帯等自立支援プロジェクトを決定し、(略)子供の貧困対策を大幅に拡充することとしたところでございます〉(16年1月21日の参院決算委員会)、〈子供たちの未来が、家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。経済的にもさまざまな困難を抱えているひとり親家庭や子供の多い世帯には、きめ細かな支援が必要です。(略)子供の貧困対策に全力で取り組んでまいります〉(16年9月27日の衆院本会議)と言っていたが、ナ~ンもしていなかったのだ

それだけじゃない。国はさらなる子供の貧困イジメを画策している。厚労省が最終調整に入った、生活保護費の減額だ。原案では、減額幅は5%になる見通しで、40代の親と小・中学生の2人の子がいる世帯の場合、約1万円減額されるという。ひとり親世帯の母子加算も減額される見通しだから、子供の貧困をなくすどころか、〈国を挙げて〉拡大させるつもりだ。

 ■海外には大盤振る舞い

  許せないのは、そうやって子供の貧困イジメをする一方、海外には気前よくカネをバラまいていることだ。安倍首相は14日、都内で開かれた国際会議「UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)フォーラム2017」で、医療費負担で貧困に陥る人などのために、政府として約29億ドル(約3300億円)規模の支援を行うとブチ上げた。自国の子供の貧困対策はホッタラカシで、海外に大盤振る舞いなんて、あり得ないだろう。

ついでに言うと、自公が決定した与党税制改正大綱では、所得増税やたばこ増税、国際観光旅客税、森林環境税などで年2800億円程度の増収となる見込みだが、それをソックリそのまま海外に差し出すワケだ。一体誰のため、何のための増税なのか。政治評論家の山口朝雄氏が言う。

 「安倍さんは、もはや内政では行き詰まりつつあるため、せめて外交では目立ちたい、と考えているのではないか。手っ取り早く海外にカネを配ることが、政権のアピールになるというのでしょう」

   安倍氏が首相に居座り続けたら、日本の子供たちの未来はオシマイだ。

 


 「あなたはどこの国の総理ですか。」  ことしの流行語大賞にしたかった。

 

今日は風も強まり、吹雪状態だ。
夕時からは町内会の年末総会がある。
こんな日には出かけたくないが・・・
そんなわけで、早めの更新です。

 


社会が呼吸困難・窒息死へ

2017年12月16日 | 事件

米軍ヘリ部品発見の保育園、中傷メール・電話が相次ぐ

   朝日新聞デジタル  2017年12月16日

 

  米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)から約300メートルの場所にある緑ケ丘保育園には連日、なじるようなメールや電話が舞い込んでくる。「自分たちでやったんだろう」「教育者として恥ずかしくないのか」……。

 

7日午前、大きな音が響き、屋根の上で見慣れない物体が見つかった。円筒形で高さ9・5センチ、重さは213グラム。米軍は翌日、大型ヘリCH53Eの部品だと認めた。一方で米軍は「飛行する機体から落下した可能性は低い」とした。メールや電話はそれから相次ぐようになった。

  多くは「自作自演だ」など園側を疑い、中傷していた。ウェブにも同様の臆測が流れた。嫌がらせのメールをはじく設定にしたが、それでも1日4~5通のメールが毎日届き、電話もしばしばかかってきて相手は名乗らない。

  部品が見つかった屋根にはへこんだ痕跡があり、宜野湾署も確認している。職員や園児が「ドーン」という衝撃音も聞いている。神谷武宏園長は「じゃあ、部品はどこから来たんですか。私たちじゃなく、米軍の管理の問題でしょう」。

  「そんなところに保育園があるのが悪い」。そんな電話もある。園長はこう反論している。「基地より先に、住民がいた。園だって生活に必要だから、先人たちが建てたんです」

  1945年の沖縄戦のさなか、米軍は役所や住宅があった旧宜野湾村の中心部を接収して滑走路を造った。家と土地を奪われた住民は周囲に居住地を指定され、基地を取り囲むように市街地ができた。沖縄が米軍施政下だった64年、キリスト教の教会がこの地区に初めて造った保育園が緑ケ丘保育園だ。

  13日には近くの普天間第二小学校の校庭に米軍ヘリの金属製の窓が落下した。園の保護者たちは、園上空の米軍機の飛行禁止を求める嘆願書をつくり、全国に署名を呼びかけている。

  園長は「メールの内容を見ると、何も知らない内地(本土)の人だろうなと思う。保護者や職員が落ち込みそうになっているが、嘆願に賛成してくれる声が大きくなって、そんな気持ちを吹き飛ばしてほしい」。(小山謙太郎)