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強制不妊手術9歳にも 

2018年01月31日 | 社会・経済

 

旧優生保護法

 強制不妊手術9歳にも 宮城、未成年半数超

   毎日新聞2018年1月30日

 

  「優生手術」と呼んで知的障害者や精神障害者らへの強制不妊手術を認めた旧優生保護法(1948~96年)の下、宮城県で63~81年度に手術を受けた記録が残る男女859人のうち、未成年者が半数超の52%を占めていたことが判明した。最年少は女児が9歳、男児が10歳で、多くの年度で11歳前後がいたことが確認され、妊娠の可能性が低い年齢の子どもにまで手術を強いていた実態が浮かび上がった。30日には15歳で強制手術を受けた同県の60代女性が、初の国家賠償請求訴訟を仙台地裁に起こす。

   宮城県が毎日新聞の取材に対し、優生手術に関する現存記録の一部内容を明らかにした。

  それによると、同県で63年度から19年間に優生手術を受けたのは、男性320人、女性535人、年齢性別不明4人で、そのうち未成年者は、男性191人(59%)、女性257人(48%)。手術理由のうち最も多かったのは「遺伝性精神薄弱」の745人で全体の8割超を占め、「精神分裂病」39人▽「遺伝性精神薄弱+てんかん」26人▽「てんかん」15人--などと続いた。また、知的障害や精神障害がなくても生まれつき難聴などの身体障害のある14人が手術されていた。

  同法に手術対象者の年齢制限の規定はなく、宮城県で手術を受けた859人のうち最高齢は男性51歳、女性46歳で、最年少は男児が10歳、女児が9歳だった。9歳の女児は2人で、いずれも不妊手術の理由を「遺伝性精神薄弱」とされ、63年度と74年度にそれぞれ手術を受けていた。また、毎年のように11歳の男女が手術を受けていた。

  年代別では、65年度の127人をピークに66年度108人、70年度94人、73年度33人などと減少傾向をたどっていった。

  旧厚生省の衛生年報や毎日新聞の調べによると、同意のないまま優生手術を受けた人は同法施行期間中、全国で1万6475人に上り、そのうち記録に残る最多は北海道の2593人で、宮城県の1406人▽岡山県845人▽大分県663人--などと続く。

  優生手術の執刀経験がある東京都の産婦人科医師、堀口貞夫さん(84)は、実名で取材に応じ、「現在の医学の見地からすれば、9歳の女児に不妊手術を施すのは非常識だ」としながらも、「当時は法律に基づいて手術をせざるをえなかった」と振り返った。【遠藤大志】

 

 【ことば】旧優生保護法

 

 ナチス・ドイツの「断種法」がモデルの国民優生法が前身。「不良な子孫の出生防止」を掲げ、障害を理由に本人の同意なしでも不妊手術を認めた。手術の必要性は医師が判断し、都道府県が設置する審査会が諾否を決めていた。手術を強制する際の身体の拘束、麻酔の使用、欺罔(ぎもう)なども認められ、手術を受けた人が結婚する場合、相手側に不妊手術の事実を通知するよう定めていた。

 

 〈関連記事〉 

旧優生保護法 

強制不妊手術、国を提訴 宮城の女性「尊厳侵害、違憲」

毎日新聞2018年1月30日

   1948年から96年まで半世紀近く続いた旧優生保護法下で、不妊手術を強制された宮城県の60代女性が30日、個人の尊厳や自己決定権を保障する憲法に違反するとして、国に1100万円の支払いを求める訴訟を仙台地裁に起こした。同法に基づいて強制手術を受けた人は全国に1万6475人いるが、国家賠償請求訴訟は初めて。女性側は、被害者救済に必要な立法措置を怠った国の責任について追及する。

  一方、国側は、同法が母体保護法に改定されてから20年以上経過したことなどから、損害賠償請求権がなくなる民法規定の「除斥期間」(20年)を理由に棄却を求める構えとみられる。

  訴状によると、女性は15歳だった72年12月、「遺伝性精神薄弱」を理由に卵管の峡部(きょうぶ)を縛る不妊手術を強制された。手術後はたびたび違和感や痛みを覚え、87年ごろに入院した。卵巣組織が癒着する卵巣嚢腫(のうしゅ)と診断され右卵巣の摘出を余儀なくされた。不妊手術を理由に地元の男性との縁談も破談となったとしている。

  女性側は「子どもを産み育てるという憲法13条で保障された自己決定権や幸福追求権を侵害された」などと訴えている。また、宮城県が女性側の情報公開請求に基づき昨年8月に開示した療育手帳交付に関する資料には、女性の成育歴に「遺伝負因無し」と記されていたことから、「手術の理由を『遺伝性精神薄弱』とした審査過程そのものも信用できない」と主張する。

  優生保護法は96年、障害者への不妊手術の項目を削除するなどした母体保護法に改定された。今年で22年が経過しており、除斥期間が大きな争点の一つになる見通しだ。これについて原告弁護団は「(旧優生保護法下で不妊手術を受けた人がいる)事実を今後どうしていくか考えていきたい」とした2004年3月の厚生労働相(当時)の国会答弁に着目。答弁から救済措置の立法までに必要な「合理的期間」を3年とみなし、それが経過した07年ごろから国の不法行為(立法不作為)が始まったとして除斥期間には該当しないと反論する構え。

  女性側はこれまで厚労省に対し、優生手術を受けた人たちへの救済措置などを求めたが、同省側は「当時は適法だった」と争う姿勢を見せている。【遠藤大志】

 

 

 


「雇い止め」――これが「働かせ方」改革

2018年01月30日 | 社会・経済

200人以上が雇い止めに... 私立高の非正規雇用の教員が悲鳴

全国私立学校教職員組合連合の調査で明らかになった。

 

ハフポス濵田理央(Rio Hamada)2018年01月29日

   5年以上同じ企業で働いた非正規の労働者が、希望すれば期限なく働けるようになる雇用の新しいルールが2018年春に始まるのを前に、雇い止めを言い渡される事態が相次いでいる。

   私立校の現場でそうした動きが起きていることが、全国私立学校教職員組合連合の調査で明らかになった。200人以上の非正規の教員が、今年度末での雇い止めを通告されていた。

   私教連が、組合に加盟する全国590校を対象に、雇い止め通告の有無や対応などを聞いた。34都道府県の216校が回答からあり、45校・204人の非正規雇用の教員が雇い止めを通告されていた。

   NHKによると、都道府県別では神奈川県が65人、香川県が33人、東京都が27人など。4月の制度開始で対象となる、5年を超えて働いているとみられる人は27人と、全体の13%だった。

   正規の教員と同様にフルタイムで働く常勤の教員に対して、どのように対応しているかについては、64校が「無期雇用転換等への対応をしている」と回答。「常任講師がいない」と答えた27校と合わせると、半数近い学校で、フルタイムの常勤講師をなくす対応をしていることが明らかになった。

   一方、「何も対応していない」は44校、「雇い止めをする方向で対応している」とう回答も28校あった。

   また雇い止めは、埼玉・東京などの首都圏や、大阪・京都といった都市部で集中して起きているという。


今日は一時晴れ間も出て、「段切り」していきました。

こちらは昨日の様子です。
積もった雪は車の背を超え、屋根雪はとうとうつっかえてしまいました。
まだ2月があります。どれだけ積もるのでしょう?


「生活保護引き下げ」に…、明日は我が身か!?

2018年01月29日 | 社会・経済

雨宮処凛がゆく!

 第436回:「立川市生活保護廃止自殺事件調査団」、市と話し合いの場を持つ。の巻

   By雨宮処凛  2018年1月24日

  「本人から『眠れない』とか『生きづらい』とか、そんな言葉があれば医療機関を紹介したりすることもありますが、病気とか障害とか一見わからない方に、『あなたおかしいから病院行け』って、なかなか、そんなこと言えないですよねぇ…」

  向かい側のテーブルに座った「課長」は、何度か同じような言葉を口にした。

  1月16日午後、立川市役所。この日、「立川市生活保護廃止自殺事件調査団」は、東京都立川市の福祉事務所の人々との話し合いの場を持ったのだ。

  立川市で、生活保護廃止の通知を受けた翌日、受給者であるAさん(48歳・男性)が自殺したのは2015年12月。この件について、Aさんの知人という人から市の共産党市議団控え室にFAXが届いたのは同年の大晦日のことだった。

  「新聞社・議員へ」で始まるFAXには、衝撃的なことが書かれていた。

  「立川市職員に生活保護者が殺された!真相を追及して公開、処分してほしい知り合いの◯◯が高松町3丁目のアパートで12月10日に自殺した担当者の非情なやり方に命を絶ったよ 貧乏人は死ぬしかないのか 生活保護はなんなのか 担当者、上司、課長は何やっているのだ 殺人罪だ 平成27年12月 ◯◯の知人」

  この自殺事件を受けて、「立川市生活保護廃止自殺事件調査団」が結成されたのは昨年4月。私も呼びかけ人となり、4月には東京都に質問状と要請書を提出。その後も調査団によって真相究明が続けられていたのだが、この日、立川市の福祉事務所と話し合いの場が持たれたのだ。

  調査団側から参加したのは14名、福祉事務所からは部長、課長をはじめ7名が参加。この日問われたのは、まず彼に出された生活保護の「廃止」が妥当だったのか、という点だ。

 Aさんが生活保護を廃止された理由は「就労指導違反」。

  生活保護=働かなくていいという誤解はいまだ根強くあるが、働く能力がある人は当然働かなければならない。役所からも「仕事を見つけてください」と指導される。これが「就労指導」。が、どのような背景があったのか定かではないが、Aさんは仕事を見つけることができず、亡くなる3ヶ月前の9月には、「とにかく仕事を見つけるように。じゃないと生活保護を打ち切るぞ」という内容の指導指示書が同日に3通も出されている。そうして10月には「保護停止決定書」が出され、12月、廃止通知書が出されるのだ。この翌日、Aさんは自ら命を絶ってしまう。

  ここでひっかかるのは、「Aさんは果たして働くことができる状態だったのか?」ということだ。

  彼の経歴を見ていくと、派遣の仕事を転々とし、派遣切りによって路上生活になるなどその人生は様々な困難に満ちていた(詳しくは、コラム第413回で)。そこで疑われるのは、軽度の知的障害や精神疾患、発達障害などを抱えていた可能性だ。実際、生前の彼と接したことがある支援者は、彼から「死にたい」という言葉を耳にしている。

  私自身も、ホームレス状態になった人と接する過程で、生活保護を受けて初めて知的障害や精神疾患、発達障害であることがわかったというケースに何度か遭遇している。いずれのケースもそれがわかったのは20代、30代になってから。学校でいじめられ、職場でも「トロい」などといじめられ、なかなか仕事が覚えられずに長続きしなかったなどの背景には、本人や家族も気づいていなかった病気や障害が隠れていたのだ。だからこそ、Aさんのケースを知った時、まず頭に浮かんだのは「必要なのは『働け』という指導だけでなく、専門家の意見を踏まえた支援だったのでは」という疑問だ。

  話し合いの場で、そのことを口にした時に出てきたのが冒頭の言葉なのである。「おかしいから病院に行けなんて、失礼にあたるから」という主旨の言葉。

   が、話し合いが進むうち、立川市には精神保健福祉士が3名おり、必要な場合にはそちらに回されるという態勢自体は整っていたことが明らかになった。しかし、彼は「就労阻害要因なし」と判断され、最後まで専門家に回されることはなかったのである。そうして再三「仕事が見つからなければ切る」という指導指示書を出され続け、結局、自ら命を絶ってしまったのだ。

  福祉事務所の人たちの話を聞きながら、どんどん大きくなっていったのは「納得できない」という気持ちだった。これも確認したのだが、現場のケースワーカーは、精神疾患や発達障害、知的障害についての専門知識は持っていないということだった。だからこそ精神保健福祉士がいるのだが、そちらに回すかどうかを判断するのは「素人」であるケースワーカー。様々な病気や障害は「一見そうとはわからない」ケースも多いわけだが、そんな事情にまったく対応していないとしか言いようがない。

  しかも、その言い訳として「おかしいから病院行け、なんて言えない」という言い分が成り立っていることに愕然とした。そんな失礼な言い方で言わなくたって、本人を傷つけず、信頼関係を崩さずに伝える方法なんていくらでもある。少し想像力を働かせればわかることだ。それでもわからないなら、精神疾患や様々な障害に関する専門家の研修を受ければ一発で解決する話である。相手を傷つけないよう、信頼関係を崩さぬよう、どういう言い方、聞き方をすればいいのか、そういった研修を受ければいいのである。ただそれだけの話なのである。

 そのことを指摘すると、同席した調査団の弁護士さんが言った。

  「ここまで仕事が決まらないなら、そのこと自体が本人が困難を抱えているということですよね。停止・廃止レベルということだけで、それは明らかですよね」

  そうして弁護士さんは、「相手を傷つけないような具体的な言い方・聞き方」について、その場で実演してみせた。

  「具体的に言いますよ。『これだけお仕事決まらないと大変ですよね? 夜、ちゃんと眠れてますか? 眠れるお薬出すこともできますよ? いろいろ言われると大変ですよね?』」

  弁護士さんの優しい口調に、思わず涙が出そうになった。

  生活保護の窓口にやってくる人は、たいてい弱り切っている。それまでの人生の中で、おそらく最大に傷つき、自信をなくし、途方に暮れている。そして自分のことを責めてもいる。それは生活保護を受けるようになってからも基本的には変わらないように思う。仕事がなかなか見つからなければ、そのことに対する申し訳なさ、「食べさせてもらっている」という引け目。生活保護受給者の自殺率はそれ以外の人の2倍だ。

  もし、自分が生活保護を受けていたとして、弁護士さんが実演していたような言葉をかけてもらったら、どれほど救われるだろう。そしてAさんがもしそんな言葉をかけられていたら、少しずつ自分の悩みを話していたかもしれない。そうしたら、自ら命を絶つことなんてなかったのかもしれない。

  役所の人は、本人から「眠れない」「医者に行きたい」という言葉がなければこちらから決めつけて医者を勧めることなどできない、という主旨のことを何度か口にした。しかし、とてもじゃないけれど、そんな弱音を口にできるような空気ではない現場を私自身、何度も目にしてきた。

  「生活保護は人をダメにするものだから一刻も早く仕事についてください」とだけ冷たい口調で繰り返す人もいたし、取りつく島もないほどに「就労自立」のみを強調する人もいた。もちろん、受給者に寄り添い、丁寧な対応をするワーカーの人もたくさん見てきたが、その態度や目つきに身体がすくむような圧を感じさせる人もいた。「眠れない」「辛い」。そんな言葉がなかったからと言って、本人が元気だった保証はどこにもない。逆に、そんな言葉を封じるような空気があったかもしれないのだ

  さて、そんな生活保護を巡っては、立川市で話し合いをしたまさに1月16日、嬉しいニュースが飛び込んできた。

  それはある裁判の判決。福島地裁で生活保護をめぐる裁判の判決が下されたのだ。原告は、福島で生活保護を受ける母子。生活保護世帯の高校生の子どもに支給された奨学金を、福島市が「収入」とみなしてブン取ったことに対して起こした裁判である。この日、福島地裁は福島市の処分を違法とする判決を出し、母子は勝訴した。

 「奨学金取り上げ」という、子どもの夢を奪い、努力を踏みにじるような福島市のやり方が、明確に「違法」と判断されたことは喜ばしい。

  が、この連載でも触れているように、生活保護については引き下げ方針が出され、厳しい状況が続いている。

  1月28日には、もやいやエキタスの呼びかけで、新宿アルタ前で午後3時半から「#みんなで貧しくなりたいですか? ~生活保護引き下げに反対する街頭宣伝」が開催される。私も出演予定だ。

  ぜひ、多くの人に関心を持ってほしい


「カロリーゼロ」、太って病気まっしぐら!

2018年01月28日 | 健康・病気

「砂糖の危険性」「遺伝子組み換え作物の危険性」についてのせました。
それともう一つ重要なのが「人工甘味料」です。これはほとんどが遺伝子組み換え作物から作られ、カロリーはないですが、もっと危ない要素を持っています。しかもそれは飲料からお菓子、その他の食品に広がり、蔓延してしまいました。
さらに、これらは「ガン」の格好な餌になるのです。
 ちょっと前の記事ですが是非お読みください。

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人工甘味料の3大恐怖、知らずに飲むな

      東洋経済オンライン2014年09月29日

上田 真緒 : ライター、編集者

  

 清涼飲料水の生産量が2013年に初めて2000万キロリットルの大台を突破した(全国清涼飲料工業会調べ)。日本の全人口で単純に割ると、1人当たり年間約160リットルも飲んでいることになる。しかし、ドリンクの“おいしい”宣伝文句にあおられ、中身も知らずに飲んではいけない。この特集では「ヤバすぎるドリンクの裏側」を5日連続で紹介していく。1日目は「カロリーゼロ」の裏側を女医が教える! 

<編集部より追記(10月1日)> 当記事は、大西睦子医師の見解をもとに構成しています。多面的な議論を紹介したものではない点にご留意ください。

 A男(50代)はこの秋の人事で部下のB郎(40代)に役職を追い抜かれた。B郞はスラッとした男前だ。娘のD恵(20代)には「お父さん、そのお腹、何とかしなよ」と冷たい視線を向けられる。「見た目が9割」というように、元凶は中年太りかもしれない。そこで「カロリーゼロ」のドリンクを飲むようになった。お酒や缶コーヒーなどの摂取カロリーは減っているはずだ。しかし一向にやせない……。

次世代の人工甘味料が続々と

 ──大西睦子さんは著書『カロリーゼロにだまされるな』の中で、人工甘味料の恐ろしさを警告しています。「カロリーゼロ」「糖質オフ」「低カロリー」などと表示されているドリンクにはほぼ人工甘味料が使われている、と。人工甘味料とはどういうものですか。

 

大西睦子(おおにし・むつこ)

医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月から米ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月からハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな』がある。

 

 日本とアメリカで認可されている人工甘味料は、サッカリン、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム(以下、アセスルファムK)、ネオテームの5つです。

 サッカリンはいちばん古く、その発がん性について、特に日本人はうわさで聞いて何となく脳裏にありますよね。後に発がん性は否定されたのですが、悪いイメージが残り、日本では今、あまり使われていません。でも、アメリカではまだすごい人気があります。ただ、サッカリンは苦味があるので、次世代の人工甘味料がどんどん使われるようになりました。

サッカリンは砂糖の200~700倍の甘みがあります。アスパルテームは160~220倍、アセスルファムKは200倍、スクラロースは600倍、ネオテームは7000~1万3000倍です。

肥満ホルモン発動! 脂肪を蓄える

──それだけの甘みがありながら「カロリーゼロ」。

 
「カロリー・脂肪分・糖分/ゼロ」のドリンク。人工甘味料の「アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース」が入っている。「糖類0g」「炭水化物0.6g」と書いてあるが、炭水化物には糖質が含まれる

 いえ、実は「ゼロ」でないものもあります。100ml当たり5kcal未満なら、「カロリーゼロ」「無」「ノン」「レス」「フリー」と表示してもいいという基準があるのです。

 「糖質ゼロ」や「糖類ゼロ」もだまされてはいけません。100ml当たり糖類が0.5g未満なら「糖類ゼロ」と表示できます。ドリンクのパッケージに書かれている「栄養成分表」に「炭水化物」があれば、その中に「糖質」「糖類」が含まれています。

 「炭水化物」は「食物繊維」と「糖質」から成り、「糖質」には多糖類(オリゴ糖、でんぷん、デキストリン)、二糖類(麦芽糖、ショ糖、乳糖)、単糖類(ぶとう糖、果糖)などが含まれ、「糖類」はこのうち二糖類と単糖類を指します。

──飲料メーカーはわざとわかりにくく表示しているのでしょうか。でもカロリーは普通の砂糖に比べれば少ないわけですし、なぜ恐ろしいのでしょう?

 人工甘味料には主に3つの作用があります。①ホルモンに影響を及ぼして体内に脂肪を蓄える。②味覚を鈍化させる。③コカイン以上の依存性がある。

──ひとつ目の「体内に脂肪を蓄える」は、つまり太る?

 そうですよ。普通の砂糖(グラニュー糖や上白糖)を取ると、血液中の糖の濃度(血糖値)が上がってインスリンがすい臓から分泌され、血液から余分なぶどう糖を除こうとします。その結果、血糖値が下がる。それでも限界があり、次にインスリンは脂肪細胞に働きかけます。余ったぶどう糖は脂肪に変化して体脂肪として脂肪細胞にため込まれます。だからインスリンは「肥満ホルモン」とも呼ばれます。

 日本人は欧米人に比べて、インスリンの分泌能力が約半分しかないため、欧米人のような超肥満体は少ないのですが、その分、糖尿病になりやすいというリスクがあります。

 そして、人工甘味料でもインスリンが分泌されることがわかっています。2013年の報告で、人工甘味料を飲んだ後にぶどう糖液を飲んだときのほうが、水を飲んだ後にぶどう糖液を飲んだときより血糖値のピークが高くなり、インスリンの分泌が20%高くなりました。つまり、「カロリーゼロ」もインスリンや血糖に影響しているのです。

成長ホルモン発動! 食欲が増す

──ふたつ目の「味覚を鈍化させる」というのは?

 人工甘味料は、実際にはかなり薄めて使われるので、普通の砂糖とほとんど同じくらいの甘さに感じます。でも、たとえばコーヒーに普通の砂糖を入れるとしたら、あまり多く取ると太るのではないかという罪悪感があって少しは自制すると思います。カロリーゼロの「パルスイート」のようなものだったらたくさん入れてもいいかなという安心感があって、最初は1本だったのが、2本、3本と増えていったりしませんか。「パルスイート」は人工甘味料のアスパルテームを使っています。

 そうして甘みの強いものを普段から飲んでいると、味覚を感知する舌の「味蕾(みらい)」という甘みセンサーの機能が鈍化していきます。味覚は刺激に慣れやすく、かなり甘くないと満足できなくなっていく。こうした味覚に対する作用が非常に懸念されています。

──味覚が鈍くなる程度なら、それほど問題でもないような……。

 甘みセンサーは舌だけでなく、胃や腸、すい臓にもあることがわかっています。胃にある甘みセンサーが甘みを感知すると、グレリンというホルモンが分泌されます。グレリンは脳の視床下部に働いて食欲を増し、成長ホルモンの分泌を促進させます。人工甘味料の入ったドリンクを飲んでもグレリンは分泌されますから、食欲が増して肥満につながるわけです。 

──食欲まで増すとは、太るわけですね。3つ目の「依存性がある」とは?

 私が人工甘味料でいちばん悪影響があると考えているのは、依存性です。人工甘味料にはコカイン以上の強い依存性があると言われています。私たちはおいしいものを飲んだり食べたりすると、脳の「快楽中枢」と呼ばれる神経系からドーパミンなどの神経伝達物質が分泌され、満足感を得ます。そして「もっと飲みたい」「もっと食べたい」と思う。

 ところが、強い欲求が続くとドーパミンの分泌をコントロールできなくなり、依存性や中毒になります。たとえば、薬物を投与するとドーパミンが分泌され、幸福感や快楽を得られますが、ドーパミンが枯渇すると、また薬物が欲しくなる。それとまったく同じ作用で、人工甘味料の甘さは一時的に満足感を得られますが、枯渇すると、また人工甘味料が欲しくなる。そうして「甘み依存症」になっていくのです。

 サッカリンを使ったマウスの実験では、コカイン以上にサッカリンの中毒性が強いことがわかりました。サッカリンに限らず、そのほかの人工甘味料にも強い依存性があると考えられています。

──好きだから飲んでいるというより、知らず知らずのうちに「甘み中毒」になっているのですね。

 人工甘味料の甘みは独特です。以前から使われているアスパルテームなどの人工甘味料には後味があるため、アセスルファムKと一緒に使うことが多いのですが、ダイエット・ソーダ(人工甘味料入り炭酸飲料水)の多くには、比較的新しいスクラロースが含まれています。スクラロースは後味が少なく、単独で使用できるため、飲料メーカーの消費量が急激に増えています。

うつ病発症! 神経伝達物質が減る?

──おいしくてカロリーを抑えられるという「うまい話」はない。

 「まずい話」ならまだあります。肥満や糖尿病のほかにも病気のリスクがある。アメリカ国立衛生研究所が約26万4000人の中高年者の疫学調査をしたところ、甘いドリンク、特にダイエット・ソーダはうつ病のリスクを高めることがわかりました。毎日4缶以上飲んだ人たちは、飲まなかった人に比べてうつ病の発症が31%も高くなったのです。

──なぜうつ病になるのでしょうか。

 疫学調査というのは、生活習慣のアンケートを何年も取った結果、こういう病気の人が多いという傾向がわかるもので、この結果をもたらした詳しいメカニズムはまだわかっていません。

ただ、アスパルテームは体内で代謝されたときにフェニルアラニンやアスパラギン酸、メタノールに分解されるのですが、過剰なフェニルアラニンやアスパラギン酸は、神経伝達物質のセロトニンやドーパミンなどを作るためのチロシンやトリプトファンが脳へ送られるのを妨害します。それで神経伝達物質が減り、うつ症状が現れると考えられます。

 腎機能や脳卒中、心筋梗塞のリスクも高まるというデータもあります。ハーバード大学が3000人以上の女性を11年間、追跡調査したところ、ダイエット・ソーダを1日2缶以上飲んでいた人は、飲んでいなかった人に比べて、腎機能が30%低下していました。

 コロンビア大学の調査では、血管系疾患の発症リスクを高めると報告しています。ダイエット・ソーダを毎日飲んだ人たちは、飲んでいない人に比べて、脳卒中や心筋梗塞などを発症するリスクが43%も高かった。

どちらの調査も、「カロリーあり」の糖類が入ったソーダを飲んでいた人には、これらのリスクは認められませんでした。

 つい先日の9月17日、英科学誌『ネイチャー』に、人工甘味料が腸内細菌に作用して代謝異常を起こすという報告もされました。まだまだ人工甘味料に関する私たちの体への影響は不明な点が多く、今後も新しい研究成果が報告されると思います。

天然甘味料も安心できない!

──人工甘味料が健康に悪そうなことはわかってきました。いったいなぜ飲料メーカーは人工甘味料を使うのでしょうか。

 まずアメリカで肥満の人が増えて大問題になってきたからです。日本の基準でいうと、7割のアメリカ人が肥満。だから、「カロリーゼロ」の人工甘味料にメーカーが飛びついた。もちろん消費者もそれを歓迎しました。

──日本の飲料メーカーと消費者も飛びついた、と。


 異性化糖の「果糖ぶどう糖液糖」が入っているドリンク。「100ml当たり炭水化物11g」ということは、1本500mlに糖類が約50g入っている。

 そもそも肥満が増えた原因は、天然甘味料の異性化糖です。これは「天然」の糖なのですが、安心できません。アメリカでは大問題になっていますが、日本ではまだほとんど問題になっていません。

──異性化糖とはどういうものですか。

 異性化糖は「ぶどう糖果糖液糖」や「果糖ぶどう糖液糖」などと呼ばれるものです。糖のうちの果糖の割合が50%未満のものを「ぶどう糖果糖液糖」、果糖の割合が50%以上、90%未満のものを「果糖ぶどう糖液糖」と言います(※果糖の割合が90%以上のものは「高果糖液糖」)。 

──「ぶどう糖果糖液糖」「果糖ぶどう糖液糖」って、「糖」が3回も出てきますけど、天然なら体によさそうです。普通の砂糖とどう違うのですか。

 普通の砂糖はぶどう糖と果糖が結合した二糖類で、異性化糖はぶどう糖と果糖の混合液で単糖類です。

 普通の砂糖は、まず腸内でぶどう糖と果糖に分解されてから、それぞれ吸収されますが、異性化糖はもともと最小単位の単糖類なので、ぶどう糖、果糖がそれぞれすぐ吸収されます。清涼飲料水の異性化糖は、一気に果糖を摂取するので注意が必要です。

 ぶどう糖と果糖は体への作用や処理の仕方がまったく違います。ぶどう糖の場合、小腸から吸収されて血液に入り血糖が上がるという代謝になりますが、果糖の場合は直接、血糖は上がらず、ほとんどが肝臓で代謝されて、余った果糖は脂肪肝になりやすい。つまり、血糖は上がらないけれど、肝臓に影響を及ぼし内臓脂肪になります。

 さらに、果糖を取った場合、ぶどう糖に比べて満腹感を感じません。清涼飲料水を飲みながら、お菓子やアイスクリームを食べたりする人も多いのではないでしょうか。そうした違いを自覚して、消費者は糖分を選ばないといけないのです。

──「選ぶ」と言ってもどうやって?

 パッケージの「原材料名」のところに書いてありますから、見てください。

ミシェル・オバマが異性化糖と戦う!

──では、さかのぼって、人工甘味料が使われる前は、飲料メーカーはなぜ普通の砂糖ではなく、異性化糖を使うようになったのでしょうか。

 人類の歴史は、糖を獲得するための戦いの歴史でもあります。さとうきびをどんどん作ってきました。しかし、1950年代にキューバ革命が起きて、アメリカはキューバから砂糖を輸入できなくなった。そこで砂糖の代わりに異性化糖が作られるようになりました。

 異性化糖はとうもろこしなどのでんぷんを酵素処理して生産されます。「高フルクトース・コーンシロップ」とも呼ばれます。「シロップ」という名のとおり、液体なので、ドリンクだけでなく食品にも簡単に混ぜることができる。この製法は日本人が発明したんですよ。

 これが1970年代にアメリカに導入されて、政府はとうもろこしの栽培に助成金を支給し、生産を後押ししました。そうして、さまざまな清涼飲料水に使われるようになり、供給がどっと増えたのです。

 今は遺伝子組み換え技術によって、とうもろこしを安く大量に生産できるようになったので、ますます異性化糖の清涼飲料水が作られています。それでアメリカ人の肥満が社会問題となり、ミシェル・オバマが、異性化糖を使った清涼飲料水の排除運動をしているほどです。

──ある意味、糖との戦いが続いている。肥満に悩む日本人も「ぶどう糖果糖液糖」「果糖ぶどう糖液糖」に要注意ですね。

A男は店頭でお腹をさすりながらつぶやいた。
「どれもこれも人工甘味料と異性化糖が入っているじゃないか。何も飲むものがなくなるよ」
明日は、出世街道をひた走るB郞が飲んでいる「野菜ジュース」の裏側を紹介する。

 


健康食品

2018年01月27日 | 健康・病気

健康食品を信じ込んでいる人の大いなる誤解 青汁・酵素・グルコサミン…危害情報も急増

東洋経済オンライン 中山 一貴 2018/01/09

 

間違いだらけの健康常識

摂取するだけで健康になれると考えるのは間違いだ…

   5600万人もの日本人が利用する健康食品・サプリメント。インテージの調べによれば、その市場規模は、年間で約1兆5600億円と巨大だ。2015年春に機能性表示食品制度が始まり、メーカーが科学的根拠を国に届ければ健康効果をパッケージに表示できるようになったことで、次々と新商品が登場。今後さらなる市場拡大が予想される。

  だが、その陰で有効性の根拠があやふやな商品が氾濫。さらには健康食品で体調を崩すなどした危害情報も急増している。1月9日発売の『週刊東洋経済』は「間違いだらけの健康常識」を特集。知らないと危ない健康ビジネスの裏側を徹底解剖した。

 機能性表示食品は開始3年足らずで1200品目以上に

   一般的に健康食品は、「健康の保持・増進に資する食品として販売されるもの」を指す。その中で、「特定の成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の商品」をサプリメントと呼んでいる。

  機能性表示食品の品目数は制度開始から3年足らずで1200を突破し、特定保健用食品(トクホ)を上回っている。「手元のピント調節力に」と表示したサプリや、「内臓脂肪を減らす」ヨーグルトなど健康機能をうたう商品が続々と登場している。

  日本通信販売協会の調べによると、健康食品のメーカーが取り扱う成分は青汁とコラーゲンが最も多く、それにグルコサミンが続く。ただ、こうした人気成分の大半は効果の根拠が不明だ。国立健康・栄養研究所のデータベースや、医療関係者も参照する『ナチュラルメディシン・データベース(NMCD)』(日本版の発売元は同文書院)によると、ほとんどの成分の有効性のデータが不十分となっている。

   たとえば、関節痛などの軽減効果をうたい、根強い人気のグルコサミン。同成分には2種類ある。このうちグルコサミン塩酸塩については「データが不十分」(NMCD)。グルコサミン硫酸塩は、「重篤で慢性的な骨関節炎の痛み緩和には効果がないことが示唆されている」(健康・栄養研)という。特集では約40種類の成分・素材を掲載しているが、コラーゲンや水素水、黒酢なども、データが十分でないようだ。

  実際に、健康食品の効果を明確に感じている人は利用者全体の1割程度にすぎない(インテージ調べ)。効果を感じたという人についても、「ほとんどの場合は、(効くと信じて摂取することによって得られる)プラセボ効果だろう」(東京都医師会の尾﨑治夫会長)という指摘がある。

  それどころか、危害情報が相次ぐ健康食品もある。

 青汁で下痢やじんましんなどの事故情報も

  消費者庁のデータバンクによると、便秘やダイエットによいとされる青汁は、下痢やじんましんなどの事故情報が2015年から3年間で300件以上報告されている。同庁消費者安全課の藤田佳代企画官は、「青汁の事故情報は注視しているが、何が原因か不明なため、現時点ではどのように注意喚起してよいかわからない」と頭を悩ませる。青汁の中には数十種類の原材料や成分を含む商品があり、「成分同士が相互作用して体調不良を引き起こす可能性もある」(尾﨑氏)。

  同じく多くの成分を含み、ダイエットや老化防止に効くとうたわれている酵素も、下痢などの危害情報が2015年度に190件あり、2016年度は534件に倍増した(国民生活センター調べ)。健康食品を摂取することで健康を害してしまっては元も子もない。

  こうした被害から身を守るためには、広告や表示の情報を見極めるリテラシー(与えられた材料から必要な情報を引き出し、活用する能力。応用力。)の向上が欠かせない。そもそも健康の大前提は規則正しい食生活と運動、そして睡眠の3要素であり、健康食品だけで健康になろうと考えるのは大間違いだ。

 


太陽黒点

2018年01月26日 | 自然・農業・環境問題

太陽黒点

 

In Deep  

「太陽黒点のない2017年から起きること 」より

  2017/01/08     2017/11/07更新

 昨年6月には、黒点が0になったとはいっても、下の表のように、わりと黒点がそれなりに出ていた中で「突然、0になった」という感じでした。

201663日に「黒点0」になった日までの黒点数の推移

・NICT

 この頃は、まだ、黒点0になるのがイレギュラーな感じでしたが、しかし、2017年の今は違います。

今は次第に、「黒点0が定番の状態」となりつつあります。

 今年は、元旦から黒点0の日が続いていまして、2017年に入って以来、11日、2日、4日、5日、6日、7日、そして今日 8日と、黒点ゼロの日が続いています。

NICT

昨年末から、この傾向が急速に顕著になってきていました。

下は 2016年12月9日から 1ヶ月間の黒点数の推移です。

 

NICT

 ここ1ヶ月ほどは、黒点0が何日か続き、たまに少し黒点が出て、また黒点0に、という繰り返しとなっていました。そして、今年に入ってからは、黒点0の日が優勢となっています。

 歴史的に弱い太陽活動はさらに弱くなるのかどうなのか

 なお、2017年は 1月8日までの 8日間で「黒点0の日が 7日」となっていますが、過去 10年間はどのような推移だったかといいますと、下のようになります。

2009年から2016年までの「黒点0」の日の日数

・2009年 黒点0の日は 260日(全体の 71%)
・2010年 黒点0の日は 51日(全体の 14%)
・2011年 黒点0の日は 2日(全体の 1%未満)
・2012年 黒点0の日は 0日(全体の 0%)
・2013年 黒点0の日は 0日(全体の 0%)
・2014年 黒点0の日は 1日(全体の1%未満)
・2015年 黒点0の日は 0日(全体の 0%)
・2016年 黒点0の日は 32日(全体の 9%)

 この推移は、太陽活動の通常の流れと大体は同調するもので、特に妙な部分はないですが、今後の比較的長いスパンの中で、この「黒点0の状態」が、どのくらいまで増大するかということが、今後の問題となります。

・太陽活動が弱い時代 → 黒点が0の日が多い

ということになりますが、過去記事の、

歴史的に弱い太陽活動だったサイクル24の次の「新しい時代の新しい太陽活動」はどんな方向に?
 2016/03/28

などで記しましたように、現在までの 12年間ほど続いたサイクル 24という太陽活動周期は、歴史的に非常に弱い太陽活動の時代で、「太陽黒点観測が始まって3番目に弱い」ものであり、さらにいえば、過去 200年ほどで最も弱い活動の期間でもあります。

 下のグラフは、1749年に観測が始まった太陽黒点数の各太陽活動周期ごとの「差」を表したものです。

グラフが上を向いていれば、「通常より高い太陽活動」となり、グラフが下を向いていれば、「通常より弱い太陽活動」ということになります。

 

kaltesonne.de

 現在のサイクル 24は、全体を通してみても、ダルトン極小期と呼ばれていた時代以来、180年ぶりの低い太陽活動を示していることがわかります。

このような「黒点のあまり出ない時代」は、歴史的には、寒冷化の時代に入ることが多かったですが、では、今後はどうなるのか。太陽活動が弱い時代がさらに加速していくのか。あるいは、活動状況が反転して太陽活動が強い時代に向かっていくのか。

これには様々な推測が存在するかと思いますが、現在の太陽の磁場の状態(南と北の差異が非常に大きい)などから、現在ある一般的な学説では

「太陽黒点は今後も減り続ける状態(太陽活動が弱い状態)が長く続く」

というのが比較的違和感のない考えではないかとは思います。

太陽の北半球と南半球の磁場の差異(グラフが下に向かうほど磁場の差が大きい)

 

kaltesonne.de

 

過去記事の、

精度97%の「2030年までのミニ氷河期突入」予測は、その発表の元となったロシア人女性物理学者の「太陽活動の解析予測の実績」から実現確実な状勢に
 2015/07/22

の中で、今後 30年以内に、ミニ氷河期ともいえる寒冷化が到来する可能性についての予測をご紹介したことがありますが、その中で、モスクワ国立大学の物理学者であるヘレン・ポポワ博士は以下のように述べています。

「私たちの時代の最大の気温の低下は、次の3つの太陽サイクル( サイクル25、サイクル26、サイクル27)に訪れることを示し、それはこれからの約 30年の間におとずれます」

  私自身は、この「寒冷化の到来」という概念をゴリ押しするつもりはないですが、このような意見はとても多く、その中には、

ミニ氷河期は「2015年にすでに始まって」おり、今後「200年から250年間続く」というロシア科学アカデミーの科学者たちの主張が公開された
 2016/11/05

という記事でご紹介した、世界最大級の学術データベース「サイエンスダイレクト」に掲載されたロシアの科学者たちによる論文のように、

「ミニ氷河期は2015年にすでに始まっている」

とする学説も存在します。

 なぜ、寒冷化について多くの科学者たちが主張するかというと、簡単にいうと「寒冷化は、人類に苛酷な環境をもたらすため」ですが、それは、過去の寒冷化の際の話であり、文明が進んだ(と人類が思い込んでいる)現在では、多少過去とは違うのかもしれません。

  現時点では、太陽活動が今後、今よりもさらに弱くなるかどうかはわからないとはいえ、仮にそうなった場合、

・気温への影響(太陽活動が長期間低下すると気温が下がる)

・太陽活動が低下すると宇宙線が増加するため、その影響が出る(たとえば「雲」が増加する)

ということが、今後の比較的長いスパンで起きてくる可能性があると共に、以下の説は主流の学説ではなく、そういう主張もあるという程度のものですが、

・宇宙線が増加すると「地震」と「火山噴火」が増える

というものもあります。

いずれにしても、太陽活動が今後どうなるかは、あと2〜3年経てばわかる・・・いや、もう半年も見ていればわかるのではないでしょうか。

というのも、先ほどリンクしました過去記事「太陽黒点数が「0」となった20166月からの世界は」は、昨年6月のものでしたが、それから半年経った今、太陽の動きは、その時に書いたものとほぼ同調する動きを見せています。

今から半年後の 2017年の夏くらいに、太陽黒点数がどのようになっているか、そして、その時に太陽の南極と北極の磁場の差異はどうなっているか、などがわかるにつれて、私たちがこれから「太陽に連れて行かれる場所」というものが少しわかると思われます。

もちろん、その「黒点のない時代」の影響が現実化するのは、そうなってからしばらく先ですので、最短でも今から2年から3年後だと思いますが、その頃には、社会や経済の状況などの影響を含めて、いよいよ突入する「その時代」の気配が強くなっている可能性があります。

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 「地球温暖化」に対する神の一撃か!?
そんなわけないわあ・・・
それにしてもこの寒さ、地震、噴火・・・・・
気になります。

 

最近10日間の観測値
データ日: 20180125 (UT) ©NOAA/SWPC
年月日(UT) 黒点数 F10.7
2018年01月15日 12 70
2018年01月16日 13 71
2018年01月17日 12 71
2018年01月18日 12 71
2018年01月19日 11 71
2018年01月20日 0 70
2018年01月21日 0 68
2018年01月22日 0 70
2018年01月23日 0 71
2018年01月24日 0 70

 

過去30日間の観測値

SWC宇宙天気情報センターHPより


 


雇用の新しいルールが始まる2018年春が近づいてきた

2018年01月25日 | 社会・経済

【雇用の2018年問題】

重宝される人材まで...ベテラン職員が「雇い止め」に直面、困惑する理研の研究現場

  研究現場も困惑「研究にマイナスの影響が出かねない」

 

ハフポスト 錦光山 雅子 2018年01月23日

   雇用の新しいルールが始まる2018年春が近づいてきた。短期雇用の契約を繰り返しながら5年以上働いてきた非正規の労働者が、希望すれば2018年4月以降、無期に働ける新しい制度だ。だが、その一方で、ルールが始まる直前の3月末で雇い止めを言い渡される事態がいま相次いでいる。いわゆる「非正規の2018年問題」だ。

   学や研究機関も例外ではない。その一つ、理化学研究所(埼玉県和光市)でも同様の動きが起きている。

重宝されながら試験は「不合格」

    2017年10月、理化学研究所にある研究室でアシスタントとして働く女性は、無期雇用に転換する試験を受けた。

   1年契約を更新しながら、理研で十数年働いてきた。だが2016年に新たなルールができて、この試験に受からないと、3月で雇い止めになる。

   結果は不合格だった。「選考委員会において慎重に審査いたしました結果、貴意に添いかねる結果となりました」などと書かれたメールを受け取った。

 その日のことは、あまり覚えていない。

   結果を知って急ぎ足で自席に来た上司の、途方に暮れた顔だけよく覚えている。顔が「うそだろ」と言っていた。

 「ご迷惑をかけてすみませんでした」と答えるのが精いっぱいで、涙がこぼれて言葉にならなくなった。

 理研は2016年4月に新しいルールを設け、有期雇用の職員が働ける期間の上限を「5年」とした。その際、「5年」に向けたカウントを始める時期を2013年4月までさかのぼった。このため2018年3月末が「5年」ルールの最初の上限期日となる。

   2018年3月末時点で、理研で5年以上働いて雇用の上限を迎える有期雇用の職員は、パートや契約職員など496人。そのうち、無期雇用の研究アシスタント試験に合格した121人とわずかな事務職員を除き、300人を超える職員が3月末で雇い止めとなる。

 試験が不合格だった女性もその一人だ。

   この研究室にアシスタントとして来てからは、海外の研究者のアテンドからビザ取得関連の事務、研究会の企画事務、研究費関係の手続き、必要な物品の手配まで、研究室の運営で生じる様々な仕事を担ってきた。

 研究室の主宰者である、女性の上司は困惑を隠さない。

 「仕事だけではない。彼女がいるから研究室の人間関係の調和が取れている面もあった。不満がないどころか、むしろ非常に得がたい人材だった。彼女の代わりが務まる人が次に確実に来るのか不安だ。ちゃんと働いてきたのに、年限だけでもう働けないなんて、本当に不条理だ」

  「彼女のようなベテランのアシスタントがいなくなることで、業務が混乱し、研究にマイナスの影響が出かねない。若い研究者にしわ寄せが行って成果があげられないことはなんとしても避けたい。目処がつくまで、わたしが彼女の代わりにできるかぎりそうした業務を担わなければならないと覚悟している」

 ■「5年」の上限を2018年に合わせる訳

   こうした事態を受け、理研の労組は理研側と交渉を続けてきた。だが事態は改善せず、12月、東京都労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。2月2日、初めての審問が開かれる。

    ルールの決定日から3年もさかのぼる形で「5年」をカウントするルールが、なぜ理研で導入されたのか。今回の申し立てに関わった菅俊治弁護士は、労働契約法の新ルールの影響を指摘する。

   「改正労働契約法が2013年4月に施行され、有期の職員を5年以上雇った場合、職員が希望すれば無期雇用に転換できるようになった。そのルールが本格的に適用される2018年4月を前に、その権利を行使させずに雇い止めできるよう就業ルールを変えた。事実上の『無期雇用逃れ』だ。ベテランの職員の多くが去ることになり、重要な研究機関である理研ですら、研究の遂行に影響が出かねない状況になっている」

 一方、理研はハフポスト日本版の取材に、メールでこう回答を寄せた。

   理研には多くの時限プロジェクトがあり、そのプロジェクトの財源で雇われる職員は「有期雇用が基本」だとして、今回のルール変更は、「任期制職員の雇用期間に関し、関係する規程で雇用上限の明確化を明示したもの」で「理研の組織を適切かつ効果的に経営していくために必要なこと」という。

 そして「無期転換権の発生とその行使による無期雇用への転換が可能となる時期を待たずして、積極的に無期雇用の活用を進めることを基本とするものであり、無期雇用逃れを目的とするようなものではない」などと回答している。

 理研のようなケースは「無期雇用逃れ」と言えるのか。

   厚生労働省労働関係法課の担当者は「有期雇用の職員にどんな対応をしているのか、ケースごとに調べないと何とも言えない。また民事法規なので司法の判断が前提」としつつも、「理研のケースは東京都労働委員会に救済申し立てがあったことは承知しており、状況を注視している」と話す。

 ■猫の目の雇用契約「どうせまた変わると期待してしまった」

    アシスタントの女性に、理研と毎年度結んでいた契約書を見せてもらった。

 契約期間の項目をみると、契約期間は1年間と明記されているが、上限の年度や研究室やプロジェクトの終了時の条件などが入ったり入らなかったりしてきたことがわかる。

 2011年度 「受入研究室の解散時、プロジェクト終了時以降の雇用契約は締結しない」

 2012年度 「平成33年4月1日(または受入研究室の解散時、プロジェクト終了時)以降の雇用契約は締結しない」

 2013年度 「2018年4月1日以降の雇用契約は締結しない」 ※改正労働契約法が施行され、「5年ルール」ができた

 2014~2016年度 「研究室解散時以降の雇用契約は締結しない」 ※2016年4月、理研が就業規則を変え、2013年4月から数えて5年を雇用期間の上限とした。

 2017年度 「2018年4月1日以降の雇用契約は締結しない」

 女性は、こう振り返る。

  「理研では、派遣や契約で1年契約の更新を続けながら10~20年いる人はざらで、1年契約が形骸化していた。一方で、資金枯渇による研究室の縮小や主宰者の退職などで、契約期間の途中でもアシスタントの契約が終わることはありました。そういうものだと理解していて、研究室が存続している間はいられるかな、という期待感を抱いていました。契約書の規定もコロコロ変わるし、どうせまた変わるのだろうと思っていた」

  「試験の選考基準も不明瞭なまま、試験に合格した人以外は、みんな雇い止めになります。私も含め、みな長年それぞれの職場できちんと業務をこなしてきた。上司だっていないと困ると言っている。私たちは、決して不要になったわけではないのです」

  「必要とされていながら、ここを去らなければならないのは、理研が法律の趣旨をはき違え、無期雇用権を与えるのを避けたいがため。人を減らすための雇い止めではない。私が去った後、研究室は新しいアシスタントを探さなければならないのです。2016年になって、2013年から起算して5年の上限を無理やり設けてまで、必要な人まで雇い止めにしようとしている。それ自体が間違っていませんか」

  1月17日、女性のもとに「契約期間満了のお知らせ」と題した文書が来た。

  「研究所と貴殿との間で平成 29年 4月 1日付で締結した有期労働契約は、平成 30年 3月 31日をもって満了となります。(中略)貴殿との雇用契約は、契約期間満了によって雇用契約関係を終了するものとし、更新を行わないことをご連絡いたします。恐れ入りますが、平成 30年 2月 8日 までに退職連絡票のご提出をお願い申し上げます」

 事態が硬直する中、退職の期日が迫っている。

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リテラ2018.1.22

 『安倍首相の空疎すぎる施政方針演説!「非正規という言葉を一掃する」は真っ赤な嘘、裏に格差温存のカラクリ』より一部抜粋

 

「同一労働同一賃金」政策の裏にある“格差をつけるカラクリ”

  きょうの施政方針演説でもっとも注意を向けるべきは、この一言だったはずだ。

 それは、少子高齢化の次に安倍首相が口にした、演説の最大の目玉である「働き方改革」に言及するなかで発せられた。

「長年議論だけが繰り返されてきた『同一労働同一賃金』。いよいよ実現のときがきました。雇用形態による不合理な待遇差を禁止し、『非正規』という言葉を、この国から一掃してまいります」

 非正規という言葉をこの国から一掃する──。じつは安倍首相は2016年6月の記者会見をはじめ、この言葉を事ある毎に述べてきたが、今国会での「働き方関連改革法案」成立に血道を上げるなか、施政方針演説であらためて宣言したことの意味は重い。そして、一見すると、格差是正に向けた大胆な改革というようにも映るだろう。

 しかし、騙されてはいけないのは、安倍首相はけっして「非正規雇用をなくす」あるいは「正規と非正規の格差をなくす」と言っているわけではない、ということ。たんに「非正規」という言葉を使わない、というだけの話なのである。

 たしかに、働き方改革関連法案では、正社員と非正規の処遇改善を図る「同一労働同一賃金の導入」が盛り込まれ、ガイドライン案でも「基本給・各種手当、福利厚生や教育訓練の均等・均衡待遇の確保」が謳われている。だが、基本給も手当も「実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める」としており、能力や会社への貢献度による「違いに応じた支給」でよいと認めているのだ。これでは理由をつけることで格差もつけられるし、賃金格差は埋まらないどころか格差そのものを容認することになる。

 事実、昨年3月に発表された「働き方改革実行計画」では、「正規と非正規の理由なき格差を埋めていけば、自分の能力を評価されている納得感が醸成。納得感は労働者が働くモチベーションを誘引するインセンティブとして重要、それによって労働生産性が向上していく」と説明している。ようするに、「理由なき格差」=格差に理由をつけることで納得させよう、というわけだ。

 だいたい、「非正規という言葉をこの国から一掃する」という掛け声とは裏腹に、第二次安倍政権がはじまった2012年から16年までの4年間で、非正規雇用者は207万人も増加。一方、この間の正規雇用者は22万人増加でしかなく、雇用者数の9割が非正規というのが実態だ。安倍首相が成果として誇る「就業者数185万人増加」とは、不安定就労の非正規雇用者を増やした結果でしかない。つまり、「非正規という言葉をこの国から一掃する」というのは、“見かけ倒し”の同一労働同一賃金の導入によって格差を容認するための詭弁でしかないのだ。


子宮頸がんワクチン再考の時 村中璃子さん 池田香代子の世界を変える100人の働き人 13人目

2018年01月24日 | 健康・病気

 

2018年01月06日

『2018年にぶっ壊したい、少子化日本の8つの矛盾とは?』

という駒崎弘樹  氏のブログを紹介しました。
その中に「子宮頸がんワクチン」についての記事があり、

 この本に掲げられたタイトル『薬害でっち上げ』という言葉がどのようなことをさしているのかが理解できず、「ヘイト」的な印象を持ってしまいました。
 今日、偶然にも「村中璃子さん 池田香代子の世界の世界を変える100人の働き人 13人目」というビデオの存在がわかり、みてみました。

 納得できましたので、皆さんにも見ていただきたいと思います。ちょっと長いですが、分割しても飛ばさずに、ご覧になってみてください。

 

子宮頸がんワクチン再考の時 村中璃子さん 池田香代子の世界を変える100人の働き人 13人目


年金繰下げ受給、増額の落とし穴

2018年01月23日 | 社会・経済

年金繰下げ受給、増額の落とし穴

モーニングスター - 2018年1月22日

 ■年金の繰下げ受給

 老後の寿命が延びており喜ばしいことですが、一方で長生きのリスクも意識されるようになってきました。老後資金を確保する一つの手段として年金の繰下げ受給があります。年金の繰下げ受給とは年金を65歳から受け取らずに66歳から70歳までの間で申し出た時から年金を繰下げて請求できる制度です。66歳以降1ヶ月単位で繰下げることができ、「65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数×0.7%」の増額率で年金が増額されます。繰下げ時点に応じて8.4%から42.0%年金が増額されその増額率は一生変わりません。繰下げには老齢基礎年金の繰下げと老齢厚生年金の繰下げがあり、どちらか一方の繰下げまたは両方の繰下げができます。また、両方繰下げる場合老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々の希望月で繰下げできます。

■税金等の負担に注意

 年金の繰下げ受給をした場合増額された年金が一定の金額を超えてくると所得税、住民税、国民健康保険料などの負担が発生してきます。老齢基礎年金や老齢厚生年金は公的年金等に係る雑所得になりますので収入金額から公的年金等控除額を引いた金額が所得金額になります。65歳以上の場合公的年金等の収入金額が330万円未満の場合公的年金等控除額は120万円になります。つまり年金が120万円を超えてくると所得金額が生じてくることになります。この所得金額から所得控除の金額を引いた金額に対して税金がかかってきます。

 所得税の場合誰にでも適用がある所得控除として基礎控除38万円があります。年金収入のみで他に所得控除がない場合には年金収入が158万円を超えてくると所得税がかかってきます。たとえば年金収入が180万円で所得控除が基礎控除だけとすると、所得金額は180万円-120万円=60万円で、ここから基礎控除38万円を引いて60万円-38万円=22万円に対して5%の所得税1.1万円がかかります。

 住民税では控除対象配偶者や扶養親族がいない場合所得金額が35万円以下であれば所得割は非課税になります。均等割は地域によって異なりますが所得金額が28万円~35万円程度以下であれば非課税になります。年金収入のみで他に所得控除がない場合には年金収入が155万円を超えてくると所得割が、148万円~155万円程度を超えてくると均等割がかかります。所得割は所得金額から住民税の基礎控除33万円を引いた額に対して基本的に税率10%をかけた金額になります。(実際には調整控除により若干少ない金額になります。)均等割は地域によって異なる場合がありますが、基本的には5,000円です。

 さらに一定の所得金額を超えた場合国民健康保険料や介護保険料の負担が増えることにもなります。年金の繰下げ受給をした場合その金額によってはこれらの税金等の負担が新たに発生したり、増えたりして増額率を掛けた金額がそのまま手取り額として増えることにはならない場合がありますので注意が必要です。

■夫婦の世帯の繰下げ受給

 夫婦の世帯で一部の年金の繰下げ受給を検討する場合にその選択によっては世帯の手取り収入が変わってきます。たとえば、老齢基礎年金75万円、老齢厚生年金135万円の夫と老齢基礎年金75万円、老齢厚生年金10万円の妻の世帯でどちらかの老齢基礎年金を5年繰下げて受給するとします。年金額は75万円×42.0%=31.5万円増えます。夫が繰下げ受給した場合夫の年金収入は75万円+31.5万円+135万円=241.5万円となり公的年金等控除額120万円を引いた所得金額は121.5万円となります。増えた年金額31.5万円がそのまま所得金額の増加になります。一方、妻が繰下げ受給した場合妻の年金収入は75万円+31.5万円+10万円=116.5万円となり公的年金等控除額120万円より少ないので所得金額は0のまま増えません。夫の場合所得金額が増えることにより税金等の負担が増え手取り額の増加は31.5万円より少なくなります。一方、妻の場合所得金額は増えないため税金等の負担は発生せず手取り額が31.5万円増えることになります。

 夫婦の年金額、繰下げ受給によって増加する年金額、年金以外の所得、所得控除の額などによって手取り額への影響は変わってきます。夫婦の世帯で繰下げ受給を検討する際は世帯の手取り額のシミュレーションをすることをお勧めします。

犬山 忠宏【いぬやま ただひろ】

1959年生まれ。神奈川県藤沢市出身。犬山忠宏税理士事務所/FPオフィスp.1代表。機械メーカーを早期退職後税理士・FPとして独立。税務だけでなく企業の経理から個人の家計管理、資産運用まで幅広くトータルなアドバイスを行っている。

森永卓郎:ゴールデンラジオ 大竹紳士交遊録 2018.01.22


税金まともに使ってほしいのですが・・・

2018年01月22日 | 社会・経済

マイナンバー、旧姓併記のシステム改修に「100億円」⇒「夫婦別姓を認めれば解決するのに」と批判の声

ハフポス 2018年01月21日錦光山 雅子 Masako Kinkozan

 「女性活躍」の観点から、マイナンバーカードに旧姓を併記するためのシステム改修費用に、総務省が100億円を2017年度の補正予算案に計上したことがTwitterなどで話題になっている。

   政府は、パスポートやマイナンバーカードの氏名の表記で、現在の姓とは別に旧姓も併記できるようにする。2017年6月、政府のすべての女性が輝く社会づくり本部がまとめた「女性活躍加速のための重点方針 2017」にも盛り込まれた。

 ■旧姓の通称としての使用の拡大(女性活躍加速のための重点方針 2017 から抜粋 )

 ①マイナンバーカード等への旧姓併記の推進 住民基本台帳及びそれに連動するマイナンバーカードに本人からの届出により旧姓を併記することが、2018年度以降速やかに可能となるよう、関係法令の改正を行うとともに、システム改修を行う。

 ②旅券(パスポート)への旧姓併記の拡大に向けた検討 旅券について、2019 年度を目途に、本人からの届出により旧姓を併記することが可能となるよう、諸外国の運用も考慮に入れつつ、引き続き必要な検討を行う。

 ③銀行口座等の旧姓使用 銀行口座等の社会の様々な場面で旧姓使用がしやすくなるよう、引き続き関係機関等に働きかけを行う。

どういうかたちで旧姓がカードに表示されるのか。総務省が示しているイメージはこちら。

 

総務省

   この体裁に改めるため、総務省が「2017年度補正予算案」に計上したシステム改修費がこちら。

 


核禁止条約署名113議会が意見書

2018年01月22日 | 社会・経済

核禁止条約署名113議会が意見書  道内は21市町議会

  道新01/22

  核兵器を全面的に違法化する核兵器禁止条約が国連で採択された昨年7月以降、日本政府に条約への署名や批准を求める意見書が、道内21市町議会を含む少なくとも113の地方議会で可決され衆参両院に提出・受理されたことが21日、共同通信の両院事務局と地方議会への取材で分かった。大半が安倍晋三首相にも宛てられている。

  条約は非核保有国が主導し、昨年9月に各国の署名が始まったが、米ロなどの核保有国は反発。被爆国として核保有国と非保有国の「橋渡し役」を自任する日本政府は「条約が亀裂を深める」と反対しているが、方針を転換し条約推進の先頭に立つよう迫った形だ。

  署名を求めたのは、都道府県議会では岩手県議会のみ。市町村議会は被爆地の広島、長崎両市を含む23都道府県の112議会。うち16議会は署名までの間はオブザーバーとして参加するよう要求した。いずれも条約が採択された昨年7月7日以降に可決され、衆参両院事務局が受理した。

  道内では旭川、釧路、帯広など21市町議会が昨年7月以降に意見書を可決。都道府県別では、岩手県(25議会)に次いで2番目に多い。

  旭川市議会は、条約に貢献した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のノーベル平和賞授賞式に広島、長崎の被爆者が参加したことに触れて「核兵器により国民が被爆した唯一の国の政府として、国連会議に正式に参加し、速やかに核兵器禁止条約に署名すべきである」と強調した。

  釧路市議会は、核保有国や日本などが条約に参加していないことを念頭に「国連加盟国の6割以上の賛成で採決されたことは、核兵器を違法化する新たな規範を確立したことを意味し、条約に参加していない核兵器保有国とその同盟国も、政治的・道義的な拘束を受けることになる」と指摘。帯広市議会は早期の署名・批准を求めるとともに、それまでの間は「オブザーバーとして締約国会議及び検討会議に参加すること」を求めている。

  札幌市議会は昨年11月、核兵器禁止条約に関する意見書案を反対多数で否決し、道議会では現時点までに動きはない。

 

 <ことば 地方議会の意見書>地方自治法99条に基づき、地方議会はその自治体の公益に関係する問題について、国会や関係省庁に意見書を提出できる。法的拘束力はなく、受理した側に回答義務もないが、住民代表である議会の総意として尊重され、地方の民意を国政に反映させる手段となっている。地方議会に意見書を出すよう提案する権利は、その議会の議員に認められている。


「日韓合意」

2018年01月21日 | 社会・経済

日刊ゲンダイ  2018年1月19日

孫崎享 外交評論家

 日本外交と政治の正体 

 口約束の「日韓合意」見直しを拒否する安倍政権の非常識

 読売新聞社が世論調査を実施し、慰安婦問題を巡る2015年12月の「日韓合意」について、韓国政府からの追加要求には応じないとする日本政府の方針を「支持する」と答えた人が83%に上った、と報じた。私にとっては全くの驚きである。

  日本政府の方針を「支持する」と回答した人のどれくらいが、「追加要求」の内容を知っているのだろうか。具体的な内容を知らずに「追加要求」という言葉が独り歩きしているのではないだろうか。

  韓国側が公表した新方針は次の通りだ。

 ①日本政府が拠出した「和解・癒やし財団」への基金10億円は韓国政府の予算で充当する。

 ②韓国政府は合意に関して日本政府に再交渉は求めない。

 ③ただ、日本側が自ら、国際的な普遍基準によって真実をありのまま認め、被害者の名誉と尊厳の回復と心の傷の癒やしに向けた努力を続けてくれることを期待する。

日本国民は、この韓国の新方針のどの部分が遺憾だと感じているのか。

  安倍首相は「合意は国と国との約束で、これを守ることは国際的かつ普遍的な原則だ。韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは、全く受け入れられない」と言っている。しかし、この発言は国際的常識からいえば正当性はない。

  前提として民主主義国家とは何かを考える必要がある。民主主義とは政府が国民の意思を反映し、実施することである。大統領選挙や国会選挙で政権が代われば、当然主要政策は変更される。米国のトランプ大統領は大統領就任後、TPP合意からの離脱を宣言した。そしてさらに、北米自由貿易協定からの離脱も検討している。ところが、関係国が「過去の合意を守らない」とトランプを非難しているのかといえば、していない。

   国際的な約束には、順守の重いものから順に「条約」「署名文書の作成」「口頭約束」がある。「日韓合意」は公式文書の作成は行わず、両外務大臣が記者会見を開いて発表するという形式で行った「口頭約束」に過ぎない。この程度の合意について、「合意は国と国との約束。順守は国際的かつ普遍的な原則。韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは、全く受理できない」という認識は国際的な常識から大きく逸脱している。

  そもそも韓国国民の重大関心である慰安婦問題を、日本の一政権が「最終的、不可逆的合意」ができると考えているのが間違いなのだ。

孫崎享 外交評論家

   1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。


 

 安倍政権は、韓国の文在寅政権が慰安婦問題に関する日韓合意を事実上、反故にし、「韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは全く受け入れられない」と露骨に不快感を表している。
 菅官房長官は「合意は1ミリたりとも動かさない」と、河野外相は「政権が代わっても責任をもって(合意を)実施しなければならない」などと激しく非難した。外務省幹部も「合意を変更しようとするのであれば、日韓関係が管理不能となる」と繰り返し抗議しているという。

 しかし、問題は
③「日本側が自ら、国際的な普遍基準によって真実をありのまま認め、被害者の名誉と尊厳の回復と心の傷の癒やしに向けた努力」
なのである。

 韓国政府に合意の長期的な順守を求めるなら、なぜ安倍政権は条約の形式を取って国会で審議し、日韓両国の立法府も巻き込んだ合意を形成しなかったのか。日韓合意は2015年12月28日、年末のドサクサに日韓両外相が共同会見を開いて発表しただけ。合意内容について公式な文書すら交わしていない。

 「日本政府が今も問題視する慰安像の撤去についても、合意内容は韓国外相が口頭で『適切に解決されるよう努力する』と語るにとどまりまった。それを『最終的かつ不可逆的な合意』と言い張ったのは安倍首相なのです」(元外交官の天木直人氏)

  合意に至ったのは、日韓両政府とも当時のオバマ米大統領の強い要請に嫌々ながら従ったに過ぎなかった。当時、慰安婦問題をめぐり完全に冷え切っていた日韓関係を懸念したオバマの「仲裁」という名の「命令」により、安倍政権は渋々「謝罪」を口にしただけなのである。

 韓国が求めているのは「自発的で誠実な謝罪」で、「真実をありのまま認め、被害者の名誉と尊厳の回復と心の傷の癒やしに向けた努力」なのである。

 そもそも日韓合意は「当時の軍の関与」と「多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」ことを明確にし、その責任から日本の首相が「心からおわびと反省の気持ちを表明」するとしたものだ。一方で安倍首相は、元慰安婦の人々に直接謝罪することもなければ、手紙も拒否。だいたい、自らの口からはっきり「心からおわびと反省」と言ってすらいない。

 元慰安婦の人が「謝罪が十分でない」と感じるのは当然であり、その世論を組んだ文政権が「自発的で誠実な謝罪」を求めるのも民主主義国家として当たり前のことだろう。

 安倍総理をはじめ日本国民が真摯にこの問題に立ち向かうなら、「真実をありのまま認め、被害者の名誉と尊厳の回復と心の傷の癒やしに向けた努力」を惜しまないこと、「少女像」の撤去はこちらから言うべき筋合いのものではない。

 


芸能界にはびこるブラックな労働状況

2018年01月20日 | 社会・経済

リテラ 2018.01.20

 

のんやローラも救われる? 公正取引委員会がタレントの独立を阻む所属事務所の圧力を独禁法違反と認定

  昨日、芸能界にはびこるブラックな労働状況を是正するために大きな一歩が踏み出された。

 タレントやスポーツ選手などフリーランスの働き方をする人に対し、雇い主が移籍制限などの不当な契約を強いることは独占禁止法違反にあたる恐れがあると、結論づける方針を固めたというのだ。

 公取委は昨年8月よりこの問題に関する調査を開始。有識者会議を行うなど検討を重ねていた。その結果、芸能人などが所属事務所を辞める際に、他の事務所と契約できないなどの状況は法的に問題があると結論づけられたのだ。

 公取委がこのような検討に入った背景には、もちろん、ここ最近頻発している芸能プロとタレントとのトラブルがある。

 公取委は昨夏の調査開始に先立って、委員会内に設置されているCPRC(競争政策研究センター)で、『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)の著者である星野陽平氏を呼んで勉強会も行っていた。

 そのレポート「独占禁止法をめぐる芸能界の諸問題」には、SMAP、安室奈美恵、江角マキコ、清水富美加をめぐる嫌がらせの事例が並んでいた。

 たしかに、こうした事例は独占禁止法に違反する可能性が極めて高い。飯島三智マネージャーの処遇をめぐって勃発した、ジャニーズ事務所からSMAPへの独立妨害と度重なる干し上げと嫌がらせに関してはもはや説明不要だと思うが、こうした圧力は、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾がジャニーズ事務所を独立したいま現在でも続いている。

 また、今年の9月をもって歌手活動を引退する安室奈美恵も2014年、所属していたライジングプロダクションから移籍しようとした際、メディアからバッシングに遭うことになる。バーニングプロダクション系列であるライジングプロダクションは、御用メディアを使い「安室は18歳年上のプロモーターに洗脳されている」といった報道をさせ悪評を書き立てられた。

 このいやがらせの構図はいま現在でも続いている。昨年11月に発売され、現在では200万枚越えの驚異的なセールスを記録しているベストアルバム『Finally』だが、このアルバムでは収録曲45曲のうち、ライジング在籍時代の39曲は当時の音源ではなくなぜか歌い直し直している。

能年玲奈はじめ、事務所の圧力でキャリアを潰されたタレントたち

  これらの事例に対して、独禁法違反の排除措置命令を芸能事務所に出すことになるのは、一般的な社会通念からいって至極当然のことともいえる。いや、むしろ遅きに失したと言ってもいいだろう。

 こういった嫌がらせで特にひどかったのが、のん(能年玲奈)のケースだ。前所属事務所であるレプロエンタテインメントとのトラブルにより独立することになった彼女に対し、バーニング系列であるレプロは「週刊ポスト」(小学館)や「女性セブン」(小学館)といった御用メディアを通じ、「能年は旧知の演出トレーナーに洗脳されている」といった内容の記事を発信させた。

 のんに対する嫌がらせはこれだけにはとどまらない。事務所独立にあたり「能年玲奈」という名前を使用するのであればレプロの許可が必要との申し入れを行い、彼女は本名である「能年玲奈」を捨て「のん」に改名せざるを得なくなったのだ。

 また、復帰後にアニメ映画『この世界の片隅に』で主演声優を務めた際には、在京キー局の番組から締め出されてプロモーションができない

という事態も起きた。16年8月には、『めざましテレビ アクア』(フジテレビ)への出演が告知されたものの、実際の放送に彼女の姿はなかったという騒動も起きている。急きょ出演がなくなった理由は明かされなかったが、その裏にはレプロと、そのバックにいるバーニングからの圧力があったのではないかといわれている。

 のんのケースに関しては、バーニングに忖度するメディアからの嫌がらせが殊更にひどく、彼女の出世作『あまちゃん』(NHK)の資料映像を使う際には、のんが出演するシーンを巧妙にカットして使用するということも繰り返された。宮藤官九郎は「週刊文春」(文藝春秋)16年7月7日掲載の連載コラムで〈そう言えばトーク番組で『あまちゃん』の話題になり懐かしい映像が流れたのですが、映像使用の許諾が取れなかったのか、アキ(能年玲奈さん)がワンカットも映ってなかった。代わりに前髪クネ男(勝地涼くん)がガッツリ映ってて笑った。あまちゃんは能年さんの主演作ですよ、念のため〉と綴ったこともあった。

 芸能プロダクションとのトラブルが原因で嫌がらせを受けたり、継続的な活動ができないといった状況に追い込まれる例は他にも数多ある。暴力団と交際した過去があったとして事務所独立後に干された松方弘樹、独立後に引退報道や悪評をメディアに書き立てられた水野美紀と鈴木亜美、個人事務所の元社長と元専務を解任したところ、バーニングが元社長側につき、紅白歌合戦の連続出場まで途絶えた小林幸子など、挙げていけば枚挙に暇がない。

公取委決定でローラや元NMB48の渡辺美優紀はテレビに復帰できるのか?

  最近も、こうしたケースは続いている。たとえば、タレントのローラは10年契約、さらに10年後も事務所の承諾がないと契約更新を断れず自動的に更新されるという半永久的奴隷契約を結ばされていたことが発覚。ローラがこれを不当として独立を強行したところ、訴訟をちらつかせ、テレビにほとんど出演できなくなってしまった。

 また、昨年4月には、元NMB48の渡辺美優紀の出演するインターネット生放送番組が直前になって放送中止になる騒動もあった。グループ卒業と同時に吉本も退社したメンバーには2年間待たなければ芸能活動をすることができない「2年縛り」があるとされており、渡辺美優紀の番組の放送中止はこの縛りを理由にクレームを受けたからなのではないかといわれている。

 今回の公取委の結論により、こうした芸能界の「ブラック体質」にもようやく改善されていくのだろうか。そして、ローラやのんもテレビに復帰できるのか。

 しかし、その一方で、別の問題も指摘されている。

 たとえ法的に認められなくなったところで、プロダクションやテレビ局などが「忖度」し合って事務所を抜けたタレントの仕事を干し上げるような状況が変わらなければ、結局のところ現状のままなのではないかという心配だ。

 そのような懸念が出るのには理由がある。

 昨年7月に公取委が調査検討に入ったニュースを取り上げたメディアはNHKと朝日新聞だけで、他はほとんど取り上げていないのだ。とくに民放は、このニュースを一秒も報じていない。民放のワイドショースタッフが苦笑しながら語る。

「それはそうでしょう。テレビはこういう芸能プロの圧力、嫌がらせの共犯者のようなものなんですから。報道なんてできるはずがない。うちの番組では、最初から企画にもなっていません」

 こういった事情がある以上、先にあげたような懸念が現実となる可能性もおおいに考えられる。

 いずれにせよ、今回の公取委の方針は大きな前進ではある。

 ただ、これを本当の意味での労働環境是正の足がかりにできるかどうかは、これからにかかっている。その動向をしばらくチェックする必要がありそうだ。(編集部)


いい天気になりました。まだ風は冷たいですが、太陽の光は春の兆しです。


日馬富士暴行事件以後の大相撲を読み解く

2018年01月19日 | 社会・経済

何が大相撲に差別を呼び込むのか?

   日馬富士暴行事件以後の大相撲を読み解く

              時事オピニオン2018/01/19

 

by星野智幸  (作家)

   元横綱日馬富士の暴行事件に端を発して、2017年末からの大相撲協会を取り巻く騒動はとどまるところを知らない。作家の星野智幸さんは、「相撲ファン」で知られ、これまでも外国人力士に対しての差別的なヤジや「日本人力士ファースト」ともいえる観客の態度に懸念を表明してきた。相撲エッセイをまとめた近刊『のこった もう、相撲ファンを引退しない』を発表した星野さんに、この“日馬富士暴行問題”について、大相撲の行く末について寄稿していただいた。

 

 薄れるかに見えた「日本力士ファースト」の空気

  2017年納めの場所である九州場所の最中に、私の相撲エッセイ集『のこった もう、相撲ファンを引退しない』(ころから)を刊行するにあたって、じつは少々タイミングを逸したのではないかと思っていた。

  このエッセイ集は「大相撲と愛国」をテーマとした本であり、大相撲をめぐる環境に「日本人ファースト」のムードが高まり、外国人力士への差別が蔓延しつつある状況を批判している。筋金入りの相撲ファンである私が、国技館に足を運びながら感じたことだ。2016年に「日本人優勝」「日本人横綱誕生」を期待するキャンペーンが相撲協会とNHKの主導で行われ、ほぼすべてのメディアがそれに乗って大騒ぎしたわけだが、常に幕内の3分の1近くを外国の力士が占める時代に、感じの悪いことおびただしかった。アメリカのメジャーリーグ野球で、アメリカ人ファーストの応援や報道が大勢を占めたら、実力でその地位を勝ち取っている日本の選手がどんな思いをするかを考えてみれば、その異様さはわかるはずである。だが、相撲での日本人中心主義に異を唱える人は、非常に少数だった。

  しかし、「日本人」大関の琴奨菊が優勝し、豪栄道、稀勢の里と続き、稀勢の里が横綱に昇進し、さらに2度目の優勝で怪我を負って以後休場が続くと、「日本人ファースト」の空気は薄くなっていった。なんとなくブームに便乗していた客が減って、相撲を日常的に見るファン(特に女性の相撲ファン)が増えていった。

  象徴的だったのが、2017年の秋場所、日馬富士がただ一人出場した横綱として大逆転優勝を果たしたときである。千秋楽、同じく優勝争いをしていた「日本人」大関である豪栄道に、手拍子でコールが沸いた。大相撲ブームとともに発生したコールという応援の仕方は、日本人力士を応援するときにのみ起こるものだったのだが、このときはすぐに日馬富士コールが起こり、豪栄道コールを打ち消してしまったのだ。秋場所の国技館に3回も足を運んだ私は、日本人力士だから応援する、というような空気が確実に薄れているのを肌で感じ、もう差別の潮目は変わったかな、と思い始めていたのだ。だから、私の本は、出版する前にすでに役割を終えつつあるのかも、と考えたのである。それならそれで、これはかつてあった差別の記録として残しておこう、と。

  甘かった。ここ何年もかけて作られた差別の土壌は、何かことが起これば牙をむくまでに強固になっていたのだ。この本は、世に出るなり、日馬富士による貴ノ岩への殴打事件に巻き込まれていく。

 暴行事件の処置をめぐる問題

  大方の人が感じているとおり、この事件は、日馬富士の暴行問題という側面と、貴乃花親方の行動を源として、何でもありの飛ばし報道合戦と化した側面とが、混ざっていた。さらにその混乱に乗じて、白鵬叩きを始めとするモンゴル力士への差別が猖獗(しょうけつ)を極める事態となっている。だから、問題とその解決を探るためには、それらを一緒くたにせず、丁寧に解きほぐして考える必要がある。

  すべてに共通する私の結論は、大相撲はもはや、根本からの近代化をしないかぎり存続できない、ということである。近代化とは、現代日本でどこの組織もが基本に据えている、法治主義(法令遵守)と民主的な運営、情報公開である。

  まず、日馬富士の暴行問題については、現代の日本が法治主義に基づく民主社会である以上、格闘競技の選手による器具を使っての暴力は、理由が何であれ、まず警察と司法によって裁かれるべきである。示談等の解決方法も、その過程で探られるべきだ。暴力が始まった時点で止めに入らなかった同席者に責任の一端があることも、疑いえない。この点について、処分内容の是非はともかく、当該の力士ら(日馬富士、白鵬、鶴竜)が処分を受けることも必要であったと思う。相撲界は特別だからという理由で一般社会の法を免れることは、できない。

  ただ、明らかになったのは、力士全体の中に、後輩や下位力士への教育には多少の暴力は仕方がないという意識が、今でも共有されているという事実だ。だから一般社会からしたら看過できない暴力でも、力士たちには大した問題に見えなかったのだ。それは力士だけの問題ではなく、むしろ部屋を運営し力士を指導している親方や相撲界全体の文化の問題である。

  その点に関して私は、相撲協会がやや末端に責任を押し付けているような印象を持っている。現場にいた力士が処分を受けたのに対し、相撲協会の幹部の大半は、暴行問題での直接の処分を受けてはいないのだ。処分という形ではなく、八角理事長の「自主的な」報酬の返納、および伊勢ケ浜親方の「自主的な」理事辞任に留まっている。これでは、B、C級戦犯だけ罰して、A級戦犯には自分で反省しなさいと言っているようなものではないか。自主的に引退した日馬富士に対し、今後の基準とするために処分を発表したのだから、協会幹部に対しても、理事会で処分を下すという形は必要だったのではないか。(貴乃花親方は正式な処分を受けたが、これは暴行の責任とはまた別個の、協会員としての責務を果たさなかったことによる。貴乃花親方の問題については後ほど論じる。)

  ここでわかるのは、相撲協会の規律は時として恣意的に運用されるという事実である。このことは、暴力事件の外の騒動を見ると、よりはっきりする。

 恣意的な解釈を許す「品格」という規定

  最も問題視せねばならないのは、白鵬が千秋楽に「万歳」をした行為について、「厳重注意」という正式の処分を行ったことである。私は、白鵬のあのときのインタビューでの発言(「日馬富士関と貴ノ岩関を再び土俵に上げてやりたい」)と万歳は、相撲ファンのもやもやとした不安を和らげるための言動だと思っているが、もちろん批判的な人も大勢いることは承知している。おそらく白鵬も、批判覚悟で選んだ行為だろうとは思う。

  しかし、正式な処分を発令する論拠が何なのか、ということになると、はっきりしない。新聞報道によると、八角理事長は「横綱の品格に関わる言動ということで厳重注意をした」と述べているが、では何が「横綱の品格」に関わるかは、何の定義もない。つまり、そのときの理事会や審判部や横綱審議委員会の気分で、つまりきわめて恣意的に、何が「品格」に関わるか、が決められるのである。そして処分されるのである。これを民主的な法治主義と言えようか?

  大相撲につきまとう「品格」「国技」という言葉は、何の実体もなければ、意味も持たない。なぜなら、それが具体的に何を意味するのか、論理的な定義がなされていないからである。解釈に無限の幅があり、意味をいくらでも変えることのできる、空虚な言葉なのである。その時点で権限を持つ者たちが、好き勝手に基準を設けて、恣意的に力士を批判する道具でしかない。戦前の「国体の本義」という言葉と同じ使われ方だ。

  朝青龍以降、この言葉は常に、力士を批判するときに使われてきた。

「品格がない」「国技にふさわしくない」といった否定形で。そしてその対象になるのは、ほとんどがモンゴル人力士をはじめとする外国人力士である。何がいけないのか、おかしいのかを明示せずに批判をするのは、もはやたんなるいじめであり、排除ではないか。

  しかも、相撲協会では、この言葉を正式な処分の根拠としているのである。いわば、理由は自分で考えろ、と言いながら処罰しているようなもの。

  私は、相撲界の暴力の最も根本的な要因の一つは、この「品格」のような不明瞭な言葉の使い方にあると思う。指導される側は、その理由を示されずに、処罰されたり暴力による制裁を受けたりすることが、相撲部屋文化の中心を占めているのだ。

 親方絶対の家父長的部屋制度

  それを可能にしているのが、親方絶対の部屋制度である。絶対的な権力を持つ親方を頂点とし、子である力士は移籍はできず師事したら引退までずっと「親」の支配下にあり続けるこの制度は、戦前の家父長制をほぼそのまま温存していると言える。公益財団法人日本相撲協会の定款によると、力士は相撲協会に所属する「協会員」であり、部屋の親方は協会から力士の「人材育成業務を委託」される、という形を取っている。にもかかわらず、現実には協会は親方を飛び越えて協会員たる力士にアクセスすることはできないことが、今回の貴乃花部屋の貴ノ岩の扱いで明らかになった。相撲協会は依然として、親方を族長とする各部族の集まりのようなものであり、各部屋は密室として一種の治外法権の状態を作りうることが示されたのである。

  これを民主化すること、すなわち親方の権限の及ぶ範囲をより明確にし、家父長的な権威を解体することなしには、暴力をベースとする相撲部屋文化は変わらないだろう。そして、これは相撲部屋だけでなく、いじめ的な過労死やハラスメントが看過された電通の事例等を見てもわかるとおり、日本社会の組織に根強く残っている価値観でもある。

  2007年から2011年にかけての不祥事の連続で、相撲協会もその独善的な制度を改めざるを得なかった。まったく不十分とはいえ、かつてよりはオープンになり、「相撲とはこういうものだから」「伝統だから」という言い分だけで押し通すことは、減ってきている。おそらく、貴乃花親方は、このような民主化路線に異議を唱えているのではないか。

  週刊誌やテレビのワイドショーなどでは、貴乃花親方を、守旧的な相撲協会に対する改革派のイメージで語っているケースも多い。注意してほしいのは、貴乃花親方はほぼ一言も、自らは語っていないという事実である。メディアにはまったく口を開いていないし、相撲協会に対してさえ、ほとんど何も言っていない。(1月17日に貴乃花部屋HPにて、ようやく貴ノ岩のけがの状況についてコメントを発表。)メディアが伝えているのはすべて、貴乃花親方に近しいとされる人物等からの証言という形でしかない。

 「品格」同様、ここもブラックボックスなのである。貴乃花親方が何も表さないがゆえに、メディアが好き勝手に解釈をつけ、物語を作り上げているだけなのだ。あまりにも実証性を欠くこの報道は、ほとんど意味をなさない。

  わずかに貴乃花親方自らの言葉として、私たちが知ることができるのは、貴乃花親方のブログの過去の言葉と、九州場所後の打ち上げの席で後援者相手に行ったスピーチ等である。これを読むかぎりでは、貴乃花親方は、相撲を近代化とは逆方向、すなわち復古的な方向へ変えたいと望んでいるように見える。

「日本国体を担う相撲道の精神」

「陛下が書かれた角道の精華という訓」

 「この角道の精華に嘘つくことなく、本気で向き合って担っていける大相撲を。角界の精華を貴乃花部屋は叩かれようが、さげすまれようが、どんなときであれども、土俵にはい上がれる力士を育ててまいります」(以上、サンケイスポーツ2017年11月27日付紙面)

「日本の国益のお役に立てるための、相撲道の本懐を遂げるためのものです」

 「神道の精神で鍛え上げられたのが“親方”です。大相撲は神の領域を守護代するという意義があります。肉眼では見えないもの無形のものに重点をおき精進することにあると思います。立派な信仰心を持ち神の領域へいけるようにしてきたのが“親方”です。(中略)生活の場から修練し、心を納めてきているのです」(以上、貴乃花部屋ホームページ「貴乃花親方からのメッセージ」2016年3月25日)

  時代錯誤な皇国用語が焦点を結ばずにちりばめられ、今ひとつ意味を取りにくいが、こういった文言を読むと、貴乃花親方は相撲の体制を、民主化や法治主義の方向へ変えていくのではなく、親方を絶対としつつ、万民が天皇の赤子であるような家父長制的家族主義をもっと強固に推し進めるべきだと考えているのではないか、との印象を持つ。

  例えて言えば、保守的な相撲協会を改革する人物として貴乃花親方に期待をするのは、統治能力の未熟な政権を変えるために頑なな超国家主義者を頂こうとするようなものだと、私には思える。

  このような「相撲道」の考えを持つ貴乃花親方は、己の相撲道に反する今の相撲協会の制度には従わず我が道を貫く、という決意で、あのような行動を取ったのではないか、と私は想像する。

  こういった親方が現れ、協会のルールを無視して己の考えのみに従って行動した場合に、大相撲を運営し、力士と親方の雇い主である相撲協会が、何もできないというのは、なぜなのか。

  相撲協会という組織が、近代的な制度をまだ十分に備えておらず、その運用にも慣れていないからである。相撲協会と部屋との力関係、相撲協会が持つ権限、親方の権限の範囲、相撲協会が雇用している力士や親方に対して果たさねばならない義務、こういった、通常のプロスポーツの運営組織が備えているべきルールを、相撲協会がどこまで明文化しているのかわからないが、その運用を現代の法治主義に則って行える、親方以外の専門家を、協会の内部に招き入れるべきではないだろうか。現状では、親方の暴走を止める手立てはない。

 差別に対処しない相撲協会

  「品格」という論理的な説明にはなっていない理由で白鵬を処分したことは、相撲と無縁の暴力まで引き寄せた。この社会で荒れ狂う差別と排外主義に、つけ入る隙を与えてしまったのである。とにかく白鵬が悪い、黒幕だ、モンゴル力士はつるんで八百長をしている、などという、貶めることが目的でしかない虚偽の説をはびこらせることになったのは、まともな理由を示さずに白鵬を罰したことと無縁ではない。

  この差別的バッシングは、異常事態に及ぶ。九州場所後の巡業に、「白鵬に一番非がある」「実行犯=日馬富士 主犯=白鵬 協会は解雇せよ」などと白鵬を罵るプラカードを持って乗り込むという、ヘイトデモの手法を使う男まで現れた(産経ニュース2017年12月12日)。そしてその数日後には、「白鵬を必ず殺す」という脅迫文が、やはり巡業の会場に届く。

  ことをここまでエスカレートさせたのは、白鵬への言われなき差別に対し、何もしなかった相撲協会の責任によるところが大きい。運営組織が、所属する選手の人権と働く環境を守るのは、最も基本的な義務だ。だが、ここ何年にもわたる国技館でのヘイト声援などにも何の対処もせず、むしろそれを「日本人力士ファースト」の雰囲気作りに利用してきた相撲協会は、差別という暴力に対してあまりにも鈍い。

  また、日馬富士の暴行事件について諮問された横綱審議委員会が、問われてもいない白鵬の相撲内容まで批判したことも、事件と無関係のことを事件に結びつける方向へ誘導したと言える。相撲内容をこんな形で公式に批判するぐらいなら、「横綱は張り手・カチ上げ禁止」などとルール化すればいい。ここでも「品格」と同様の、恣意的な基準での批判が行われている。

 このように、問題を解決するための壁となっているのは、常に法の欠如、民主的な運営の欠如である。「相撲独自」という言い方ではもう許されないところまで来ている。相撲協会は、部屋のあり方から組織の運営まで、コンプライアンスという基礎を学んで、一から作り直すべきだ。さもないと、力士を守れない。力士を守らなければ、相撲は予想外の早さで崩壊していくだろう。


多量の遺伝子組み換え作物が輸入されているが、どこに?

2018年01月18日 | 健康・病気

動物実験で立証済みの危険な遺伝子組み換え食品、表示ラベルは抜け道だらけ――食用油、豆腐、発泡酒などに要注意

mynewsjapan 01/16 2018

   仏カーン大学が遺伝子組み換えトウモロコシの安全性を検証するラットを使った動物実験を実施したところ、腫瘍の発症・肝臓や腎臓の障害などが高い割合で確認され、メスの約70%、オスの約50%が「普通のトウモロコシ」を食したラットの平均寿命よりも早く死んだ。その遺伝子組み換え作物は大量に日本へ輸入されているが、食品ラベルの表示方法に抜け道があるため、用途は不明だ。たとえば食用油の場合、原産地表示も、遺伝子組み換え作物を原料に使っているか否かも、表示する義務がない(EUは遺伝子組み換えモノ混入率が0.9%超で表示義務がある)。豆腐は表示が義務づけられているが、全体の5%までの混入は許容範囲とされ、「国産」と表示できてしまう。だが、実験では極めて微量でも、疾病を引き起こしていた。この3月で、日本の種子法が撤廃され、モンサント社など遺伝子組み換え技術を戦略とする企業が日本に乗り込んでくる可能性もある。消費者は、なぜ選べないのか。「食の安全」を商品表示の観点から検証した。

 

【Digest】

◇カーン大学のラットを使った実験

◇多国籍企業の誘致と規制緩和の中で

◇除草剤をかけても枯れない作物

◇動物実験で設定された10のグループ

◇除草剤と環境ホルモンも関係

◇リスクのあるマーガリン、マヨネーズ、ドレッシング・・・

◇輸入作物でも「国内製造」で承知

◇危ない豆腐の表示

◇化学物質の逆襲

◇日清オイリオグループ(株)の見解

◇(株)J-オイルミルズの見解

 

 今年3月末で種子法(主要農作物種子法)が廃止され、新しいタイプの公害が海外から到来しようとしている。この法律の下でこれまで、日本の主要な農作物(具体的には、稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆)は、国の管理下で品種改良などを行い、種の保存と普及が推進されてきたが、グローバリゼーションとそれに伴う規制緩和の中で、遺伝子組み換え種子を売り物にした多国籍企業に、その役割をゆだねる流れが、本格化しはじめているのだ。

他の関連法の「改正」が進めば、多国籍企業に日本の農地を開くことにもなり、その結果、すでにわれわれの食卓にあふれている遺伝子組み換え食品が、これまでとは比較にならない規模で広がりかねない状況だ。

  その遺伝子組み換え食品は、果たして安全なのか。問題があるとしたら、その使用実態は消費者に分かりやすく表示され、遺伝子組み換え食を避けたい人は、選ぶことができる制度になっているのか。

 ◇カーン大学のラットを使った実験

  2012年にフランス・カーン大学のセラリーニ教授らが行った遺伝子組み換え食品の安全性を検証する動物実験の結果は、世界に衝撃を与えた。ラットに遺伝子組み換えトウモロコシなどが混じった飼料を与える実験で、開始4カ月目から腫瘍を発症するラットが現れた。そのほか、さまざまな病変が現れ、最終的にメスの約70%、オスの約50%が、比較対照とした「普通のトウモロコシ」を食べたラットよりも、早期に死亡した。

  この実験は、2年という、ほぼラットの寿命にあたる長い期間を設定して行われた。それより前に、米国モンサント社が同じ類型の実験を実施していたが、期間はたった3カ月で、しかも、安全性に問題はないという結論を出していた。これは、自社が開発した遺伝子組み換えトウモロコシを使って行われた実験であるため、安全性のアリバイづくりが目的と言っても過言ではない。

  これに対し、カーン大学の実験は、遺伝子組み換え作物の真実を検証するために実施された。実際、セラリーニ教授らは、企業からの資金援助を受けないことで、実験の公平性を担保した。そして、遺伝子組み換えトウモロコシの危険性を示唆する実験結果が出たのである。

  もちろんラットと人間は別種で、寿命にも大きな差があるが、生物学的な観点からすると、実験結果は、人類に災いしかねない食の悲劇に対して警鐘を鳴らすことになった。

 ◇多国籍企業の誘致と規制緩和の中で

 食糧自給率が低い日本では、消費者が知らないだけで、すでに多量の遺伝子組み換え作物が輸入されている。そして、さまざな加工品に化けて食卓の中にまで入り込んでいる。

しかも、その中には原材料などの表示義務が免除されているものが多数含まれている。そのため、消費者は遺伝子組み換え食品を食べていることを認識できない。知らないうちに多量の“毒”を体内に取り込んでいる可能性が高いわけである。

  たとえば食用油は、遺伝子組み換え作物を原料としているかどうかの表示義務が、免除されている。国内で生産されるコーン油と菜種オイルの大半は、その原料を、海外からの輸入に頼っている

  国内大手のJ-オイルミルズに、同社の商品『コクとうまみの大豆の油』について聞くと、「わたしどもの原料は不分別の品でして、遺伝子組み換え作物が混じっている作物でございますが、割合についてはご案内させていただいておりません」と、混入はあっさり認めるものの、その比率が5割なのか9割なのか、比率は開示しない(詳細は後述)。

   この対応はどの大手メーカーも同様で、消費者は混入の有無も比率も、何らの情報も食品表示から知ることができない仕組みだ。6年前の状況から何ら変わっていない。

  これは、グローバリゼーションの中で、日本政府が、モンサント社などの遺伝子組み換え技術が使用された海外産の安価な農作物を輸入しやすくする政策を取っているためだ。国民の健康リスクをかえりみず、規制を緩くしている。今年4月に予定される種子法の廃止も、こうした流れの中で取られた措置にほかならない。

◇除草剤をかけても枯れない作物

  まずは、遺伝子組み換え作物の毒性の根拠を、カーン大学の動物実験を踏まえて詳しく説明しておこう

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ということです。

 遺伝子組み換え作物の毒性もさることながら、田畑から多くの生き物たちを追いやった除草剤をも口に入れなきゃならない事態なのである。
 大手食品メーカーのお菓子、ポタージュなどのインスタントものにはほとんだ使われている現状だ。
 すぐに体調に変化を及ぼすものではない。我々の世代は昔はまともなものを食べていたが、今の子どもたちは生まれてすぐにどっぷりの世の中だ。