里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
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自然の中に身を置いてみませんか?

鈴木宣弘さん 食料自給率向上 どうすれば

2024年05月17日 | 自然・農業・環境問題

「しんぶん赤旗」2024年5月17日

 

中小農家切り捨ての基本法改定 根本転換で国内農業支える道へ

 今後の日本の農業のあり方と国民の食料確保にかかわる「食料・農業・農村基本法改定案」について参議院で審議されています。農業を守り、食料自給率を向上させるにはどうしたらよいのか、東京大学特任教授・鈴木宣弘さんに聞きました。(鈴木平人)

 ―農業の現状をどう見ていますか?

 農業従事者の平均年齢は68・7歳(2022年、農林水産省調査)で、これはあと10年以内に多くの農村が崩壊しかねない現状を物語っています。

 農業生産の「担い手」となる農家への土地の集約を農水省は進めてきましたが、土地の集約はもう限界にきていたり、「担い手」本人も高齢化していたりして、次の担い手がいない状況にあります。そこへ円安による資材高で赤字拡大が襲って、農村コミュニティーが維持できない瀬戸際にきています。

 食料自給率は38%と言われますが、肥料はほぼ全量を輸入していることを考慮し、種子法廃止や種苗法改定によって野菜だけでなくコメや大豆などの種の自給率も10%に低下すると仮定すれば、実質自給率は9・2%に低下すると試算できます。

 ―参院で食料・農業・農村基本法改定案が審議されていますが…。

 一番の問題は、こうした農業・農村の疲弊を食い止めようとの立場に立っていないことです。一部の企業が生き残れば、他の農家や農村はつぶれてもいいという前提で考えている。

 政策として出てくるのは一部の作物の輸出増大や海外農業生産への投資、スマート農業の育成・普及、農業への企業進出などです。これでは一部企業がもうけるばかりで、農家の収入には結びつきません。

 たとえばオーストラリアでは1区画100ヘクタール(100万平方メートル)の田んぼなどがありますが、日本国内では、北海道でも1区画6ヘクタール(6万平方メートル)が限度です。日本の地形を考えれば、多様な農業形態を支えることが理にかなっているのです。

 世界でも日本でも、主流は家族農業です。半農半X(別の仕事をしながら農業をする)や定年帰農なども含めた中小農家が多数いることで、あぜ道の草刈りや水路の管理もできます。たとえ企業だけが残ったとしても、周辺のコミュニティーが崩壊すれば、やがて企業も存続不可能になるでしょう。

 ―農業基本法の問題として食料自給率向上をいくつかの目標の一つに格下げしています。

 食料自給率軽視の姿勢も、金を出せば海外から安い食料を買えると思っているから出てくるのです。しかし、異常気象の通常化や紛争の頻発などで、金を出せば食料を買える時代ではなくなっている。中国は、有事に備えて14億人が1年半食べられるだけの穀物を備蓄する計画を立てているといいます。

 平時から国内の農業生産を支えて国民の命を守ることこそ必要なのに、いざというときには有事立法(食料供給困難事態対策法案)で対応するといいます。普段は何もせずに、窮地のときには、花農家にイモ作れなどと命令だけして、増産計画を出さないと罰金を取るという。発想がメチャクチャです。

 米国が食料供給を独占するという、戦後の占領政策を日本の財界もうまく利用して、農業を犠牲にして自動車産業で利益を上げるという構造をつくってきました。FTA(自由貿易協定)を一つ締結すると、自動車産業は3兆円もうけて農家はその分赤字幅が拡大してきたという試算もあります。その構造を変えることがないから、輸入農産物がますます増えて農家の所得は減る一方です。

 基本法改定案の関連法案も議論されていますが、ヨーロッパや米国でもやっているような、農家への赤字補填(ほてん)の仕組みこそ必要です。たとえば、田んぼ10アール(100平方メートル)ごとに3万円の支給は、総額1・3兆円あればできます。コメ農家の赤字補填は3500億円、酪農家の赤字補填は750億円でできます。有事に備えて500万トンの備蓄をすることも1兆円あればできます。現在の農水予算と合わせても5兆円あれば、これら全てができることになる。軍事に43兆円も使うなら、命を守り育む農業にこそお金を使うべきです。

 ―政治のあり方が問われています。

 「今だけ金だけ自分だけ」―今の政治は、自分たちと利害関係にある一部の企業の利益になるような政策ばかりをしています。これを根本的に変えることが必要です。

 真に国民の利益を考える政治家を選ぶとともに、一人ひとりが輸入に頼るのではなく、地場産を買い支えるなど「ローカル自給圏」を形成していくことが必要です。学校給食の買い取り制度などで、自治体がそれをサポートすることもできます。そうしたコミュニティーと自治体が協力して取り組んで、そのうねりで国政も変えていけるような流れを期待したい。

 日本共産党がこの間、野党間の連携を強化しようと努力してきたのは重要なことです。頑張っている政治家が一人いても、そうした政治家が面的に増えないと米国に押し負けてしまう。全国で連携を広げ、今の政治の流れを変えることを期待しています。

 

 すずき・のぶひろ 1958年生まれ。農林水産省勤務、九州大学教授などを経て、東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授。『世界で最初に飢えるのは日本』『農業消滅』『食の戦争―米国の罠に落ちる日本』など著書多数


金権腐敗・堕落政権の支持率10%台の中、「悪法」が次々と「可決」されている。

離婚後も父母の双方が親権を持つ共同親権を導入する改正民法は17日、参院本会議で、与党や立憲民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。共産党とれいわ新選組は反対、社民党は退席した。
立派なこと言ってたなぁ・・・

園のようす。


食への権利:食の戦争体制が進む中で

2024年05月13日 | 自然・農業・環境問題

印鑰智哉ブログ 2024/05/11

 

 食料・農業・農村基本法改正案、そして食料供給困難事態対策法案の最大の問題点はここまで日本の食・農をダメにしてきた政策を変えずに「これまでのビジネスをそのままやらせろ」というのが基本になっていて、そんなことをすれば確実にやってくる食料危機に強権使って対応するというセットになってしまっていることだ。

 今、気候危機、生物絶滅危機などの多重危機の進行は予想を超えて進んでおり、このままでは世界全体で危機的な事態に陥る。その中でもっとも脆弱な部類の日本はさらに厳しい状況に追い込まれるから、もっとも機敏に対応しなければならないのだけれども、現在の政権の下ではそれは期待できない。官僚がマイクのスイッチを一度切ってしまったら、オンに戻させることすらできない大臣が構成する政権では無理だろう。

 必要なことは可能な限り外部からのインプットを減らす、アグロエコロジー的転換を大規模に行うこと。そのためにはタネから変えていく必要がある。政治的な力がなければ到底、必要な規模での転換は不可能だ。環境負荷を減らしつつ、そうした農業を支えるための予算をつぎ込む。

 でも単なる政権交代だけでは実現できない。というのも、産官学の癒着構造ができあがっていて、それは現在の政府だって把握していないだろう。だから政権だけ変えても、その変化は実働部隊までに及ばない。政府の外に民間企業が主体となって外郭団体が作られ、それに補助金や委託事業などで公的資金が使われている。民間企業の、民間企業による、民間企業のための施策が公金で行われている。市民の生活が苦しくなるのも当たり前だ。私たちはますます食べられなくなっていく。

 しかし、政権交代が第一歩となって、その下で実働部隊の実態を明らかにして、解体していくしかない。もし、このままの方向を変えられなければ近い将来、かなり恐ろしい事態になることは避けらなくなるだろう。どう変えるべきか、その提言の基盤となる記事をまとめている。完成はまだ先。

 食への権利が国連で宣言されたのは1996年¹。日本では2024年になっても食への権利は法制化されず、食料安全保障にすり替え、強権的な体制に押し込もうとしている。

 一方、メキシコは今年3月7日、適切かつ持続可能な食料への権利を定めた画期的な法律を制定した²。適切かつ持続可能な食料というのは栄養価が高く、十分な量があり、質が高く、安全で、文化的に適切という意味である。これこそ日本が食料・農業・農村基本法で取り入れるべき観点ではなかったか? 食とは基本的人権なのだから。

 日本では権利なき食と農の憲法が現在、参議院で審議中³。

 戦時食料法というべき食料供給困難事態対策法は衆議院で審議中⁴。

 気候危機・食料危機対策として、早急なシステム転換が必要なのに、そのシステム転換を不可能にしてしまおうという動きが進んでいる。本当に世も末的状況だ。


園のようす。
先日の霜害で・・

 

ウドが出てこないと思ったら、やられていました。

こちらは🍓いちご。中央部分が黒くなっています。


遺伝子組み換え生物の規制緩和を進める日本、米国では訴訟に

2024年04月26日 | 自然・農業・環境問題

2024/04/24印鑰智哉のblogより

 明日が締切の内閣府食品安全委員会の遺伝子組み換え食品に関するパブコメを前に、意見表明します。

 遺伝子組み換え企業の行き詰まりが2015年以降、深刻になっています。世界の市民が遺伝子組み換え食品を拒否したこと、遺伝子組み換え作物の栽培が農家にとってもメリットがないことが明らかになったこと、そして環境に多大な影響を与えていることを考えれば、その事態は当然のことと言えます。あらゆる面でデメリットの明らかになった遺伝子組み換え農業を終わらせる時です。

 でも、この遺伝子組み換え企業の危機に対して、米国や日本政府は救済策を講じ、遺伝子組み換え食品の規制緩和を進めています。米国ではバーモント州などが作った遺伝子組み換え食品表示を無効にして、実質的に消費者の知る権利を奪い、遺伝子組み換え(Genetically Modified)をバイオエンジニア(Bio Engineered)と言い換えるデタラメな表示法が作られました。そして、トランプ前政権の下で、遺伝子組み換え食品・生物の規制は大幅に緩和されました。

 そして、米国政権の指示の下、日本でも遺伝子組み換え食品の規制緩和は急速に進んでいます。かつては米国からの遺伝子組み換え作物は日本での栽培実験が課せられていましたが、一部の作物は米国での実験結果の検証だけで日本での栽培実験が省略され、また親品種が承認されているものの掛け合わせ(交配品種)は承認すら不要とされ、さらに2023年4月からNon-GMOという表示も実質的に例外的にしかできない状態にされています。

 これだけ規制が緩和されるというのは、「遺伝子組み換え食品の安全性が確認されたからだ」と勘違いする人も出てしまうかもしれませんが、事実は逆なのです。オミックス分析でモンサントの開発した遺伝子組み換え大豆Intacta™ Roundup Ready™ 2 Proと従来の大豆を比較したところ、70種のタンパク質と代謝物において、予期せぬ変異が観察され、その摂取はアレルゲンレベルの上昇を生む可能性が指摘されています¹。このオミックス分析は現在の政府のリスク評価では使われておらず、このリスクはチェックされていません。

 栽培される遺伝子組み換え作物のほとんどは農薬耐性害虫を殺す毒素を持つものとなっていますが、雑草や害虫もそれらに耐性を獲得するようになったため、近年開発された品種は5つもの混合農薬に耐え、生成される毒素の種類も5つほど追加されるものが出てきており、かつてよりも遺伝子組み換え作物の毒性は格段に上がっていると言わざるをえないのが現状です。規制を強化すべき時です。

 それにも関わらず、日本政府は次から次へと規制緩和を進めています。今年4月1日から食品衛生基準行政は、厚生労働省から消費者庁に移管され、遺伝子組み換えや「ゲノム編集」食品の食品としての担当は今後、消費者庁の担当となったこと、つまり省から庁への格下げとなりました。

 今回、内閣府食品安全委員会は安全性評価基準を食品健康影響評価指針に変更しました。前者は基準違反をしないよう義務が発生しますが、後者の指針は単なるガイドラインですから、格下げとなります²。

 遺伝子組み換え作物の毒性がむしろ増している現実を無視して、規制を緩めるということは許されないことです。米国ではすでに多くの規制緩和が行われましたが、それに対して、政府が、農民や消費者、環境を守るという果たすべき役割を放棄したとして、広範な市民の連合体によって訴訟が複数起こされています³。市民の手で誤った政府の政策が正される可能性があります。

 今後、内閣府食品安全委員会をはじめとする日本の規制機関がこのような規制緩和を進めるとしたら、それは重大な過誤を犯すことになりえます。そうなる前に、規制の見直しを求めます。


この「自公」政権では難しいと思います。
と言ってあきらめるわけにもいきません。

さて、とうとうこちらも桜が咲き始めました。
何ということでしょう。
例年だとGW明け10日ぐらいなのですが昨年も早く、4月中に咲くかと思いましたが5月GW真っ最中。
そして今年はGW前の開花となりました。
恐ろしい現象です。
地球を守るために人類を滅亡させるかもしれません。

園の桜。

夕方、帰り際には・・・


食のPFAS汚染、肉で25万倍の汚染検出

2024年04月22日 | 自然・農業・環境問題

印鑰智哉ブログ 2024/04/22

 

 食のPFAS汚染は今後、世界が直面する大きな問題にならざるをえない。汚染企業の責任追及と共に早急に取り組まなければならないのは下水汚泥肥料の規制だ¹。

 米国では下水汚泥を肥料の原料にすることが盛んに行われたがその結果、800万ヘクタールの農地がすでに永遠の化学物質と言われるPFASに汚染されてしまったという。下水の中にPFASが紛れ込み、それが肥料の中に入って、農地を汚染してしまう。その結果、特に問題なのは家畜の飼料にPFASが入り込み、家畜の体の中で生物濃縮されてしまう。だから畜産物のPFAS濃度が危険なレベルに上がってしまう。

 ガーディアン紙はテキサス州のある農場で、水は連邦政府の勧告の1万3000倍のPFAS汚染されており、その農場の肉はなんと25万倍の汚染になったという²。被害を受けた農家は下水汚泥肥料を売っていた企業に対して訴訟を起こした。メイン州はすでに下水汚泥肥料の利用を禁止し、PFAS汚染に苦しむ農家の救援計画を進めている。そして、今、米国では下水汚泥肥料を認めた環境保護庁(EPA)に対する訴訟も起きており、下水汚泥肥料の禁止を求めている³。

 また米国の市民団体は農務省(USDA)と環境保護庁に有害な下水汚泥肥料利用禁止を求めるオンラインキャンペーンを行っている²。

 この同じ時代に、日本ではその逆のことが進行している。農水省と国交省が予算を出して、下水汚泥肥料の増産を図り、利用を促進するためのセミナーを開いて、宣伝に力を入れているのだ(添付図参照)。実際に琉球新報は佐賀県の下水汚泥肥料から高濃度のPFASが検出されたことを調べ、報道している⁴。農水省は米国で起きていることを知らないはずがない。農水省の官僚に質問したが、メイン州の動き含めて知識としては知っていた。それにも関わらず規制するどころか、実態把握もしようとせずに販促に努めているのだから、これは確実な確信犯と言わざるをえないだろう。国交省のマニュアルには一言もPFASのことは触れられていない⁵。

 下水汚泥をバイオ炭にすることができればPFASを無害化できるという話もあるようだ⁶。ただし、下水汚泥で問題なのはPFASだけではない。カドミウムなどの重金属や放射性物質の存在もある(以前はセシウム100ベクレル/kg以上は放射性汚染物質として隔離する必要があったが、原発事故後、400ベクレル/kgまで下水汚泥肥料の原料として許容されたままだ)。

 問題が起きたら、名前を言い換える。下水汚泥は印象が悪いからバイオソリッドと呼ぶようになるのだろう。名前を変えても問題は悪くなるだけ。米国のように下水汚泥の利用禁止を求める必要があるかもしれない。少なくともPFASなど有害物質の測定をすることは最低限必要だろう。それなしに農地汚染したら、その責任は農水省と国交省にあると言わざるをえない。


まったく、ニッポンの政権は責任を追わない。

新潟水俣病判決 国の責任を問わぬとは

「東京新聞」社説2024年4月22日

 国の責任を認めなかった点に、強い違和感が残る判決だ。

 新潟水俣病に苦しむ原告が水俣病特別措置法(特措法)の対象から外れ、救済を受けられなかったのは違法だとして、国と原因企業・旧昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に損害賠償を求めた訴訟で、新潟地裁は原告47人のうち26人の罹患(りかん)を認め、同社に約1億円の賠償を命じたが、国への賠償請求は退けた。

 新潟県・阿賀野川下流の沿岸で水俣病が公式確認されたのは、1965年。原告は、各地で同種工場の排水の水銀測定結果が出た61年までには、国が規制権限を行使すべきだったと訴えた。しかし判決は、同年の時点では、国に工場からの水銀排出や住民の健康被害を具体的に予見できたとはいえないとして、その主張を退けた。

 だが、56年には熊本県で水俣病が公式確認され、65年より前には原因も明らかになっていた。新潟でも既に健康被害が出ていたのだから、原告の主張はもっともではないか。同趣旨の訴訟は全国4地裁で起こされたが、原告勝訴だった昨年9月の大阪地裁判決はもとより、賠償請求権が消滅する20年の「除斥期間」が過ぎていたとして、原告敗訴だった今年3月の熊本地裁判決ですら、国の責任を認めている。その点から見ても、今回の判断には疑問が残る。

 ただ、今判決が、原告らの提訴が遅れたのは「差別や偏見で旧昭和電工への請求を躊躇(ちゅうちょ)していた事情もある」と酌み、「正義・公平の理念に反する」と除斥期間を適用しなかった点は評価できる。結果、水俣病に罹患していると判断した一部原告への賠償を認めた。

 水俣病に関し、国は当初、重症者だけを患者認定していたが、中軽度の症状に苦しむ人の訴訟が相次ぎ、最高裁が2004年、国の責任を認めた上で、認定基準を国より緩やかに解釈する判断を示した。これを受けて09年、対象を広げる特措法が成立したが、その適用からも外れた住民が一連の訴訟を起こした。

 これまでの3判決は、国の責任や、除斥期間のとらえ方、診断に使われてきた「共通診断書」への評価でも分かれ、司法判断が錯綜(さくそう)している。ただ、判決内容にかかわらず、国が「あたう(できる)限り救済する」とうたう特措法の精神に則(のっと)った被害者救済に手を尽くすべきなのは言うまでもない。

「ノーモア水俣」がすでに危ない。
PFAS汚染を第二の水俣にしてはならない。

今日も曇り空、氣温はわずか10℃を超えた。
それでもカタクリの花が開いた。

ホトケノザも・・・

ルパーブ


農政の抜本的転換 食と農の希望はここにある

2024年04月20日 | 自然・農業・環境問題

 「しんぶん赤旗」主張 2024年4月20日

 食や農の今後のあり方に関わる食料・農業・農村基本法改定案が衆議院を通過しました。審議を通じて浮き彫りになったのは、自民党政権にこれ以上農政のかじ取りはまかせられない、抜本的転換は待ったなし、ということです。

 国の農政に問われているのは食料自給率の低下農村の崩壊など直面する危機をどう打開するかです。改定案は自給率目標を投げ捨てたうえ、危機を招いた従来路線の延長での対応にとどまり、危機打開どころかさらに深刻化させるものと言わざるをえません。

 自給率低下や農業者激減の原因について自らの農政への検証や反省を一切行わず、責任逃れに終始していることも重大です。

■発展の条件はある

 食や農の未曽有の危機は歯止めのない輸入自由化や農業の市場まかせなど自民党政治に歴史的責任があります。「食料は安い外国から輸入すればいい」として農業を切り捨ててきた結果です。いま必要なのはその流れの根本的な転換です。

 日本には温暖多雨な自然、高い農業技術の蓄積など農業を発展させる条件は十分あります。ないのは、それを生かす政治の力です。

 欧米諸国では政治が農業・農村の役割を重視し、手厚い保護で支えています。

 日本共産党は農業を国の基幹的生産部門に位置づけ、食料自給率の向上を国政の柱に据え、農業と農村の再生に力を尽くすことを訴えています。なかでも急がれるのは農業者が安心して営農に励み、農村で生活を続けられる土台を政府の責任で整えることです。

■価格と所得補償を

 「若い人がなぜ継がないかといえば(農業で)食えないからだ」。基本法見直しの審議会ででた農業者の声です。これを真剣に受け止め、事態の抜本的改善に力を入れるべきです。近年、困難ななかでも若者が農村に移住し、就農する動きが広がっています。これを政治が本格的に後押しすれば担い手が大幅に増えることは間違いありません。

 最大のカギは生産費に見合う価格保障と所得補償の充実です。EU諸国では食料の安全保障や環境保全、農村の振興などに着目して手厚い所得補償を行っています。日本も同様の補償を行えば、農業と農村の再生の展望は開けます。

 農林水産予算の抜本的な増額も不可欠です。1980年には軍事費の1・6倍あった農水予算が今日では3分の1以下にされ、国の予算に占める割合も8・4%から2・3%へ低下しています。予算のあり方を大軍拡から国民の命第一に改めれば農業の再生に必要な予算は生み出せます。

 「食料安全保障」と言いながら、いざというときに国民を飢餓にさらす亡国の自民党農政、その根本にあるのは米国いいなり、大企業の利益優先の政治のゆがみです。国民の苦しみをよそに「裏金づくり」に熱中し「戦争する国づくり」に暴走するのも同じです。

 改定案の審議は参議院に移りますが、自給率向上目標の明記、価格・所得補償の実施を含めて農政の抜本的転換を迫る運動の強化が求められます。悪政ノーの国民的大運動に合流し、自民党政治を終わらせ、食や農に希望ある未来を切り開こうではありませんか。


支持率20%以下で、次から次と悪法のオンパレードです。
アメリカの核の「抑止力」に頼り、アメリカの食糧世界戦略に組み込まれたニッポン。
自公政権を倒さねばどうにもならない状況です。

園のようす。
寒い寒い。
10℃までにも届かなく、春の花々も足踏み状態。


PFAS汚染された農地をどうする?

2024年03月26日 | 自然・農業・環境問題

印鑰 智哉(いんやく ともや)のblogより

 by INYAKU.Net 2024/03/26

 誰もが生きるなら汚染のない世界で生きたい。でも、今の世界は汚染が進み、人のいない極地地域でも汚染は発見される。この汚染された世界でどう生きたらいいのか。世界の命をこの汚染からどう守ればいいのか、汚染を減らすにはどうすればいいのか?

 言うまでもなく、まず汚染の進行を止めること。汚染物質を禁止し、汚染させた企業、軍などの組織に責任を取らせること。

 でも汚染されてしまった農地はどうするのか。放射性物質、カドミウムやヒ素などの重金属、ラウンドアップ(グリホサート)などの農薬、さらにはPFASなどによって汚染されている農地がある。まったく汚染されていない農地はないだろう。大なり小なり、この汚染された農地からどう安全な食を確保するのか、考えなければならない時代に入っている。

 汚染物質だけを抽出して隔離する技術があればいいのだが、これが難しい。でも、この分野でも有機農業は大きな力を発揮しそうだ。バイオ炭や土壌の微生物を生かし、必要なミネラルを確保することで重金属の吸収を防ぐことが可能であることは検証されている。有機堆肥の利用も有効¹。

 さらに汚染物質を吸収しにくい作物を選ぶことも有効。たとえばニンニクやアスパラガスなど果実をつける植物は移行率が低いため、汚染された土壌で栽培されたとしてもPFASの含有量は高くない²。

 一方、レタスなどの葉物野菜や、家畜の飼料として使われる干し草はPFASの移行率が高く、干し草は家畜の餌として使われ、その糞尿を通じて有害化学物質が拡散されてしまう³。

 だから、移行率の高い作物を移行率の低い作物に転換することで汚染を抑えられることになる。もっともその移行には負担がかかる。新たな倉庫やトラクターも必要になるかもしれない。米国メイン州はPFAS汚染に苦しむ農家のために6000万ドルの基金を作り、その移行を支援している。

 さらにその農地のPFAS汚染を引き下げるためにはPFASを食用作物とは逆にたくさん吸収してくれる作物を植えることでその土地を浄化させることが考えられる(ファイトレメディエーション)。

 メイン州では空軍基地として占有されていた土地が先住民族に返却されたが、その土地はPFAS汚染がひどく、農業にも人間の居住にも適さない状態だったという。そこで試みられているのが繊維用麻の栽培だ。麻はPFASを吸収する驚くべき能力を持っているという。収穫された麻はバイオ燃料で使うことも検討されている。

 麻の栽培は日本では難しいかもしれないが、このようなPFASを吸収しやすい植物を活用することでPFASに汚染されていた地域の汚染を安全なレベルに引き下げることが期待できる。

 米国の大学ではPFAS汚染地域での農業の方法について毎年シンポジウムが開かれ、最新の知見が共有されているようだ⁴。

 しかし、汚染を取り除くことは汚染する数桁上の手間と費用を必要とするだろう。だからまず汚染させない政策が必要になる。メイン州は農地のPFAS汚染の大きな原因となっている下水汚泥肥料の使用を禁止している。

 ところが日本の農水省はその逆で、下水汚泥肥料の使用を促進するセミナーを開き、その使用を全国的に推進している⁵。肥料中のPFAS濃度は測ってすらいない。それではダメではないかと指摘すると、農水省からは問題が出たら考えますとの答え。しかし、問題が出てからでは遅いのだ。

 PFAS汚染は軍事基地や工場、産業廃棄場や下水汚泥肥料、さらには農薬も原因となる。PFASを含む農薬は日本でも使われており、農薬経由でもPFAS汚染が進む。そうした汚染源をまず断つこと、そして被害農家に汚染責任組織が賠償し、その土地の浄化の責任を取らせること。これはその農家のためだけでなく、汚染のない未来を作るためにわたしたちすべてに必要な原則であり、行動であると思う。


農薬についても、どの農薬にPFASが使われているのかすら公表されていない。
下に3年前のビデをを載せた。
3年前である。
水素エネルギーやペロブスカイト太陽電池、汚染水からトリチウムを除去する技術などがすでに開発されている。
なぜ進まないのか・・・?
待ったなしの状況で。

紙・プラではない「夢の素材」【SDGs】


水俣病の被害者 司法判断に翻弄されて

2024年03月23日 | 自然・農業・環境問題

「東京新聞」社説 2024年3月23日

 司法は今度は、水俣病被害者の救済への扉を開かなかった。健康被害に苦しみながら高齢化した被害者たちの人生は、異なる司法判断のはざまで翻弄(ほんろう)されている。

 水俣病特別措置法(特措法)の対象から漏れた原告144人が、国や熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めていた訴訟で、熊本地裁は原告の訴えを退けた。同趣旨の訴訟は全国4地裁で起こされ、原告は計1700人以上。初判決は昨年の大阪地裁で、原告128人全員を水俣病患者と認定、国などに賠償を命じており、同じ訴えに対する判断が分かれた。

 特措法では約3万8千人に一時金を支給したが、対象を不知火海周辺の特定地域に絞り、チッソが汚染水排出を止めた翌年の1969年11月までの出生も要件にし、約1万人が救済から漏れた。集団訴訟の原告はそうした人たちだ。

 昨年の大阪地裁は、対象地域外でも不知火海の魚を継続摂取していれば発症しうる▽排出停止後も発症した例がある-として、法の「線引き」を一蹴し、原告全員を患者と認めた。

 一方で、今回の熊本地裁は、水俣病は、不知火海の魚を継続的に多食してからおおむね10年以内に発症すると推認。原告のうち、この条件に合う25人を水俣病に罹患(りかん)していると認定したが、賠償請求権が消滅する除斥期間(20年)が経過していると判断した。残る119人の罹患は認めなかった。

 日本の公害の原点とされる水俣病の救済は、司法が、政治に重い腰を上げさせる歴史だった。

 国は「複数の症状がある」という厳しい条件に基づき、重症の約3千人を患者に認定した。しかし、中軽度の症状に苦しむ人の訴訟が相次ぎ、95年、未認定患者1万人余に一時金を支給して政治決着を図った。その後、最高裁が認定基準を国より緩やかに解釈する判断を示したことを受け、09年、第2の政治決着として成立したのが特措法だ。そこからも漏れた人々の救済の先行きは、大阪地裁判決と打って変わった今回の判決で一気に混迷化した。

 「あたう(できる)限りすべて救済する」と特措法はうたうが、司法判断は揺れ、同法で定める被害地域住民の健康調査すら未実施だ。患者救済に尽くした医師の故原田正純さんの著書名が言う通り、「水俣病は終(おわ)っていない」。公式認定から今年で68年になる。


「ノーモア被爆者」「ノーモア水俣」が危機にある。
ここでしっかりした基礎を築かないとPFASなど次々と現れる「公害」にも対処できなくなることは明らかだ。

良い天気に恵まれ、融雪が進んだ。
ネコヤナギが咲いていた。

今日の散歩道。

 


ほぼ全国(43都道府県)にPFAS関連企業

2024年03月22日 | 自然・農業・環境問題

政府 企業名公表を拒否

参院環境委 山下議員が告発

「しんぶん赤旗」2024年3月22日

EU全1万種超規制へ 日本3種のみ

 発がん性などが指摘され、国際的に規制強化が進む有機フッ素化合物(PFAS)を製造、販売、使用している企業が、少なくとも43都道府県、200超の自治体に所在することが分かりました。北は北海道から南は鹿児島県までほぼ全国に広がっています。

 日本共産党の山下芳生議員が21日の参院環境委員会で告発しました。政府はPFAS関連企業名を明らかにすることを拒んでいます。

 PFASは1万種類以上あり、自然に分解されずに人体や土壌などに長期間残留します。全国各地の米軍基地や工場周辺などで汚染が相次いでいます。

 山下氏は、PFASを扱う「日本フルオロケミカルプロダクト協議会」「日本フルオロカーボン協会」「日本化学工業協会」「日本弗素(ふっそ)樹脂工業会」の参加企業の資料を調査。PFASの製造拠点が、半導体関連企業も含め重複分を整理すると、少なくとも43都道府県、200超の自治体に上ると明らかにしました。

 山下氏は、欧州連合(EU)の欧州化学品庁が昨年2月に1万種類以上ある全てのPFASの製造や使用を禁止する規制案を示した一方で、日本では3種類しか禁止されていないと指摘。「PFAS汚染による不安が高まり、国際的にも規制が強化されようとしている中、PFASを製造、販売、使用している企業で適正に管理されているか国が調査すべきだ」と迫りました。

 伊藤信太郎環境相は「EU規制案を受けた特別な対応は考えていない」と消極的な姿勢を示しました。

 さらに山下氏は、EU規制案に対するパブリックコメント(意見公募)5642件のうち、規制に後ろ向きな日本企業・業界団体によるコメントが942件に上り、経済産業省も同じ趣旨のコメントをしていたと指摘。「世界の流れに逆行する圧力を、業界や経産省がかけていた」と批判しました。

 また、住友化学会長でもある十倉雅和経団連会長が22年に自民党の政治資金団体「国民政治協会」に5000万円を献金していたことに触れ、「政治とカネの問題が関係している疑いがある。PFASの政策をゆがめるような企業・団体献金は禁止すべきだ」と強調しました。

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水俣訴訟、救済対象外の請求棄却 典型症状主張144人、熊本地裁

水俣病特別措置法に基づく救済策で対象外となった人たちが国などに損害賠償を求めた訴訟の熊本地裁判決で、「不当判決」を訴える原告側の弁護士ら=22日午前、熊本市

このようなことが毎度繰り返されている。
そのようにならないよう事前の対策が求められている。
しかるに、国民の健康や命より企業活動が優位に立つ。
すべては「金」だ。
「金」でしか動かない自公政権におさらばしよう!


子どもの尿から農薬

2024年03月15日 | 自然・農業・環境問題

残留検査の結果報告会 「有機食材使って」

2024年「しんぶん赤旗」2024年3月15日

 

 「デトックス・プロジェクト・ジャパン」は、小学生50人を対象に尿中のネオニコチノイド系農薬の残留検査を実施し、14日、国会内で結果報告会を開きました。

 検査を担当した農民運動全国連合会(農民連)食品分析センター所長の八田純人さんが報告しました。

 検査に協力したのはコープ自然派しこくと、農民連女性部。長期休みを除いた期間に尿を提供してもらいました。ほぼ全員給食を食べていました。調べた農薬は毒性が強く発がん性の懸念があるネオニコチノイド系農薬とその代替薬の15成分。「50人全員から農薬が検出された。驚いた」と八田さん。「子ども1人に複数の成分が認められ、最大8成分が出た子もいました。おとなと比べて子どもの方が多い傾向だ」と報告しました。

 調査に参加した「食べもの変えたいママプロジェクト」の篠崎亜紀子さんはふだんから有機・無農薬の食材を使っています。少ないとはいえ、6年生の息子から検出されたことに驚いたといいます。「友達と食べていたお菓子なのか、学校給食なのか…。原因を知りたい。千葉県いすみ市などのように学校給食に有機食材を使ってほしい」と訴えました。

 食政策センタービジョン21を主宰する安田節子さんはネオニコ農薬、ネオニコ類似の農薬は、EU諸国では禁止・規制に向かっているとし、「日本は残留農薬の規制値がゆるい」と指摘し、有機農業推進を訴えました。


大人より子どもの方が多かったということは給食が考えられますね。
他に食パンやクッキーなどの小麦粉に残留するグリホサート系の除草剤も見逃せません。

今朝は10㎝の雪が積もっていて驚きました。
除雪車の出動も終えたのか来ません。
プラス氣温になったので夕方には道路の雪は消えてしまいました。


TSMC熊本工場に地下水汚染と健康被害リスク…数年後「想定外」マジ勘弁な

2024年03月04日 | 自然・農業・環境問題

岸田総理は化学物質PFASをご存じない? 

まぐまぐニュース!2024.02.28

    by 中島聡『週刊 Life is beautiful』

    台湾の半導体製造大手TSMCが熊本県菊陽町に建設した第1工場の開所式にビデオメッセージを寄せた岸田総理。「半導体はデジタル化や脱炭素化の実現に不可欠なキーテクノロジー」であるとして、今後建設される第2工場とあわせて1.2兆円の補助金を投入すると説明しました。これに関して、Windows95を設計した日本人として知られる中島聡さんは、「工場誘致に税金を使うこと自体は悪くない」としながらも「ちゃんとした条件交渉をできているかどうか心配」と指摘。その不安の一例として、工場周辺で危惧される化学物質「PFAS」による地下水汚染や健康被害のリスクを挙げています。(メルマガ『週刊 Life is beautiful』より)

 

岸田総理も大はしゃぎのTSMC熊本工場に「2つの懸念」

日本政府が5000億円近い補助金を提供することにより誘致に成功した、TSMCの熊本工場ですが、それに味をしめたTSMCが第二工場の建設を計画しているそうです。経済産業省は、9000億円規模の補助金による支援を検討しているそうです。

半導体工場の誘致に税金を使うことそのものは悪くないと思いますが、ちゃんとした条件交渉を国ができているかどうかがとても心配になります。日本の政治家は、しばしば「結論ありき」で物事を進めるため、「誘致すること」が前提で官僚が交渉をしたところで、良い条件が引き出せるわけがありません。

そんな中で、最近になって浮上してきたのが、地下水の問題です。

熊本は、日本の中でも珍しく綺麗な地下水が豊富な地域で、地域の住居・農場・工場に提供されている上水道の水源は、その地下水です。

半導体工場は、大量の水を使うことが知られていますが、今頃になって、これが地下水に与える影響を心配する声が聞かれるようになりました。

懸念事項は二つあります。

一つ目は、半導体工場が大量の水を使うことにより、地下水が枯れてしまうのではないか、という心配です。私のような素人から見ても、「そんなことは工場を誘致する前にちゃんと調べておけよ!」と言いたくなります。

半導体工場がどのくらい水を使うかは前もって分かっているのですから、いわゆる「環境アセスメント」の段階で、地下水が十分にあるかどうかは調べておくべきであり、今頃になって「地下水が枯れてしまうかも」と心配するのは馬鹿げた話です。

二つ目は、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)と呼ばれるフッ素化合物による地下水の汚染です。

PFASは、1940年ごろから普及していった化学物質で、水や油をはじき、熱に強い性質を持つため、消化剤、揮発剤、表面処理剤として、幅広く使われるようおになりました。フライパンに焦げ目がつかないようにするテフロン加工、布地が水を弾くようにするゴアテックス、などが代表的なものです。

PFASは、その性質上、自然界や体内で分解されにくく、一度環境が汚染されてしまうとなかなか消えなかったり、生物の体の中に蓄積されてしまう特徴があり、”Forever Chemicals”と呼ばれています。

その後、PFASの中でも、特にPFOSとPFOAと呼ばれる物質に、血清総コレステロールの増加、抗体反応の低下、がん、出生時体重の減少などのリスクがあることが判明し、製造元による自主規制や、規制当局による製造・使用、輸出入の禁止などが進んでいます。

TSMC熊本工場とPFAS「最悪のシナリオ」

半導体の製造過程では、さまざまなPFASがウエハー上に回路パターンを転写するためのフォトレジスト(感光材)やエッチング工程での冷媒などに使われるほか、製造装置内部の配管やバルブといった部品の表面加工など幅広い用途に利用されており、半導体工場の周辺では、河川や地下水中のPFASが安全基準を上回る濃度まで上昇してしまうケースがしばしば見られます。

半導体製造過程におけるPFASの活用は、それが「必要不可欠なもの (Essential uses)」という理由から規制対象から外されてきましたが、欧州では、2025年から規制対象になることが決まっており、それが半導体不足を悪化させる可能性があると心配されています。

熊本では、TSMCの半導体工場の稼働が始まっていないにも関わらず、地下水から基準値以上のPFASが検出されるケースが相次いでおり(原因は不明)、今後、本格的な稼働が始まった時に、地下水にどんな影響が出るかが心配されています。

熊本県は、この問題に対処すべく、PFAS調査を大幅拡充するとしていますが、そんな中途半端なものではなく、半導体工場でのPFASの使用禁止も含めた、より積極的な政策が必要だと私は思います。

本来ならば、日本政府がこのリスクをしっかりと認識した上で、第二工場に9000億円の補助金を出す条件として、「第二工場ではPFASは使わない。第一工場においても、2025年以降はPFASを使用しない」ことをTMSCに約束させることがとても大切だと思いますが、上に書いたように、政治家が「誘致ありき」の姿勢を崩さない限り、まともな交渉ができません。

最悪のシナリオは、PFASの件は曖昧なまま第二工場の建設が進み、数年後に地下水からPFASが検出された後になって、熊本の宝であった「安全な地下水が」失われ、政治家は「想定外だった」とコメントして誰も責任を取らない、というものです。

そんな事態を避けるためにも、日本政府には、「破談になっても構わない」姿勢で、ちゃんと交渉してもらいたいと思います。


本当にそうですよね!
でも、「国民の命」より「金」ですから、自公政権を潰すのが先決でしょう。


きょうビキニ水爆被災70年

2024年03月01日 | 自然・農業・環境問題

「しんぶん赤旗」2024年3月1日

 南太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁での米国の水爆実験によるビキニ被災事件から1日で70年。事件を機に、日本国民は原水爆禁止を求めて立ち上がり、以来、世界の人びとや非核保有国の政府と連帯して世論と運動を広げ、核兵器禁止条約を発効させました。

 1954年3月1日未明のブラボー水爆実験で、現地島民や周辺海域で操業していた日本の多くの漁船が被ばくしました。第五福竜丸の無線長、久保山愛吉さんが犠牲となったことに国民の怒りが広がり、原水爆禁止運動が発展。一方、第五福竜丸以外の船舶の被ばくは隠蔽(いんぺい)され、被災者は放置されたまま。被災の全容解明と被害者救済が急がれます。

 原水爆禁止日本協議会は、日本政府に禁止条約の参加を求める「非核日本キャンペーン」に取り組みます。

 

ビキニデー原水協集会

市民運動がエネルギー

東京都杉並区長 岸本聡子さん

 原水爆禁止署名運動発祥の地“杉並”から連帯のメッセージを送らせていただきます。

 第五福竜丸の被ばく、築地市場に持ち込まれたマグロの廃棄を皮切りに、日本中で魚が買われなくなりました。そんなとき、杉並区のお魚屋さんが築地市場で原水爆禁止署名を始め、女性を中心に署名活動が開始され、全国から署名が集められたことが、杉並区が原水爆禁止署名運動発祥の地とされるゆえんです。市民運動が行政を動かし全国に影響を与えた様子は、いまの杉並区の変化につながります。

 その様子は核兵器禁止条約の成立にも似ています。大国を取り囲むように小さな国々が手に手を取ってつくり上げたのが禁止条約です。こうした市民運動こそ、次世代をつくるエネルギーです。


昼からまた雪になりました。
今も結構降っています。
明日は猛烈な風も加わるようです。
明日はビキニデーの学習会に参加予定ですが・・・


過酷!宗谷本線 全線走破!今夏の猛暑対策に!

2024年02月26日 | 自然・農業・環境問題

過酷!宗谷本線 全線走破!【特急禁止の旅】普通列車x日帰り往復=518.8km【廃駅だらけの秘境鉄道】

いかがでしょうか?
今夏猛暑の中いい旅になりそうです。
体験してみたいと思うのですが、まだ現役農民なので難しい。

 

地方ローカル線、全国90区間で存続危機 最も崖っぷちにある鉄路は「輸送密度」20人

災害とローカル線

AERA 2024/02/25/

野村昌二

 ローカル線を取り巻く環境は、厳しさを増している。存続が危ぶまれる区間はどこか。鉄路が寸断されるとどうなるか。AERA 2024年2月26日号より。

【図表】崖っぷち!乗客が少ない鉄道ワースト50はこちら(全5枚)

*  *  *

 千葉県の房総半島のまん中を走るJR久留里線(木更津-上総亀山)。2月上旬の平日の午後、終着の上総亀山駅(同県君津市)で2両編成の列車を降りた乗客は、5人しかいなかった。駅近くに住む70代の女性は、千葉市内の病院に行くのに、週に1度は列車を利用している。

「久留里線は大事な足。なくなったら、困っちゃうわよ」

 昨年3月、里山を走るこの鉄道に衝撃が走った。

 運営するJR東日本が、久留里線32.2キロのうち、末端部の久留里(同)-上総亀山間9.6キロについて、バス路線への転換も視野に存廃協議に入ると、千葉県と君津市に申し入れをしたと発表したのだ。JR東が事実上の存廃協議を申し入れたのは、災害で長期不通となった路線を除き初めて。JR東は、「鉄道の特性である大量輸送のメリットを発揮できていない状況にある」と説明した。

揺れる地方の鉄路

 JR東に限った話ではない。地方の鉄路が存廃に揺れている。

 国土交通省は昨年8月、赤字が続くローカル線の経営改善や存続などを議論する「再構築協議会」を設置する際の基準を示す基本方針を決定。1キロ当たりの1日平均利用者数を表す「輸送密度」が「1千人未満」の線区を優先すると記した。

 1千人未満の線区は、いったいどれくらいあるのか。非公表のJR東海を除く、JRグループ5社がホームページなどで公表しているデータなどで調べると、全国に90区間。そこから災害で運休している路線を除いたワースト50を一覧にした。

 最も崖っぷちにあるのは、広島・岡山両県を走るJR西日本・芸備線の東城(広島県庄原市)-備後落合(同)の25.8キロ区間で、輸送密度は20人(2022年度)。冒頭の久留里線の久留里-上総亀山間は、輸送密度は54人(同)とワーストスリー。21年度の運賃収入はわずか100万円で、3億円近い赤字。営業費用に対する運輸収入を示す収支率は0.5%で、JR東全体でも最低水準にある。

「鉄道の存続を真剣に議論する時にきている」

 鉄道と街づくりに詳しい国学院大学の大門創(はじめ)准教授(交通計画)はそう指摘する。

 日本の鉄道は、鉄道事業者が全てを独立採算で賄うのが原則で、山手線など都市部で稼いだ利益を地方の赤字路線に充てる「内部補助構造」によってネットワークを維持してきた。しかし、そもそも人口減少で鉄道利用者は減少傾向だったのが、コロナ禍で加速した。稼ぐ力が細る中、今までの枠組みでは通用しなくなっている、という。

「例えば収支率0.5%ということは、99.5%は赤字補填(ほてん)していることになります。そうした路線まで内部補助構造によって支えるのは、限界にきています」(大門准教授)

鉄道網途切れると

 日本は、全国に鉄道が網の目のように張り巡らされている。現在JR、私鉄を合わせた鉄道の総延長は約2万7千キロと、地球を3分の2周するまでになっている。そのネットワークが途切れると、何をもたらすのか。

 大門准教授は、「広域的視点と地域の視点の両方でインパクトが生じる」と言う。

「広域的視点としては、ネットワークが寸断されることによって、利用者は今までは目的地に鉄道だけで行くことができたのができなくなり、車やバスなど別の代替交通手段を使うことになります。その結果、既存の鉄道の収支が下がり、運賃の値上げになることも考えられます。利用者にとっても、移動の選択肢が狭まります」

 地域的なインパクトは、高齢者や学生など「交通弱者」に及ぼす影響だ。

「特に地方は、学生が鉄道を使えなくなると通える学校の選択肢が減ります。また学校や塾などの送り迎えを保護者が行うことになり、そうなると保護者の時間が制約され活動が停滞するので、地域の活性化にマイナスの影響を与えることにもなります」(大門准教授)

 18年4月、島根と広島を結ぶJR西日本の三江線(さんこうせん、三次-江津(ごうつ)、全長約108キロ)が、利用者の減少が止まらず廃線となり、バスに代替された。廃線から6年近く経ち、沿線に住む40代の女性は、「街も寂しくなった」と嘆く。

「観光にも生かせる鉄道だったので、廃線になる前に何とかできなかったのかな、と思います」

 ただ、「鉄道がなくなると地方が衰退する」というだけで、苦境を乗り越えられるわけではない。交通手段としてだけなら、バスで十分という面もある。

「オプション価値」

 島根県立大学准教授で、ローカルジャーナリストとして『ローカル鉄道という希望』の著書もある田中輝美さんは、「大切なのは、一地域の問題に矮小化しないこと」だと強調する。一地域の問題と捉えると本質を見失いがちになる、と。

「鉄道の価値の一つはネットワークです。地域と地域、人と人が繋がれば、新しい出会いや交流の可能性が広がります。繋がりの可能性を狭める社会が本当に幸せなのか、そうした視点から見ていくことも必要です」

 そのためにも、社会を支えるインフラとして鉄道を位置づけることが重要と田中さん。

「例えばインフラと認識されている道路について、赤字だからなくしてもいいという議論はあまり聞かれません。鉄道も同じです。ただ、日本は主に都市の鉄道事業者の成功体験があるために、鉄道に採算性を求める風潮が強すぎると感じます」

 鉄道の価値は採算面だけでは測れない。いつでも誰でも乗れ、高齢になった時も使える。こうした選択肢がある状態を「オプション価値」と言い、鉄道の場合は特に強い。しかも脱炭素社会に向け、CO2(二酸化炭素)の排出量が少ない鉄道が果たすべき役割は大きい。

(編集部・野村昌二)


下水汚泥肥料には注意

2024年02月16日 | 自然・農業・環境問題

印鑰智哉ブログより2024/01/20

このままでは日本は汚染列島に。

 ウクライナへの戦争以降、化学肥料原料の不足・高騰が大問題となった。農水省は国交省と組んで、下水汚泥の肥料への活用を進め、全国の下水処理場でその施設の建設・増強が進み、安い下水汚泥肥料の利用が増えている。家庭菜園用に売られている肥料でも使われている可能性がある。

 でも、この下水汚泥肥料(コンポスト肥料)を使うと何が起きるか、すでにわかっていることがある。その土壌中にカドミウムや作物中のカドミウムが増える、そしていったん入ったカドミウムは簡単に消えていかなくなるとする報告がある⁽¹⁾。

  また地域のよっては放射性物質が下水汚泥に紛れ込む。政府は原発事故の後、下水汚泥の原料に許容される基準値をなんと400ベクレル/kgに緩和した。肥料の中には200ベクレルまで許される⁽²⁾。以前は100ベクレル越えたら放射性物質として隔離管理が必要なのではなかったか? この基準は原発事故後の2011年に設けられた。それから10年以上、変えられていない。

 そして、地域によっては高濃度のPFASが含まれている。いったんPFASに汚染された土壌を除染する技術は確立されていない。だからこそ、米国メイン州は下水汚泥の利用を禁止した⁽³⁾。それなのに日本ではまだ土壌のPFASの測定方法も確定しておらず、基準すら設けられていない。

 これらの汚染を取り除く技術がない以上、汚染させないことを至上命題に掲げなければならないのに、それもせず、基準も設けず、測定方法も確定していない段階で下水汚泥肥料を促進するのは間違っているのではないかと農水省に問うと、問題が出たら、考えますという対応だった。でも問題が出た時にはすでに遅いのだ。

 農水省からしたら、カドミウムを吸わないコメができたから、カドミウム汚染は大丈夫、他も同様にできるだろう、ということなのか? 重イオンビームや「ゲノム編集」を使って、そうした品種を開発するつもりだろうか? 私たちの食はみなそんな遺伝子が損傷した食ばかりとなるのか?

 しかし、そのようなテクノフィックス一本足打法はきわめて危うい。「コシヒカリ環1号」も交雑によって、カドミウムをほとんど吸収しない形質が失われる可能性があるからだ⁽⁴⁾。「カドミウムは吸収しないに違いない」と思っていたら汚染米になっている可能性がある。だからこそ、汚染させない政策と地域のカドミウム汚染を着実に減らしていく総合的な施策が不可欠になる。でも、汚染させない政策は麻痺し、汚染をなくすための総合的な施策はむしろ後退している。

 このままでは日本は汚染列島になってしまう。この政治を変える必要がある。


「献金」してくれる方しか向かない政権である。
国民の健康より「献行」。

さて、コンポスト、検査済みといって市販されているが果してどのような「検査」がなされているのか不明である。そもそも薬まみれの「糞尿」であることは容易に想像がつく。今は一般的ではなくなったが水銀入りの体温計など、壊れたら流しに流した人も。つまり、何が入っているのかわからないものが「コンポスト」なのだ。

 昨日は皮膚科へ行ってきたがたいへん混んでいた。友人とランチする予定が2時を過ぎてしまった。「玉藤」でとんかつ。ここの店ではないが札幌でサラリーマンをしていたころから暖簾をくぐったチェーン店だ。今は暖簾などないが。

夜は子、孫と回転ずしへ。
また体重が増えそうだ。


原発立地の町長が姿勢一転「安全性アピールは難しい」と再稼働に慎重発言

2024年02月04日 | 自然・農業・環境問題

震度7の石川・志賀 稲岡健太郎氏

東京新聞2024.02.04

 能登半島地震で震度7を観測し、大きな被害が出た石川県志賀(しか)町の稲岡健太郎町長(46)が、本紙の取材に応じた。町内に立地する北陸電力志賀原発について、2007年と23年に能登地方で地震が頻発した状況を引き合いに「北陸電力は再稼働を目指すとのことだが、首長として以前のように安全性をアピールすることは難しい」と語った。重大事故を想定し、住民の避難経路を抜本的に見直す必要性を強調した。(染谷明良)

◆「再稼働の道筋が見えてこない」

 昨年末、前町長が逮捕された贈収賄事件に伴う町長選で初当選。その約1週間後、未曽有の震災が起きた。町長選では「化石燃料に頼り、電気代も高騰している現状では、すぐにでも原発を再稼働すべきだ」と主張したが、一転、慎重な姿勢に態度を変えた。

 原発の耐震性については「敷地外の活断層を巡る専門家の意見や原子力規制委員会の判断を待つ」としたが、「安全対策の強化や審査の長期化などを考えると再稼働の道筋が見えてこない」と指摘した。

◆これまでの避難訓練「現実的でなく、訓練のための訓練だった」

 年に1度実施の県と北陸電による避難訓練にも言及。想定されている避難経路が今回の地震で壊れ、寸断したことを受け「海にも空にも逃げられない。現実的でなく、訓練のための訓練だった。抜本的に見直す必要がある」と語った。

 町内に16カ所ある放射線防護施設については「1カ所に40〜50人を収容し、1週間以内に救助隊が来る想定で、備蓄があると認識している」と説明。だが「万が一の場合、全町民を受け入れる容量はない。施設を何倍も増設する必要がある」と、町防災計画の見直しを検討する考えを示した。

 防災服で取材に応じ「地震直後、原発事故が頭をよぎった。その後、北陸電の説明を聞き、稼働停止の現状を踏まえ、事故はないと分かった」と振り返った。その上で「むしろあの揺れをよく耐えたな、というのが率直な思い」と続けた。

 志賀原発 1、2号機とも2011年から運転停止中。北陸電力は2号機の再稼働を目指している。23年3月、再稼働の前提となる新規制基準の適合審査会合で原子力規制委員会は「『敷地内に活断層はない』との北陸電の主張は妥当」と判断。敷地周辺断層による地震の最大震度や津波の想定について審査が続く。今回の地震では、壊れた変圧器から2万リットル以上の油が漏れ、想定していた周辺の避難経路が寸断された。

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2024焦点・論点 防災計画のあり方を問う

神戸大学名誉教授 室﨑益輝さん

「しんぶん赤旗」2024年2月4日

被害想定見直すべきだった 市町村の広域合併の弊害も

 能登半島地震では、石川県地域防災計画「地震災害対策編」が1997年当時の想定から見直されていなかったことが明らかになりました。なぜ、見直されなかったのか。今後の各地の防災計画のあり方などを含め、石川県災害危機管理アドバイザーも務める、室﨑益輝神戸大学名誉教授に聞きました。(嘉藤敬佑)

 ―地域防災計画を見直す機会はなかったのでしょうか。

 被害想定の見直しは、新しい断層が見つかるなどの知見に基づき、連動して行われるのが基本です。国は、断層の調査を行ってきましたが、能登半島ではその作業が遅れていました。県として、国に調査を要望してはいましたが、結果として間に合いませんでした。しかし、その場合でも、どこにでも未知の断層があり、それが動くという前提で防災計画を立てることはできました。

 能登半島では2007年にも、最大震度6強を観測する地震が起きています。同様の地震が再び起きることを念頭に置いた対応が必要でした。

 悔やまれるのは、地域の高齢化や過疎化といった社会情勢の変化を反映できなかったことです。それを踏まえて被害想定を見直すべきでした。

 私は、石川県の災害危機管理アドバイザーに就いた09年以降、阪神・淡路大震災を受けて作られた計画の見直しを提案してきましたが、政府の地震調査委員会による「長期評価」の結果が出るのを待つ形になり、二十数年、見直しは進んできませんでした。

 根本には「すぐには地震は来ない」と考えていた面があります。それでも、能登半島で群発地震が起こり出し、それを踏まえ見直しは始めたものの、結果的に見直す前に地震が起きてしまった。すぐに、より大きな地震を想定して見直していれば、被害の「想定」と「実際」の乖離(かいり)をもっと小さくできた可能性がありました。

 ―今回の被災地は非常に混乱しました。

 確かに今回、地域防災計画の「想定外」という面はあります。ただ、マグニチュード7・6だと分かった時点で、想定を超える大きな地震だと判断して、被害を推定することはできました。それが対応できなかった。倒壊建物数など、今も被害の全体像がつかめていません。初動のためには、概数でもいいので迅速に被害の全体像をつかむようにしないといけません。

 発災直後、被害状況をすぐに把握する必要がありました。いわゆる「平成の大合併」などの影響も受け、自治体の力が弱くなっています。衛星電話をあらかじめ配備しておくなどの体制も必要でしたが、それもままならなかった。人工衛星やドローンなどの新しい技術を活用して、被害状況を把握するようにしなければなりません。

 「想定外」が起きたとき、どう対応するかが問われています。例えば、道路が徹底的に寸断され、まったく自動車がつかえないときどう対応するか。孤立集落が多数発生し、すぐに解消できない場合どうするか。自然災害は人間の経験値を超えて起こりうるものです。

 ―直接的には防災計画に反映させないとしても、想定を上回る被害が出る場合も念頭に置くべきなのですね。

 例えば、想定を上回る数の孤立集落が発生し1週間、物資も届けられないケースが発生したとします。その時に、空からでも孤立集落に支援物資を届ける体制を考えた方がいい。

 道路が破壊されたなら、被災地救援で主に使われる大型の自動車は現地にすぐには行けないにしても、小型の車両なら入れるかもしれない。防災計画自体は、道路に被害がある場合、ある程度は大型車両の通行も可能なことを前提に作るとしても、使えない場合も想定しておくべきでしょう。

 自治体職員が被災し、すぐには対応できないケースもあり得ます。普段に比べ、2割、3割と職員が少ない中で、いかに被災者救援にあたるかといったことも用意すべきです。

 ―南海トラフをはじめ、巨大地震はいつどこで起きるかわかりません。今後、全国的にどのような対応が必要でしょうか。

 能登半島地震を受け、すでに防災計画の見直しに着手した県もあります。他の地域の経験を踏まえ、「一刻も早くやる」ことが大切です。北陸地方でも、富山県は国が調査した断層以外にも、県が独自に調査した断層が動いた場合も想定して計画を立てています。これ以外にも、5年ごとや10年ごとなどと定めて、常に計画の見直しをやっている自治体もあります。

 防災計画の中で、発災時に自治体職員の広域応援をどうするかも検討しておくべきです。過去において災害対応の豊かな経験がある職員にすぐに現地に入ってもらう体制がいります。また、非常時には自治体の元職員を再招集する体制も必要でしょう。

 地震は自然現象で、激しく揺れることは当然あります。災害は、自然現象と人為現象が合わさったもので、人間社会の側で被害の軽減をはかるようにしなければなりません。

 自治体にも押し寄せる効率化の波ですが、それは災害には弱い。今回は、社会、行政の備え方が不十分だったために、被害が大きくなってしまいました。市町村の広域合併の弊害が如実に表れています。自治体は効率化だけを求めるのではなく、大きな被害を極力少なくできるように、防災計画を考えていくことが大切です。

 むろさき・よしてる 1944年生まれ。神戸大学名誉教授。日本災害復興学会会長などを歴任。著書に『大震災以後』『建築防災・安全』など。


 これから超巨大震災がやってくるという状況で、自治体と国が歩調を合わせて対応していかなければいけないのだが、国に要望する前に役立たずの政権をまず倒すことから始めなければならない。その方が早道だ。


紙ストローには危険な「永久化学物質」が含まれていることが判明

2024年02月03日 | 自然・農業・環境問題

TABI LABO編集部2024.02.01

紙ストローは、人々が期待していたほどの環境貢献を成し得なかった。

振り返ること2022年4月、深刻化する海洋プラスチック汚染などの対策として日本で施行された「プラスチック資源循環法」

環境のためという大義名分に反発する術をもたず、突然プラストローに別れを告げられた私たちは、紙ストローという得体の知れないモノになんとか慣れてやろうと、試行錯誤を重ねてきた。

もちろん、プラストロー禁止により混乱に陥ったのは日本だけではなく、世界各地で起きていた話。サンフランシスコでは罰金制度が発足したものの、紙が分厚すぎてリサイクルできずに一般ゴミとして処分されるという、本末転倒なケースも起きていたそうだ。

そんなこんなで、日本で新プラ法が施行されてから約1年半が経過。

もう、やめない?という動きが最近現れつつある。というのも、紙ストローの飲みづらさや味の変化、効果のなさという話ではない。

なんと、紙ストローに「低レベルの永久化学物質」が含まれていることが判明したのだ。

紙ストローには、ファストフードの包装紙などに用いられる熱や薬品に強い物質「ペルフルオロアルキル物質・ポリフルオロアルキル化合物(PFAS)」が含まれているらしい。『Food Additives and Contaminants』に掲載された研究論文で明かされた。

環境中で分解するまでに何世紀もかかってしまうことから「生分解性」ではないとされ、私たちの健康への悪影響も懸念されている。

これを後押しするかのように、アントワープ大学の科学者らは、環境に優しいはずだった紙ストローがPFAS汚染に寄与している可能性を示唆。

研究に参加したポーリン・ボワサック氏は、「PFASはほぼ全種類のストローに含まれ、主に植物由来の材料から作られたものに含まれていたことが判明した」と述べており、植物由来のストローは必ずしも“持続可能な代替品”と言えないことを指摘している。

同氏は最も持続可能な代替案として、再利用が可能で尚且つPFASを含まない、ステンレス製ストローを挙げている。

たしかに説得力があり、今までのような苦い思いはせずに済みそうだ。しかし、私たちが「常時ステンレスストローを持ち歩く習慣」を身につけられるか……と考えると、あまり現実的ではない予感も。

目を背けてこのまま紙ストローを使い続けるか、他の案に切り替えるのか。はたまた、全くストローを使わないという意見さえある。

どちらにせよ、紙ストローが最適解だったか否かについては、十分検討する余地がありそうだ。

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知らず知らずの間にプラスチックを食べている、米誌調査で判明

YAHOOニュース2024.01.12(金)

ロイター

 米消費者専門誌「コンシューマー・リポート」は4日、健康上のリスクがあるにもかかわらず、食品中にプラスチックが「幅広く」存在していると主張、規制当局に対し、製造過程で食品と接触するプラスチックの安全性を再点検するよう求めた。

 同誌はスーパーマーケットの食品とファーストフード85種類を検査。このうち84種類に「フタル酸エステル」が含まれていた。これはプラスチックの耐久性を高めるために使用される化学物質だ。

 また、食品サンプルの79%から、プラスチックに含まれる化学物質である「ビスフェノールA」などのビスフェノール類が検出された。

 フタル酸エステルとビスフェノール類は、ホルモンの生成と調節を乱し、多くの健康問題のリスクを高める可能性がある。

 フタル酸エステルは、いずれも米国と欧州の規制当局が定めた基準値を超えていなかった。ただ同誌によると、科学者が安全性を確認したフタル酸エステルの基準はない。

 同誌は、米規制当局による再評価はもっと早く行われるべきであり、必要不可欠であるだと指摘した。

米国でペットボトル水から推定値の10〜100倍のプラスチックが検出され衝撃走る

日刊ゲンダイ ヘルスケア 2024.01.30

ペットボトルの水から、これまでの推定値の10倍から100倍の微小なプラスチック粒子が検出され、衝撃を与えています。

投棄されたプラごみが細かく粉砕されてできるマイクロプラスチックは、これまでも海洋汚染の原因として問題になっていました。マイクロプラスチックを飲み込んだ魚を食べることで、人間の体内にも入っていることも知られ始めていました。

しかし今回世界を驚かせたのは、ペットボトルの水からこれまで推定されていた10倍から100倍のプラスチック粒子が検出されたことです。コロンビア大学とラトガース大学の研究によれば、ペットボトル入り飲料水1リットル中に含まれていたプラスチック粒子は、およそ24万個でした。

検出されたプラスチック粒子のうち、約10%はマイクロプラスチックで、残りの90%はもっと小さなナノプラスチックでした。マイクロプラスチックが5ミリから1マイクロメートルであるのに比べ、ナノプラスチックは1マイクロメートル以下で、人間の髪の毛の太さの70分の1という微小なものです。

検出された粒子の一部は、浄水器に使用されているプラスチックから流出している可能性もあると、研究者は推定しています。

こうしたマイクロプラスチックやナノプラスチックが人間の体内に入った場合、どんな影響があるのかはまだわかっていません。しかしマウスを使った実験では、微小なプラスチックはマウスの血液に入り、主要組織や臓器に沈着することがわかっています。その過程で、免疫系障害、臓器障害などを引き起こすという研究結果もあります。

アメリカでは古い水道管に鉛が使われているなど、水質に不安を持ちペットボトルの水に切り替えた人が少なくありません。いったい何をどう飲めば安全なのか、ますますわからない時代になってしまいました。

(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)

 


いよいよ明日は京都市長選挙投票日。 
こちらのビデオも観てください。
立民の良識ある人たちも福山応援に立ち上がっています。

 2024/02/03 京都市長選挙 福山和人候補 今出川演説