ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

心が暮れていく

2017-01-31 21:53:54 | Weblog
人波に押し出されるようにして、夕暮れの街をさまよう
この掌に何も収めることのできない悲しさ
現実を忘れたくて僕は少し目を伏せた

遠い日々が浮かんでくる
何にも考えないことが許されていた時代なのに
あどけない頭脳は、疲れ知らずにくるくると回り転げていた
輝ける未来を想像せずにはいられなかった

少年は年を取り、考えることを拒絶した
そして、ただただ流されていく
その果てには、色なしの未来が待っていた

生きていることの意味
何なんだろうね
胸の奥底の白骨化した希望を、引っ張り出して抱きしめたい
すっかり暮れた街は僕の心の色によく似ていた
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自殺者数男女比7:3。やはり男はつらいのか?それとも弱いのか?

2017-01-28 23:01:28 | Weblog
タイトルの「男は辛いのか、弱いのか」というのは、どちらも正解だと思いますね。前年の男性の自殺者数が1万5千人強。女性が6700人台。女性は統計をとり始めて以降、最小だったそうです。

かつて美輪明宏さんが「強い男は見たことない。弱い女も見たことない」と話していたのを覚えていますが、それは極論のような気はするけど、ただし、「見た目より」という前置きをすれば、真実に近づくのではないでしょうか?生物学上、女性のほうが強いというのは、よく言われることです。

メディアでも「女性はいろいろ大変」というのが多数を占めていますが、それは何故か?同じ事を男が言ってしまうと、女々しくなるので、黙っているしかないのです。その反面、イクメンという言葉が市民権を得ている矛盾。

要するに、辛くても黙っているという古風な面を引きずりながら、育児に積極的な、優しいパパ、よき家庭人を演じなければいけないところに問題があるのだと思います。有給が取れないのも昔のままな訳で、よって男性は昔以上に社会的には厳しくなったと言えます。

一時期、3万人を超えていた自殺者数は、約2万2千人と20年以上前の水準まで戻りました。これはさまざまな努力が実った結果でしょう。あとは、上に記したようなねじれ。つまり時代の流れで、家事に協力的で、優しい父親像が求められているにもかかわらず、社会では相変わらず「男は働いてなんぼ」という価値観に何ら変化がない矛盾の改善に、社会全体で取り組んで欲しいものです。

付け加えておきますが、自殺の最も大きな要因は病苦です。これもやはり男性は言いにくいという面があります。自分もネットだからこそパニック障害だと言えますが、実際の生活では病院など特定の場所でないと無理ですね。まあ、それも男の弱さなのかもしれませんが。
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青春ちゃん

2017-01-27 21:25:40 | Weblog
冷たい向かい風に、俯きながら僕は歩き続けている

いまこんなに苦しいのは
とびきり綺麗な空を見るため

苦しければ苦しいほど
いつか来るであろう春の日に、寝転がって見上げる空は
陽光を浮かべながら僕を優しく包むだろう

アスファルトの上を落ち葉が滑る
僕は力ない目で、その行く末を追う
いつしか足は鉛のように重くなり、枯葉ほどの頼りなさで立ち止まった

しばらく目を閉じていると、早々に日は暮れ
さらに冷たくなった風とともに、青春ちゃんの笑い声が颯爽と通り過ぎた



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正義のA

2017-01-25 20:49:00 | Weblog
正義のAは数年前に絆ブームを楽しんでいた
「被災地の人たちの力になりたい」と主張した

その一方で正義のAは「コンビニとか、どこにでも置いてある募金箱、本当に被災地に届ける気があるのかねえ。企業ってのは何でも自分の懐に入れちまうから」と嘆く。

「それにさあ、こっちも生活に余裕がある訳じゃないし。金持ちなら募金して力になりたいけど」とも語った。

絆ごっこに飽きた正義のAは、世界の紛争に目を向けた
「シリアとかさあ、ヨーロッパへ逃れようとする難民がいるよね。どうしてもっと寛容に受け入れられないものかね」と力説するのだ

「日本だって、もっと難民を積極的に受け入れるべきだよ」と力をこめる。

その矢先、正義のAはアジア系の外国人とすれ違う
「最近、外人多いよなあ。何でこんなに増えたんだろう。大体、声が大きいんだよ、奴ら。郷に入れば郷に従えっていう言葉があるだろ」と正義のAはご立腹。

正義のAは少子高齢化にも関心を持つ
「子供の住みやすい環境を作ってあげないと、若い人がかわいそうだし、日本の将来もない」と言い切るのだ。

その矢先、近所に保育所が建設されるという噂が広がった。

正義のAは「ここは駄目だ。土地の価値も下がってしまうし、ガキはうるさいだろ。こっちはただ静かに暮らしたいだけなんだ」

正義のAは真っ向から保育所建設に反対した。


正義のAは日本各地に住むという
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「コンビニ人間」感想

2017-01-24 22:46:39 | Weblog
早いもので、こないだ芥川賞が発表されました。だからもう前回になるんですね。こないだ村田沙耶香さんのコンビニ人間を読みました。

読後の感想は一言で表すならば、読みやすい。大江健三郎的な、難解な文章とは正反対。比較的、最近の受賞作では田中慎弥の「共喰い」もすらすらは読めませんでした。しかし、こういったすらすら読ませない表現こそ文学的な、芥川賞にふさわしいのかなという気もします。ただ、優劣は別にして、「コンビニ人間」と「共喰い」どちらが売れるかといえば、おそらくコンビニ人間に軍配が上がると思われます。30年前ならわかりませんが。それだけ「コンビニ人間」は現代的です。難解な表現がないだけでなく、コンビニという分かりやすい軸があるから、さらに読みやすくなります。

主人公は、実際に長い間、コンビニで働いてきた作者と重なります。不器用ゆえに徹底的にマニュアル化されたコンビニでしか働けないのだけれど、ある意味、彼女はコンビニ店員としてはプロフェッショナルで、天職でもあると思うのです。しかし、周りはそうした変わり者たちを認めようとはしません。コンビニを綺麗な水槽に見立て、異物が入ると、すぐに排除される様は、現代社会を巧みに、やわらかく表現しています。そうした社会を静かに、また鋭利に指摘しつつ、読者にはさらりと読ませる、なかなか書けそうで書けない芸当なのだと思いますね。

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A LIFE第2話・稀勢の里優勝・美宇VS佳純

2017-01-23 21:21:42 | Weblog
木村拓哉主演ドラマ「A LIFE」第2話の視聴率が14.7%と初回を上回りました。平泉成を和菓子職人として投入したのが功を奏したのか(笑)やはり初回の物語の出来が悪くなかったという事でしょう。

平泉「あんたも職人なんだな」
木村「いえ、まだまだです」

このやり取りが良かったです。物語のひとつの軸は、院長・副院長・キムタクの三角関係。それが最後のシーンの院長の退院祝いで描かれていました。院長家族の中にキムタク扮する沖田が呼ばれ、険悪な雰囲気に。院長が「沖田先生は私の命を救ってくれた恩人。沖田先生には外科部長、いや院長を譲るか」と副院長を挑発。沖田と幼馴染でもある、浅野忠信演じる副院長は沖田に嫉妬。キムタクはただただ困惑という場面でした。さらに竹内結子演じる副院長の妻は、かつての沖田の恋人という設定。

ただ、一般的に言えば、医者としての腕が優れている事と、組織のトップに立つというのは切り離した方がいいですよね。

大相撲は稀勢の里が悲願の初優勝。横綱昇進も確実になりました。日本人横綱は若乃花以来19年ぶり。萩原時代から期待され続け、ようやく花が開きました。白鵬らモンゴル勢の衰えにも助けられた形ですが、立派な横綱になってほしい。現在の状況を考えれば、今年中に2回、3回と優勝を重ねるチャンスは十分にあります。

卓球の全日本選手権の女子決勝。女王石川佳純に16歳の平野美宇が挑み、平野の若さが石川の技術を上回り、見事に最年少優勝を飾りました。やはり、実力がありながら、オリンピックに出られなかった。その悔しさが、彼女をより成長させました。パワーがついたし、顔つきやコメントも変わりました。テニスの錦織選手が、世界ランクを急激に上げていた時と似ていますね。個人的には石川さんのファンでもあるので、彼女の巻き返しにも期待したいところです。
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正しさから楽しさへ

2017-01-20 21:23:20 | Weblog
まもなくトランプ氏の大統領就任式です。社会学者の宮台真司氏は「左翼は正しいけどつまらない。右翼はその逆」というような事を語っていました。それはまさに正しさのオバマから、面白さのトランプへの流れにそのまま当てはまります。2016年で、これまでの考え方、いわゆる由緒正しき民主主義は終わったと言えます。その代表的な出来事が、イギリスのEU離脱とトランプ勝利でした。ポスト・トゥルース。正しさなどを追求するより、楽しさや気持ちよさを優先する時代がやってきたのでしょう。

去年、広島に来たオバマの姿を見た時、言葉を聞いた時、僕はアメリカの大統領を初めて格好いいと思いました。優れた人格も備えているでしょう。しかし、彼は大統領として、目に見える成果は挙げられなかった。その8年間のアメリカ国民の鬱憤が、トランプ大統領を誕生させた一因なのは間違いありません。

日本も同じ道を辿る運命にあるのだと思います。正しさから楽しさへ。この流れは、これからむしろ加速していくのではないでしょうか。

それにしても寒い一日でした。

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キムタク苦戦・谷川会長辞任

2017-01-18 20:42:06 | Weblog
今年の元旦に、「2016年はあらゆるものが終わった年」と記しましたが、それにかかわる2つの事柄について。

木村拓哉主演の新ドラマ「A LIFE」の初回視聴率が14%台でした。僕は久しぶりにキムタクのドラマを見たのですが、ドラマの王道のひとつである、医療ものということもあり見やすく、キャストもヒロインの竹内結子はじめ、主演でもおかしくないような、豪華な顔ぶれが揃っていました。そしてTBS日曜9時という看板枠。

いまの時代、いかにキムタクといえども20%台は難しい。それでも18%前後はとるのではないかと思っていたのですが、まさかの15%割れ。これは厳しいスタートです。やはり、去年のスマップ解散騒動の影響が大きかったようです。2話目以降、盛り返す可能性はありますが、ひとつの時代が終わったと見て、間違いなさそうです。

そして、将棋界。三浦九段スマホ不正疑惑に端を発した問題で、ついに谷川会長が辞任。まあ、これは誰が悪いと決め付けるのは難しいですね。週刊誌に三浦さんの一件が掲載されることを知った渡辺竜王が、「竜王戦が始まってから、週刊誌に書きたてられる最悪の事態」を考え、将棋連盟に話した事は、将棋を守ろうとした行動であったわけで、責めるのは酷でしょう。谷川さんはじめ、連盟の判断も、渡辺さんの報告を重く受け止めざるを得なかったのでしょう。三浦さんとて、もし事実無根であれば大変な被害をこうむったことになります。

僕は個人的に谷川さんのファンで、彼が人格者であることは、将棋を知っている人なら誰もが認めるところです。いわば最も美しい棋士なのですが、しかし同時に、こうしたスマホとかソフト指しなどについては、最も縁遠い、最後のアナログ棋士なのです。ですから、こうした時代には不似合いだったところがあります。

昨日は谷川さんにとっても忘れられない日でした。阪神・淡路大震災。谷川さんも神戸で被災しました。その日を避けたのか、あるいは1月17日に辞任を決断したのかは分かりませんが、これからは一棋士として、谷川さんらしい、美しい人間の将棋というものを、最後まで見せてもらいたいです。

仮に三浦さんの件が落着したとしても、またこうした問題は出てくるでしょう。すべては棋士が人工知能に超えられてしまった事が原因です。大山・升田。中原・米長・加藤一二三。幸せな時代は終わりました。近い将来「昔は棋士なんていう職業もあったなあ」と懐かしむ日も来るかもしれません。

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ヒーロー

2017-01-14 21:15:00 | Weblog
いまでも君のことが、時々だけど頭に浮かぶ

どうしているのだろうかと


あの頃、君は僕のヒーローだった

君の描く放物線は、哀しいほどに美しく

僕に明日も生きてみようと思わせてくれた



君はバカだね

君を見捨て切れない僕もバカだ

みんな器用に見捨てていくのに

好きだったことを忘れていくのに



あの夏ははるか遠く

君がとてつもなく大きく映り

未来が無限に広がっているような思いは砕け

いま静かに記憶の中で眠っている
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先生

2017-01-12 21:48:46 | Weblog
冬になると、布団から出られなくなります

ただ寒いからという理由だけではありません

枕が僕の後頭部を掴んで離さないのです

先生、どうしたらいいのでしょうか?

一応、抗鬱薬は増やしてみたのですが



先生は僕を知らない

僕が先生を一方的に知っているだけ

その先生もおととしの暮れ、亡くなった

天国か地獄かの行き先も告げずに



「好きなだけ寝てろ」と先生は言った

突き放されたのか、優しいのかよく分からない

「いや、そういう訳にはいかないんです、先生」

僕は渾身の力で、後頭部を枕から引き離し、朦朧と立ち上がった




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