ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

鼠空

2018-05-31 19:04:02 | Weblog
「もう一度、立ち上がりなさい」
そう言い残し、あなたは足早に立ち去った
凛とした眼差しにかすかな憂いを含んでいた
貴方の残像を思い起こし、僕は立ち上がろうとする

重々しく垂れた低い鼠空
立ち上がったはいいが、どこへ歩けばいいのかわからない
下手に歩き出し、目的地から遠ざかる結末を恐れる
回り道している時間はもう残されていない
太陽を地図にすればいいと空を見上げ
うんざりの鼠空にため息を漏らす

生温い雫が掌に落ちた
雨が落ちたのか
知らずに零れた涙か
人は生きる苦しさに並び立つ喜びを探し旅をする
今日こそは見つかるよと励ましながら

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猪狩ともかさんは不幸だろうか?

2018-05-30 08:18:11 | Weblog
猪狩ともかさんの存在を知ったのは5月上旬のゴールデンウィーク明けだったと思います。朝のワイドショーで脊髄損傷で彼女の足が動かなくなってしまったことを伝えていました。

それ以来、猪狩さんのブログを見るようになりました。とにかく前向きな人という印象を受けました。猪狩さんは仮面女子というアイドルグループに所属しています。その仲間たちの励まし、そして一日も早くステージに立ちたいという思いが、リハビリのモチベーションになっているのでしょう。

ブログを見ていて考えさせられます。「彼女は不幸だろうか」と。そして僕なりの結論はすぐに出ます。不便と不幸は違うのではないでしょうか。どんなことも前向きにとらえる猪狩さん。そういう人に幸福は近づいてくるような気がします。

では彼女が特別な強いメンタルを持った人なのかといえば、決してそうではないような気がします。事実を知った時は絶望したと記してありました。車椅子に一人で乗っていた時、ペットボトルを落として、泣きそうになっていると通りすがりの人が拾ってくれて、人の優しさに触れたともブログには記されていました。

大きなハンディを背負ってしまった時、やはり大切なのは希望や目標が持てるかどうかが大きいと思います。彼女にはそれがたくさんあるし、支えてくれる人々も多くいます。その希望の中には、いつの日か再び歩けるようになることも含まれているのかもしれません。医学は急速に進歩していますから。たとえ、もし足の機能が戻らなくても、パラリンピックを見ればわかるように器具の発達も著しいので、自分の意思に従って歩いてくれるジーンズのようなものが発明されても不思議ではありません。

向日葵が大好きだという彼女。そのころには、仲間たちと一緒にステージに上がり、また大ファンという西武ライオンズの始球式で力いっぱいのボールを投げる彼女の姿があると願います。それは多くの人に勇気を与えることになるし、彼女が節目でよく使っていた「希望の光になりたい」という言葉そのものではないでしょうか。
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青春

2018-05-21 21:52:48 | Weblog
小さなプライドを割らないよう恐る恐る歩く僕に
ぬるい風が運んだ初夏の匂い

想い続けた人
語り合った夢
早く大人になりたくて背伸びした
ずっと子供でいたい気分隠して

笑いあった
憎しみあった
翌日には何もなかったように澄ましていた
僅かばかりの気恥ずかしさを残して

遠くを見つめた少年
頬を染めた少女
いつまでも膝を抱えていたかった
狭くて寂れた暖かな場所で

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子供の頃、格好良さに憧れていた西城秀樹さんが亡くなりました。秀樹さんは青春という言葉が好きだったそうです。


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藤井聡太、七段に昇段

2018-05-19 07:43:36 | Weblog
将棋の藤井聡太六段が昨日、船江恒平六段との対局に勝利、昇段の規定を満たし、史上最年少で七段になりました。あの加藤一二三さんの記録を61年ぶりに更新しました。

凄い棋士が現れたものです。現実を超えているようでいて現実なんですね。今の藤井君には称賛の言葉しか見つかりません。天才という言葉では表現しきれないものがあります。以前、藤井君には勝率8割棋士を目指してほしいと記した記憶がありますが、現在100局に満たないものの、勝率8割6分台、彼の力をもってすれば、1000局指して800勝というのも、決して不可能ではないと思われます。

このまま順調に進めば、これまでの将棋界の記録をすべて塗り替えてしまうのではないかという反面、不安材料もあります。今は棋士よりも強いAIが存在する時代。棋士の実力差はなかなかつきにくい状況にあります。加えて歴史的にみて、これまで最年少記録を打ち立ててきた人たちが、競技生活の通算成績では一番上にはいないことが多いのです。

最年少記録の代表例はスポーツの分野なら野球の清原和博と相撲の貴乃花光司でしょう。清原さんは、100号、200号までは王貞治さんらを抑え、本塁打の史上最年少記録を塗り替えていきました。しかし、生涯成績は史上5位です。貴乃花は大関昇進までは最年少記録を塗り替えていきましたが、通算優勝回数は、史上6位です。二人とも超一流の成績ですが、歴史の頂上には立てなかった。これらはスポーツの世界ですから、ケガとの戦いが大きかったこともつけ加えておきます。

ならば将棋界はどうなのか?最年少記録といえば、加藤一二三九段です。藤井七段が出現するまでは、多くの最年少記録を保持していて、神武以来の天才と謳われました。しかし、常に大山康晴15世、中原誠16世名人の壁に阻まれ、初めて名人位を獲得したのは40歳を過ぎてからでした。そして翌年には谷川浩司さんに敗れ、のちに名人位に返り咲くことはありませんでした。タイトル獲得数は通算8期。最強には届きませんでした。18歳で最年少タイトルを獲得した屋敷九段は40代後半に差し掛かった現在、通算タイトルわずか3期。21歳で最年少名人の谷川九段は、永世名人資格を取りましたが、名人位は5期。普通の棋士からみれば、永世名人は夢のまた夢ですが大山、中原の後継者と目された天才谷川浩司としては、少し意外な数字かもしれません。

しかし、こういう見方はあまり面白くないですね。藤井君のこれまでの最も大きな功績は、その爆発的な人気で危機に瀕していた将棋界を救ったことです。藤井聡太という太陽が羽生さんや加藤さんら多くの棋士、そして将棋そのものに光を当てました。またどれだけ多くの少年、少女たちが彼にあこがれ、将棋を始めたか想像に難くありません。

谷川九段との指導対局で敗色濃厚となり、会場を揺るがすほどの声で泣いていた少年が、今や強さだけでなく、一流の棋士としてのふるまい、格調高い言葉を身に着け、人々に愛される存在になりました。藤井君は神の子かもしれませんね。
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深い黒

2018-05-16 12:31:42 | Weblog
もう身動きが取れない
病気と社会の挟み撃ちに遭い
四面からは楚歌が流れ
八方すべてが塞がれた

生きる苦さを希望という仮想の砂糖で誤魔化してきた
次第に若さは剥がれ落ち、甘味は途絶えた
万策が尽き、途方に暮れていると
いつの間にか延びたはずの日も暮れていた

人ひとり、いなくなろうと世界は気づかずに流れていく
会社へ向かう人々の足取りも日々、同じ速度の繰り返し
夜、煌々と灯りを点けても
僕の心は黒々に塗りつくされている
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羽生タイトル100期直前に思う。三段リーグの意味

2018-05-12 08:34:45 | Weblog
佐藤天彦名人に羽生竜王が挑戦している第76期名人戦は第3局を制した羽生竜王の2勝1敗となりました。将棋に限らず、スポーツを含めた勝負を見てきて感じるのは流れの重要性。そして今期の名人戦、どちらに流れがあるかといえば、羽生さんと思われます。だから2勝1敗という数字以上に佐藤名人が追い込まれた形と僕は見ています。

決して羽生さんに比べて佐藤さんが弱いという訳ではありません。2年前は佐藤さんが羽生さんを4勝1敗で下し、名人位を獲得しました。実力的にはほぼ互角でしょう。しかし、2年前とは将棋界をめぐる環境はがらりと変わりました。藤井聡太という天才少年の出現により、斜陽産業だった将棋の世界に強い光が射したのです。

もう一つはここ半年ほどは、羽生さんが良い流れを引き寄せている気がします。昨年末の渡辺竜王との竜王戦。一心不乱に永世竜王を目指す羽生さんと、1年前の竜王戦でのゴタゴタで、すっかり悪者扱いされ、それを引きずる渡辺さん。「羽生を震えさせた男」として名をあげ、竜王戦を9連覇した大棋士も精彩を欠き、羽生さんが竜王位を奪還。永世竜王となりました。そして囲碁の井山さんとともに国民栄誉賞を受賞しました。

それから今期のA級順位戦。すでに4敗を喫し、自力での挑戦を逃したものの最終局で3敗の2人が敗れ、6人のプレーオフとなり羽生さんが挑戦者となりました。現在タイトル99期、100期目が名人戦というのも、よくできた流れですが、やはり運も実力のうち。羽生さんは転がり込んできたチャンスを確実にものにしたのです。

そこで思うことが一つあります。谷川浩司九段の「中学生棋士」という本で知ったのですが、谷川さんや羽生さんの時代は、プロ養成機関である奨励会の三段リーグが中断されていていたそうです。加藤一二三九段の時代はそもそも三段リーグがまだなく、三段リーグを通過して中学生棋士になったのは渡辺さんと藤井六段の2人だけです。谷川さんは孤高の天才ですから、三段リーグは早く抜けられたとは思いますが、羽生さんはどうだったかわかりません。ご存知のように羽生さんと同世代には森内九段、佐藤康光九段、そして亡くなった村山聖さんなど、のちに羽生世代といわれる大きな塊がありました。四段になれるのは2人だけですから、羽生さんがすぐに抜けられたかは何とも言えません。あの藤井君でも13勝5敗。5回も負けるわけですから、いかにメンタル的な要素が大きいかが分かります。そう考えると、26歳の年齢制限で退会になった人の中に、未来の名人が含まれていても何ら不思議ではありません。

瀬川五段が道を開いたのですが、奨励会を退会した人も特例でプロへの道は狭いながらも出来ました。勿論、将棋連盟にもプロの人数が増えすぎたら困るなど事情はあるでしょう。勝負の世界は厳しいのが当たり前ですし、運、不運もあります。しかし、退会者の中に未来の羽生、谷川、そして藤井聡太が含まれているとしたら将棋界にとって大きな損失です。再考の余地はあると思います。
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不思議なもの

2018-05-04 18:55:23 | Weblog
僕は未だにUFOを見たことがない
それでも不思議なものはいろいろ見てきた

金持ちなのにそれを使うことに臆病だったり
貧しいのにそれを使うことに躊躇がなかったり
苦いものを甘いと言ったり
また甘いものを苦いと言ったり

不謹慎な喜び
誠実な遊び人
幸福な悲しみ
不幸な微笑み
この世界そのもの
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イチロー、また来年。桜の咲く頃に

2018-05-04 08:45:13 | Weblog
シアトルマリナーズのイチロー選手が、球団の特別アドバイザーに就任し、今季の残り試合に出場しないことが決まりました。この一文だけを見ると事実上の引退ともとれるのですが、イチロー自身は現役にこだわる姿勢を変えていないので安心しました。また噂されていた戦力外とはせず、イチローの意思を尊重してくれたマリナーズという球団は素晴らしい。

メジャー通算3089安打を量産してきた打撃の名人も44歳となり、衰えは隠せません。今季のイチロー選手は15試合に出場、44打数9安打、打率2割5厘の低空飛行でした。日本でプレーが見たいという声もよく聞きますが、イチローは日本の野球がそれほど甘くないこともよく知っている。所属チームに忖度されたり、人寄せパンダになるのは彼の性格からすれば、絶対に嫌だろう。だから個人的には日本復帰はないだろうし、してほしくもありません。

少なくとも今シーズンは真剣勝負ができない一抹の寂しさはあるだろう。それでも野球への探求心を強く持ち続けているイチローのことだから、今日から来シーズンへのスタートを切っていると思います。1992年にオリックスに入団して27年目。積み重なった疲れをとると考えれば、プラスになる可能性もあります。そして彼は努力の天才。来年まで体型を維持することには絶対の自信を持っているでしょう。

来シーズン、マリナーズは3月20日からの開幕カードを東京ドームで行うそうです。東京ではちょうど桜が開花する頃ですね。イチローが当たり前の顔をして試合に出場していることを願わずにはいられません。
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