我想一個人映画美的blog

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ファニーゲーム U.S.A./FUNNY GAMES US

2008-12-05 11:48:05 | 劇場&試写★6以上


ミヒャエル・ハネケ、自ら1997年の『ファニーゲーム』をリメイク
というのを知ってからずっと楽しみにしてた1本。
全米公開決定後に記事書いたほど。☆ココ☆
ちょっとだけ早く試写にて観てきました~。

原題でUSと付いたアメリカ版では、
ハネケ監督直々の依頼でナオミ・ワッツが主婦役、その夫にはティム•ロス起用

という事でオリジナル観てない人も興味湧くキャスト。

ハネケの映画はよく難解とか、意味不明とか重いとか怖いと表現されるけど
フツウの映画(どんなだ?)じゃ飽きたらないわたしにはいつも心に衝撃を与えられるから好きで
これまでの作品を全部観てるのはもちろん、この『ファニーゲーム』は気分害する作品なのにも関わらず、4回くらい観てるかな。
いつかレビュー書こうと思いつつ、リメイクのが先になっちゃった
というか内容同じだからもうオリジナルは書くまでもないな。


『ファニーゲーム』と言えば、ハネケの1997年の作品で
わたしがハネケという名を意識しだすキッカケとなった作品
当時、レンタルにこの頭に袋被った子供のジャケのDVDが気持ち悪くて。
周りで観た人は口々に「あんな重い、気分悪くなる映画は初めてだ!」と言ってた。
ある時なんて美容室行って髪ブローしてもらいながら美容師さんから「すごい不快な映画観たんですよ!」って言われたこともあるくらい(笑)

不快指数120% 要注意

観終えたあと、ハンパなくムカつきます。



他の人だったら観る気しないかもだけど、セルフリメイクだから逆に興味深い。
今回、オリジナルと全く同じアングル(カット割り)、ストーリー、舞台、演出で撮影・編集したという事で、
違うのはキャスト、言語、携帯や車の機種などの細かいことくらい。

1997年 2007年 


こんなカンジ。子役の子すらちょっと似てる~。



ハネケ流、ハリウッドスリラー映画のパロディ
自らこの作品でアンチテーゼを掲げてる。
これはハネケがカンヌ映画祭でのオリジナル版の上映時、賛否両論が巻き起こった際の言葉。

「なぜ人々がこの映画に憤慨するのかはハッキリしています。憤慨させる為に作ったのですから...。
暴力は撲滅できないものであり、痛みと他人への冒涜であることを伝えたい。
だから、暴力を単なる見せ物ではなく見終わった後に暴力の意味を再認識するものとして描かなければならない。
また、今やハリウッドでは暴力が快楽を求める手っ取り早い方法となりつつあり、ユーモアとして処理されている」


オリジナルのお父さん役はアカデミー賞外国語映画賞に選ばれた『善き人のためのソナタ』のウルリッヒ・ミューエ。
過去にハネケ作品には『カフカの城』にも出てた。(『ファニーゲーム』の奥さん役の方も一緒に)
この方2007年に癌で他界してしまいました...。
1997年   2007年


ふたつの比較などしてると長くなりそうなので、今回のリメイク版について☆

いや~、何度観ても後味悪い。
何も理由なく、突然幸せな一家を襲う悲劇。
現実でも起こりうるような怖さのある作品。
昔はもっと、殺人にしても恨みとか妬み、復讐なんかでこういう事件が起きるものだと思われてたのに、
近年では若者などが
とくに理由もなく、ムシャクシャしたからという勝手な理由、憂さばらしで殺人や暴行をする。

この映画では、直接的にそういうシーンを見せるのではなく、音だけ、声だけ、で想像させる。
死体なども直接は見せない。
でもそこにまた恐怖が募る、、、。

観る人誰もがこの理不尽な仕打ちにやるせなくなるだろうし怒りを覚えると思う。
別荘に遊びに来た裕福な家族と、自分を持て余した愚かな若者。
何をされるかわからない恐怖。

キャストでいうなら、今回もオリジナルに負けず素晴らしい俳優たちを起用した。
ナオミ・ワッツはオリジナルのおばさんよりも数段美しくて
泣いた顔すらポスターになっても綺麗なほど。
でもそこを崩される部分もちゃんとあった。(が、オリジナルではもっとちゃんとヌードみせてたような?)
男の子もうますぎるくらい良かったし、ティム•ロスが名優なのは今更言うまでもないし


問題はマイケル・ピットかも。
最初起用が決まった時は、前々から憎らしい顔した人だなーって(ファンの方、ゴメン)思ってたけど
昔『完全犯罪クラブ』最近では『シルク』とか。
観てみるとあんまり気持ち悪さが出てないの~! 憎らしさももの足りず、、、

オリジナルの男(過去にもハネケ作品に出てる)があまりにもひどく憎らしかったからどうしても比べちゃうな、、、、。


ちなみに重要なカットでのふたりの顔を比べると、、、、

1997年 アルノ・フリッシュ    2007年 マイケル・ピット


細かいこというようだけど、マイケル・ピットの不気味さが足りないのが残念

8/10


勝手な結論。
セルフリメイクでもやっぱりオリジナルにはかないません。


まぁ、ハネケ自身も リメイクすることでよりクオリティをあげたものを創るっていうのじゃなく、
アメリカ映画にして、暴力的なアメリカンスリラー映画を皮肉った。
という感じなのだろうからこれはこれでいいのかも。

あ、音楽が同じの使われてたのは嬉しかったな。
オープニングのオペラ曲から、突然現れるヤツらを象徴するかのような、
土足で入り込むような、デスメタル・ハード曲。
あれも監督はやっぱり譲れなかったのね。


救いようのない結末、

とにかく、"奴ら"に腹が立って仕方ない映画!!
そしてやるせない。。。。

こんな映画は恋人とデートは不向き、家族で観るのはもってのほか!
そして人を選ぶというか観る人によっては耐えられないだろうから
誰か観る人を誘う時は要注意! そして、覚悟して観てね



ストーリーはシンプル。
湖畔の別荘で夏の休暇を楽しもうとしていた一家。
そこへ、隣の家の使いだといい「卵を貸して下さい」と青年が現れる。
2人の青年が何の理由もなく家族を襲う。
それもただ殺すのはつまらないと考えていて、
陰湿にじわじわ、精神と肉体をいたぶり、恐怖と痛みを最大限に増幅する。
奴らにとって殺人は愉快なゲームなのだ。



1997年版 ファニーゲーム 予告篇

2007年版 ファニーゲームUS 予告篇 



公式サイト
FUNNY GAMES US   2007年  アメリカ=イギリス=フランス=オーストラリア=ドイツ  111min
12月20日より シネマライズほか 順次、ロードショー


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2008年3/9 N.Y MOMAで行われた試写にて。


ブラディ・コーベット、ミヒャエル・ハネケ、マイケル・ピット。