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スリー・ビルボード/THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI

2018-02-02 23:44:33 | 劇場&試写★6以上

 

 

ベネチア国際映画祭で脚本賞、トロント国際映画祭で最高賞の観客賞、

今年のアカデミー賞作品賞ほか、ノミネート中

トロント映画祭観客賞とったのはオスカーとる確率も高いし

これは作品賞、いっちゃうかもね

ってそこまですごい!!とかうわー!これ、凄い好き。とか、めっちゃ感動とか

ぐっときた!!とかそこまで凄いのないんだけど、

皆の優しさが、ほっと、なんかじんわり良いんだ。

様々な問題を混ぜ込みながら、ラストまでの流れに人間が元来持つ心の温かみを感じさせる、秀逸な作品。

 

娘をレイプで殺された母親ミルドレッドにフランシス・マクドーマンド。

この母ちゃん、凄い。復讐に燃えて、なんでもやる怖いもの知らず。

 

町の人や皆や後輩からの信頼も厚く、家族思いのウィロビー署長にウディ・ハレルソン

 

名指しされて、何にもやってくれない。みたいに言われちゃうけど、いやいやいい人すぎです。

いいとこ持ってっちゃうな。かっこよすぎでしょ。

部下である差別主義者でいかにも突っ走り系悪警官のディクソンにサム・ロックウェル

後半、彼の持ち味、本領発揮でオスカーもとっちゃうかも。

 

そして注目の若手二人も出演。

個人的にお気に入りのケイレブ・ランドリー・ジョーンズと、

マンチェスター・バイ・ザ・シー」でも話題になったルーカス・ヘッジズ。

 

 

ミルドレッドの元旦那、チャーリーにジョン・ホークス。

他に、ピーター・ディンクレイジなど。

 

 

 

8/10(86点)

 

 

それぞれの人物の本来持つ、意外な優しさの側面が光る。

単純に、娘を殺された母親の復讐劇とか、何も出来ない警察への怒りから派生して、

自分で犯人探しをしていくというような、これまでにある予測のつく展開に流れていかないところが素晴らしく。

 

監督は同じくハレルソンとサムロックが共演した「セブン・サイコパス」も面白かった、マーティン・マクドナー。

随所にシニカルなブラックユーモア。がこの監督の得意とするところ。

シリアスだし重たくなるテーマだけど、どこか アレってなっちゃうところや

小さな町ならではなのか、まさか同じところにいるか。っていう状況や

こんなことするか!っていうキャラクターの大胆な行動などが

えーっと思いつつ、映画として面白味と興味が増す。

 

タイトルのスリービルボードとは、3枚の看板を指す。

「レイプされ、殺された」「逮捕はまだ?」「どうして? ウィロビー署長」

アメリカ・ミズーリ州の田舎町、エビングに、突如として3枚の奇妙な広告看板が現れた。

広告の主は、この町に住むひとりの主婦、ミルドレッド・ヘイズ。

ミルドレッドの娘は7ヶ月前に何者かによって惨殺されていた。

いっこうに進展しない捜査に抗議するため、地元の広告会社と契約して看板を設置したのだった。

地元からの信頼を集める警察署長、ウィロビーを名指しで批判する内容に、

ミルドレッドは警察だけでなく周りの住民たちからも敵意を向けられる。

 

 

殺された経緯も娘も出てこないので母と娘の関係性も見えにくいというか

想像だけになるため 母親の行動があまりに突飛すぎてあまり共感するまでにはならないのだけど

娘を失った苦しみや、いつまでも犯人逮捕にならないために警察へ向けられる怒りとか、理解はできる。

 本作の中でも出てくる「怒りは怒りしか生まない」というのはまさにそうで

この作品は犯人探しのミステリーでもなく、レイプ魔を追うサスペンスでもない。

代わりに、一つの事件から浮き彫りになってくる 小さな町の人々が抱える様々な問題も映し出す。

「怒りの果てに見えてくるもの。」と「復讐の矛先のその先」

 

音楽が、数々のコーエン兄弟の作品に携わる、カーター・バーウェルのせいなのか

フランシス・マクドーマンド主演のせいなのか、ちょっとコーエン兄弟の作品とかぶる雰囲気も。

演技派キャストたちの素晴らしい共演も見もの。

 

以下、ちょこっとネタバレあり

サムロック演じるディクソンは、完全なる差別主義者でどうしようもない暴力的なダメ男で、

その母親がまたどうしようもない母親なんだけど、夫が死んでから一人で育てた息子への愛情は凄い。

敬愛する署長が自殺したことでミルドレッドに怒り、看板の代理店のケイレブ君をひどい怪我を負わす。

それも単純でまっすぐな正義感からで、実はまっとうないい奴であることがわかったり。

それを本人に諭すのが、署長ウィロビーの遺書。あそこで死んじゃうのはあまりに身勝手だけどね。

 

そこには全て、愛がある。

 

 

殺るかどうかはこの先決めよう。

みたいな、時に委ねようと。怒りに身を任せていた二人が

やんわりとした表情でお互い曖昧にさせて 車は走り続けるラストシーン。

犯人は分からないままだし、解決には至らないのだけど

大切なことが見えてくる。

これ、後々時間が経って考えるにつれていろいろ深いと思わせる映画。

 

 

  公式サイト

2/1〜公開中。

 

 

 

 

 笑