水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -89- 戦争好き

2025年02月18日 00時00分00秒 | Weblog

 落久保がテレビのリモコンを押すと、報道番組が映っていた。番組のキャスターがゲスト数人の指揮者を招いて、アァ~でもないコォ~でもないと語り合っていた。そして時折映る映像は、燃え爛(ただ)れた戦車の残骸や爆撃されて崩れ落ちた住居や建物、さらに両陣営の地図が映し出された。ふと落久保は思った。人類は戦争好きなんだなぁ…と。まだ悲惨な画面を風呂上がりのカップ麺を啜りながらビールを飲み、こうして第三者として観ていられる。俺はなんて幸せなんだ…と落久保は、しみじみと思った。世界の世相は幾つかの地域で戦争が続く現状にある。落久保が暮らすこの国からは想像が出来ない争いだった。落久保はビルをグビッ! とひと口飲むとリモコンでチャンネルを変えた。映し出されたのはCMだった。とあるゲーム・メーカーの戦争ソフトが流れていた。そのとき、小学生の次男が二階の勉強部屋から降りてきた。
「やっと新発売か…。これが欲しかったんだっ!」
 それとなく耳にした落久保は、人類の戦争好きを確信した。
 戦争好きは、戦争の悲惨さを実感しないと嫌いにはなれないようです。^^

                   完


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ユーモア推理サスペンス小説 無い地点 <32>

2024年07月20日 00時00分00秒 | Weblog

 ところが、どういう訳か鳩村署長は二人が後を追ってくることを予見していた。いや、鳩村が予見していたというより、鳩村に乗り移った[憑依した]Й3番星から来た異星人が予見していたと言った方がいいだろう。
『口橋君と鴫田君は間もなく来るな…。よし、ここで待っていよう』
 鳩村は警察から失踪した理由を考えていた。その理由とは、署長自らミイラが消えた真相を調べていた・・というものだった。無論、その理由は二人を欺(あざむ)くための異星人の詭弁(きべん)なのだが…。
 五分後、口橋と鴫田は鳩村に追いついた。
「やっぱり署長だっ! 署長~っ!!」
 鳩村の姿を遠目に認めた口橋は片手を振りながら走った。鴫田も当然、走った。
「やあっ! 口さんですかっ!」
「…いったい、どうされたんですっ!? 署内じゃ、署長が消えたって大騒ぎになってますよっ!」
「ははは…いや、申し訳ない。実は私も現場捜査に参加しようと思いましてね」
「現場捜査は私らがやりますからっ! 署長はドッシリ構えて陣頭指揮をお願いしますよっ!」
「口さんが言うのも、もっともなんですね。今回はフツゥ~の事件じゃないでしょっ! ですから…」
「公安がらみ、ってことですか?」
「さあ…私にはよく分かりません」
 Й3番星から来た異星人が乗り移った[憑依した]鳩村は逃げを打った。


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ユーモア時事川柳・百選 [37] <再掲>

2023年05月31日 00時00分00秒 | Weblog

変動す 利差や儲(もう)けの ノン企業^^


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