寒いは何も気候だけを指す言葉ではない。最近、世相が寒いと皆さんはお感じになられませんか?^^
近松は懐具合(ふところぐあい)が寒いな…と思った。定期昇給は不況で世相が寒いためか雀の涙ほどだった上に、楽しみにしていた年末のボーナスも思っていた以上に少なかったのである。近松が懐具合が寒いと感じたのも当然と言えば当然だった。さらに輪をかけて寒波が、コンチワッ! と来なくてもいいのにやって来た。懐具合は寒いは、外は寒いはの寒いだらけでは、近松が暖を取りたくなるのも無理からぬ話だった。
木枯らしが冷たく吹くなか、近松は歳末の畑掃除で出たゴミを燃やして暖を取った。コンプライアンスの強化で暮らし向きも何かと寒くなり、過去の暮らしやすかった子供の頃が近松の脳裏に去来した。
『あの頃は…』
近松さん、世相が寒いのは仕方ありません。あなただけではないのですから、押しくら饅頭(まんじゅう)でもして、寒い懐具合を温め合って下さい。^^
※ 押しくら饅頭とは寒くなった頃、「♪押しくら饅頭~押されて泣くなぁ~♪」と、皆で唄いながらひと塊(かたまり)になって押し合った昔の子供の遊びです。^^
完