『島』
姿見の中に私が立っている。
ぽつんと
ちいさい島。
だれからも離れて。
(そう、誰からも離れている)
私は知っている
島の歴史。
島の寸法。
ウエストにバストにヒップ。
四季おりおりの装い。
さえずる鳥。
かくれた泉。
花のにおい。
私は
私の島に住む。(すごい、そうだ、そうだ)
開墾し、築き上げ。
けれど
この島について
知りつくすことはできない。(すごい、その通り)
永住することもできない。(沈黙・・・まったくだ)
姿見の中でじっと見つめる
私――はるかな島。
石垣りん 瞬間りんさんの世界が頭を巡りました。
もうはるか昔に出会った詩人です。
台所に立つ視線も変わってしまいそうです。