とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

石垣りん氏の詩1編:『幻の花』

2016年11月01日 16時10分27秒 | 映像・画像・詩 そしてラインセンス

                  

              『幻の花』

  庭に

  今年の菊が咲いた。

(今年のゴーヤとかつけるといいのか)

 

  子供のとき、

  季節は目の前に

  ひとつしか展開しなかった。

 

  今は見える

  去年の菊。

  おととしの菊。

  十年前の菊。

(そう四十年前の菊もね)

 

  遠くから

  まぼろしの花たちがあらわれ

  今年の花を

  連れ去ろうとしているのが見える。

  ああこの菊も!

 

  そうして別れる

  私もまた何かの手にひかれて。

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