米中間選挙 民主、下院選で大勝難しく 共和、トランプ人気で粘り
十一月六日の米中間選挙に向け、トランプ米大統領が率いる与党共和党と民主党の攻防が続いている。トランプ氏が初めて全国的な審判を受けることになる選挙戦をどう展望するか。米議会政治史や選挙情勢に詳しい米アメリカン大学のデービッド・バーカー教授(政治学)=写真=に聞いた。 (聞き手・石川智規、写真も)
-下院では民主党の躍進と共和党の過半数割れが予想されている。
「夏ごろまでは民主党の『青い波』が訪れると言われていた。私も当時、民主は現有議席(百九十三)から四十議席ほど増えるとみていたが、勢いは衰えている。今では三十議席増程度にとどまるのではないか。下院で与野党は逆転するだろうが、民主の勢いは波ではなく『大きなしぶき』くらいだと考えている」
-民主党がさほど大勝しないと考える理由は。
「現在は一八六〇年代の南北戦争以来の分断状態にある。トランプ氏の党内支持率も約八割と非常に高く、共和の粘りにつながるだろう。さらに、共和支持者は伝統的に高齢者が多く、民主よりも投票率が高い。二〇一〇年選挙で共和が大勝し、多くの選挙区で共和が有利になる区割りに変更するゲリマンダーが起きた。民主党の全国支持率が高くても、選挙区によってはその数字が反映されない可能性がある」
-上院の情勢は。
「いくつかの州で共和の現職が民主に敗れる可能性がある。ただし、民主も別の州で負け、結局は共和五十一議席、民主四十九議席の現有から変わらないと予想している。最高裁判事の指名で、共和党の支持者がある程度勢いづいた」
-勝敗はトランプ政権の今後にどう影響するか。
「民主が下院を制するだけでは、政治的に大きな変化にはつながらない。下院の過半数に加え、上院で三分の二の勢力がなければ大統領を弾劾できないからだ。逆に、上下両院で共和が勝てば、トランプ氏は信任を得たと判断する。モラー特別検察官の解任など、トランプ氏がやりたいことがすべて行われるだろう」