とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

(自民党の裏金疑惑 )新年の 再開します      (2024年1月5日)   【追記予定】

2024年01月05日 11時27分28秒 | 政治
長野 光 によるストーリー  • 5 時間  (2024/1/5)

政治資金パーティーを巡る問題が連日報道されている。松野官房長官、世耕参議院幹事長、高木国会対策委員長、西村経済産業大臣、萩生田政務調査会長など、安倍派9人が辞任に至り、支持率が低かった岸田政権にはとどめの一撃といった感がある。

 岸田首相はどこまで持つのか。これを機に、自民党の派閥政治は解体されるのか。政治資金改正法の抜け穴はどこまで解消されていくのか。1994年に政治改革関連法の審議に1年生議員として参加し、政治とカネの問題と戦うことが政治家としての出発点だったと語る、衆議院議員で元首相の野田佳彦氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

野田元首相が語る、自民党の派閥はゾンビのように甦る

──1月20日に通常国会が始まるため、その前に特捜部は関係する議員を起訴する可能性があります。立憲民主党を中心に野党が衆議院の解散と岸田政権の退陣を求めていくことも予想されます。また、「衆議院解散選挙をすれば岸田おろしが始まるので、岸田さんは解散総選挙は望まない」という見方がある一方、自民党の石破茂さんは「来年度予算案が通ったら辞めますというのはありだ」とテレビ番組で述べました。通常国会が始まったら、どうなっていくと思われますか。

野田佳彦氏(以下、野田):1月20日に国会が始まるかどうかはまだ分かりません。特捜部の捜査の影響で、1週間ほど開会が遅れる可能性があります。足もとには様々な重要な政治課題がありますが、まずは政治を正さなければ日本は良くなりません。ですから、政治改革がテーマの国会になっていくと思います。

自民党が自浄作用を見せて、深い反省のもとに何らかの提案をしてくるかどうかが一つのポイントですが、それは難しいのではないかと考えています。

 岸田さんにはトップとしての危機感が足りません。30年前のリクルート事件の時は、石破茂さんや岡田克也さん(当時 自民党)といった若手が怒り、改革の提言を出しましたが、そういった若手の提言は今の自民党の中から何も聞こえてきません。

 こう考えると、自民党から提案を装ったものは出てくるかもしれませんが、抜本的な提案が出てくる可能性は低いと思います。我々野党こそが必要な法案を国会に提出しなければなりません。この点で、野党各党は共闘していける可能性は十分にあると思います。

 多弱の野党がしっかりスクラムを組んで、自民党を追い詰めて法案をのませていく。もしその法案をのまないというのであれば、「岸田政権よ、国民に真意を問え」と、我々はさらに強く迫っていく考えです。この流れが、今年の前半の動きになるのではないでしょうか。

 細田博之・衆議院議員が亡くなりましたが、現時点では、4月の補欠選挙は細田さんの地元でのみ行われる予定です。仮にもし今回の件で逮捕される議員が出てくれば(どれだけ逮捕者が出るかもにもよりますが)、解散の可否なども検討されていくと思います。

──30年前のリクルート事件の時に、自民党の若手が集まって「政治改革大綱」を作りました。しかし、今回はそのような動きを見せる若手議員が自民党にいない。なぜだと思われますか?

野田:政治家が劣化したのだと思います。あるいは、派閥単位で裏金作りをしているので、派閥に染まり「これはおかしい」と言える元気のある人がいないのかもしれません。極めて残念なことだと思います。

──政治資金パーティーを巡る問題で、安倍派や二階派は特に大きなダメージを受けたと思います。次の選挙では、こういった派閥に所属していることが大きなマイナスイメージになります。今後、自民党の派閥政治はどうなっていくと思われますか?

政治改革関連法に抜け穴ができた経緯

野田:50年前、福田赳夫先生の時にすでに「派閥解消」と言っていたのに、ずっと解消できないままにここまで来ています。

派閥の弊害を縮小しようという動きは昔からありました。政治改革大綱にも、政権入りした議員は派閥から抜けると書かれています。ところが、岸田総理自身がそれを守ってきませんでした。

 今回も、派閥にいろいろ手直しを加えようとはするでしょうけれど、なんだかんだと言って、自民党の派閥というものはゾンビのように何度も復活してくるものです。これぞ「ザ・自民党」です。

──この状況では、派閥を縮小する動きは避けられないようにも思うのですが。

野田:今までどおりでは済まないでしょうね。しかし、やがては「派閥均衡で人事は行わなければならない」「派閥の推薦がある人がいい」などというところにまた戻っていくのではないでしょうか。ここはとことん、派閥解消に向けた議論が必要です。

──企業や団体から議員への献金は禁止されていますが、政党や支部への献金は認められています。野田さんは「企業・団体献金の禁止」を求めていくと語られていますが、これはつまり、政党や支部への献金を禁止していく必要があるということですか?

野田:そういうことです。1994年にできた政治改革関連法(政治改革四法)の中で、政党助成金を導入することになりました。そのことによって本当は、企業・団体献金を廃止していく方向でした。

 ところが、抜け穴として政党と政党支部は受け皿になり得るという形にして存続させた。そして、事実上の企業・団体献金こそ、今日の政治資金パーティーです。これは献金です。これも含めて厳しく封じるべきだと思います。

──「企業・団体献金はダメだ」という議論はこれまで幾度もあったのに、どうして防げなかったのでしょうか?

野田:これは政党同士の土俵づくりなので、多数決で決めることではありません。すべての政党が賛同したほうがいい。ただ、全党に受け入れてもらおうと妥協する中で、抜け穴がすぽっと入ってきた。

 ただ、今後もそんなことを許していたらきりがありません。国民の信頼は今、地に落ちています。

──政治資金規正法に、『何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く)に関して寄附をしてはならない。前項の規定は、政党がする寄附については、適用しない(第二十一条の二)』という条文があることが問題だという見方があります。この条文を削る必要があると思われますか?

 

野田:企業・団体献金をスパっと禁止するためには、この条文はいらなくなると思います。ダメなものはダメ、分かりやすくやったほうがいい。抜け穴になりそうなものは作らない。穴を塞ぐということです。

世襲議員を生み出す政治資金の「相続」

──(政治資金パーティーの)パーティー券の購入は事実上の企業献金だと言われています。政治資金パーティーは、政府の予算編成にどの程度影響を与えてきたと思われますか?

野田:自民党にいたわけではないので、はっきりとしたことは分かりません。ただ、これは想像ですが、予算編成ばかりではなく、税制改正、法改正、規制緩和など様々なところに影響していたと思います。

 多額の寄附をいただけば、その存在が頭に浮かぶ。頭に浮かぶから忖度する。その効果があると思うから、みなさんパーティー券を買うわけでしょう。企業は義理人情ではなく、経済合理性で動きますからね。効果がなければやりません。

──政治資金パーティーや、支部や政党への献金を禁止すれば、産業の硬直化も解消されていくと思いますか?

野田:そうです。歪みはなくなり、より公正なお金の使われ方になっていくと思います。

──立憲民主党は、国会議員が引退または死亡した時、政治団体や政治資金を配偶者や3親等内の親族に引き継ぐことを禁止する「政治資金世襲制限法案」を提出しました。これがどのような法案か教えてください。

野田:国会議員が亡くなった場合に、その議員の政治資金が残されます。政治資金はその議員の私物ではない。ところが、現状では、その資金を親族が非課税で相続できる。これこそ、世襲議員がたくさん出てくる一つの要因です。

 世襲議員の方はたくさんいますが、数千万円単位でみなさん引き継いでいます。どんなに優秀な人が選挙に出たって、知名度で負けている。資金で負けている。これでは、新人が政治に入ることができません。大きな壁の一つがこの政治資金の相続にある。これは断ち切らないといけないし、それができれば、かなり景色は変わると思います。

昭恵さんが「晋和会」の代表になった意味

──安倍元首相が死去した後に、妻の昭恵さんが政治団体「晋和会」の代表を継ぎ、自民党支部など安倍氏の5つの関係政治団体から、計2億1470万円が寄附されていたことが報じられました。野田さんは、このことについてご自身の「かわら版」で言及されています。なぜ、政治団体「晋和会」は昭恵さんを代表に据えたのだと思われますか?

野田:安倍さんの死去に伴って、今年4月に山口4区で補欠選挙が行われました。この時に、ご夫人をそのポジションに据えると、後援会を動かしやすい、お金を使いやすいという判断があったのではないかと想像します。

 ただ、閣議決定で、昭恵さんは私人になりました。その私人がいとも簡単に政治団体の代表になるのはやはりおかしい。

 

 晋和会は普通の政治団体ではなく、政党支部のお金も集約している団体です。政党支部は公党の支部ですから党則があるはずです。民主的な手続きに沿って、誰を代表に選ぶのかというプロセスは明らかにしなければなりません。そのプロセスを県連であり、党本部が認める必要があります。

 それにもかかわらず、夫人が代表になり、政治団体を晋和会に集約して、政治資金が億単位で相続された。しかも、非課税で。これはつまり、同じようなことが全国で起こっているということです。

※2019年11月、「桜を見る会」を巡り、政府は安倍昭恵さんを「公人ではなく私人」と閣議決定した。

──政治家の親族だと非課税で政治資金を引き継ぐことができる。これを問題視する声は以前からあったのですか?

野田:世襲を問題視する声はありましたが、世襲を作る問題の背景として、このような制度的な問題があることが明らかになってきたのは最近のことです。そこで、我々は「政治資金世襲制限法案」を提案しました。こんなことを続けているから、自民党の半分くらいが世襲議員になってしまうのです。

「安倍元首相の責任にするのはフェアではない」

──岸田政権は支持率を落としていますが、野党各党の支持率はもっと低い。政権交代を狙うには、野党が結集していくことが必要です。「教育の無償化」が、野党が合意できる政策テーマになると言われており、野田さんは先日テレビ番組で「選択的夫婦別姓制度などでも共闘していけるのではないか」と語りました。他にも、野党が結集する上で重要になる政策テーマはありますか?

野田:まさに「政治改革」です。まず、政治資金規正法を変える。世襲制限の項目を入れて企業・団体献金を廃止する。そして、政治資金を完全にデジタル管理してガラス張りにする。これは今後の改正で最も大切なことの一つです。

 マイナンバーカードやインボイス制度で、国民を1円単位で税金逃れできないようにしておきながら、その体制を作ったほうが抜け道を自分たちに用意しているなどということは許されない。

 こういったことを柱として、政治資金改正法を出すならば、あるいはそこに、日本維新の会が問題提起している「文書通信交通滞在費」や、私が安倍さんと約束したけれど、不十分な対応にとどまっている「議員の定数削減」など、いくつかの柱を加えてセットすれば、野党が共闘できる部分はいくつもあると思います。そうなると、迫力のある野党共闘になると思います。

 

 これに加えて「教育無償化」も各党が賛成できると思います。しかし、とにかく基本は政治改革です。

──旧統一教会との関係や、今回の安倍派議員の政治資金収支報告書の未記載など、岸田首相は、かなり安倍さんの負の遺産に苦しめられているという印象を受けます。

野田:すべて亡くなった人の責任にしてしまうのはフェアではありません。安倍さんが生前「キックバックの未記載はダメだ」と言っていたという話が出ていますが、どうやらあれは事実のようです。

 彼は派閥のトップになった時に、その実態を知り、「これは裏金になるので良くない」と周囲に注意していたようです。旧統一教会などに関しては、安倍さんの手法に問題があったと思いますが、この辺りはよく整理して見ないといけません。

「安倍さんの負の遺産」という見方をすると、まるで「岸田さんが可哀そう」という印象になってくる。しかし岸田さんは、政治改革大綱を守ってこなかった人です。安倍さんのせいにして片づける資格はありません。

安倍派を切った岸田首相の失敗

──政治資金パーティーを巡る問題が注目され始めた時に、岸田首相は清和会(安倍派)を9人交代させる意向を発表しました。キックバックの問題は安倍派以外でも行われていた可能性があるのに、全容を解明せず、まず安倍派を切るという判断をした。どう思われますか?

野田:失敗だったと思います。99人の最大派閥の心を離れさせる判断でした。もちろん、安倍派の問題は今回大きい。でも、キックバックを受けていない人もいるのに、全部まとめて同じ扱いをすれば不満が広がる。

 私も短い間、政権運営を経験しましたけれど、政権運営とは、雪の中の坂道で雪だるまを押し上げていくようなものです。重たいし、冷たい。手を放す人が出てくれば、下に転がり、雪玉が大きくなってしまう。支え手をどんどん失えば、政策推進力は失われていきます。その局面に入ってきたと思います。

──野党が結集すると、総理経験を持つ野田さんはより重要な存在になっていくのではないかと想像します。何ができると思われますか?

野田:私は1993年の選挙で初当選して、1994年の政治改革関連法の審議に1年生議員としてかかわりました。このテーマは自分にとっては原点なのです。私は「政治屋ではなく政治家になりたい」と思ってきたし、「政治家以上に政治改革者になりたい」という意識を持って政治家になりました。ですから、あの頃の青い志が甦ってきています。

 平成の政治改革には熱い気持ちで取り組んだし、達成感もあった。でも、振り返ると抜け穴だらけでした。令和の抜け穴のない政治改革をやり遂げたい。もう一回やり直すための仕事ならば、できることは何でもやらせていただきたいと思っています。

 

長野光(ながの・ひかる)

ビデオジャーナリスト

高校卒業後に渡米、米ラトガーズ大学卒業(専攻は美術)。芸術家のアシスタント、テレビ番組制作会社、日経BPニューヨーク支局記者、市場調査会社などを経て独立。JBpressの動画シリーズ「Straight Talk」リポーター。YouTubeチャンネル「著者が語る」を運営し、本の著者にインタビューしている。


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