菅義偉首相=27日、首相官邸

 政府は31日、復興推進会議・原子力災害対策本部の合同会合を開き、東京電力福島第1原発事故の帰還困難区域のうち避難指示解除の見通しが立っていない福島県内の地域について、2020年代に希望者全員が帰還できるよう解除する基本方針を正式決定した。

 首相官邸で開かれた会合で、菅義偉首相は「この方針に基づいて、地元と十分に議論しつつ除染を行い、希望する全ての住民の方々が帰還できるように避難指示解除を進める」と述べた。

 帰還困難区域のうち、22~23年の避難解除を目指す「特定復興再生拠点区域」(復興拠点)は面積全体の約8%にとどまる。復興拠点以外の地域には約2万人が住民登録しており、政府が解除について具体的方針を示すのは初めて。 

首相官邸に入る菅義偉首相=31日午前、東京・永田町

首相官邸に入る菅義偉首相=31日午前、東京・永田町

 菅義偉首相(自民党総裁)は31日、二階俊博幹事長の交代を柱とする党役員人事を来週にも断行する意向を固めた。複数の党関係者が明らかにした。二階氏の後任が焦点。党内には内閣改造も合わせて行うべきだとの声がある。首相は政権の体制を刷新し、再選を目指す党総裁選(9月17日告示)と次期衆院選に臨む方針だ。

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首相は31日午後にも二階氏と会談し、人事や今後の日程などについて協議する見通し。
 加藤勝信官房長官は記者会見で、党役員人事や内閣改造に関し「あるかないかを前提に申し上げるのは差し控えたい」と述べるにとどめた。

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 政府・与党は30日、野党が求めていた9月上旬の臨時国会召集に応じないことを決めた。自民党総裁選前に国会が開かれなければ、菅首相にとって9月中の解散を封じられたことを意味する。まさかの「総裁選不出馬」説まで浮上し、政局は混沌としてきた。

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 臨時国会見送りは、30日午前、森山国会対策委員長が加藤官房長官と国会内で協議して決まった。その後、森山氏が安倍前首相の事務所を訪ねたことが臆測を呼んでいる。

「森山国対委員長は二階幹事長と一心同体。召集見送りは幹事長の意向でしょう。しかし、今は何の役職でもない安倍先生のところへわざわざ説明に行ったのはなぜなのか。今後の政権運営について話し合ったとしか思えません。つまり、『一致して菅首相支持』か『菅降ろし』のどちらかです」(自民党国対関係者)

 そんな中、自民党政権御用メディアの読売新聞が28日の紙面で、菅首相が総裁選に出ない可能性にサラッと触れていた。河野ワクチン担当相の態度を巡り<首相が不出馬という事態が起きれば、出馬の余地は生じる>と書いたのだ。

「菅総理が総裁選で負けることはあっても、出ないという選択肢は想定していなかった。しかも読売がそんなことを書くのだから、『おや?』と思いますよね。不出馬があり得るのかと、党内でも話題になりました」(自民党若手議員)

 30日午後、二階幹事長が官邸を訪れると、党内は「すわ、引導か」と色めき立った。表向きは菅支持を崩していない二階氏だが、同日に時事通信のインタビューで、菅首相再選について<われわれが支持しないと言えば、彼(菅首相)は立候補するかどうかも分からない。われわれが支持しないとなれば根本が崩れる>と話している。いつ菅首相に見切りをつけてもおかしくないのだ。

「総裁選では二階氏の処遇も焦点になる。二階氏を切ってでも続投するという執念が菅首相にあるのか。菅首相のままで総選挙を戦えば下野する可能性が高ければ、二階氏、安倍氏、麻生氏ら党の重鎮が外堀を埋めて、首相を不出馬に追い込む可能性も考えられます」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)