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止まらぬ感染拡大、第2波招いた都知事の無為無策  空疎と知りつつ女帝の「言葉遊び」を持て囃すマスコミも共犯 2020.8.1(土)舛添 要一

2020年08月01日 15時14分31秒 | 感染症

止まらぬ感染拡大、第2波招いた都知事の無為無策

空疎と知りつつ女帝の「言葉遊び」を持て囃すマスコミも共犯
2020.8.1(土)舛添 要一
 
 

新型コロナウイルスの感染の再拡大が止まらない。第2波の到来である。

 

 7月29日には、遂に岩手県でも2人の感染者が判明し、これで全国47都道県全てに感染が広まった。タイミング悪くGo To Travelキャンペーンも始まっており、大規模な人の移動はウイルスを拡散させる。

 ウイルスの潜伏期間が長いので、このキャンペーンが感染拡大にどれだけ影響するかは、8月以降に数字として表れるが、国民の不安を高めるような結果が出てくるのではないかと危惧している。

「有言“不実行”」の繰り返し

 31日の感染者は、東京都では463人と過去最多で、神奈川県53人、埼玉県57人、千葉県35人と相変わらず高い数字で推移しており、首都圏はまさに一体である。

 

 首都圏以外でも感染拡大は凄まじく、31日の数字を見ると、大阪府が216人、兵庫県が62人、愛知県が193人、福岡県が170人、沖縄県が71人と全国に広まっている。多くの自治体で、過去最多という不名誉な記録を更新している。

 もはや「東京問題」とは言えないような状態であるが、第2波の震源地が東京であることは間違いない(朱は管理人)中国の武漢で発生した新型コロナウイルスが世界に拡散していったような状況である。中国の初期対応の失敗に世界が怒っているように、菅官房長官をはじめとして東京の対応を批判する声が高まっても不思議ではない。小池都知事の対応は不適切であったと言わざるをえない。

 要するに「有言“不実行”」こそが小池都知事の常套手段であり、口先で都民に警告を発するだけで、具体的な行動を伴っていないのである。小池都知事は、29日には、マスコミ各社の「単独」インタビューに応じている。マスコミ各社からの要望だろうが、各社に個別に応じるような時間があれば、もっと真剣にコロナ対策を実行すべきである。定例記者会見のときに話せば、一度で済む。マスコミを使っての自己宣伝人気取りに終始している。

 インタビュー内容を読んだが、たとえばPCR検査を一日1万件に増やすと言っている。しかし、どのようして実行するのか全く述べていない。保健所の体制をどう拡充するのか、民間の検査会社などをどう活用するのか、厚労省の規制をどう突破するのか、具体策がない。さらには、全く意味のない東京版CDCをまだ作ろうとしている。「都民の命を守るため、あらゆる策を総動員し」と述べているが(読売新聞、7月30日)、いつもこのような漠然とした言い回しであり、何も言っていないに等しいのである。

 なぜPCR検査が増えないのか、なぜ日本の感染症研究所がアメリカのCDCに比べて酷いのかなど、小池都知事は問題の本質を理解していない。しかも、PCR検査数の恣意的発表に見られるように、情報公開が徹底していない。

 小池都知事が動かないので、しびれを切らしたのであろう。保坂世田谷区長が、PCR検査を1日3000件まで増やす具体案を提案した。都は、国、そして市区町村と緊密に連携しなければならない。とりわけ、保健所をかかえる市区町村は現場で困っている。都が手を差し伸べるべきなのに、自分の衆議院議員時代の選挙区の豊島区を優先させている。

 菅官房長官は7月11日に感染再拡大は「圧倒的に東京問題」と発言したが、それに反論する小池都知事との対立から、Go To Travelキャンペーンでは、東京都のみが除外されてしまった。あおりを食らって損をしたのは東京都民である。

 7月30日の都内のコロナ感染者が367人と驚くべき数字になったが、それを受けて、小池都知事は、酒類を提供する飲食店とカラオケ店に営業時間を夜10時までに短縮するように要請する方針を打ち出した。期間は8月3日〜31日であり、要請に応じた事業者には、協力金20万円を支給するという。対象となる事業者は4万件、総額80億円になると見積もられている。

 しかし、前回は50万円(2店舗以上持つ事業者は100万円)であり、20万円では家賃の高い都内の店にとっては焼け石に水になってしまうだろう。また、財政調整基金もほぼ使い切っている。財源も苦しい。無利子融資を考えるべきである。

都民を脅し混乱させただけの「ロックダウン」発言

 会見で、小池都知事は、「感染拡大特別警報」と書かれたボードを示しながら、状況がさらに悪化した場合には、「都独自の緊急事態宣言を発することも考えざるをえない」と警告した。しかし、実際にその準備はできておらず言葉の遊び以上のものではない。本当に、緊急事態宣言を出せるのか。

 歌舞伎町などで感染が広まった頃に、もっと徹底してPCR検査を実施していれば、全国への感染拡大も避けられたのではないか。

 国が小池都知事の人気取り目当ての言葉やパフォーマンスに悩まされ、足を引っ張られたのは、今回が初めてではない。

 3月23日、世界の深刻なコロナ感染状況に鑑み、安倍首相は東京五輪を延期することを容認した。それまで感染者数の発表も事務方任せにしていた小池都知事は、首相発言の2時間後に急遽記者会見を開き、コロナ感染拡大への危機感を煽り、「ロックダウン(都市封鎖)」という強力な措置を執らざるをえない」とか「今後3週間がオーバーシュート(患者の爆発的急増)への分かれ道」とかいう言葉を並びたてたのである。いつもの横文字を使って耳目を引くパフォーマンスである。

 その翌日、24日には、IOCのバッハ会長と安倍首相の電話会談で東京五輪の延期が決まるが、翌日の25日夜、小池都知事は緊急に記者会見を開き、「感染爆発 重大局面」と記したフリップを掲げてロックダウンの可能性に言及し、夜間や週末の不要不急の外出自粛を都民に要請した。

 この会見の影響で、東京のスーパーでは買い占め騒ぎが起こり、パニック状態になってしまった。

「政府が無策なのに、都知事はしっかりと政策を打ち出しており、優れたリーダーシップを発揮している」と言わんばかりの演出だったが、実は、政府は緊急事態宣言を発令する準備を進めていたのである。

 日本では、欧米のようなロックダウンは法的に定められておらず、実現不可能なのであるが、小池都知事の「ロックダウン発言」で、緊急事態宣言がロックダウンだと国民は誤解してしまった。

小池氏のパフォーマンスのため緊急事態宣言が先送りに

 小池都知事の横文字マニアが招いたとんでもない誤解だが、都内のスーパーでは商品が棚から消えてしまった。何とも罪作りなパフォーマンスであり、この騒動のあおりを食らって、政府は、当初3月末に予定していた緊急事態宣言を4月7日まで待つことになってしまった。この遅れが、どのようなマイナスをもたらしたかは周知の通りである。

 さらには、宣言による休業要請をできるだけ少ない数の業界に制限したい政府に対して、小池都知事は居酒屋や理容店なども対象にする案を主張し、“感染防止のジャンヌ・ダルク”といったイメージを作ろうとした。そして、国との間で猛烈な綱引き合戦を演じるが、全ては、自分の人気と支持率をアップするためであった。

 打ち上げ花火のように、ときには英語を交えたスローガンを叫び、マスコミの注目を集め、有権者がすぐに忘れることを見越して、何の成果も出さないどころか、マイナスが生じても頬被りする。それが小池流の政治である。4年前の都知事就任以来の行動を振り返っても、そのことは明白である。「言語明瞭、意味不明瞭、責任はとらず」である。

 中央卸売市場を築地から豊洲に移転する決定に対して、「移転先の豊洲市場は危険だ」と難癖をつけ、「安全だが安心ではない」などという意味不明な言葉を発したのである。豊洲市場では、地下水は一切使用せず、都水道局が「おいしい水」と誇る上水道を使っているのに、「地下と地上は切り離すことができない」と煽った。

 ヒトラー顔負けのデマゴーグである。彼女が引き起こしたこの大騒ぎの結果、豊洲市場の開場が2年も遅れてしまい、多額の損失を生んでいる。東京五輪施設の見直しも、たとえば、長沼ボート場を持つ宮城県を糠喜びさせただけで、何の成果も出せないで終わっている。

 これが小池デマゴギーであるのに、マスコミは、その問題点を指摘するどころか、率先してそのお先棒を担いでいる。そして、反省もせずに、今もまだ、その姿勢を維持し続けている。

あまりに空疎な東京都のコロナ対策

 五輪競技施設は、組織委員会の森会長と都知事の私とで、徹底的な見直しを既に行っていたのであるが、そのような苦労など無視して、2016年7月の都知事選挙では、「1兆、2兆、3兆ってお豆腐屋さんじゃないんですよ!」と叫び、五輪費用の高騰を批判したのである。そして、都知事就任後に競技施設の見直しというパフォーマンスを始めたのだが、何も変えることはできなかった。

 IOCがマラソンと競歩の会場の札幌移転を決めたときも、開催都市のトップであるにもかかわらず、小池都知事は蚊帳の外に置かれ、「合意なき決定」などという捨て台詞を発したのみであった。

 新型コロナウイルス感染への対応についても、言葉の遊びが続いていることは先述した通りである。政府は5月25日に緊急事態宣言を解除したが、東京都も解除戦略として「ロードマップ」なるものを公表した。また、英語である。いったん解除したものの、6月2日になって、都の感染者が34人に増えたとして、小池都知事は「東京アラート」なるものを発令した。これまた、大好きな横文字である。

 この「東京アラート」は6月11日に解除され、翌日には小池都知事は再選を目指して都知事選立候補を表明した。結局、「東京アラート」は何の意味があったのだろうか。通天閣を警告信号色で染めた吉村大阪府知事に対抗して、都庁やレインボーブリッジを赤く染め、自分の人気を高めるための道具として使ったのである。

 

 実際に、6月12日以降は、それ以前に比べ、感染者が倍増している。6月12〜25日の2週間の感染者数は500人で、5月29〜6月11日の2週間の252人の倍になっているのである。

 新型コロナウイルスは潜伏期間が長いので、感染してから発症まで1〜2週間はかかる。つまり、「東京アラート」を発動した6月2日以降に感染した人は、解除した11日以降に発症して検査で判明するので、「東京アラート」は都民に対して警戒の意味は何もなかったことになる。6月24日には55人にまで増加しているのである。

 ところが、11日に、小池都知事は、感染が落ち着いたと判断したから「東京アラート」を解除したとして、「アラートの役目を果たした」と評価し、「これからは自らの力で守る自衛の時代。自粛から自衛の局面だ」と述べたのである。まさに無責任の極みであり、「自衛」に頼るのなら、行政は不要である。

 このような小池都知事の空虚な言葉の遊びが続くならば、コロナ対策のみならず、これからの都政の先行きに明るい光は見えてこない。


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