「ドイツのトランプ氏嫌い」という記事が教えてくれた事
独誌シュピーゲルは、ドイツではトランプ氏のような人物が首相になることは考えららないとして、その理由をいくつか挙げていたと。
その一つは、ナチス後のドイツ外交ではアウシュビッツへの反省から、道徳的な姿勢のみが可能であり、トランプ氏のような攻撃的で粗野なタイプは戦後のドイツでは受け入れられる余地はないからだという。
もう一つの理由は、男らしさという米国のカウボーイ神話は、ドイツでは兵士にさかのぼるが、ドイツの兵士が男らしいという神話は第二次大戦でおしまいになったと。
なるほど、これを読んで、来月に迫ったドイツの首相を選ぶ連邦議会選挙で、メルケル首相が優位に立っているわけがわかるような気がする。
私がこの熊倉逸男論説委員の記事で特に注目したの次のように書かれていたところだ。
今度のドイツの連邦議会選挙は、メルケル氏率いるキリスト教民主同盟を中心とした保守連合と、中道左派社民党の二大勢力で争われるという。
そして、そもそもアデナウアー初代首相や、東西ドイツ統一を成し遂げたコール首相を出し、それを引き継いだメルメル首相を出したキリスト教民主同盟は保守本流であるが、メルメル首相の下で脱原発や地球温暖化や移民受け入れ上限を設けない寛容政策など、どんどんとリベラル化していったと書かれていたところだ。
もっと驚いたのは、その保守連合が、二大勢力のもう一つである中道左派社会民主党と、いまでは連立政権を組んでいると書かれていたところだ。
これを要するに保守党がリベラル化すれば長期的な政権政党になれるということだ。
保守党がリベラル化すれば中道左派も取り込めるということだ。
つまり、極右や極左は排除され、穏健保守と穏健左派の大連立(挙国一致内閣)は可能であるということだ。
果たしてポスト安倍に向けた日本の政界再編はどういう方向に向かうのだろうか(了)