2021.04.09
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倉持先生からの検体の変異株。米国由来ではないかと考えられるものが多く見つかる。いったい、米国からの入国の検疫はどうなっているのか?きちんとやっているのでしょうか?
実際に、東日本でE484K変異を持つ何らかの株がドミナントになっている可能性があり、感染研・厚労省は、それを見逃してしまったことになります。E484K変異を持つ変異株には、免疫・抗体回避特性があり、ワクチンと抗体薬の効果が下がることが知られています*。一方でE484K変異単独では、優先的に感染力が強化されるか否かは不明で感染力が普通ならばその点では脅威度はやや下がります。ウィルスの変異は常に起こりますし、E484Kと他の変異が組み合わさることでどのような脅威になるか否かは、その組み合わせが多いために現時点では既知の一部を除きわかっていません。
〈*例えば、B.1.351(南ア株)に対してアストラゼネカ製ワクチンは、事実上無効であることが報告されている。他のワクチンも有効性が下がり、三回接種化などの有効性維持のための対策が考えられている。Efficacy of the ChAdOx1 nCoV-19 Covid-19 Vaccine against the B.1.351 Variant 2021/03/16 NEJM〉
従って、厚労省・感染研は、またしてもジャパンオリジナル検査資源抑制論に基づき、根拠のない希望的観測による変異株スクリーニング検査限定をおこなった結果、東日本を海外から侵入した変異株のオリンピック会場としつつあると言えます。厚労省と感染研のおかげで変異株ウィルスご一行は、大盛況です。厚労省と感染研は、アスリートや市民よりも新型コロナウィルスの方が大切なのでしょう。どんどん新手が繁殖して行きます。
日本を追い詰める「ジャパン・オリジナル検査資源抑制論」
このように、B.1.1.7, B.1.351, P.1などN501Y変異を持つ特定の変異株以外を検知できないという効率重視を騙るジャパンオリジナル・検査抑制がここに来ても最悪の結果となっています。既に国外ではNHK報道*のロイター配信を元に「日本におけるE484K変異株(Eek:イーク)」として広く報じられています**。これは、場合によっては”Japan Travel BAN”(対日人的交流封鎖)***という最悪の事態にもつながりかねないことです。
〈**Troubling “Eek” variant found in most Tokyo hospital COVID cases – NHK 2021/04/04 Reuters〉 〈***昨年12月から英国がTravel BANとなった。参照:HBOL〉
現在本邦では、西日本と東日本で異なる変異株をドミナントとした非季節性第四波エピデミックSurgeが立ち上がっており、たいへんに厳しい状況にあります。筆者は、統計を観察してきましたが、西日本の第四波エピデミックSurgeに対し、東日本の第四波エピデミックSurgeは、特に関東において関西に対して二週間遅れています。このため関東では、緊急事態宣言の解除、年度初め、学校などの始業が、エピデミックSurgeを加速するという最悪の時期となっており、四月中旬のエピデミックの状態が懸念されます。
本邦は、第三波エピデミックSurgeへの対応の大失敗が災いし、謎々効果*影響国である東部アジア・大洋州諸国で事実上のワースト4**となっています。そのうえで更に変異株スクリーニングへのジャパンオリジナル・国策エセ科学・エセ医療デマゴギーに基づく「効率的な」「抑制」によって取り返しの付かないことになっています。
〈*モンゴル、中国、ミャンマー以東の東部アジア、大洋州ではCOVID-19パンデミックによる百万人あたりの日毎新規感染者数が米欧と南米に比して1/10〜1/1000である。またアフガニスタン以東でも百万人あたりの日毎新規感染者数が米欧と南米に比して1/10程度である。 筆者は、2020/03以降この事実を「謎々効果」(謎々ボーナスタイム)と名付けている。全く同じ現象を後に”Factor X”と呼称している人たちもいる。致命率(CFR)は、謎々効果があっても米欧他と大きな差はない。モンゴルは、昨年11月以降の状態がたいへんに悪く、このままでは謎々効果が消滅する可能性がある。謎々効果は、アフリカ大陸でもほぼ全域で見られている〉
〈**統計上はシンガポールをワースト2とするワースト5だが、シンガポールは、昨年9月には収束国となっているため除外している。なお本邦には、ワースト5のモンゴルが肉薄している〉
また、謎々効果影響国であるモンゴルで、初の謎々効果崩壊の可能性があり、筆者は注視しています。現在情報が殆ど無いのですが、モンゴル共和国は、建国来、旧ソ連邦、ロシア共和国との関係が深く、現在エピデミックの状態が悪くしかも情報の透明性が極めて低いロシアから感染力が強力な変異株などが侵入したのではないかと筆者は疑っています。
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〈*OWIDでアジアとは、トルコ、紅海以東を指し、ロシアは欧州に入る〉
本邦では、都道府県によるエピデミック状況の差が大きいのですが、既に指数関数的増加を示しています。本邦の日毎新規感染者は、4/6時点で21ppm*であり、2020/12/16の水準に相当します。 〈*ppmとはParts Per Million (百万分率)を示し、百万分の1である。「ピーピーエム」と読む〉
韓国は、徐々にベースラインを上げつつもK防疫によって平衡状態を維持してきましたが、先週から今週にかけて本邦に4週間遅れで増加に転じています。
台湾では、2月来域内感染者はほぼ見られず、空港検疫などで入境者から新規感染者を発見するに留まっており、現時点ではエピデミックは生じていません。
日本の第四波非季節性エピデミックSurgeは、大規模介入必須の状況
〈*倍加時間とはウィルス=感染者の数が二倍になるのにかかる時間〉
現在本邦では、主に西日本で二週間先行するB.1.1.7によるエピデミックSurgeと主に東日本で見られるE484K(Eek)を持つ別の変異株によるエピデミックSurgeに分かれています。特に関東を中心とする東日本では、エピデミックSurgeが勢いを増すと考えられる4月上・中旬と新年度開始、新学期が重なっており、これに先行した3/21緊急事態宣言解除の影響が現れる時期も重なるという最悪のタイミングですので、今後大きな増加圧に晒される可能性が懸念されます。
厚労省と感染研によるジャパンオリジナル・国策エセ科学・エセ医療デマゴギーに立脚した「効率追求の(自称)かしこい」検査抑制策が最悪の元凶となり、特に関東を中心とする東日本ではエピデミックの実態が極めて不透明です。
現在、宮城県に見られるようにエピデミック制御に失敗した結果として県独自の緊急事態宣言を発している自治体もあり、その結果は4/4頃には統計に表れるのですが、宮城県では県独自の緊急事態宣言の効果が予想通りの時期に現れています。しかし、一部の県による介入のみで今回のエピデミックを制圧できるかは分かりません。
韓国では、増加率が徐々に増加して危険域に近づいています。このままですとK防疫体制の強化、社会的距離の要求段階の0.5段階引き上げは不可避と考えられます。 台湾でも実効再生産数の上昇などが見られますが、これは空港検疫などの海外からの持ち込みが水際防衛されたもので、国内は新規感染者数0の日が殆どです。完璧と言えるでしょう。
モンゴルは、東部アジアにおける謎々効果国ですが、非常に悪い状態です。筆者は、初の謎々効果崩壊事例になる可能性を考え観察中です。
本邦では政府と「専門家」、「自称専門家」が巧言令色や詭弁、嘘を用いて事態の過小評価や、大失敗の糊塗に勤しんでいますが、数字は正直です。本邦の第四波非季節性エピデミックSurgeは、大規模介入必須の状況にあります。
次に死亡関連統計を見ましょう。