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スパコンが試算 外食時の座席は隣り合う席は対面の5倍飛沫     2020年12月13日 07時05分 NEWSポストセブン 

2020年12月13日 08時38分29秒 | 感染症

スパコンが試算 外食時の座席は隣り合う席は対面の5倍飛沫

2020年12月13日 07時05分 NEWSポストセブン

 11月に発表されたスーパーコンピューターの性能ランキングで2度目の世界一となった「富岳」。理化学研究所と富士通が共同開発したこのスパコン「富岳」が、新型コロナウイルス対策のためにフル稼働している。理化学研究所計算科学研究センターの広報担当者が語る。

「来年度の共用開始に先立ち、富岳をコロナ対策のために優先的に提供しています。世界一の計算速度を駆使して様々なシミュレーションを行ない、感染防止に役立てていただくのが狙いです」

自動車内では窓開けよりエアコンを優先

 帰省や旅行など移動が増える年末年始は交通機関での感染対策が重要だが、これについて富岳が意外なデータを示した。

 自動車での移動時は「窓を開ける」のが感染対策の定番だが、富岳によればその効果は限定的のようだ。

 富岳はタクシーの市街地走行を想定しシミュレーション。時速40キロで走行した場合、「窓の開け方」「エアコンのかけ方」でリスクがどう変化するかを検証した。

 その結果、エアコンの風量を「中」(風量最大値の半分)にして窓を開閉するより、エアコンの風量を「最大」にして窓を締め切ったほうが換気効果が高かった(前者が換気に要した時間は68秒、後者は45秒)。なお時速20キロで同様の調査を行なうと、窓開けの効果はほとんど見られなかったという。浜松医療センター感染症内科部長の矢野邦夫氏が指摘する。

「窓を開ければ多少換気量は上がりますが、冬場は寒さを我慢して窓を開けるよりエアコンの風量を上げたほうが効果的と言えます。これはタクシーだけでなく一般の乗用車でも同様です」

 ただし、住宅での換気はエアコンに頼らないほうがいいようだ。実は多くの家庭用エアコンは室内の空気を循環させているだけで換気機能は備わっていない。とくに暖房でのエアコン使用時は、室内の湿度を低下させるため空気を乾燥させ、ウイルスの活性化も招いてしまう。

「そのため定期的な換気を行ない、加湿器を併用して感染リスクを抑える必要があります」(前出・矢野氏)

2人での外食時はカウンターよりテーブル席

 富岳は飲食店の座席での感染リスクも調べている。平均的な4人掛けテーブルに2人で向き合った場合と、隣り合って座った場合を比較。談笑しながら会食した場合、隣り合って座るほうが真正面に座るときの約5倍の飛沫を受けるとの結果になった。

「隣り合う席のほうが距離が近いため、会話をすると対面よりリスクが高くなる。飲食店に2人で行く時はカウンターを避け、テーブル席をえらんだほうがいい」(同前)

 なお、同じく4人掛けのテーブルで対角線上に座ると、相手に到達する飛沫は真正面に座った場合の4分の1だった。真横に座った場合と比較すると、リスクは20分の1になる計算だ。

「加えて言えば、隣り合う別のテーブルとの距離にも注意です。他の客と2メートル以上の距離を保てているか、チェックしてください」(同前)

「富岳」の導いた結果を参考にしつつ、正しい感染対策を心がけたい。

※週刊ポスト2020年12月18日号


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