URUK NEWS イラク情勢ニュース (転送・紹介歓迎)
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2008/05/13 (火)
[飛耳長目録 today's news list]
☆食料危機がファルージャを襲う ダール・ジャマイルの中東速報
☆集団懲罰: 水を絶たれたモスル 2008/05/13
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☆★食料危機がファルージャを襲う
Food Crisis Hits Fallujah
ダール・ジャマイルの中東速報 2008年5月12日
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** Dahr Jamail's MidEast Dispatches **
** Visit the Dahr Jamail website http://dahrjamailiraq.com **
Inter Press Service
(インター・プレス・サービス)
By Ali al-Fadhily and Dahr Jamail
ファルージャ発、5月12日 -- 食料価格の急騰がファルージャに反占領
と反米感情の新たなうねりを引き起こしている。
ファルージャ郊外にあるシチア村の農民ブルハン・ジャシムは、IPSの取材に、
「これがアメリカ軍に踏みにじられた国だ」と語った。「イラクはつねに質・量
ともに恵まれた実りがあるとアッラーに祝福されたものだが、今ではどれほどの
荒れ地になったかが目に見える」。
2004年における米軍の作戦で市街地の多くが破壊されたあと、ファルージ
ャは新たな危機に直面している。
バグダッドの西70キロに広がるファルージャ市の周辺地域は、伝統的にイラ
クで最も農産物に恵まれた地域の一つであった。農民はファルージャの北にトマ
トとキューリを植え、アミリヤに近い市の南部ではジャガイモが栽培された。そ
してどちらの地域にも、多くのナツメヤシの林と小さな果実の農園があった。だ
が現在では生産量をかつての何分の1でしかない。
農民たちは今を乗り切ろうと苦闘している。「私たちは国連制裁の頃(199
0年代)には、停電にそなえてモーターを電気からジーゼルに切り替えた」とラ
アド・サミーが話した。彼はファルージャの郊外サクラウィヤで小さな農場を経
営する農業技師である。「計画的な電力カットのもとでも、1日に最低12時間
は電気が来ていた。だが現在は実質的に電気はない。そして今では潅漑用のポン
プを動かす燃料さえも危機に瀕していて、ブラックマーケット(闇市)ではガソ
リン価格は信じられないくらいに高騰している」。
農産物の価格はどんどん上がった。ファルージャで雑貨屋を営むヤシーン・カ
マルは、「トマト1キロの平均価格はおよそ1ドルになった」とIPSに語った。「
この値段は、アメリカ軍が市の出入り口を封鎖したときにさえ経験したことがな
かった。シリアとヨルダンからあらゆるものを輸入していた冬期の2倍だよ」。
ファルージャ住民は食費が収入を上まわっているという。政府職員の平均収入
は月に170ドルで、労働者や商売人では100ドルを超えることはない。
住民の話によると、市内の失業率は50%以上だという。このような環境のも
とで、他のどこよりも深刻な食糧難に見舞われている。
「社会的な要因が大きい」とアハメド・ムンキスは言った。「毎日の必需品を
手に入れるために、人々は法律違反をしているに違いないと思う。食糧難が汚職
の拡大に繋がり、犯罪率は極点に達している」。
多くのイラク人は、どのような困難であれ、占領軍がそう仕向けているのだと
考えている。
ファルージャの宗教指導者であるアライン師は、「ここでもイラク全体でも、
物価が上昇し、生活が困難であることは明かだ。それは占領軍がそのように画策
したからさ」とIPSに話した。「占領軍の参謀たちは、イラク人を警察官とス
パイとして働かせるために、この貧困を作りだしたのだ。イラクは石油の上に浮
かんでいるようなものなのに、水道のポンプを動かすだけのガソリンさえもない
。何という皮肉だ」。
世界的な食料危機が彼らにも影響を及ぼしているかもしれないという話もある
。しかしファルージャの食料危機は、水不足とか燃料不足、電力不足といったロ
ーカルな問題に起因している。
理由が何であれ、住民が救済を望むだけである。ナダとだけ名乗った女子学生
は、「生活を元に戻して欲しいだけ」と言った。「食べ物を口にして、着物を着
て、教育を受けて、きれいな空気を吸いたいだけ。アメリカ軍がくれるという民
主主義なんて要らないわ。そのためにイラク国民の半分が殺され、残りの半分は
今、飢えで殺されているのよ。私たちの替わりに、このメッセージをアメリカ国
民に伝えてもらえる?」
国連によると、イラクでは400万人以上が十分な食料を得ることができず、
人口2750万人のほぼ40%はきれいな飲み水を入手できないでいる。そして
30%以上が適切な医療を受けられないでいる。
(*Ali, our correspondent in Baghdad, works in close collaboration with Dahr
Jamail, our U.S.-based specialist writer on Iraq who has reported
extensively from Iraq and the Middle East).
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☆★☆集団懲罰: 水を絶たれたモスル
collective punishment; Mosul without water
イラク情勢ニュース 速報&コメント 5月13日
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先週土曜日からイラク政府軍と米軍によるモスル作戦が開始された。その詳細
を伝える報道、レポートはまだ少ない。しばしば取り上げているブログ・サイト
<Road to Iraq>の5月11日付を紹介する。
collective punishment; Mosul without water
Roads to Iraq
May 11, 2008
新聞とウェブサイトを少なくとも50は漁ってみたが、あてにならない報道機
関のレポートを繰り返すか翻訳するかしたもの以外には、現在のモスルの「本当
の」状況を伝えるレポートはほとんどない。アルハヤトの例を引いてみよう。
「モスル知事ドライド・カシュムーラはアル・ハヤトに、(モスルの)部族長
がこの軍事作戦に参加し、みずからの地域を自衛するために武装することを政府
に要請した」
実際状況およびヨルダンの新聞アル・ガッドによると、その部族長はおそらく
水を要求したのだろう。
「モスルのアラブ部族協議会の報告によると、汎アラブ主義を放棄せず、モス
ルの「クルド化」製作を拒否するアラブ諸部族への集団懲罰として、政府が2日
間にわたて水の供給を止めた。」
「新聞社に寄せられた書簡において、その軍事作戦にバドル軍民兵とクルドの
民兵ペシュメルガが参加することを同協議会が拒んだことから、クルド人民兵が
その地域に水を提供しているモスルダムの水門を閉鎖した、と書かれていた」
「モスル選出の国会議員オサマ・アル・ナジュフィも、クルド人民兵は住民に
対して、土地はクルド人地区に属すると宣言する文書に署名するよう強要してい
ると語った。」
私はこの2、3日、「モスルに向かう軍用車に乗っている民間人とは誰のこと
だろう」(右上の写真)と詮索していた。
-----
最後の段落、文字だけを読むと、ひょっとしてパトリック・クックバーンのこ
とかと思ったりした。数ヶ月前にも、アラブ人から親クルドのプロパガンダを流
しているジャーナリストと名指しで非難されていたパトリック・クックバーンは
、今、クルド人部隊に同行して、「エンベッド取材」をしているようだ。
'Ghost city' Mosul braces for assault on last bastion of al-Qa'ida in Iraq
http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/ghost-city-mosul-braces-for-assault-on-last-bastion-of-alqaida-in-iraq-826264.html
報道のために色んな手法を探ることはあるにしても、実際に彼の書いた記事は
、イラク政府や米軍がモスル作戦について公式発表しているものと変わるところ
はないようだ。しいて違いを捜すと、記事の書き手が軍ではなく、彼の体験とし
て書かれているというだけのこと。
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※URUK NEWS イラク情勢ニュース (webサイト)
http://www.geocities.jp/uruknewsjapan/index.html
メーリング・リストへの参加・退会手続きはここでもできます
※イラク・レジスタンス・レポート
http://www.geocities.jp/uruknewsjapan/Iraqi_resistance.html
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2008/05/13 (火)
[飛耳長目録 today's news list]
☆食料危機がファルージャを襲う ダール・ジャマイルの中東速報
☆集団懲罰: 水を絶たれたモスル 2008/05/13
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☆★食料危機がファルージャを襲う
Food Crisis Hits Fallujah
ダール・ジャマイルの中東速報 2008年5月12日
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(インター・プレス・サービス)
By Ali al-Fadhily and Dahr Jamail
ファルージャ発、5月12日 -- 食料価格の急騰がファルージャに反占領
と反米感情の新たなうねりを引き起こしている。
ファルージャ郊外にあるシチア村の農民ブルハン・ジャシムは、IPSの取材に、
「これがアメリカ軍に踏みにじられた国だ」と語った。「イラクはつねに質・量
ともに恵まれた実りがあるとアッラーに祝福されたものだが、今ではどれほどの
荒れ地になったかが目に見える」。
2004年における米軍の作戦で市街地の多くが破壊されたあと、ファルージ
ャは新たな危機に直面している。
バグダッドの西70キロに広がるファルージャ市の周辺地域は、伝統的にイラ
クで最も農産物に恵まれた地域の一つであった。農民はファルージャの北にトマ
トとキューリを植え、アミリヤに近い市の南部ではジャガイモが栽培された。そ
してどちらの地域にも、多くのナツメヤシの林と小さな果実の農園があった。だ
が現在では生産量をかつての何分の1でしかない。
農民たちは今を乗り切ろうと苦闘している。「私たちは国連制裁の頃(199
0年代)には、停電にそなえてモーターを電気からジーゼルに切り替えた」とラ
アド・サミーが話した。彼はファルージャの郊外サクラウィヤで小さな農場を経
営する農業技師である。「計画的な電力カットのもとでも、1日に最低12時間
は電気が来ていた。だが現在は実質的に電気はない。そして今では潅漑用のポン
プを動かす燃料さえも危機に瀕していて、ブラックマーケット(闇市)ではガソ
リン価格は信じられないくらいに高騰している」。
農産物の価格はどんどん上がった。ファルージャで雑貨屋を営むヤシーン・カ
マルは、「トマト1キロの平均価格はおよそ1ドルになった」とIPSに語った。「
この値段は、アメリカ軍が市の出入り口を封鎖したときにさえ経験したことがな
かった。シリアとヨルダンからあらゆるものを輸入していた冬期の2倍だよ」。
ファルージャ住民は食費が収入を上まわっているという。政府職員の平均収入
は月に170ドルで、労働者や商売人では100ドルを超えることはない。
住民の話によると、市内の失業率は50%以上だという。このような環境のも
とで、他のどこよりも深刻な食糧難に見舞われている。
「社会的な要因が大きい」とアハメド・ムンキスは言った。「毎日の必需品を
手に入れるために、人々は法律違反をしているに違いないと思う。食糧難が汚職
の拡大に繋がり、犯罪率は極点に達している」。
多くのイラク人は、どのような困難であれ、占領軍がそう仕向けているのだと
考えている。
ファルージャの宗教指導者であるアライン師は、「ここでもイラク全体でも、
物価が上昇し、生活が困難であることは明かだ。それは占領軍がそのように画策
したからさ」とIPSに話した。「占領軍の参謀たちは、イラク人を警察官とス
パイとして働かせるために、この貧困を作りだしたのだ。イラクは石油の上に浮
かんでいるようなものなのに、水道のポンプを動かすだけのガソリンさえもない
。何という皮肉だ」。
世界的な食料危機が彼らにも影響を及ぼしているかもしれないという話もある
。しかしファルージャの食料危機は、水不足とか燃料不足、電力不足といったロ
ーカルな問題に起因している。
理由が何であれ、住民が救済を望むだけである。ナダとだけ名乗った女子学生
は、「生活を元に戻して欲しいだけ」と言った。「食べ物を口にして、着物を着
て、教育を受けて、きれいな空気を吸いたいだけ。アメリカ軍がくれるという民
主主義なんて要らないわ。そのためにイラク国民の半分が殺され、残りの半分は
今、飢えで殺されているのよ。私たちの替わりに、このメッセージをアメリカ国
民に伝えてもらえる?」
国連によると、イラクでは400万人以上が十分な食料を得ることができず、
人口2750万人のほぼ40%はきれいな飲み水を入手できないでいる。そして
30%以上が適切な医療を受けられないでいる。
(*Ali, our correspondent in Baghdad, works in close collaboration with Dahr
Jamail, our U.S.-based specialist writer on Iraq who has reported
extensively from Iraq and the Middle East).
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☆★☆集団懲罰: 水を絶たれたモスル
collective punishment; Mosul without water
イラク情勢ニュース 速報&コメント 5月13日
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先週土曜日からイラク政府軍と米軍によるモスル作戦が開始された。その詳細
を伝える報道、レポートはまだ少ない。しばしば取り上げているブログ・サイト
<Road to Iraq>の5月11日付を紹介する。
collective punishment; Mosul without water
Roads to Iraq
May 11, 2008
新聞とウェブサイトを少なくとも50は漁ってみたが、あてにならない報道機
関のレポートを繰り返すか翻訳するかしたもの以外には、現在のモスルの「本当
の」状況を伝えるレポートはほとんどない。アルハヤトの例を引いてみよう。
「モスル知事ドライド・カシュムーラはアル・ハヤトに、(モスルの)部族長
がこの軍事作戦に参加し、みずからの地域を自衛するために武装することを政府
に要請した」
実際状況およびヨルダンの新聞アル・ガッドによると、その部族長はおそらく
水を要求したのだろう。
「モスルのアラブ部族協議会の報告によると、汎アラブ主義を放棄せず、モス
ルの「クルド化」製作を拒否するアラブ諸部族への集団懲罰として、政府が2日
間にわたて水の供給を止めた。」
「新聞社に寄せられた書簡において、その軍事作戦にバドル軍民兵とクルドの
民兵ペシュメルガが参加することを同協議会が拒んだことから、クルド人民兵が
その地域に水を提供しているモスルダムの水門を閉鎖した、と書かれていた」
「モスル選出の国会議員オサマ・アル・ナジュフィも、クルド人民兵は住民に
対して、土地はクルド人地区に属すると宣言する文書に署名するよう強要してい
ると語った。」
私はこの2、3日、「モスルに向かう軍用車に乗っている民間人とは誰のこと
だろう」(右上の写真)と詮索していた。
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最後の段落、文字だけを読むと、ひょっとしてパトリック・クックバーンのこ
とかと思ったりした。数ヶ月前にも、アラブ人から親クルドのプロパガンダを流
しているジャーナリストと名指しで非難されていたパトリック・クックバーンは
、今、クルド人部隊に同行して、「エンベッド取材」をしているようだ。
'Ghost city' Mosul braces for assault on last bastion of al-Qa'ida in Iraq
http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/ghost-city-mosul-braces-for-assault-on-last-bastion-of-alqaida-in-iraq-826264.html
報道のために色んな手法を探ることはあるにしても、実際に彼の書いた記事は
、イラク政府や米軍がモスル作戦について公式発表しているものと変わるところ
はないようだ。しいて違いを捜すと、記事の書き手が軍ではなく、彼の体験とし
て書かれているというだけのこと。
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