とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

[「ピーターラビットの絵本」シリーズ (24)の1

2007年03月10日 00時46分55秒 | 児童文学(絵本もふくむ)
(24)の1 こぶたのロビンソンのおはなし(1930年刊)
ビアトリクス・ポター  さく・え  まさきるりこ氏やく
 
(いよいよ最後になりましたが、なんと長編です。ちょっとグッときますが、がんばって、まいりましょう。お驚きにならないうちに、先に言っておきますが、この長編は、第1章から第8章まで、あるんですよ!)    

              (要約)
 
                第1章
《海辺に小さな町があり、わたしは、子どものころ、春休みに、よく、そこへいきました。そこには、漁船のうかぶ港があって、漁師たちが、すんでいました。》 漁師たちは 網でニシンをとって くらしていました。どっさりと魚がとれた船は、魚が埠頭にのりきれないときがあります。そういう時は、潮がひくのを待って、馬のひく荷車が船までいって、魚を積み、それから鉄道の駅まで運ばれました。魚を運ぶとくべつ列車が待っているのでした。
 ニシンが たくさんとれた日は 町中の半分の人とネコたちが みな大さわぎして 波止場にかけつけました。
 この町に サムという年とった漁師のおかみさんのベッツイが 飼っている、スーザンという白いネコがいました。ベッツィは、リューマチで苦しんでいました。からだがr痛くて歩けないので、サムの船が帰ってくる日は、スーザンが出迎えにいきました。
 スーザンが 籠をもっていくと、サムは忘れずに、ニシンを投げてくれました。
 ほかのネコも そこらじゅうの人々も アヒルも 波止場へむかいます。《わたしが見たなかで、反対方向にいくのは ただひとり スタンピィというイヌだけでした。》 イヌには 魚がきらいなものもいます。スタンピィは、羊の肉を買って 紙包みをくわえて 家にかえるところでした。しっぽのみじかい、きまじめで、おぎょうぎのいい、大きなイヌでした。
 さて、おかみさんの帽子をかぶり、ショールをかけたスーザンとスタンピィーは、大通りのかどで会いましたが、どちらも いそいでいたし、イヌは紙包みをくわえていたので「こんにちは」が、言えませんでした。わたしは、きっと、スタンピィたちは 《おいしがって にくを たべたと思いますよ》
 海は ちょうど 潮がひいて 船は、きたない泥の上にのっかっていました。埠頭には、3,4そうの船がつないであり、ほかの船は、防波堤のうちがわに、錨をおろしていました。
 かいだんのしたには きたない石炭船がとまっていて 石炭をおろしていました。
《波頭のずっと先には「ローソクどっさり号」という名の船が、いろんな荷をつみこんでいました。》
 船員や沖仲士は、大声でどなりあっていました。スーザンは、さわがしい人々のあいだを すりぬけていこうとしていましたが、「ロウソクどっさり号」に、1ぴきの黄色いネコが いるのを 見ました。
「ウィ!ウィ!ウィ!」と、デッキのうえを、1ぴきのピンク色をした子ブタが、鼻をならしながら、走りまわっていました。黄色いネコは、ブタをじっと見つめました。《それから、ネコは、スーザンのほうを見て、片目をつぶって、あいずしました。》
 スーザンは 船のうえに ブタがいるのに驚きました。
けれど いそいでいた ために さきを いそぎました。
 サムじいさんの船は ニシン船団のさいごから 防波堤をまわって 入ってきました。大漁でした。サムは じょうきげんで ニシンを スーザンに 投げてよこしました。スーザンは いそいで、家に帰りました。
 サムとベッツイとスーザンは、ゆうごはんに ニシンをたべました。ふたりは、寝ましたが、スーザンは、いろんなことを かんがえました。船の上にいた黄色いネコのことや、ブタのこと…..「ロウソクどっさり号」なんて名の船に ブタがいるなんてへんなことだと かんがえました。が、そのうち ねむってしまいました。《でも、わたしは、そのブタのこと、よく知っていますよ。》

                第2章
《あなたは、フクロウとネコが、きれいな みどり色のボートにのって海をいく歌を知っていますか?》
《船は 1年と1日 海を ゆき
ボング樹の はえている島に つきました。
森のなかには 小ブタが 1ぴき 小ブタが 立っていて、
その小ブタの 鼻の先には、鼻の先には、ワが はまってた
鼻の先には ワが はまってた。》 
 《さて、わたしは。これから、そのブタのおはなしをしようとおもいます。なぜその小ブタが、ボング樹のはえている島へいって、すむようになったかというおはなしをー。》
 この小ブタは、小さいころ、デボンシャーのブタゴヤ・ボーコム農場に おばさんのドーカス嬢とポーカス嬢と、いっしょに 住んでいて、この土地特有の赤土の急な坂道をあがったところにあり、そのくだもの畑のなかの、わらぶき小屋に住んでいました。
《土は赤く、草はみどりで、はるかとおく下のほうに赤い崖と、キラキラ光る青い海が、ほんの少し、見えました。白い帆をはった船が、その海をすべるように、スタイマスの港に入っていきました。》
 わたしは、いつも、デポンシャーの農場には、おかしな名前がついているとおもっていました。あなたも ブタゴヤ・ボーコム農場へいったら、なんて かわった人が住んでいるとおもうでしょう。
 ドーカスおばさんは、がっしりしたからだつきの ぶちのブタで ニワトリを飼っていました。ボーカスおばさんは、ふとった黒ブタで、洗濯屋さんをしていました。この二人のことは、あまり おはなしにはでてきません。あまり おもしろいことがおこらない生活のはて さいごには ベーコンになりました。
 ところが、二人のおいの ロビンソンは かわった冒険をすることになったのです。
 ロビンソンは、かわいらしい男の子のブタで、もも色がかった白ブタで、青い目をしていて、ふとった二重あご、鼻はツンと上をむき、その鼻に本物の銀のワをはめていました。
 ロビンソンは いつも上きげんで、歌をうたい、「ウィ!ウィ!ウィ!」と、鼻をならしていました。ロビンソンがいなくなってから、二人のおばさんは、歌声をおもいだして、なつかしくおもったものです。
 だれかが、ロビンソンに声をかけると、首をかしげて いっしょうけんめい はなしをきいて きまって「ウィ!ウィ!ウィ」と、こたえるのでした。
 おばさんたちは、ロビンソンに たっぷりたべさせ かわいがり  たっぷり使いました。たまごを とってこさせたり、おっことした洗濯ばさみを拾わせたり。《ロビンソンは、「ウィ!ウィ!ウィ!」と、まるでフランス人のように こたえます。》
 ある市のたつ前の日に いつも 荷運びをしてくれる男の人が、みぞにはまってロバ馬車をてんぷくさせてしまいます。石鹸もないし、ほかにも ないものがあるし、たまごを売りにだすこともできません。市のたつスタイダスの町へ行くには、畑や牧草地を いくつも つっきらねばなりません。そして、牧草地から牧草地へうつるときは、かならず かきねをこえる ふみだんがあって、ふとったおばさんたちには通れません。そこで、ロビンソンが、お使いにだされることに なりました。
 ロビンソンは、年のわりにはしっかりしていたけれど、まだ子どもです。おばさんたちは、気がすすまなかったのですが、しかたがないと、考えました。のこりの石鹸で体をあらってやり、青い木綿のようふくと青いブルマーをはかせて、大きなかごをもたせて、ロビンソンを、スタイマスの町までいくことにさせました。かごには、たまごが2ダースと、水仙の花束がひとつ、そしてブロッコリーが2個、おべんとうのジャムサンドイッチが入っていました。いくつかの買い物も頼みました。
 こうして ロビンソンは ひとりで 町へ出発しました。
ふたりのおばさんは、ロビンソンの姿が見えなくなるまで見送っていましたが、家にはいると、いらいらして けんかばかりしていました。ふたりとも ロビンソンのことが心配だったのです。

                  第3章
《スタイスまウでは、牧草地をつっきっていっても、なかなか長い道のりでした。とはいっても、道はずっとくだり坂だったので、ロビンソンは、陽気に歩いていました。》お天気のいい朝だったので、とくいの歌を うたっていました。《あたまの上、ずっと高いところでは、ひばりも うたっていました》
 そして もっともっと 青い空の高いところでは カモメが大きな輪をえがいていました。カモメのぎゃあぎゃあ声は 地上にとどくところでは やわらかく 聞こえました。
 えらそうな ミヤマガラスや、元気な子ガラスが、《ディジーやキンポウゲのあいだを、きどって あるきまわっていました》 《小ヒツジはピョンピョンはなながら、ベェーとないていました。》
ヒツジたちは、ロビンソンをながめて、「スタイマスでは、気をつけなさいよ」と、かあさんヒツジがいいました。
 ロビンソンは、走ってきたので、息がきれ、暑くなってきました。もう5つも大きな牧草地をよこぎり、たくさんの ふみだいをこえてきました。《もう ふりかえっても、》ブタゴヤ・ボーコム農場は見えません。
 目の前、ずーっとっ遠くに、近づいてこないほど とおくに、青色の海がひろがっていました。
 ロビンソンは、風のあたらない 日だまりに こしをおろし やすみました。《あたまのうえには、ネコヤナギの黄色い花がさいていました》《土手には、プリムローズが、いく百となく咲き、こけと草としめった  赤土の あたたかいにおいがしていました。》
 ロビンソンは おべんとうをたべれば 荷物が軽くなると、とおもいましたが、とても あなかがすいていて たまごも たべたいほどでした。
 ロビンソンは プリームローズをなんぼんか摘んで、おばさんに たのまれた毛糸のかがり糸の見本で束ねました 。
「これ、市で売ろう。ぼくのお金になる。いま、もっているお金をたせば お菓子が買えるぞ」
 はやく いかなくちゃと、とびおきて、県道にでました。男の人が馬に乗ってやってきました。2匹のグレイトハウンド犬が先をはしってきて、やさしくロビンソンをなめました。かごの中になにが はいっているか知りたがりましたが、ロビンソンは、教えたくありませんでした。
 紳士は この辺いったいの地主で、ペパリルさんという、赤ら顔で、陽気であいそのいい、りっぱな人でした。
「なんだと、一人で、市へ行くのか。おばさんたちは、病気か?やれやれ ふみだんがせまいのか。《おまえのおばさんたちは 用足しをしてくれるイヌをなぜ かわないのかね》」
 どんな 質問にも ロビンソンが 考え深く こたえるので ペパリルさんにも頭の良い子だと わかりました。感心して、1ペニー くれました。
「じゃ しっけいするよ,こぶたくん。スタイマスでは、気をつけなさいよ」と、いって、かけさりました。
 《ロビンソンは、そのまま道を つづけました。》 とちゅうで 7匹のやせてよごれたブタが土をほりおこしてえさをあさっていました。つぎに、スタイフォード橋をわたりました。ゆるい流れのなかでは小魚たちが ゆらゆらゆれながら泳ぎ、アヒルがミズクサのあいだで パチャパチャやっていました。
 ロビンソンは、《そんなことには目もくれず、先をいそぎました。》
粉屋に用があったので、そこで 足をとめました。リンゴを1個 もらいました。荷馬車や馬車が何台も追い越していきました。
 そのとき、缶のぶつかる音が聞こえ、牛乳缶を積んだ馬車に乗って、いとこのこぶたのトムが、やってきました。トムは、ロビンソンを乗せてやりたかったのですが、あいにく反対側へ いそいで 帰るところでした。
 また牧草地を よこぎらねばならないのですが、そこにはいじわるな牡牛がいるので、ちょっと心配になりました。ロビンソンは、横歩きをして、はんたいがわのふみだいまで 急いでいき、ふみだんを越えました。するとそこは、芽をだしたばかりの麦畑でした。急に ドンと てっぽうの音がして、ロビンソンは、とびあがり、卵に1個 ひびがはいりました。小麦のあいだから、一群のカラスがぎゃあぎゃあ鳴いて飛び立ちました。そのほかにべつの物音も混じって聞こえました。《ニレの木立を通して見えてきたステイタスの町の物音でした。》
 ロビンソンは、さいごの牧草地をつっきって、《ステイタスの市にむかう人々の群れの中に入って行きました。》
道は、歩いていく人、荷車で行く人、しゅうへんの村からきた人々で、いっぱいでした。

                第4章

《スタイマスは、ピグスタイ川の河口にある、きれいな小さい町でした。ピスタイ川のゆるやかな流れは、赤土の高い岬にかこまれた入り江にそそぎこんでいました。》
 町ぜんたいが、すり鉢上に、丘から海にむかって坂になっていて、坂道は みな埠頭が半円形に並んだ港へつながり、港の外側は、防波堤がまるく輪をえがいていました。町はずれは、港町によくあるように ごたごたしていました。西から町にはいってくるあたりには、ヤギが住み、ほかに、くず鉄やぼろ、タールをぬった綱、魚網の商人も住んでおり、なわ製造所がならんでいました。
 小石だらけの土手に 洗濯物が はためいていましたが、《ポーカスおばさんの、きれいな緑の草の上に干した洗濯物とは、なんというちがいだったでしょう》
 それから、船用具店があったり、タマネギを売っている店があったりして、いろんなにおいがいりまじっていました。また、背の高い倉庫がならんでいて、そのなかでは、ニシン漁に使う網を干すようになっていました。
 ロビンソンは、道のまんなかを歩くことにしました。
 スタイマスの町は、けしきのいい あんぜんなところでしたが(もちろん 波止場はべつですが)とても急な坂道になっていました。
人に おされるので 歩道からはみでないようにするのは よういなことではありませんでした。
 道の中央には、魚をつんだ手おし車や、リンゴをつんだ荷車、せとものや金物を売る屋台、馬車に乗ったオンドリ、メンドリ、荷籠をしょったロバ、荷車にほし草を満載したおひゃくしょう、それに、石炭を積んだ荷車が、波止場からたえまなく列になって登ってきて、いなかそだちのロビンソンは、頭がくらくらし、おそろしいと、おもいました。
 いろいろな騒動のなかを、ロビンソンは、頭をしゃんとあげて市場へむかいました。道は聞かないでもわかりました。すっかり時間がかかり、教会の鐘が11時をうちました。
 市は 10時から開かれていましたが、まだ たくさんの人がいました。市場は風通しがよく、いこごちがよく、明るく 楽しそうなところでした。こみあっていましたが、外の通りのおしあいに比べると、安全でした。
売り手が声をはりあげ、買い手がまわりをかこみ、おしあいへしあいしていました。
 ロビンソンは、ヤギのネティおばさんのキビを売っている屋台のはしに、立ちました。《どうどうと 歌うように さけびました。》   
《「うみたてたまご!しんせんな、うみたてたまごはいかが!さぁさぁ、たまごと水仙を買うのはどなた?」》
 そして、たまごと 水仙の花束と プリムローズの花束と、ブロッコリーが売れました。お客がハッカアメをくれました。
困ったことは、おばさんから頼まれた毛糸かがりの糸を、プリムローズの花束をつくるのに使ってしまったので、色を忘れてしまったことです。
 ハッカアメをなめながら、ロビンソンは市場の外に出ました。まもなく 建物から出てきたスタンピィに会いました。《スタンピィは、人に親切にするのがすきで、責任感のつよい、たのもしいイヌでした。》
 マンビーさんのお店がどこにあるのか聞くと、《「ぼくは、大通りをとおって、うちにかえるところなんだ。いっしょに来るといいよ。おしえてあげるから」》
「ウィ!ウィ!ウィ! ありがとう。」

                                (つづく)
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