中村哲さんは「特別な存在」 タリバン幹部、事件の再捜査を明かす
アフガニスタンで暫定政権の樹立を宣言したイスラム主義勢力タリバンのスハイル・シャヒーン報道担当幹部が11日、朝日新聞の電話取材に応じた。同国で2019年に起きたNGO「ペシャワール会」の中村哲医師の殺害事件についてタリバンの関与を否定し、「犯人逮捕に向けて再捜査する」と語った。
タリバンがガニ政権を崩壊させ、捜査の中断と資料の散逸が懸念されていた。タリバン幹部が捜査方針について語ったのは初めてとみられる。
シャヒーン幹部は「(中村さんは米軍などの)占領者とは異なる立場で活動し、我々はそれを歓迎してきた」「人々のため、国づくりのために尽くした特別な存在だった」と死を悼んだ。「慈善活動や復興事業を続けられるようNGOと協力し、安全確保に努める」とも話し、警察を所管する「内務省などが再捜査する」とした。
中村さん殺害はガニ大統領が監督する最重要事件に指定され、治安当局が隣国パキスタンの武装勢力メンバーらを容疑者と特定したが、捜査の進展は伏せられてきた。タリバンの関与を疑う見方は少ない。
朝日新聞社