舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

砂丘館、堀川久子独舞「やってくるもの、流れ出すもの、身体から身体へ」観に行ってきました。

2025-01-26 21:50:25 | Weblog


1/26(日)、砂丘館にて、堀川久子独舞「やってくるもの、流れ出すもの、身体から身体へ」を観に行ってきました。
堀川久子さんの砂丘館でのダンス公演は過去にも何度か観ていますが、自然の生命力のようなダンスをとにかく自由に踊る方という印象で、いつも引き込まれます。

今回は砂丘館の一番奥にある蔵、砂丘館ギャラリーが会場なのですが、座布団の客席に座って待っていると、客席の後ろから堀川さんが普通に歩いて登場する。
短い髪を左右で結んだ子供のような髪型なのに、体は老人のように腰が曲がっているという、まるで年齢を超越存在のようだ。

チェロの重低音に合わせて、ゆっくり体を震わせたり、倒れ込んで両手の指先で床をなぞる踊りは、まるで死にゆく生命が最後の最後まで必死に生きようとしているようだ。
やがてチェロの音楽が終わると同時に完全に倒れ込んでしまう。
すると今度はオルガンのような、水が湧き出すような不思議な音楽が流れ出し、堀川さんは再び立ち上がる。

まるで死と再生を表現しているようだ。
照明は何も変わらないのに、まるで光が差し込んできたように感じられました。

そして堀川さんは、まるで初めて自分の体を手に入れたかのようにぎこちなく体を動かしはじめ、それが踊りになっていく。
まるで、この世界に生まれて、必死に生きようとする生命のように感じられました。

堀川さんは踊りのベテランだからこそ、自由に体を動かすのはもちろん、あえて不自由に動かすこともできるんだなあと、その表現力の広さに驚かされました。
しかも、あえて不自由に踊るからこそ、次第に踊りが自由に広がっていくことの感動が際立つのです。

やがて音楽がなくなると「ここはどこですか?」「どうもよく見えないんですよ」という意味深長な台詞。
この世界で生きる不安を表現しているのか…?

…などと思っていると、突然「いいお湯でした」という予想外の台詞!
あまりに突然の台詞に笑いが起こるほどでした。

その後、舞台上を自由自在に踊りまわっていた堀川さんは、途中からなんと客席の中に入って踊り始める。
しかも、観客の頭の上や顔の目の前にまで体を急接近!凄まじい迫力!

すると、「和室に行きます」と言って会場の蔵から廊下に出て、和室に向かって歩き出し、お客さんもそのあとを付いていく。
和室に到着すると、堀川さんは軽やかに歌いながら踊っている。

これまでの色々な踊りがあえてぎこちなかったり、あえて不自由そうに踊っていたからこそ、最後はまるでそのすべてから解放されたかのうな自由な解放感がありました。
最低限の音楽と自分の肉体だけで、これだけ想像力が広がる踊りを表現する堀川さん、やっぱり素晴らしい芸術家だなあと思いました。

そこまで踊りで壮大な世界を表現しておいて、最後は普通に出てきて「ありがとうございました」と言うあたりも、堀川さん真面目さが感じられて良かったです。
なんというか、堀川さんが人間に戻ったような感じがしましたね。

最後の堀川さんの話によると、最初に流れたチェロの音楽は、堀川さんが出会ったアメリカの亡くなった音楽家の方の演奏だそうです。
そうやって、色々な芸術を積極的に取り入れて、一緒に新たな作品を作ることで、その芸術を後世に伝える、そういう意味でも優れた芸術家だと思いました。
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