羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

蟲師 続章 1

2014-12-21 20:33:27 | 日記
旅をしながら大工をする幹太は、妻子の待つ里へ下りる前に里の側の山で一休みしていた。ふと見ると草の中に赤い実が落ちていた。「ありがてぇ、スモモか?」幹太は赤い実を摘まむと口に入れた。
里へ帰ってきた幹太は旅先の話を妻子に語って聞かせた。子は素直に喜んだが、妻は旅を止めて里に止まるよう求めた。「もう少し、歳を取ったら落ち着くからさ」腕一本で渡り歩く自由を、若い幹太は好んだ。
しかし、幹太は奇妙な夢を見るようになった。大きな杉の木が育ち、そびえ立ち、森を山を見詰める。時が過ぎてゆく。そんな夢だった。木の夢は再び旅立った後も行く先々で見た。幹太はその木が何なのか? 尋ね回るようになったが、そんな大木、誰も知らない。そんなある日、幹太は道の団子屋でギンコに出会った。知った顔だった。「あんたは十ほどの子供だった。一行にはもう一人子供がいたな。それから長老の爺さん。あの爺さんは子供頃からよく見た顔だ」ギンコは怪訝な顔をした。「お前、歳いくつだ?」大して歳の変わらない幹太をギンコは警戒し、去っていった。確かに、知るはずのないことを幹太は知っていた。
幹太は衝動に駆られ、故郷の側の山に向かい、そこで巨大な『切り株』を見付けた。「これか、そんな」木の根の上で呆然とする幹太。だが、どうしようもない。立ち去ろうとすると、両足が木の根と同化している! 「誰かいないか!」助けを求めるとギンコが現れた。「遅かったか」思い返すと、ギンコは確かに幼い頃に『渡り』の二人と共にこの大木の側に来たことがあったのだ。里の者達を呼び、根に斧を入れ、一先ず幹太を助けた。
     2へ続く

蟲師 続章 2

2014-12-21 20:33:08 | 日記
里へ連れ帰られた幹太の足は木のようになっていた。「これはサトリギという蟲の仕業だ」サトリギは木に宿る蟲で、木に生命の危機が迫ると花を付け、いよいよ木が死ぬと実の形になり、動物等に食われて体内に宿りその動物が丁度いい木に長い間触れると動物を木と同化させて木の中に入って行くという。幹太の『木の記憶』はサトリギが木の死期を見測る為に木から盗んだものだった。
件の木は光脈に立つ神木だったが、15年前に山火事で困窮した里の者達によって切り倒された。サトリギが一斉に花を付けた『切れぬはず』の木を切ると輝く液が溢れ出し、衰えた山は甦ったという。
ギンコはウロ繭でツテを頼ったが良い治療法はわからなかった。「別の蟲師にも当たってみる」とギンコは里を去って行った。残された足の効かない幹太は鬱屈した日々を送った。娘に話を聞かせてと聞かれても「もうしてやれる話は無いのだ」と答える幹太。
その幹太の足にサトリギが花を付けた。駆け付けたギンコが幹太の体調を聞くがどこも悪くはない。その夜、幹太は不吉な夢を見て起きた。「何だ? 思い出せ!」幹太は必死で『記憶』を探り、思い当たった。
それはこの地の地震の記憶だった。ギンコに背負われたまま里の者達を被害の及ばない場所に案内する幹太。すると、確かに地震は起きた。山崩れが起き、土に呑まれる里。間一髪であった。
里の復興作業が始まると動けない幹太の代わりに里の者達が幹太の家を建て直し始めた。予知の礼と、かつて神木を切った罪滅ぼしだという。復興作業が一段落する頃、足は治らない幹太は決心した。「一本の、木の話をしようか」幹太は娘に語り始めた。

ソードアート・オンライン2 前

2014-12-21 20:32:49 | 日記
ユウキの『登校』から春までに、アスナ達はスリーピングナイツと様々な思い出を作った。
アスナ達以外の多数のギルドメンバーを集めたALO内のバーベキューパーティ。その流れで次のフロアボスの撃破。件のカメラを使った現実学校への登校。ゲーム内での飛行レース(リーファ完勝)。闘技場での剣術大会では『片手剣』のキリトに打ち勝ち優勝! 更に学校の成績で母を一先ず満足させたアスナに肩カメラで連れられて、リズ、シリカ、リーファと共に現実世界の旅行にも参加した。
そして春になる頃、アスナにメールが届いた。
ユウキの容態が急変した。病院に走ったアスナ。たどり着くと、エアコントロールされていたはずの病室に入れた。メディキュボイド等が外され、痩せ細り、子供のように小柄なユウキが寝台にいた。まだ息はある。「手を握ってあげて下さい」医師に促され、目を開けたユウキの手を取るアスナ。すると、何か言おうとするユウキ。「メディキュボイドを使えますか?」「しかし、ユウキくんも最後は機械の外で」「御願いします!」アスナの提案に医師は応じた。隣室で医師のアミュスフィアでALOにログインするアスナ。最初に出会った大木の元に、ユウキはいた。
「渡すモノがあったんだ」ユウキは大木の方を向くと、『剣士として』最後の力を振り絞ってオリジナルソードスキルの連続突きを気合いと共に木に打ち込み、書面状のアイテムを出現させた。「ユウキ!」力尽きて倒れ込んだユウキをアスナは支えた。
    後に続く

ソードアート・オンライン2 後

2014-12-21 20:32:36 | 日記
操作手続きをして、書面状アイテムをアスナに託したユウキ。「技の名前は『マザーズ・ロザリオ』きっとアスナを守ってくれる」ユウキが告げるとスリーピングナイツのメンバーが駆け付けた。「見送りはしないって約束なのに」苦笑するユウキ。メンバーは軽口を叩こうとするが、件の涙を隠し難いALOの仕様の為に皆泣き出してしまった。
キリト達も駆け付け、他にも多数のALOプレーヤーが集まった。「ごめんね。だって、あなたは最強の剣士。そんな人を寂しく見送るなんてできないよ」アスナは泣いた。「ずっと考えてた。死ぬために生まれたボクが存在する意味って何だろう? って。ようやく答えが見付かった。意味なんて無くても生きてていいんだ。こんなにも満たされてるんだから」力を失って行くユウキ。徐々にアスナに姉の姿が重なって行く。(ボク、生きたよ! ここで生きたよ!)ユウキは目を閉じた。
桜の降る中、ユウキの葬儀が執り行われた。多くの人が訪れていた。アスナは斎場の片隅のベンチでぼんやりしていた。そこに、眼鏡を掛けた喪服の若い女性が現れた。シウネーだった。シウネーの病は奇跡的に回復したのだ。「アスナさんといる時のユウキは、まるで飛ぶことを思い出した小鳥のようでした」二人は身を寄せ合って、少し笑った。
後日、アスナはキリト達とお花見に来ていた。アスナの肩カメラはユイと繋がっている。これもユウキの置き土産だった。「あの世界を生き延びた俺達は、見届ける義務があるんじゃないかな」メディキュボイドも茅場の技術だった。気負い過ぎるキリトにアスナは少し不安に感じた・・・
さらばユウキ。いい子だった。
でもって、三期もあるだろうけど、どうも次の世界は現実世界との描き分けが難しそうだな。さて、どうなるか? 気長に待ちましょう。