2024年04月03日(水)
Rice Bowl @ SWACON International Hospital(カトマンズ)
with ひとくちカレー(宮島醤油)
コトリちゃんは夜中ずっと鼻に管を入れて酸素吸入している。
トイレ等に行く時は管を外していいと指示をされているので、何度か介助した。
介助している時の方が確実に生きているのがわかるから安心だ。
ぐっすり寝ている方がいいに決まっているけれど、僕の勝手だけど、酸素が止まっていたらどうしよう、息が止まっていたらどうしよう、そんな不安に襲われる。
元気だとはいえ標高5000mでは僕だってクラクラする。病人が二人になるわけにはいかない。そんな使命感もあって、深呼吸をして大丈夫なことを確かめる。
そうこうするうちに夜が明ける。
空が明るくなってくるだけで、不安が小さくなるのは何故だろう。
いつだかの朝みたいに、やっぱり今日も朝は訪れた。
6:00過ぎにヘリコプターが来てくれるらしいので、荷物をまとめる。
酸素吸入の代金を払う。クレジットカード端末が壊れているらしく、持っている現金を集めてギリギリだった。とはいえ、命の危機とは比べられない。
無事に、もう無事とは言えないか、とにかく、復活したらすっげー出費だったと言ってやろう。
山間のヘリポートにヘリコプターが来た。人生初のヘリ。こんなかたちで乗ることになるとは思わなかった。
僕の不安を察してか、ガイドさんがヘリの写真を撮ろうとしてくれたりする。
そんな頼もしいガイドさんは一緒に乗ってカトマンズまで来てくれる。
ラメチャップ空港で待った日も含めたら、1週間かかったところを1時間かからずにカトマンズに戻る。
カトマンズの空港にヘリが着陸すると、そのまま特別な車で空港の入口まで運んでもらう。
空港の入り口には病院の車が待っていてくれる。
ここまで手配してくれていたとは、本当にありがたい。
旅行費をケチらずに、カトマンズの旅行会社にお願いしておいてよかった。
よくやった、計画段階の僕。
そのままコトリちゃんはカトマンズのSWACON International Hospitalに入院。
コトリちゃんはさっそく検査に入る。
ここでもまた待つ時間ができた。
ガイドさんと反省点の話もしたし、いつかまたエベレスト街道を歩きたいという希望の話もした。
実は、これ以前にも、高所順応日を省略するリスク等々については、ガイドさんと何度も話し合っていた。
高所順応日の有無だけではなく、標高、疲労、脱水、肉体的な故障、様々あって誰がいつどうなるかはわからないとハッキリ言っていた。屈強な体力自慢の人が突然体調を崩すこともあったそうだ。それが、高所順応日の有無が必ずしも影響するとも言い切れないらしい。
だからこそ、その都度、相談をしよう、と。
ガイドさん自身はおそらく大丈夫だけど、それもわからない、と。
お互い正直に話し合うことが大事だということで合意していた。
一昨日だったか、コトリちゃんが席を外してる時に、「南場は全然大丈夫そうだ。仮に、南場は進めそう、コトリちゃんは待機が必要となった場合は、どうしたいか?」と聞かれたので、「一人でもダメになったら、みんなで行動したい」と伝えてあった。
その意向を伝えてあったから、今こうなってるんだと思う。
付き添い者も滞在できるということで、僕も病院に泊まらせてもらうことにした。
検査を終えたコトリちゃんがいる病室に通された。
点滴をしているが、酸素吸入はもう必要無い。
しばらくして、僕も滞在しやすい別の部屋を用意してくれた。
食事はある程度のメニューの中から選べる。
院内食のRice Bowlはほぼカレーだけど念のため持ってた宮島醤油のひとくちカレーをかけて食べた。
しばらくすると、医師から説明があった。
現時点では検査結果として大きな問題は無く、休めば回復するだろうと。
少なくとも今日は泊まることになるけれど、明日か明後日には退院できそうだと。
回復傾向にあることを告げられて、ようやく安心する。
他にも色々な念が湧いてくる。
ロブチェの宿のオーナー夫妻にちゃんとお礼を言えないままヘリに乗ってしまった。
荷物を運んでくれたポーターさんにも会えないままお別れとなってしまった。
昨日の夕方、まだヘリで運ばれるほどだとは思っていなかった時点では、できれば来た道を歩いて戻りたい、とコトリちゃんは話していた。
僕も同感。
本当に残念だ。
念が残ると書いて残念。
残った念を回収するためにも、復活しなければならない。
いつかまた、エベレスト街道に来て、全員にお礼を言って、歩いて戻りたい。
そのために、まずは復活だ!
ちゃんと回復してくれそうだと信じられる段階になって、そうしたら歩きつづけられなかったことが残念だと思える自分もいて安心。
不平不満を言ってられるのは平和な証拠かもしれない。
この病院、なんならホテルよりも快適に過ごせるかもしれない。
RIceBowlとは別に食べたサンドイッチもけっこうおいしかった。
不安がやわらいだら僕はただの元気なおじさんに戻れる。