三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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2006/10/30

2000-02-17 22:54:59 | 映示作品データ
 ナチスに協力した廉で戦後長らく非難されたレニ・リーフェンシュタールと比べるべき人物は多い。最近では、ナチス突撃隊員だった過去が明るみに出て窮地に陥ったノーベル賞文学者ギュンター・グラスがいるが、彼の場合は、その過去そのものよりも、過去を隠していたということが問題視されているようだ。
 レニのライバルだった女優マレーネ・ディートリヒは、ドイツからアメリカへ移りハリウッドデビューした。ディートリヒのファンだったヒトラーが再三帰国を要請するが帰国を拒んでアメリカの市民権を取ったため、マレーネの映画はドイツで上映禁止。マレーネは反ナチ運動にも参加した。レニとマレーネを比較するところから、芸術家の社会的意識や政治的コミットメントについて新たに見えてくるものも多いだろう。
 次は、やはりヨーロッパ(イギリス)からアメリカに渡り反ナチ映画を作ったチャールズ・チャップリンのメイキング映像を見ることにするが、その前に、チャップリン初のフルトーキー映画『独裁者』のサワリを流して観ながら、ドキュメンタリー映画の分類スペクトルを再整理してみたい。

2006/10/23

2000-02-17 02:39:27 | 映示作品データ
メタドキュメンタリーとしての『レニ』は、さまざまな見方をすることができる。
 ◎芸術家に対して政治的関心を要求することの妥当性について。
 ◎監督とレニとの対話において、二つの芸術観がぶつかり合う間接的芸術論として。
 ◎レニの、自己正当化の記録として。
 ◎『オリンピア』の手法解説にあったように、事実そのままではなく、練習風景などを挿入してリアリティを出す、フィクションとしてのドキュメンタリー手法について。結果至上主義の芸術観。
 ◎レニ・リーフェンシュタールという個人の記録として。

 次回は、第二次大戦勃発により、従軍カメラマンとして戦場に赴き、その後、戦争から離れて黙々と自分の映画を作るレニの姿から観ます。戦後、アフリカと海中へ関心を向けるところまで。

2006/10/16

2000-02-16 01:47:10 | 映示作品データ
■レニ Die Macht der Bilder: Leni Riefenstahl
1993年 ドイツ
監督 Ray Muller レイ・ミューラー

ダンサー~女優~映画監督の道を歩み、ナチの宣伝映画製作者として戦後長く忌み嫌われたレニ・リーフェンシュタール(1902-2003)の芸術的生涯を、本人へのインタビューと作品からの引用によって構成したメタ・ドキュメンタリー。「撮る人を撮った」ことによる独特の構造に注目していただきたい。

 ナチス協力の罪に問われて多くの裁判を受けたが、すべて勝訴。芸術と政治、芸術と倫理の関係を問う上でも重要な人物である。

 次週、次次週は『レニ』の続きを映示し、レニの諸作品の一部
 ナチス党大会のプロパガンダ映画『意志の勝利』(1935)ベルリンオリンピックの記録映画『オリンピア』(『民族の祭典』『美の祭典』)(1938)90歳すぎても海に潜って撮影し、100歳の時に完成させた海中記録映画『ワンダー・アンダー・ウォーター 原色の海』(2002)のどれかをも、いずれ教室で上映します。

2006/10/2

2000-02-15 05:26:53 | 映示作品データ
10/2は、『トリック』の冒頭部分を観ました。
http://www.tv-asahi.co.jp/trick1/

「他の手品を用意してました」があの手品の種明かしまたは説明になっているか、という問いに対し答えを書いてもらいましたが、

 説明になっている …… 8人
 説明になっていない …… 5人
 その他(どっちつかず、答えナシなど) …… 5人

正解は、
「説明になっている」です。
「説明になっていない」と答えた人は、オカルトを信じやすい性格かもしれないので、要注意。

 「他の手品を用意してました」は、この手品がうまくいったことの完全な説明になっています。
 なぜか? きちんと理由を述べようとすると案外むずかしい。(もちろん、正しい理由を書いている人もいました)

  この問題については、いずれ教室で解説する時間を設けようと思っています。

2006/10/2

2000-02-14 02:54:12 | 映示作品データ
【ドキュメンタリー(映像)作品】の分類をしておきます。
まずは大まかに。小分類の詳細は適宜説明します。

 ■歴史・時事的ドキュメンタリー
●イベント、人物の記録。『東京裁判』『民族の祭典』『ケネディ』『Victory at Sea』
●オムニバス的映像集。『映像の世紀』『バンド・フロム』
●記録フィルム+当事者インタビュー。『ヒストリー・チャンネル』
●記録フィルムと再現映像でのモザイク・ドキュメンタリー。『ヒトラーと4人の女たち』
●猟奇系ドキュメンタリー。『ジャンク』『デスファイル』『グレートハンティング』
●プロパガンダ映画。『汝の敵、日本』『日本の悲劇』
●アート系プロパガンダ。『意志の勝利』
●メタ・ドキュメンタリー。『レニ』『シューティング・ウォー』
●メイキング映像。『放浪者と独裁者』

 ■双方向的ドキュメンタリー
●インタビュー集。『リッスン』『マトリックスの哲学』
●リアルタイムで撮影陣が被写体を挑発するタイプの密着取材型。『ゆきゆきて、神軍』
●盗撮によるゲリラ・ドキュメンタリー。
●フェイク盗撮。

 ■芸術的ドキュメンタリー
●アート・ドキュメンタリー。ライブ、専用の舞台など。『ファーズ・ザ・フィルム』
●歴史的ドキュメンタリーフィクション。『エルミタージュ幻想』「コストニツェ」
●プロセス・アート。『カッツィ』三部作「海辺にて」「Making a Splash」
●インスタレーション、環境ビデオ。『廃墟』『リキッド・クリスタル』

 ■ノンフィクション型フィクション
●再現系。『日本のいちばん長い日』『ヒトラー最後の12日間』『モスクワ大攻防戦』
●コンセプチュアル・ノン・フィクション。さまざまな美的否定。『天使』『死の王』
●現実の表裏を伝えるフィクションドラマ。『トリック』『フリークス』
●間テクスト型。原作小説・映画を社会的事実として対象化。『アッシャー家の崩壊』
●パロディ映画。引用型。『最終絶叫計画』

 ■フェイク・ドキュメンタリー
●モンド・ドキュメンタリー。『世界残酷物語』『世界女族物語』『サン・ソレイユ』
●間メディア型(インターネット&映画)。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『スナッフ』
●ルポルタージュ型。『エイリアン・インタビュー』『放送禁止』
●フェイク投稿設定型。『呪いのビデオ』
●結果としてニュース報道と誤解されたフィクションドラマ。『宇宙戦争』

 ■自然ドキュメンタリー
●ドキュメンタリーアート。『ミクロコスモス』『アトランティス』『原色の海』
●解説型。『ナショナル・ジオグラフィック』『NHKスペシャル』
●コンセプチュアルドキュメンタリー。『Powers of Ten』
●SFドキュメンタリー。『ウォーキングwithダイナソー』『エイリアン・プラネット』
●シミュレーション。『ワールド・アニマル・カップ』
●リアルシミュレーション。『世界最強虫王決定戦』


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