
六月初め
四月に、百一歳で亡くなった母の、四十九日の法要と納骨をした。
前日、墓掃除に行った。
家の近くの納骨堂は、道路から二〇メートルくらい
人一人歩けるほどの急な坂道を、上ったところにある。
生い茂った草を、かき分け、かき分け、たどり着いた。
持って行った鍵が合わず、一旦家に帰り
仏壇の奥にあった鍵を持って、再び納骨堂へ。
その鍵でも、なかなか開かなかったが
隣の扉に付けっぱなしになっている鍵と、形状が似ていたので
何回もガチャガチャとやっている内に開いた。
中は暗くて、良く見えなかったが、荒れているのは分かった。
バックに、小さな懐中電灯を入れていたので、それを取り出し、中を照らす。
ーギョッとした。
小さな背骨らしきものが、目に飛び込んで来た。
床一面に、何かが散らばっている。
骨壷が壊れ、骨が散乱しているのだと思った。
これを、手で拾って骨壷に収めなければならないのかーと、一瞬思った。
しかし、よくよく見ると、壷は倒れているものもあるが、壊れてはいない。
では、床一面に散らばっているものは何なのか?