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歌劇「シモン・ボッカネグラ」をテレビ観劇

2025年02月26日 | オペラ・バレエ

テレビで昨年1月に放送された新国立劇場/歌劇「シモン・ボッカネグラ」(プレミエ)を鑑賞した

ヴェルディ作曲、プロローグ付き全3幕、2時間20分、1857年フェニーチェ劇場で初演、24年後にヴェルディ自身が改訂を加えスカラ座で初演された、改訂版の台本はアッリーゴ・ボーイトによる、ヴェルディ中期の作品だが改訂はヴェルディ68才の晩年となった

演出:ピエール・オーディ(1957、レバノン)
美術:アニッシュ・カプーア(現代美術を牽引するアーティスト、巨大な舞台美術)

<出演>

シモン・ボッカネグラ(海賊、後にジェノバ総督):ロベルト・フロンターリ(1958、伊、バリトン)
アメーリア(シモン娘):イリーナ・ルング(1980、モルドバ)
フィエスコ(アンドレーア/貴族、シモンの政敵):リッカルド・ザネッラート
ガブリエーレ・アドルノ(ジェノヴァ貴族、アメーリア恋人):ルチアーノ・ガンチ
パオロ(平民派、後にシモン忠臣):シモーネ・アルベルギーニ
ピエトロ(平民派、後にシモン部下):須藤 慎吾

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:大野和士 
収録:2023年11月15日 新国立劇場 オペラパレス 

この演目は1度テレビで鑑賞したことがあったが、あまり印象に残っていなかった、ただ、そういう場合でも繰り返し見ているとその良さがわかるかもしれないので、1年前の放送だが録画してあったので鑑賞してみた

今回の鑑賞の感想など

物語について

  • 悲劇である、けっこう内容が複雑で、全体像を理解するのに時間がかかる(まだ、全部理解してないかもしれない)、例えば、なぜアメーリアが孤児になってグリマルディ家に養育されているのか、そのアメーリアを養育していたのがアンドレーアと名を変えたフィエスコであったが、なぜ探していた自分の娘の子供と気付かなかったのか
  • シモン・ボッカネグラは、ジェノヴァ共和国の1339年の選挙で初代総督に就任した歴史上実在の人物
  • 物語のベースにあるのは貴族と平民との対立である、シモンは平民、恋人は政敵の貴族の娘、二人の子供(娘)は孤児になり貴族の家で養育されており、その恋人は貴族の若者、ただ、最後にシモンとフェイスコは和解する

演出・美術について

  • シンプルな舞台設定であった、背景はほとんどなく、天井から大きな雲というか石のようなものが下に飛び出している、そして最後は丸い大きな太陽のようなものが天井から出てくる、これが何を意味しているのか、分からなかった
  • 最初から最後までほとんど舞台は暗く、沈鬱なムードが漂った演出であった、物語が暗い悲劇なので仕方ないが観ていてあまり楽しく思えなかった
  • 第3幕でアメーリアを誘拐した罪で捕らえられたパオロが出てくる場面があるが、その姿があまりにもグロテスクだと思った

歌手について

  • 主要な歌手は初めて見る歌手ばかりだったが、いずれも歌唱力、声量とも十分だと思った、ただ、ガブリエーレ(アメーリア恋人)のルチアーノ・ガンチはちょっと太目なこともあり、ダメ男のように見え美人のロベルト・フロンターリと釣り合っていないように感じた

音楽、指揮者、演奏について

  • 音楽は悲劇でもあり、暗い感じのメロディが主体であったが、ところどころヴェルディらしい劇的な大音響の演奏があり楽しめた
  • このオペラ自体にまだ精通していなので、大野和士の指揮と東京フィルの演奏は評価する能力がないが、「これはどうかな」と感じたところはなかった

今後も観ていきたい

あらすじ

プロローグ

時は14世紀半ば、舞台はイタリアの港町ジェノヴァ、海賊のシモンと貴族フィエスコの娘マリア(オペラには出てこない)は愛し合う仲で子供もいたが、マリアの父は2人の仲を許さず娘を幽閉、マリアは病死したためフェイスコはシモンを憎む、子供は行方不明、平民派のパオロの画策でシモンは選挙で総督になる

第1幕

25年後、総督シモンは忠臣パオロをグリマルディ家の娘アメーリアと結婚させようとするが、彼女には貴族のガブリエーレという恋人がいた、シモンはアメーリアが自分の娘であることに気づき、パオロとの結婚を帳消しにするとパオロは逆恨みしアメーリアを誘拐、ガブリエーレはシモンの仕業と勘違いし誘拐の実行犯を殺害し、アンドレーア(実はフィエスコ)と共に議会に引き立てられると、シモンこそ首謀者と糾弾し切り掛かるがアメーリアが制する、シモンは二人を捕え、パオロに真犯人を呪うよう命じるとパオロは恐れおののきながら自らを呪う

第2幕

パオロはシモンを恨んで彼の水に毒を盛り、アンドレーアにシモン殺害をけしかけ拒絶される。次いでガブリエーレにアメーリアが総督に弄ばれていると吹き込みシモン殺害を唆す。アメーリアは激高するガブリエーレを隠し、シモンに恋人の赦免を懇願する。水を飲んだシモンの意識が薄らぐ。ガブリエーレが襲いかかるが、シモンにアメーリアは実の娘だと明かされ謝罪し、蜂起した貴族派の平定に向かう

第3幕

ジェノヴァに平和が戻り、反乱に加わったパオロは捕えられる。瀕死のシモンはフィエスコが訪れると、ついに和解の日が来たと喜び、アメーリアこそフィエスコの孫娘であることを伝える。シモンはガブリエーレを後継者と言い残し息絶える



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